上 下
475 / 687
11章

577.獣人の子供達

しおりを挟む
ミヅキの申し出に男は一瞬呆けると…

「あはは!お嬢ちゃんが買うってか?そんなお小遣いで買える値段じゃねぇんだよ!そうだな…大金貨10枚…いや!白金貨10枚だな!」

払えるわけねぇとミヅキを馬鹿にする様に笑うと…

「わかりました。じゃあミスリル貨1枚でいいですよね?」

ミヅキは収納からお財布を出すと光り輝くミスリル貨を取り出した。

「はい、これでおじさん達は私のものです」

ニコッと笑うと

「何言ってやがる…こんな子供がそんな大金持ってるわけねぇだろ!おい!いいのかお前らの金を勝手に取り出してるぞ!」

ベイカーやコジローに男は怒鳴りつけると

「この金は正真正銘あの子の金だ。まぁお前みたいな奴に使うなんて俺なら真っ平御免だがな」

「あの子の…?」

驚いてミヅキを見つめると

「はい、どうぞ。じゃあこれからあなた達は私の物です。言う事聞いてくれますよね?」

ミヅキが笑うと

「お、おい…なんなんだこの子供は…やめろ!近づくな!気持ち悪い!」

ミヅキを嫌悪する様に見つめると…

【あいつ…殺していいか…】

シルバが我慢できないと歯をギリギリと鳴らす。

【駄目だよ…まだミヅキが買ってないでしょ…買ったらあれはどうしても大丈夫…文句は無いよ。僕はあの気持ち悪い目をくり抜こうかな。プルシアはどうする?】

シンクがクックック…と笑ってプルシアに聞くと

【そんなの駄目だろ…やるならあのよく喋る舌を引っこ抜こう。喋れなくなってから目玉がいいんじゃないか?】

【ならぼくは耳をとる~!二個もあるもん一個とっても大丈夫だよね!】

コハクが右耳を狙うと

【ムーは左耳がいいそうです。私は死なない様に一瞬で取れた箇所を焼きますね、そうすれば血が出ませんから生きながらえるでしょう。死んでなけば問題ありませんよね?】

従魔達は男達の買った末路について話し合っている。

聞こえているミヅキだけが唖然とシルバ達を見つめていた…

「う、嘘だ!嘘!冗談に決まってるだろ!」

ミヅキの置いた金を受け取ろうとしない男達は…

「わ、わかった!こいつらは離す…もうここには来ないから…だから今回は見逃してくれ…俺が帰らないと…家族が…」

今度は泣き落としで逃れようとする。

ミヅキは冷たく男達を見つめると

「この子達だって同じように家族がいるんです。あなたの命はもう買いました…どうするかは後で決めます。それまでそこで大人しく縛られてて下さい」

ミヅキがそう言うとベイカーは男達を逃げ出せないようにグルグルに縛り付けるとポイッとそこら辺に転がす。

「ミヅキ、あんな奴らに金出すなんて勿体ないぞしまっとけ」

金を拾うとミヅキに渡す。

「いいよ、あの人達のポッケに入れておいて、じゃないと堂々と連れて行けないし」

「どこに連れていくんだ?」

「もちろん獣人の国だよ。犯した罪はきっちりと償わないとちゃんと自首させる。これまでの罪をちゃんと隠さず話すならこの契約は無しにしてあげるってね」

「あいつがそんな事守るとは思えんがな…」

「まぁそれは…多分シルバ達がちゃんと教えてあげると思うから大丈夫」

ミヅキは笑うと

「それよりも獣人の子達を出してあげないと…」

檻の鍵を探すと、扉を開く。

すると中では子供達が警戒して牙を出して唸っていた…

「ごめんなさい…こんな事した人間達なんて信じられないよね…でも私達はあなた達を助けたいの…だからその足枷と手錠を外させて…」

お願いと獣人達を見つめると…

「お姉ちゃん…これ取ってくれるの?」

小さい男の子が手を差し出して来た。

「うん、外していいかな?」

ミヅキが安心させるように笑うと

「騙されるな!人の言うことに耳を傾けるんじゃない!」

一人大きな獣人の男の子が手を指しだした小さい男の子をグイッと引き寄せる!

