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11章

576.魔物の残党

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ミヅキ達はお腹いっぱいになって木陰でゆっくりと食後の休憩をしていると…

ピクッ…

寄りかかっていたシルバが何かに反応した。

【ん?シルバ?どうかした?】

ミヅキはシルバの顔を見ると

【いや…なんか遠くで悲鳴が聞こえたような、まぁ気の所為だな】

シルバは再び顔を横にして寝ようとすると

【ちょっと!シルバ!悲鳴って何?どっちから?】

【ん?魔物達が逃げた方だな…まぁ誰かが魔物に出会したのかもしれんな】

くあぁ~と欠伸をすると

【ほら、それよりももっと寄りかかって休め】

シルバが尻尾でミヅキを自分の方に倒した。

パサッとシルバのお腹に倒れるとふわふわの毛に埋もれながらシルバを見ると

【それって私達のせいで誰かが困ってるのかもしれないでしょ!気のせいならいいけど…一応確認に行くよ!】

ミヅキが起き上がると、シルバは余計な事を言ったと顔を顰めた…

ミヅキはベイカーさん達に声をかけるとみんなで魔物達が逃げ出した方向へと飛び立つ!

「せっかくのんびりしてたのに…」

「でも何かあってからでは遅いですから」

みんなで下をよく確認しながら進んで行くと…

【あっ!ミヅキあそこ!】

先行して飛んでいたシンクが何かを見つけた!

シンクが示す先には魔物に追い詰められた行商がいた…

【どうやら群れから離れた魔物の様だな】

シルバが呑気に言うと

【シルバ!お願い助けてあげて!】

ミヅキのお願いにシルバはしょうがないと魔物目掛けて駆け出した!

「グルルッ!」

シルバは行商の人達に襲いかかろうとしていた魔物に横からタックルして吹き飛ばした!

「ぎゃあ!な、なんだってこの道にこんなにも魔物が…」

行商はシルバをみて腰を抜かした…

【ふん!助けてやったのにその態度はなんだ…】

シルバは腰を抜かしている行商の男のそばに寄ると…

「た、助けて…」

行商が目を閉じて頭を抱え込むと…

【こらー!シルバ脅かしちゃ駄目でしょ!】

ミヅキが上から乗り出して怒ると

「あっ…」

手と足を滑らせて真っ逆さまに落ちる…

【なっ!】

それを見ていたシルバが慌ててミヅキの落下地点に走るとその体でミヅキを受け止めた!

【ミヅキ!なんだってそう危険な事をするんだ!大人しく待っててくれよ…】

ミヅキの無事を確認してほっとするとシルバが注意する。

【はは、ごめんね。でもありがとう~】

ミヅキは誤魔化す様にシルバにお礼のキスをした。

そんな人を助けた魔獣を馬車の中から覗き込む視線があった…

「ねぇ…あれって何?」

「わからんが人だ…みんな注意しろよ…」

馬車の中ではコソコソと警戒する影かあった。

【ほ、ほら。あの人達が無事か確認しないと…】

ミヅキはシルバから飛び降りると馬車に向かう。

「ひ、ひぃ…」

深くマントを被ったおじさん達が怯えるようにミヅキとシルバを見ている。

【あっシルバ驚いてるから少し離れててね】

ミヅキがシルバを離そうとするが…

【いや、誰かもわからんからな…ここにいる】

シルバが譲る気は無いとミヅキの後ろにピッタリとついていると

「おい、大丈夫か?」

「ミヅキ!怪我はないか!?」

ベイカーさんとコジローさんもプルシアの籠から飛び降りてきたようだ。

「あっ二人とも、シルバがちゃんと受け止めてくれたよ」

「受け止めてくれたよ…じゃないだろ!お前は落ちたんだ!今度からプルシアの籠に乗る時には紐を腰に巻いとくからな!」

「えー」

ミヅキはブーっと口を尖らせる。

「おい、あんた大丈夫か?誰か怪我とかしてないか?」

ベイカーさんが後ろで腰を抜かしたまま座り込む男に声をかけると

「だ、大丈夫だ…た、助かった…その魔獣は従魔なんだよな?」

男はフードを深く被り直すと伺うように話しかけた。

「ああ、こいつらがあんたらに何かする事は無いよ」

ベイカーの言葉に男はほっとして

「お礼をしたいところだが持ち合わせがないんだ…すまないな」

チラッと伺うように馬車をみて言うと、ベイカーは何か不穏な空気を感じ取る。

「そんな事は別にいいが…馬車には何を?」

「あっ…いや、荷物が少し…」

「荷物が壊れてないか見てやるよ」

ベイカーが馬車に近づこうとすると

パシッ!

行商の男達が馬車の前に立ち塞がる!

「すまないが大事な荷物なんだ…触らないで貰えるか?」

「おいおい、助けてやったのに随分な態度だな!」

ベイカーが大声で煽ると

「なんかベイカーさん態度悪くない?」

そばで待機してるコジローさんに話しかけると

「多分…あの行商何かよくないものを積んでるな。ベイカーさんもそれを感じ取って中を確認しようとしてるんじゃないかな」

そう言うとミヅキを抱き上げてシルバの上に乗せる。

「何があるかわからないから一番安全なそこにいてくれ」

コジローさんがミヅキの頭をぽんと撫でると

「シルバさんお願いします」

【ああ】

シルバは頷いてこの場をベイカー達に任せた。

コジローもベイカーさんに近づくと…

「先程の魔物以外がまだ潜んでるかもしれない…確認は怠らない方がいいと思いますよ」

声をかけるも

「ま、魔物…おい!お前確認してこい!」

行商の男が一緒にいた男に命令すると

「ふざけんな!行くならお前が行けよ」

俺は嫌だと下がると

「なら俺が見てやろう!」

ベイカーが二人に間を抜けて馬車へと近づいた。

そして荷物に覆いかぶさっていた布を剥ぎ取ると…

「あっ!」

「しまった…」

「おい!逃げるぞ!」

男達は方々に逃げ出した!

積み荷の中身は…

「獣人?」

中には檻があり足枷と手錠で身動きを封じられた獣人の子供達が捕まっていた…

「酷い…」

怯えて隅に固まる獣人達の子供を見つめて、ミヅキは口を覆う…

ベイカーさんとコジローさんは散らばった行商達をあっさり捕まえて戻って来た。

「こいつら奴隷商人だな、獣人の売買は禁止されたはずだぞ…」

グッと首を締め上げると

「しょ、しょうがねぇだろ!相手が欲しいって言うんだから…俺達は頼まれた物を用意するだけだ!」

だから悪くないと開き直ると

「ならお前は自分の子供や自分の命を差し出せと言われたら金で売るのか?」

「ふ、ふん!売れるなら売ってやる!」

男が出来もしない事をと高を括っていると…

「なら私がおじさんの体買います。いくらですか?」

ミヅキは淡々と男に話しかけた…

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