ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

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11章

664不穏

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「「ミヅキ!」」

人が気持ちよくアルフレッド様を撫でていると左右から諌めるような声がした…

誰よ…

私は至福の時間を邪魔されて口を尖らせながら、アルフレッド様を撫でる手を止めて顔をあげた、するとそこにはレオンハルト王子とジュウトが怖い顔で立っていた。

「あっ!アルフノーヴァさんにシリウスさんにユリウスさん!それに王子も…待ってました」

王子の後ろにいたみんなに目が行き笑顔をみせる。

「遅くなってすまない、ウエスト国に届ける書簡を書いていてね」

アルフノーヴァさんが苦笑すると

「きっとギルが心配しているだろうからね…次いでにセバスにも手紙を出しておいたよ」

「あっ!アルフノーヴァさんありがとうございます!」

セバスさんと聞いて確かに何も報告をしていなかった事を思い出した。

「わしからも報告しといたから大丈夫だろ」

そこへディムロスじいちゃんがロブさんと現れた。

「じいちゃん!もうギルドの用事は終わったの?」

じいちゃんに駆け寄ると

「ミヅキ!心配ありがとうな~ああやっと石頭のロブの説得が終わったわい。全く毛が生えたんだから中身も若返りゃいいのに…」

ブツブツ文句を言っている。

「お疲れ様~」

疲れた様子のじいちゃんの頭をなでなでしてあげた。

「お、おう…」

じいちゃんが驚いてこっちを見ると…

「あっ…ごめんなさい。さっきヴィーラ様たち撫でてたからつい…」

さすがに高齢の男性を撫でるのは失礼だったかも…

「ミヅキは優しいのぉ~!ミヅキだけだじいちゃんを心配してくれるのは!もう向こうの超怖い副ギルなんかすぐに帰ってこいとしか言って来ないし…」

ん?それってセバスさん?

「セバスさん…怒ってるんだ…」

「そうなんじゃ!ミヅキ…じいちゃんの味方になってくれるよな?」

「う、うん…」

じいちゃん呼んだの私だし…怖いけど…

セバスさんを思い出してブルっと体が震えた。

私を味方につけたじいちゃんは大喜びでいると後ろからフサフサ髪のロブさんが苦笑しながらついてきた。

「ロブさんよかったね!」

私が笑いかけると

「何がよかったね!だ!根回しして!」

「えー?なんのこと?」

私がとぼけると

「ハミルから言われたぞ!クソ…自分から言わないのが条件だったから辞める方向に持っていこうとしてたのに…」

悔しそうにしている。

「駄目ですよ!ギルマスにはまだまだ獣人達の架け橋として働いてもらいます!」

ハミルさんが逃がさんばかりに肩を掴む。

「お前が副ギルとか嫌な予感しかせん…またストレスで禿げたらどうしてくれるんだ…」

「大丈夫です。その時はまた薬を付ければいいじゃないですか?」

「軽く言うがな!ありゃなかなか手に入らんのだ!」

ロブさんが怒鳴ると…

ちょいちょい…私はニヤッと笑ってロブさんを手招きした。

「ん?」

ロブさんはハミルさんから離れてこっちに来ると…

「実はあの薬…結構簡単に出来ました。ロブさんがほしがると思って前の要領で作って見たんです…魔石を小さくしたらいい感じの効果になりました…」

そっと収納から作った育毛剤の瓶を取り出した。

「な、何!?」

「もう一人この薬あげたい人がいて…多分近々売り出せると思うので安心してお仕事をいっぱいしてください」

私が笑ってその薬をいくつかロブさんに渡す。

「ミヅキ…ありがとう!感謝する…で?どの店で売り出されるんだ?」

ロブさんは大事そうに薬の瓶を抱きしめると真剣な顔でこっそりと聞いてきた。

「王都のリングス商会になりますね!でも正式には決まってないから内緒ね」

「わかった…じゃあミヅキ…少ないがこれを…」

ロブさんが声を落として頷くと胸元からこっそりとお金の袋を取り出すと私に押し付けてきた。

私はこっそり袋の中を覗くと…

「ほほほ…お主もワルよのォ…」

袋をこっそり隠す。

「……って!ロブさんこんなに貰えないよ!はい!返します」

袋を突き返した!

つい悪代官ごっこをやってしまった!

「こんな事しなくても大丈夫です!向こうにはロブさんには優先的に売るように言っておきますから」

「ミヅキ!!」

ロブさんは感激のあまりディムロスじいちゃんごと私をギュッと抱きしめた。

「お前はなんて出来た子なんだ!もうこんなヨボヨボジジイは捨ててわしのところにこんか?ここなら獣人達もいっぱいいるしミヅキを幸せにしてやるぞ!」

「え?ここに?」

ロブさんの提案に周りを見るとアトラス様達が笑って頷く。

「そりゃいいな、ミヅキなら王宮に何時でも来てもらっていいぞ」

「ミヅキ!なんなら私の部屋を使ってもいいよ!一緒に出かけたりもしたいな!」

バイオレッド様が嬉しそうに尻尾を振っている。

「ま、まぁミヅキが居たいなら俺が住居を用意してやってもいいぞ」

ジュウトまでその話に乗ってきた。

「駄目だ!駄目だ!ミヅキはウエスト国に帰るんだ!あっちだって何時でも王宮に入っていいはずだろ!?」

レオンハルト王子が反論している。

「そうじゃ!レオンハルト様とは帰らんが、ミヅキはわしの孫なんだ!お前になんかやらん!死んでもやらん!」

じいちゃんがシッシッとロブさんをつき離した。

「それはミヅキが決めることだろ?なぁミヅキ、お前はどっちがいいんだ?」

どっち?

私は獣人達を見つめた…フワフワのケモ耳にフサフサの尻尾…優しい獣人達…でも…

ウエスト国に残してきたみんなの顔が浮かんできた…そして私の保護者達。

「ロブさん…ありがとうございます。でもやっぱり私の家はウエスト国にあるから…」

私はごめんなさいと頭を下げた。

「そうか、そりゃ残念だ…だかな!何時でも来てくれていいんだからな!」

「そうだな、なんならその家ごと越してきても構わんぞ」

「えっ…」

アトラス様の提案に一瞬ぐらついた自分がいた…

「それも楽しいかも…みんなでここに引っ越しか…ベイカーさんはどう思う?」

私が話しかけると…

「ありゃ?あいつらがいないのぉ」

ディムロスじいちゃんがキョロキョロと周りを探すが姿が見えない。

「そういや、お前のバカ息子もいないなぁ」

【ミヅキ、シルバもいないよ?】

【え?】

そういえば獣人を触ると嫉妬するシルバがいなかった…

「ああ、ベイカーさんならあっちで肉を焼いてたよ」

獣人の1人が教えてくれた。

「あっ!いや!そっちは…」

するとロバートさんが慌てた様子でオロオロしている。

なんか挙動不審…

「ロバートさん?何か隠してませんか?」

私はロバートさんの瞳をじっと見つめた。
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