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12章
721.ピース王子
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「これは、挨拶が遅れてすみません。サウス国の王子のピースと申します」
ピースは笑顔でレオンハルトとカイルに挨拶をした。
「私はウエスト国の王子、レオンハルトだ」
「僕はレオンハルト王子の従者をしているカイルです。ピース様よろしくお願いいたします…」
カイルがじっとピースの事を見つめていた。
「こちらこそよろしくお願いいたします!」
ピースは牽制するレオンハルト王子達の視線には気づかずに嬉しそうに頷いた。
「えっと…ピース様はミヅキとはどのような関係なんですか?とっても親しそうに見えますが…」
カイルが気を取り直して聞くと、レオンハルト王子もコクコクと頷き聞きたそうにする。
「ミヅキとは友達です。いや、それ以上の関係かな?」
ピースは振り返って私の方を見ると微笑んだ。
「恩人だもん…」
そっと私にだけ聞こえるように囁いた。
「そんな事ないのに」
私は苦笑していると、グイッとレオンハルト王子とカイルが間に割って入る。
「サウス国での事件は聞いてる。あまりミヅキに近づかないでもらいたいな…彼女の価値は知ってるだろ?」
レオンハルト王子は私には聞こえない声で何かピースに囁いた。
「それは…本当に申し訳無いことをしました。本来なら合わせる顔も無いのにミヅキは僕らを…国を許してくれた。そんなミヅキの為ならサウス国はなんでもしますよ」
レオンハルト王子やカイルの圧にも負けずにピースはずっと笑顔を絶やさない。
「ふん…なんとでも言える。ミヅキ!サウス国の奴らとは2人っきりになるなよ」
「そうだね、何かあったらすぐに僕を呼んで欲しいな」
カイルもレオンハルトに同意するように頷いた。
「ちょっと、レオンハルト王子もカイルもなんか意地悪じゃない?ピースは私の友達だよ!酷いことするのは許さないよ!」
腕を組んで頬を膨らまして二人を睨みつける。
「わ、私達はミヅキを心配して…」
カイルが狼狽えるので苦笑する。
「うん、心配してくれるのは嬉しいけどピースは私になんにもしてないよ。むしろ助けようとしてくれたしね」
ピースをみて笑いかけると嬉しそうに頬を赤くした。
「クソっ…ミヅキにあんな笑顔で見つめられて…羨ましい」
レオンハルトは恨めしそうにピースを睨んだ。
「ま、まさかピース様はミヅキの事が?」
カイルが聞きたくはないが聞かずにはいられずに問いかける。
「ミヅキの事?」
ピースはなんの事だと首を傾げる。
「ああ焦れったい!ちょっと来い!」
レオンハルトはピースの首に腕を回すと引き寄せた。
「ピースはミヅキの事がやっぱり好きなのか!?」
ミヅキに背を向けて三人でコソコソと話し出す。
「え!?ミヅキの事を?い、いえ…僕はミヅキの事は本当に友達だと…」
ピースは顔を真っ赤にして否定した。
「怪しい…なんでそんなに赤くなるんだ?」
レオンハルトは疑り深い目を向ける。
「いやいや、ピースは好きな人がいるもんね」
「なに!?そうなのか?それは誰だ!」
「ミヅキじゃなくて好きな人がいるのですか?ミヅキのそばにいたのに?」
カイルが驚いてピースを見ると、さらに顔を赤くして肯定するように目をギュッと閉じて頷く。
「誰だ!」
「そこにいる人だよー」
「どこだ!やっぱりミヅキか」
「だから違うってー」
「えっ…て言うかミヅキ聞いてたのか!」
レオンハルトとカイルはすぐ後ろにいて声をかけていたミヅキに今更ながら気がついた。
「い、いつから聞いてたの?」
「えー?ピースは私の事が好きなのかってところ」
「最初からじゃないか…」
カイルとレオンハルトはガックリと肩を落とした。
「まぁいい、それでピースは誰が好きなんだ?」
レオンハルトが改めて聞くと、ピースはチラッと国王達と話しているエヴァさんを見つめた。
「えっ…まさか…彼女か?」
レオンハルト達は信じられないとピースを見る。
するとピースの顔は赤みが消えて寂しそうに笑った。
「でももう振られました。彼女はずっと思っている人がいるそうです」
「そうなのか、エヴァさんにそんな人が?」
カイルは顎に手を当てて考える仕草をする。
しかし思い当たる人はいなかった。
「そうか、ピース…俺達は親友になれそうだな!」
レオンハルトは気持ちはわかるとピースの肩を両手で掴むと顔を見つめた。
「僕と親友に?」
「ああ、俺も好きな人に振られる気持ちはわかる。そしてそれをまだ諦めてないお前の気持ちも」
「ま、まさかレオンハルト様も?」
「ピース!俺達は今日から親友だ!俺の事はレオンと呼んでくれ」
「レ、レオン?」
「ピース様、私の事ももちろんカイルと呼んでください」
カイルはそっとピースとレオンハルトの背中に手を回す。
「嬉しい…僕同じ歳の友がいなかったから」
ピースは二人を見つめると嬉しそうにしている。
「さぁピース!俺の部屋に来い、今日は三人で語りつくそうぜ!」
「はい!」
レオンハルト様とカイルとピースは楽しそうに肩を組むと国王達に挨拶してさっさと自分達の部屋へと向かってしまった…