「でも…外してくれるって…あの子あいつらから僕達助けてくれたよ?」

そう聞くと…

「そうやって甘い言葉で油断させて、今度は違うやつに売りに行くんだよ!騙されるか!」

グルル…とミヅキに牙を向ける。

「そんな事しない…そんな事絶対させないよ…」

「嘘だ!人の国から来たあの王子も結局一緒だ!口だけで…だから俺達はこうやって捕まっちまったんだ!」

「王子…ってレオンハルトかな?彼の言葉だって嘘は無いよ」

「お前…あいつ知ってるのか?」

「もちろん、友達だよ」

ミヅキが笑って答えると…

「ああいう酷い人達もいるけど、獣人達と仲良くなりたいって人達もいるの忘れないで」

ミヅキは笑うとサッと男の子の鍵を外した。

「はい、鍵はあげるね。檻も開けておくから好きにしていいよ」

ミヅキ達は一度檻から離れて、様子を見ることにした。



獣人の子供達は警戒しながらも鍵を拾って自分達で鍵を外していく…

「ねぇジュウト…あの子の言ってること…全部嘘なの?」

捕まった子達の中で一番お兄さんのジュウトに下の子達が聞いてくる。

「鍵を外してくれたし…痛い事も何もしないよ?」

ジュウトは少し考えると

「それでも警戒してろ…何時でも逃げられるようにな!」

「う、うん…でもぼくお腹すいて…あんまり走れない…かも」

男の子がお腹を押さえると

「僕も…」

「私も…」

とみんなのお腹が鳴り出す。

もちろんジュウトも何も食べていなかった…みんなを担いで連れていくのも無理そうだ、どうしようと伺っていると…

クンクン!

「ねぇ?なんかいい匂いしない?」

みんなの鼻がピクピクと動き出す!

そう言われると…香ばしい肉の焼ける匂いが…

匂いのせいでさらに腹の虫が鳴き出した!

「ぼ、ぼくみてくる!」

堪らず男の子が外を伺いながら飛び出してしまった!

「待て!」

ジュウトが止めようとするが兎の獣人の男の子の足は早くあっという間に外に行ってしまった。

「くそ!お前達はここにいろよ!」

ジュウトが男の子を追って外に飛び出すと…そこでは人間達が肉を焼いていた…

なんで肉?

美味そうな匂いに兎の男の子はヒクヒクと鼻を動かし肉に近づく…

まさか…毒が!?

ジュウトは兎の男の子を抱き上げると肉から離した。

「何してる!」

ジュウトは人間達を睨みつけると

「お腹空いてるかな?って思って…食べない?」

肉串を差し出される…

ジュウトはバシッ!と肉を叩き落とすと

「どうせ毒でも仕込んでるんだろ!誰が食べるか!」

キッと女の子を睨みつけた!

すると後ろにいた魔獣達が唸り出す…それを女の子は笑って止めた…

そして落ちた肉を拾うと、パタパタと土を払って再度焼きだした。

「見てて」

そう言うとガブッとその肉にかぶりついた。

「なっ…」

驚いてその様子を見ていると

「ほらね…毒なんて…ないよ」

モグモグ口を動かしながら笑ってる。

「これは落ちちゃったから私が後でたべるよ」

そう言うともう一本肉を掴んでまた同じようにかじりつくと

「ほらね平気でしょ?心配ならこの食べかけあげるよ」

差し出された肉を兎の男の子は堪らずに掴むと肉にかぶりついた!

「お、おいしい~」

一口食べて顔を輝かせると一気に食べる。

「まだ沢山あるよ、心配なら一口食べてあげるから言ってね」

女の子は笑ってそう言った…

ジュウトはこの人間の考えている事がわからずにただただ怖かった…
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

目覚めたら地下室!?~転生少女の夢の先~

そらのあお
ファンタジー
夢半ばに死んでしまった少女が異世界に転生して、様々な困難を乗り越えて行く物語。 *小説を読もう!にも掲載中

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

転生テイマー、異世界生活を楽しむ

さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

ほっといて下さい(番外編)

三園 七詩
ファンタジー
「ほっといて下さい」のもうひとつのお話です。 本編とは関係ありません。時系列も適当で色々と矛盾がありますが、軽い気持ちで読んで頂けると嬉しいです。 ✱【注意】話によってはネタバレになりますので【ほっといて下さい】をお読みになってからの方がいいかと思います。

転生初日に妖精さんと双子のドラゴンと家族になりました

ひより のどか
ファンタジー
ただいま女神様に『行ってらっしゃ~い』と、突き落とされ空を落下中の幼女(2歳)です。お腹には可愛いピンクと水色の双子の赤ちゃんドラゴン抱えてます。どうしようと思っていたら妖精さんたちに助けてあげるから契約しようと誘われました。転生初日に一気に妖精さんと赤ちゃんドラゴンと家族になりました。これからまだまだ仲間を増やしてスローライフするぞー!もふもふとも仲良くなるぞー! 初めて小説書いてます。完全な見切り発進です。基本ほのぼのを目指してます。生暖かい目で見て貰えらると嬉しいです。 ※主人公、赤ちゃん言葉強めです。通訳役が少ない初めの数話ですが、少しルビを振りました。 ※なろう様と、ツギクル様でも投稿始めました。よろしくお願い致します。 ※カクヨム様と、ノベルアップ様とでも、投稿始めました。よろしくお願いしますm(_ _)m

継母の心得 〜 番外編 〜

トール
恋愛
継母の心得の番外編のみを投稿しています。 【本編第一部完結済、2023/10/1〜第二部スタート☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定】

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。