620 / 687
12章
722.
しおりを挟む
「ピース様は友達が出来て嬉しそうだったね」
エヴァさんがポツンと一人でいた私の元に近づいて来るとニッコリと笑いかけた。
「まぁ…楽しそうならいいんですけど、私だってピースと色々話したいことあったのになぁ。まさかレオンハルト様達に取られるなんて」
後になってムカムカとしてくる。
すると私の元にピースの両親が近づいてくる。
「ミヅキさん、その節はすまなかったね、その後体の具合は大丈夫かな?」
レミオロン国王が心配そうに眉を下げて話しかけてきた。
「はい!この通り元気です。ピースも大丈夫そうでしたね…そういう話は出来ませんでしたけど」
そう言いながら唇を尖らせた。
するとレミオロン国王が私が機嫌が悪い事に戸惑ってしまった。
いけない、いけない。
人に当たるなんて…私は深呼吸してニコッと笑顔を作った。
「すみません、本当に大丈夫です。皆さんもその後は大丈夫でしたか?」
病が落ち着いたとは報告で聞いていたがやはり城下に知り合いもいるし心配だった。
「ああ、君の…くれた物のおかげで無事、病は収束したよ」
レミオロン国王が声を落として答えるとニッコリと笑う。
「よかった…」
私はその言葉を聞いて胸を撫で下ろした。
「ピースとリバーシ大会が終わるまでウエスト国にお邪魔するつもりだから今度ゆっくりとピースがいる時にでも食事でもどうかな?」
「ありがとうございます!楽しみにしてます!」
私は楽しみだとすっかり機嫌も良くなる。
「もちろん、エヴァさんも来てください。その…よかったら鳳凰様達も…」
レミオロン国王は私の肩に止まるシンクに頭を下げた。
【まぁ甘くて美味しい物が出るなら行ってもいいかな?】
【俺は肉が出ないなら許さんぞ】
「ふふ、はい!シンク達と行かせてもらいます。シンクは甘い物が、シルバはお肉が好きなのでよろしくお願いします」
「了解した。ありがとう」
レミオロン国王は必ずいい物を用意しておくと約束して離れて行った。
私は本来ならピースを案内する予定だったが必要無くなったので帰ろうかと思っていると…
「陛下!先程連絡が来ましてあと半刻程で獣人の国の皆様がご到着予定です」
「え!?獣人の国は明日の予定のはずだが?」
大臣達が予定を確認する。
「早く来て会いたい人がいると国を出たようですが、思いの外馬車が速く…到着時間が早まると…」
「馬車?」
一緒に話を聞いていた私は獣人達の馬車と聞いて、なんか思い当たる事が…いや、まさか…
考えこんでいるとギルバート王が話しかけてきた。
「ミヅキ、すまないがもう少しここにいて一緒に獣人達を迎えてくれるか?」
私は迷うことなく頷いた。
「じゃあ、少し時間もあるし…1回どうだ?」
ギルバート王はにニヤリと笑うと前に献上した神木のリバーシを取り出した。
「あっ!それ使ってくれてるんですか?」
プレゼントした物を使ってくれてるのは嬉しい!
私は駆け寄ると神木のリバーシを撫でる。
すると周りの大臣達がざわついた。
「へ、陛下…そのような大切なものを扱うのは…」
心配そうにリバーシを見つめていた。
「ミヅキに貰った物をミヅキと使って何が悪い。あーうるさい奴らだ、ミヅキ向こうの部屋で打とう」
ギルバート王は不機嫌そうに大臣達を睨むと奥の部屋へと私を促した。
「大丈夫ですよ、もし傷ついても直せますから」
私は安心させるように大臣さん達にウインクする。
するとホッとした顔で頭を下げてきた。
部屋へ入るとギルバート王と二人きりになる。
と言ってもシルバ達はもちろんいるが…
「全くあいつらは心配しすぎなんだ、神木が少しくらいの衝撃で傷つくものか…」
やれやれとため息をつく。
「普段から使ってくれてるんですか?」
「いや、これを出すとみんな嫌がって打ってくれないんだ。相手をしてくれるのはニコルとアルフノーヴァくらいだがあいつらも忙しいからな」
つまらなそうな顔をしてリバーシを打つ準備をする。
なかなか相手がいなくて寂しかったのかもしれない、仕方ない少し相手をしてあげよう。
「わかりました、獣人の国のみんなが来るまでとことん打ってあげます!そのかわり手加減はしませんよ」
「当たり前だ!勝負事に手加減なんて言語道断だ!」
それならば…
私は腕まくりして大会前の肩慣らしとばかりに相手をする事にした。
エヴァさんがポツンと一人でいた私の元に近づいて来るとニッコリと笑いかけた。