「えっ…ピース?」
私は肩透かしをくらい、まるで部活帰りの男の子達のような三人の背中を見送った。
ピースは笑顔でレオンハルトとカイルに挨拶をした。
「私はウエスト国の王子、レオンハルトだ」
「僕はレオンハルト王子の従者をしているカイルです。ピース様よろしくお願いいたします…」
カイルがじっとピースの事を見つめていた。
「こちらこそよろしくお願いいたします!」
ピースは牽制するレオンハルト王子達の視線には気づかずに嬉しそうに頷いた。
「えっと…ピース様はミヅキとはどのような関係なんですか?とっても親しそうに見えますが…」
カイルが気を取り直して聞くと、レオンハルト王子もコクコクと頷き聞きたそうにする。
「ミヅキとは友達です。いや、それ以上の関係かな?」
ピースは振り返って私の方を見ると微笑んだ。
「恩人だもん…」
そっと私にだけ聞こえるように囁いた。
「そんな事ないのに」
私は苦笑していると、グイッとレオンハルト王子とカイルが間に割って入る。
「サウス国での事件は聞いてる。あまりミヅキに近づかないでもらいたいな…彼女の価値は知ってるだろ?」
レオンハルト王子は私には聞こえない声で何かピースに囁いた。
「それは…本当に申し訳無いことをしました。本来なら合わせる顔も無いのにミヅキは僕らを…国を許してくれた。そんなミヅキの為ならサウス国はなんでもしますよ」
レオンハルト王子やカイルの圧にも負けずにピースはずっと笑顔を絶やさない。
「ふん…なんとでも言える。ミヅキ!サウス国の奴らとは2人っきりになるなよ」
「そうだね、何かあったらすぐに僕を呼んで欲しいな」
カイルもレオンハルトに同意するように頷いた。
「ちょっと、レオンハルト王子もカイルもなんか意地悪じゃない?ピースは私の友達だよ!酷いことするのは許さないよ!」
腕を組んで頬を膨らまして二人を睨みつける。
「わ、私達はミヅキを心配して…」
カイルが狼狽えるので苦笑する。
「うん、心配してくれるのは嬉しいけどピースは私になんにもしてないよ。むしろ助けようとしてくれたしね」
ピースをみて笑いかけると嬉しそうに頬を赤くした。
「クソっ…ミヅキにあんな笑顔で見つめられて…羨ましい」
レオンハルトは恨めしそうにピースを睨んだ。
「ま、まさかピース様はミヅキの事が?」
カイルが聞きたくはないが聞かずにはいられずに問いかける。
「ミヅキの事?」
ピースはなんの事だと首を傾げる。
「ああ焦れったい!ちょっと来い!」
レオンハルトはピースの首に腕を回すと引き寄せた。
「ピースはミヅキの事がやっぱり好きなのか!?」
ミヅキに背を向けて三人でコソコソと話し出す。
「え!?ミヅキの事を?い、いえ…僕はミヅキの事は本当に友達だと…」
ピースは顔を真っ赤にして否定した。
「怪しい…なんでそんなに赤くなるんだ?」
レオンハルトは疑り深い目を向ける。
「いやいや、ピースは好きな人がいるもんね」
「なに!?そうなのか?それは誰だ!」
「ミヅキじゃなくて好きな人がいるのですか?ミヅキのそばにいたのに?」
カイルが驚いてピースを見ると、さらに顔を赤くして肯定するように目をギュッと閉じて頷く。
「誰だ!」
「そこにいる人だよー」
「どこだ!やっぱりミヅキか」
「だから違うってー」
「えっ…て言うかミヅキ聞いてたのか!」
レオンハルトとカイルはすぐ後ろにいて声をかけていたミヅキに今更ながら気がついた。
「い、いつから聞いてたの?」
「えー?ピースは私の事が好きなのかってところ」
「最初からじゃないか…」
カイルとレオンハルトはガックリと肩を落とした。
「まぁいい、それでピースは誰が好きなんだ?」
レオンハルトが改めて聞くと、ピースはチラッと国王達と話しているエヴァさんを見つめた。
「えっ…まさか…彼女か?」
レオンハルト達は信じられないとピースを見る。
するとピースの顔は赤みが消えて寂しそうに笑った。
「でももう振られました。彼女はずっと思っている人がいるそうです」
「そうなのか、エヴァさんにそんな人が?」
カイルは顎に手を当てて考える仕草をする。
しかし思い当たる人はいなかった。
「そうか、ピース…俺達は親友になれそうだな!」
レオンハルトは気持ちはわかるとピースの肩を両手で掴むと顔を見つめた。
「僕と親友に?」
「ああ、俺も好きな人に振られる気持ちはわかる。そしてそれをまだ諦めてないお前の気持ちも」
「ま、まさかレオンハルト様も?」
「ピース!俺達は今日から親友だ!俺の事はレオンと呼んでくれ」
「レ、レオン?」
「ピース様、私の事ももちろんカイルと呼んでください」
カイルはそっとピースとレオンハルトの背中に手を回す。
「嬉しい…僕同じ歳の友がいなかったから」
ピースは二人を見つめると嬉しそうにしている。
「さぁピース!俺の部屋に来い、今日は三人で語りつくそうぜ!」
「はい!」
レオンハルト様とカイルとピースは楽しそうに肩を組むと国王達に挨拶してさっさと自分達の部屋へと向かってしまった…
「えっ…ピース?」
私は肩透かしをくらい、まるで部活帰りの男の子達のような三人の背中を見送った。
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