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12章

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「おい、どうした?早く王都に向かってくれ」

いきなり止まった馬車に中から獣人達が顔を覗かせた。

「あっアトラス様達だ!」

上からアトラス様のたてがみが風に揺れてるのが見えた。隣には美しい毛並みの奥さんのヴィーラ様もいる。

二人はピクっと耳を動かすと上を向いた。

「「ミヅキ!」」

二人の笑顔にこちらの気持ちも温かくなる、二人からは会えて嬉しい気持ちが顔に出ていた。

「え!?ミヅキ、何処!」

すると後ろの馬車からアルフレッド様とバイオレッド様が飛び出してきた。

「わー!アルフレッド様ーバイオレッド様!」

私は二人に両手を振る。

「ミヅキ!約束通り国に来たよ」

二人の元気そうな姿にクスッと笑う。

「お二人共、はしたないですよ…」

すると王子達が乗っていた馬車からは見た事あるゴリラの獣人が……

「ロバートさん!?」

ロバートさんはチラッと視線を合わせるが声は出さずにニコッと笑い目で合図する。

なんで一緒に来てるんだろ!?

私はみんなが来るのをソワソワしながら待っていた。


獣人達を待つ間にレオンハルト王子とカイル、ピースも慌てた様子でやってきた。

父親のギルバート王と何か話をして、部屋を見回し私に気がつくとそばにくる。

「悪い、待たせたな」

別に待ってないが獣人達を迎えるのに王子はいた方がいいだろう。

「ミヅキ、ごめんね」

ピースが二人の間から顔を出して一緒に謝る。

「別にいいけど…何してたの?」

「いや、ピースとずっと話してたんだ。良い奴だな!もっと 早く紹介して欲しかったよ」

「僕もレオン達がこんなに優しいなんて思わなかった。本当にこの国に来てよかったよ」

なんか意気投合してる?

まぁピースも嬉しそうにしてるからいいけど…

なんか少し置いてけぼり感があって面白くない。

眉をひそめていると入り口が騒がしくなり、兵士さんが扉を開ける。

「獣人の国から、アトラス王とヴィーラ王妃のご到着です」

二人は胸を張り堂々と部屋へと入ってきた。

たくさんの獣人達が部屋に入ってくると一部の大臣達が顔色を悪くする。

まだ人族の中には獣人達が苦手な人もいるらしい。

そんな中ギルバート王は笑顔で近づきアトラス王に手を差し出した。

「アトラス王!この度は招待に応じて下さり感謝する。ゆるりとウエスト国を堪能して欲しい。何か希望するものがあれば遠慮なく言ってください」

「ギルバート王、この度は招待ありがとう。小さな友人に勧められて来てみたが…思いの外歓迎されてて嬉しい限りだ」

アトラス王もがっちりとギルバート王に握手する。

その後もヴィーラ様の手を取り軽く手の甲に唇を付けていた。

「おお!なんかスマートでかっこいいね」

ギルバート王の様子を隣のレオンハルト様にコソッと話す。

「まぁ父上はかっこいい…いつか父上の様になるぞ、俺は!」

レオンハルト様がじっとこちらを見つめてきた。

「それは楽しみだね!頑張って」

他人事の様に応援するとレオンハルト様ははぁ…と軽くため息をついた。

隣ではピースがなんかレオンハルト様を慰めている。

ふと視線を感じるとアルフレッド様達がこちらをチラチラと見ている。

二人はギルバート王に挨拶をする、するとギルバート王がこちらを指さして何か二人に声をかけた。

二人は嬉しそうに頷きこちらに歩いてきた。

「「レオンハルト王子お久しぶりです。それにピース王子ははじめましてですね」」

二人は双子らしく揃って挨拶をする。

「アルフレッド王子にバイオオレッド王女、よく来てくださいました。こちら側近のカイルです」

「よろしくお願いいたします」

カイルが二人に頭を下げる。

「よろしくカイル様、それと…」

バイオレッドはカイルに挨拶をすると周りをうかがう。

私はピンッときてバイオレッドに微笑んだ。

「ユリウスさんなら向こうにいるよ」

バイオレッドは頬を赤らめてシッと指を口にあてる。

「ミヅキ、声が大きいよ」

バイオレッドがそばにいてコソッと耳打ちした。

「ごめん、ごめん。それより元気だった?」

「うん、あれから体も何とも無かったし。ウエスト国からの援助もあって獣人の国も住みやすくなったんだよ」

「よかった!」

「ロブさん達も会いたがってたけど今回はお留守番ね」

「そうそう!それ!聞きたかったけどロバートさんがいたけど…」

「うん、あの後ロバートさんにはあの件での功績で王宮勤めになったの。それで私達のお世話係になってもらったのよ」

それは大変そうだ…

チラッとロバートさんを見るが、しっかりビシッと立っていて様になっていた。

しっかり者だったししょうに合っていたようだ。

積もる話もあるので私達は大人達と別れて部屋を移動することになった。


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