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111.食いしん坊※
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私はクレアさんに問い詰められて昨夜のつまみ食いの件を正直に話すことになってしまった。
「すみません、後で話そうかとは思っていたのですが……」
謝りながらちらっとクレアさんの様子をうかがうと怒っているどころかほっとしていた。
「食欲があるなら大丈夫ですね。それでは今日は軽めにしてもらいましょう。ついでに食材を使った事を言っておきますから」
「す、すみません……」
私は申し訳なくなり体を小さくして縮こまる。
「反省なさっているなら今日はゆっくりと室内で準備を進めましょうね」
「はい」
私は小さく返事を返した。
クレアさんは早速厨房に私の事を伝えに行ってくれた。
「すみません、今日のローズ様の朝食はいつもの半分の量で大丈夫です」
クレアさんが申し訳なさそうに厨房に声をかけた。
「えっ! ローズ様何かあったんですか?」
料理人達が驚いて動かしていた手を止める。
「いつもあんなに綺麗に食べきってくださるのに……」
「お腹の調子でも?」
料理人達が心配そうにクレアさんのそばに集まってくる。
「そ、それが……」
クレアさんは昨夜ローズ様が食材を使って勝手に夜食を食べた事を伝えて謝罪した。
話を聞いた料理人達は一同にホッとして笑いだした。
「なんだ~食べ過ぎて要らないだけなんですね! よかったです」
「でも食材が……」
クレアさんが再度謝ろうと声をかけると気にした様子もなく手を振られた。
「大丈夫ですよ、夜食を食べに来る人は他にもおりますから。今回もその方だと思っていたんですが食器類が綺麗に片されていたのでどうしたのかと思っていたくらいです」
「そうですか」
料理人達の気にした様子の無い態度にほっと息をはいた。
「ローズ様の食欲には我々料理人は大変感謝しておりますので気になさらないようにお伝え下さい」
「感謝?」
クレアさんが聞き間違えかと思っていると料理人達は笑顔で頷いた。
「ええ、ここの令嬢様方はそれはもうご飯を召し上がってくれませんから……ローズ様の綺麗になって返ってくるお皿が我々にとってどれだけ嬉しい事か」
うんうん……他の料理人達も同意見だと頷いている。
「やはり一生懸命に作ったものを美味しく食べて貰える事が一番ですからね」
「その気持ちはわかりますわ」
クレアさんも自分のケーキをいつも美味しそうに食べてくれるローズ様の顔を思い出しにっこりと笑う。
「朝は軽めにするとおっしゃってましたがお昼はいつも通りに戻ると思いますので、また美味しい食事をよろしくお願い致します」
クレアさんは料理人達にお礼をいって部屋へと戻って行った。
部屋ではローズ様が落ち着かない様子でウロウロと部屋を歩き回りながら待っていた。
クレアさんが帰って来ると顔を見るなり駆け寄る。
「ど、どうでしたか? 皆さん、怒ってました?」
怒られた子犬のように眉毛を下げて聞いてくる。
その様子に思わず笑ってしまう。
「いいえ、ローズ様がいつもより食べない事の方に驚かれていましたよ。またたくさん食べて欲しいとおっしゃってました。なのでお夜食は程々になさって下さいね」
「はい」
「皆さんローズ様に喜んでもらおうと腕によりをかけて作っていましたよ」
「そうなんですか!」
そう聞いて安心するとぐぅ~とお腹が鳴る。
「あっなんかほっとしたらお腹が空いてきました」
恥ずかしそうにお腹をさする。
「ではいつも通りの量で頼み直して来ます」
クレアさんはクスクスと笑いながらも喜ぶ料理人達を思い浮かべ急いで厨房に戻って行った。
「すみません、後で話そうかとは思っていたのですが……」
謝りながらちらっとクレアさんの様子をうかがうと怒っているどころかほっとしていた。
「食欲があるなら大丈夫ですね。それでは今日は軽めにしてもらいましょう。ついでに食材を使った事を言っておきますから」
「す、すみません……」
私は申し訳なくなり体を小さくして縮こまる。
「反省なさっているなら今日はゆっくりと室内で準備を進めましょうね」
「はい」
私は小さく返事を返した。
クレアさんは早速厨房に私の事を伝えに行ってくれた。
「すみません、今日のローズ様の朝食はいつもの半分の量で大丈夫です」
クレアさんが申し訳なさそうに厨房に声をかけた。
「えっ! ローズ様何かあったんですか?」
料理人達が驚いて動かしていた手を止める。
「いつもあんなに綺麗に食べきってくださるのに……」
「お腹の調子でも?」
料理人達が心配そうにクレアさんのそばに集まってくる。
「そ、それが……」
クレアさんは昨夜ローズ様が食材を使って勝手に夜食を食べた事を伝えて謝罪した。
話を聞いた料理人達は一同にホッとして笑いだした。
「なんだ~食べ過ぎて要らないだけなんですね! よかったです」
「でも食材が……」
クレアさんが再度謝ろうと声をかけると気にした様子もなく手を振られた。
「大丈夫ですよ、夜食を食べに来る人は他にもおりますから。今回もその方だと思っていたんですが食器類が綺麗に片されていたのでどうしたのかと思っていたくらいです」
「そうですか」
料理人達の気にした様子の無い態度にほっと息をはいた。
「ローズ様の食欲には我々料理人は大変感謝しておりますので気になさらないようにお伝え下さい」
「感謝?」
クレアさんが聞き間違えかと思っていると料理人達は笑顔で頷いた。
「ええ、ここの令嬢様方はそれはもうご飯を召し上がってくれませんから……ローズ様の綺麗になって返ってくるお皿が我々にとってどれだけ嬉しい事か」
うんうん……他の料理人達も同意見だと頷いている。
「やはり一生懸命に作ったものを美味しく食べて貰える事が一番ですからね」
「その気持ちはわかりますわ」
クレアさんも自分のケーキをいつも美味しそうに食べてくれるローズ様の顔を思い出しにっこりと笑う。
「朝は軽めにするとおっしゃってましたがお昼はいつも通りに戻ると思いますので、また美味しい食事をよろしくお願い致します」
クレアさんは料理人達にお礼をいって部屋へと戻って行った。
部屋ではローズ様が落ち着かない様子でウロウロと部屋を歩き回りながら待っていた。
クレアさんが帰って来ると顔を見るなり駆け寄る。
「ど、どうでしたか? 皆さん、怒ってました?」
怒られた子犬のように眉毛を下げて聞いてくる。
その様子に思わず笑ってしまう。
「いいえ、ローズ様がいつもより食べない事の方に驚かれていましたよ。またたくさん食べて欲しいとおっしゃってました。なのでお夜食は程々になさって下さいね」
「はい」
「皆さんローズ様に喜んでもらおうと腕によりをかけて作っていましたよ」
「そうなんですか!」
そう聞いて安心するとぐぅ~とお腹が鳴る。
「あっなんかほっとしたらお腹が空いてきました」
恥ずかしそうにお腹をさする。
「ではいつも通りの量で頼み直して来ます」
クレアさんはクスクスと笑いながらも喜ぶ料理人達を思い浮かべ急いで厨房に戻って行った。
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