「まぁ…楽しそうならいいんですけど、私だってピースと色々話したいことあったのになぁ。まさかレオンハルト様達に取られるなんて」
後になってムカムカとしてくる。
すると私の元にピースの両親が近づいてくる。
「ミヅキさん、その節はすまなかったね、その後体の具合は大丈夫かな?」
レミオロン国王が心配そうに眉を下げて話しかけてきた。
「はい!この通り元気です。ピースも大丈夫そうでしたね…そういう話は出来ませんでしたけど」
そう言いながら唇を尖らせた。
するとレミオロン国王が私が機嫌が悪い事に戸惑ってしまった。
いけない、いけない。
人に当たるなんて…私は深呼吸してニコッと笑顔を作った。
「すみません、本当に大丈夫です。皆さんもその後は大丈夫でしたか?」
病が落ち着いたとは報告で聞いていたがやはり城下に知り合いもいるし心配だった。
「ああ、君の…くれた物のおかげで無事、病は収束したよ」
レミオロン国王が声を落として答えるとニッコリと笑う。
「よかった…」
私はその言葉を聞いて胸を撫で下ろした。
「ピースとリバーシ大会が終わるまでウエスト国にお邪魔するつもりだから今度ゆっくりとピースがいる時にでも食事でもどうかな?」
「ありがとうございます!楽しみにしてます!」
私は楽しみだとすっかり機嫌も良くなる。
「もちろん、エヴァさんも来てください。その…よかったら鳳凰様達も…」
レミオロン国王は私の肩に止まるシンクに頭を下げた。
【まぁ甘くて美味しい物が出るなら行ってもいいかな?】
【俺は肉が出ないなら許さんぞ】
「ふふ、はい!シンク達と行かせてもらいます。シンクは甘い物が、シルバはお肉が好きなのでよろしくお願いします」
「了解した。ありがとう」
レミオロン国王は必ずいい物を用意しておくと約束して離れて行った。
私は本来ならピースを案内する予定だったが必要無くなったので帰ろうかと思っていると…
「陛下!先程連絡が来ましてあと半刻程で獣人の国の皆様がご到着予定です」
「え!?獣人の国は明日の予定のはずだが?」
大臣達が予定を確認する。
「早く来て会いたい人がいると国を出たようですが、思いの外馬車が速く…到着時間が早まると…」
「馬車?」
一緒に話を聞いていた私は獣人達の馬車と聞いて、なんか思い当たる事が…いや、まさか…
考えこんでいるとギルバート王が話しかけてきた。
「ミヅキ、すまないがもう少しここにいて一緒に獣人達を迎えてくれるか?」
私は迷うことなく頷いた。
「じゃあ、少し時間もあるし…1回どうだ?」
ギルバート王はにニヤリと笑うと前に献上した神木のリバーシを取り出した。
「あっ!それ使ってくれてるんですか?」
プレゼントした物を使ってくれてるのは嬉しい!
私は駆け寄ると神木のリバーシを撫でる。
すると周りの大臣達がざわついた。
「へ、陛下…そのような大切なものを扱うのは…」
心配そうにリバーシを見つめていた。
「ミヅキに貰った物をミヅキと使って何が悪い。あーうるさい奴らだ、ミヅキ向こうの部屋で打とう」
ギルバート王は不機嫌そうに大臣達を睨むと奥の部屋へと私を促した。
「大丈夫ですよ、もし傷ついても直せますから」
私は安心させるように大臣さん達にウインクする。
するとホッとした顔で頭を下げてきた。
部屋へ入るとギルバート王と二人きりになる。
と言ってもシルバ達はもちろんいるが…
「全くあいつらは心配しすぎなんだ、神木が少しくらいの衝撃で傷つくものか…」
やれやれとため息をつく。
「普段から使ってくれてるんですか?」
「いや、これを出すとみんな嫌がって打ってくれないんだ。相手をしてくれるのはニコルとアルフノーヴァくらいだがあいつらも忙しいからな」
つまらなそうな顔をしてリバーシを打つ準備をする。
なかなか相手がいなくて寂しかったのかもしれない、仕方ない少し相手をしてあげよう。
「わかりました、獣人の国のみんなが来るまでとことん打ってあげます!そのかわり手加減はしませんよ」
「当たり前だ!勝負事に手加減なんて言語道断だ!」
それならば…
私は腕まくりして大会前の肩慣らしとばかりに相手をする事にした。
253
お気に入りに追加
23,232
あなたにおすすめの小説
転生したらチートすぎて逆に怖い
至宝里清
ファンタジー
前世は苦労性のお姉ちゃん
愛されることを望んでいた…
神様のミスで刺されて転生!
運命の番と出会って…?
貰った能力は努力次第でスーパーチート!
番と幸せになるために無双します!
