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11章
677.つかの間の幸せ
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「これでよし!」
じいちゃんは私が描いた絵を伝書鳥の筒に入れて満足そうに頷いた。
「じゃあ鳥さんそれをギルドに届けてね!私達は少し遅れてから向かうから」
「ピキュ~!」
伝書鳥は任せろと言うように羽を広げると勢いよく空へと羽ばたいていった。
「おお! 早い早い!」
これから帰る私達の町の方に向かってすごい速さで飛んでいきあっという間に小さくなってしまった。
【プルシアあとはゆっくりでいいよ。あと少しよろしくね】
私達はひと仕事終えて、のんびりと帰路に着いた。
◆
「セバスさん、手紙が届きましたよ」
ギルドに伝書鳥が降り立ち、ギルドの職員が筒から手紙を受け取るとセバスさんのところに持ってきた。
「ご苦労様です、今度は一体なんでしょう…」
セバスは職員から手紙を受け取ると憂鬱な気持ちで手紙を開いた…ただでさえギルマスが留守で仕事が二倍になっているところに他のギルドからの急ぎの用事など見たくもなかった。
ため息混じりに手紙を開くと…
「これは…」
そこには可愛い娘のミヅキの字で自分の名前が書かれており、真ん中には自分とギルドの皆の絵が描かれていた。
「セバスさんへ…寄り道してごめんなさい。今日中に帰ります!みんなもお仕事頑張ってね!ミヅキ」
簡単だが労いの言葉が書いてある…それだけで仕事が頑張れるというものだ。
嬉しくてつい手紙を見つめていると
「わぁっ!ミヅキちゃん今日帰ってくるんですね!」
横から覗き込んでいたギルド職員の声にギルドのみんなが反応して集まってきてしまった。
「え!セバスさん本当ですか!?」
「助かった~」
「本当によかった~コレで少しギルドの雰囲気が柔らかくなるぞー」
職員達の喜びの声に違和感を覚える。
「それはどういう意味でしょう?」
セバスさんがにっこり笑ってその発言をした職員を見ると…
「あっ! いえ…ほら! ミヅキちゃんが帰ってくるって事はギルマスもですよね! コレで仕事が少し楽になるなぁ~と…」
「ああ…そんな人も居ましたね」
セバスさんが今気がついたと驚いた顔をした。
「皆さんもお疲れ様でしたね、しばらくはギルマスに仕事を押し付けてゆっくりしてください」
「「「わぁっ! やった!」」」
「ミヅキちゃんの事だからなんかまた美味しいご飯作ってたんだろうな~」
「それとも珍しい素材が来るかな! 倉庫空けとかないと!」
「デボットさんとレアルさんも喜びますね!あっそうだ! みんなに知らせにいった方がいいですかね!?」
職員がセバスさんを見ると…
「それはここに帰ってきてからでいいかと…じゃないと人が集まってきてしまいますからね」
「ああ、それもそうですね! まずは僕達で歓迎してからですよね!」
「まぁ…そういう事です」
セバスは笑うと手紙をそっと自分の机にしまった。
それから程なく…空に大きな影が現れた。
「着いたようですね」
セバスは椅子から立ち上がると
「セバスさん! 帰ってきましたよ!」
職員達がバタバタと走りながら報告にきた。
「わかっています」
みんなで仕事を放り出して外に出ると…
「セバスさーん! みんなー! ただいま!」
ミヅキが籠の中から顔を出して手を振っている。
「ああ、あんなに身を乗り出して…あれじゃあ落ちてしまいますよ」
苦笑しながらも嬉しい気持ちを抑えられずに近づくと
「おーい! いい加減降ろせ!」
プルシアの脚に何かゴミの様なものがくっ付いていた。
「え?なんか見たような光景だな…」
近くにいた冒険者達が目を擦る。
「セバスさーん、町の外で一回降りて来ますねー」
ミヅキがさらに身を乗り出して声をあげると…
ズルッ…
お約束の様に手が滑ってミヅキが真っ逆さまに落ちた。
「「「あっ!」」」
【ミヅキ!】
プルシアが驚いてアランを掴んでいた手を離すと
「大丈夫ですよ!」
セバスをはじめ冒険者達がミヅキをキャッチしようと駆け出した!
「ミヅキちゃん!」
「駄目だ俺じゃ間に合わない…」
冒険者達が必死に走る横をセバスが凄まじいスピードで追い越すと…
ドサッ!
ミヅキを見事にキャッチした。
ドゴッ!!!