溺愛する家族もだいすき!
恋愛です!
無事1章完結しました!
子ども扱いしないでください! 幼女化しちゃった完璧淑女は、騎士団長に甘やかされる
佐崎咲
恋愛
旧題:完璧すぎる君は一人でも生きていけると婚約破棄されたけど、騎士団長が即日プロポーズに来た上に甘やかしてきます
「君は完璧だ。一人でも生きていける。でも、彼女には私が必要なんだ」
なんだか聞いたことのある台詞だけれど、まさか現実で、しかも貴族社会に生きる人間からそれを聞くことになるとは思ってもいなかった。
彼の言う通り、私ロゼ=リンゼンハイムは『完璧な淑女』などと称されているけれど、それは努力のたまものであって、本質ではない。
私は幼い時に我儘な姉に追い出され、開き直って自然溢れる領地でそれはもうのびのびと、野を駆け山を駆け回っていたのだから。
それが、今度は跡継ぎ教育に嫌気がさした姉が自称病弱設定を作り出し、代わりに私がこの家を継ぐことになったから、王都に移って血反吐を吐くような努力を重ねたのだ。
そして今度は腐れ縁ともいうべき幼馴染みの友人に婚約者を横取りされたわけだけれど、それはまあ別にどうぞ差し上げますよというところなのだが。
ただ。
婚約破棄を告げられたばかりの私をその日訪ねた人が、もう一人いた。
切れ長の紺色の瞳に、長い金髪を一つに束ね、男女問わず目をひく美しい彼は、『微笑みの貴公子』と呼ばれる第二騎士団長のユアン=クラディス様。
彼はいつもとは違う、改まった口調で言った。
「どうか、私と結婚してください」
「お返事は急ぎません。先程リンゼンハイム伯爵には手紙を出させていただきました。許可が得られましたらまた改めさせていただきますが、まずはロゼ嬢に私の気持ちを知っておいていただきたかったのです」
私の戸惑いたるや、婚約破棄を告げられた時の比ではなかった。
彼のことはよく知っている。
彼もまた、私のことをよく知っている。
でも彼は『それ』が私だとは知らない。
まったくの別人に見えているはずなのだから。
なのに、何故私にプロポーズを?
しかもやたらと甘やかそうとしてくるんですけど。
どういうこと?
============
「番外編 相変わらずな日常」
いつも攻め込まれてばかりのロゼが居眠り中のユアンを見つけ、この機会に……という話です。
※転載・複写はお断りいたします。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】
ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る――
※他サイトでも投稿中
滅びる異世界に転生したけど、幼女は楽しく旅をする!
白夢
ファンタジー
何もしないでいいから、世界の終わりを見届けてほしい。
そう言われて、異世界に転生することになった。
でも、どうせ転生したなら、この異世界が滅びる前に観光しよう。
どうせ滅びる世界なら、思いっきり楽しもう。
だからわたしは旅に出た。
これは一人の幼女と小さな幻獣の、
世界なんて救わないつもりの放浪記。
〜〜〜
ご訪問ありがとうございます。
可愛い女の子が頼れる相棒と美しい世界で旅をする、幸せなファンタジーを目指しました。
ファンタジー小説大賞エントリー作品です。気に入っていただけましたら、ぜひご投票をお願いします。
お気に入り、ご感想、応援などいただければ、とても喜びます。よろしくお願いします!
23/01/08 表紙画像を変更しました
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
【完結】魔王様、溺愛しすぎです!
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
「パパと結婚する!」
8万年近い長きにわたり、最強の名を冠する魔王。勇者を退け続ける彼の居城である『魔王城』の城門に、人族と思われる赤子が捨てられた。その子を拾った魔王は自ら育てると言い出し!? しかも溺愛しすぎて、周囲が大混乱!
拾われた子は幼女となり、やがて育て親を喜ばせる最強の一言を放った。魔王は素直にその言葉を受け止め、嫁にすると宣言する。
シリアスなようでコメディな軽いドタバタ喜劇(?)です。
【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう
【表紙イラスト】しょうが様(https://www.pixiv.net/users/291264)
挿絵★あり
【完結】2021/12/02
※2022/08/16 第3回HJ小説大賞前期「小説家になろう」部門 一次審査通過
※2021/12/16 第1回 一二三書房WEB小説大賞、一次審査通過
※2021/12/03 「小説家になろう」ハイファンタジー日間94位
※2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過作品
※2020年8月「エブリスタ」ファンタジーカテゴリー1位(8/20〜24)
※2019年11月「ツギクル」第4回ツギクル大賞、最終選考作品
※2019年10月「ノベルアップ+」第1回小説大賞、一次選考通過作品
※2019年9月「マグネット」ヤンデレ特集掲載作品
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。