その横では何かが落ちる乾いた音が響いていた。
ミヅキは落ちる瞬間やっちまった…と目を瞑る…そして地面にぶつかる事なく抱きとめられるとそっと目を開けた。
「おかえりなさい、ミヅキさんは普通には帰って来れないようですね」
すると優しい笑顔のセバスさんが目の前にいた。
「えへへ…ただいまです。セバスさん、元気でしたか!?」
ミヅキは久しぶりに見る顔にやっぱり嬉しさが勝ってその首に手を回して抱きついた!
「怪我も無いようですね。よかった」
セバスさんが無事を確かめて抱き返すと…
「ミヅキちゃん! 大丈夫かい!」
「おかえり!相変わらず派手な帰還だな」
冒険者達がワラワラと近づいてきた。
「みんな!ただいま!お騒がせしました…」
恥ずかしそうに頭をかいていると
【ミヅキ!大丈夫か?】
【もう!だから身を乗り出したら危ないって言ったのに!】
【ミヅキだめだぞ!】
シルバ達が一斉に上から飛び降りてきた。
【ごめんごめん! セバスさんの顔みたら興奮しちゃって…】
【ミヅキが降りたなら…この籠は落としていいか?】
プルシアが上で旋回しながら籠を落とそうかと迷っている。
【待って!じいちゃん達が乗ってるから外で下ろしてあげて!】
【こいつらなら降りれるだろ?】
【あっ…そうか。降りれないの私だけだったんだね…】
ミヅキは笑うと
「ベイカーさん!じいちゃん、コジローさん!そこから降りられますか!?」
上に向かって声をかけると
「ここで降りるのか?わかった、問題ないぞ」
「ああ、わしらも大丈夫だ」
ベイカーさんがわかったと手を振るとじいちゃん達が頷き問題なく飛び降りてきた。
「全く!だから抱っこしてやるって言ったんだ!」
ベイカーさんは降りるなりセバスさんに抱っこされてる私のところに来て頭をコツンと叩いた。
「いた!だって…セバスさんに早く会いたくて…」
叩かられた場所を押さえながら眉をひそめていると
「それなら仕方ありませんね、でも落ちるなら私の目の届くところでお願いしますよ。それ以外は認めません」
「はーい」
ミヅキは調子よく元気よく手を挙げた!
じいちゃんは私が描いた絵を伝書鳥の筒に入れて満足そうに頷いた。
「じゃあ鳥さんそれをギルドに届けてね!私達は少し遅れてから向かうから」
「ピキュ~!」
伝書鳥は任せろと言うように羽を広げると勢いよく空へと羽ばたいていった。
「おお! 早い早い!」
これから帰る私達の町の方に向かってすごい速さで飛んでいきあっという間に小さくなってしまった。
【プルシアあとはゆっくりでいいよ。あと少しよろしくね】
私達はひと仕事終えて、のんびりと帰路に着いた。
◆
「セバスさん、手紙が届きましたよ」
ギルドに伝書鳥が降り立ち、ギルドの職員が筒から手紙を受け取るとセバスさんのところに持ってきた。
「ご苦労様です、今度は一体なんでしょう…」
セバスは職員から手紙を受け取ると憂鬱な気持ちで手紙を開いた…ただでさえギルマスが留守で仕事が二倍になっているところに他のギルドからの急ぎの用事など見たくもなかった。
ため息混じりに手紙を開くと…
「これは…」
そこには可愛い娘のミヅキの字で自分の名前が書かれており、真ん中には自分とギルドの皆の絵が描かれていた。
「セバスさんへ…寄り道してごめんなさい。今日中に帰ります!みんなもお仕事頑張ってね!ミヅキ」
簡単だが労いの言葉が書いてある…それだけで仕事が頑張れるというものだ。
嬉しくてつい手紙を見つめていると
「わぁっ!ミヅキちゃん今日帰ってくるんですね!」
横から覗き込んでいたギルド職員の声にギルドのみんなが反応して集まってきてしまった。
「え!セバスさん本当ですか!?」
「助かった~」
「本当によかった~コレで少しギルドの雰囲気が柔らかくなるぞー」
職員達の喜びの声に違和感を覚える。
「それはどういう意味でしょう?」
セバスさんがにっこり笑ってその発言をした職員を見ると…
「あっ! いえ…ほら! ミヅキちゃんが帰ってくるって事はギルマスもですよね! コレで仕事が少し楽になるなぁ~と…」
「ああ…そんな人も居ましたね」
セバスさんが今気がついたと驚いた顔をした。
「皆さんもお疲れ様でしたね、しばらくはギルマスに仕事を押し付けてゆっくりしてください」
「「「わぁっ! やった!」」」
「ミヅキちゃんの事だからなんかまた美味しいご飯作ってたんだろうな~」
「それとも珍しい素材が来るかな! 倉庫空けとかないと!」
「デボットさんとレアルさんも喜びますね!あっそうだ! みんなに知らせにいった方がいいですかね!?」
職員がセバスさんを見ると…
「それはここに帰ってきてからでいいかと…じゃないと人が集まってきてしまいますからね」
「ああ、それもそうですね! まずは僕達で歓迎してからですよね!」
「まぁ…そういう事です」
セバスは笑うと手紙をそっと自分の机にしまった。
それから程なく…空に大きな影が現れた。
「着いたようですね」
セバスは椅子から立ち上がると
「セバスさん! 帰ってきましたよ!」
職員達がバタバタと走りながら報告にきた。
「わかっています」
みんなで仕事を放り出して外に出ると…
「セバスさーん! みんなー! ただいま!」
ミヅキが籠の中から顔を出して手を振っている。
「ああ、あんなに身を乗り出して…あれじゃあ落ちてしまいますよ」
苦笑しながらも嬉しい気持ちを抑えられずに近づくと
「おーい! いい加減降ろせ!」
プルシアの脚に何かゴミの様なものがくっ付いていた。
「え?なんか見たような光景だな…」
近くにいた冒険者達が目を擦る。
「セバスさーん、町の外で一回降りて来ますねー」
ミヅキがさらに身を乗り出して声をあげると…
ズルッ…
お約束の様に手が滑ってミヅキが真っ逆さまに落ちた。
「「「あっ!」」」
【ミヅキ!】
プルシアが驚いてアランを掴んでいた手を離すと
「大丈夫ですよ!」
セバスをはじめ冒険者達がミヅキをキャッチしようと駆け出した!
「ミヅキちゃん!」
「駄目だ俺じゃ間に合わない…」
冒険者達が必死に走る横をセバスが凄まじいスピードで追い越すと…
ドサッ!
ミヅキを見事にキャッチした。
ドゴッ!!!
その横では何かが落ちる乾いた音が響いていた。
ミヅキは落ちる瞬間やっちまった…と目を瞑る…そして地面にぶつかる事なく抱きとめられるとそっと目を開けた。
「おかえりなさい、ミヅキさんは普通には帰って来れないようですね」
すると優しい笑顔のセバスさんが目の前にいた。
「えへへ…ただいまです。セバスさん、元気でしたか!?」
ミヅキは久しぶりに見る顔にやっぱり嬉しさが勝ってその首に手を回して抱きついた!
「怪我も無いようですね。よかった」
セバスさんが無事を確かめて抱き返すと…
「ミヅキちゃん! 大丈夫かい!」
「おかえり!相変わらず派手な帰還だな」
冒険者達がワラワラと近づいてきた。
「みんな!ただいま!お騒がせしました…」
恥ずかしそうに頭をかいていると
【ミヅキ!大丈夫か?】
【もう!だから身を乗り出したら危ないって言ったのに!】
【ミヅキだめだぞ!】
シルバ達が一斉に上から飛び降りてきた。
【ごめんごめん! セバスさんの顔みたら興奮しちゃって…】
【ミヅキが降りたなら…この籠は落としていいか?】
プルシアが上で旋回しながら籠を落とそうかと迷っている。
【待って!じいちゃん達が乗ってるから外で下ろしてあげて!】
【こいつらなら降りれるだろ?】
【あっ…そうか。降りれないの私だけだったんだね…】
ミヅキは笑うと
「ベイカーさん!じいちゃん、コジローさん!そこから降りられますか!?」
上に向かって声をかけると
「ここで降りるのか?わかった、問題ないぞ」
「ああ、わしらも大丈夫だ」
ベイカーさんがわかったと手を振るとじいちゃん達が頷き問題なく飛び降りてきた。
「全く!だから抱っこしてやるって言ったんだ!」
ベイカーさんは降りるなりセバスさんに抱っこされてる私のところに来て頭をコツンと叩いた。
「いた!だって…セバスさんに早く会いたくて…」
叩かられた場所を押さえながら眉をひそめていると
「それなら仕方ありませんね、でも落ちるなら私の目の届くところでお願いしますよ。それ以外は認めません」
「はーい」
ミヅキは調子よく元気よく手を挙げた!
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