ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

文字の大きさ
上 下
468 / 687
11章

閑話【アランさんのお留守番3】

しおりを挟む
マルス達はリリンをまた守るように走り出す…

アランはそれをじっと伺うように見つめながら後をついて行った。

やっと目的の洞窟近くにきたが、周りはもう薄暗くなっていた…

「予定より遅くなったな…急いでテントを張って今夜は休もう。明日の朝早くに洞窟に入ってニーズヘッグを仕留めにいく」

「えっ…今からいかないのか?」

アランが聞くと

「馬鹿か、ニーズヘッグは夜行性だ!しかも夜目かきくから危ないんだよ!わざわざ夜に行くやつがいるわけないだろ?」

マルスが馬鹿にするようにアランを見つめると

「そうなんだ!」

リリンがすごいと手を前で握ってマルスを見つめる。

マルスはリリンの視線に得意げに笑っていると

「そんな事は知ってるが、別に問題ないだろ?要は倒せばいいんだから」

アランが当たり前のように聞き返した。

「だから!夜のあいつは倒せないって言ってるだろ!」

マルスが声を荒らげると

「はっ?お前らみんなB級だったよな、ニーズヘッグの夜型くらい問題ないだろ?」

「えっ、もしかしてアランさんニーズヘッグの夜型を倒せるんですか!?」

リリンが今度はアランに近づいてすごいと目を輝かせた。

「そのくらい俺にだって…」

「そ、そうだよな。出来るけどリリンに危険が及ぶから…」

「えっ…私の為に?そんなみんな気を使わないで、私自分の身ぐらい守れるわ。それに何かあったら…アランさん守ってくれますよね?」

リリンがチラッと伺うようアランに熱い視線を送ると

「アランは守らなくて大丈夫だ、守るなら俺が!」

マルス達がアランからリリンを遠ざける…アランはため息をつくと

「わかったよ、今夜は休んで朝からな。じゃあさっさとテント張ろうぜ」

アランは収納から自分のテントを取り出すと風向きを考えて場所を決める。

他のメンバーも渋々テントを出すと各々設置する場所を考えている。

「私、アランさんの隣いいですか?」

リリンがアランのテントの隣にピッタリとくっつけてくる。

「リリン!」

皆が止めようとすると…

「いや、すぐ側はやめてくれ。何かあった時に動けない」

アランがリリンに断りを入れると自分のテントをわざわざ離した。

「は、はい…」

リリンは寂しそうにアランから少し離してテントを立てた。

そんなリリンの様子に

「じゃあ俺はリリンの隣にいいか?」

「なら俺はその反対側に…」

マルス達は競うようにリリンの近くを確保する。

「あの…あんまりみんな近いと、恥ずかしいから…」

リリンが頬を染めるとマルス達はへらっと笑って少しだけ離れた。

アランはテントに入り横になっていると…

「すみません…アランさん…寝ちゃいましたか?」

テントの外からリリンの囁くような声が聞こえる。

アランは無視していると

「すみません…失礼します」

勝手にリリンがアランのテントに入ってきた…

リリンはアランの脇にそっと体を寝かせると…ピッタリとアランに自分の体をくっつける。

アランは仕方なく目を開くと

「何してる?」

リリンに顔を向ける…すると、リリンは上半身をはだけさせ、上目遣いに目を潤ませてアランを見つめて…生足を絡ませてきた…

「私…一目見た時からアランさんの事が…」

リリンはアランに寄り添って顔を近づけるとじっと目を見つめる。

「アランさんは…私の事どう思います?」

目を見つめたままリリンはアランに問いかけると

「重い、邪魔だ」

アランがリリンを退かした。

「嘘!なんで効かないのよ!」

リリンはキッとアランを睨みつけると

「お前…魅了魔法使ってるのか?」

アランはじっとリリンの瞳を見つめた。

「こんなに目を合わせてるのに!」

リリンが悔しそうに手を握る。

「そうやってアイツらも手玉にとったのか?」

外の連中の事を聞くと

「そうよ、あいつらは私の虜なの。でもあんまり強く無いのよね…だからアランさんならと思って…どうかな?私の事好きにしていいから一緒に組まない?」

服を掴んでチラッと胸を見せる。

「悪いが間に合ってる。俺はニーズヘッグに興味があるそれを捕獲したらこのパーティも抜けるからな」

「な、なら私も連れてって!ここの奴らなんてもういらないから!」

アランに抱きつくとその唇に顔を近づける…

するとアランはリリンの顔を掴んで遠ざけた。

「止めろ。そうやってさらに魅了魔法をかける気だろ」

アランがじっとリリンを睨むと

「ち、違うわ…私の本当にアランさんの事が…」

リリンは手で顔を覆って泣き出すと…

「リリン!」

リリンが居ない事に気がついたマルス達がアランのテントに乗り込んできた!

リリンが服を乱し半裸状態で泣いている姿を見ると…

「アラン~!!リリンに何をした!」

「事によっては犯罪ですよ!」

「いや、このままギルドに報告しよう!」

「それよりもここで殺した方がみんなの為では?」

目が据わった四人がアランを睨みつけると…リリンは指の間からそっと覗きこんでほくそ笑む。

「全く…変な依頼持ってきやがって…」

アランはため息をつくと面倒くさそうに起き上がった。

「おい、狭いから一旦出ろ!」

ギュウギュウのテントからみんなを押し出すと

「ふふ…この人数相手ならさすがのアランさんでも敵わないですよね…」

リリンはアランにだけ聞こえるように囁くと

「お前…俺のランク知らないのか?」

アランはリリンを見つめると

「知ってますよ、みんなと同じB級ですよね?少しは出来るみたいでますけど…」

「まぁ…そうだな」

アランはしょうがないと頷くと、

「いいか、魅了魔法を解く方法知ってるか?」

「はっ?何言ってるの…」

「知らないなら教えてやるよ。魅了よりも強い感情を与えてやるんだ」

「強い感情?何それ?そんなの無いでしょ」

リリンが鼻で笑うと

「恐怖があるだろ?」

そう言うとアランはマルス達に今までの鬱憤を晴らすように殺気を放つ。

「まぁ殺されそうになったんだ…お前らも殺されても文句はねぇよな?」

アランは四人にゆっくりと近づいていく…

「あ、ああ…」

「た、すけ…て」

四人は足の力が抜けて腰が抜けるとガタガタと震えて座り込む…

「ちょっと眠ってろ…」

そう言うとアランは四人の首筋に手刀を食らわせた。

呆気なく四人は気を失うと…

「は?何この実力差は!?あんた何者よ!」

「何者って…〝暴食のマーべリング〟のB級冒険者のアランだよ」

「こ、こんな強いなんて聞いてない!アランさんなら色仕掛けで絶対にすぐ落ちるってみんな言ってたのに…」

リリンが後ずさりすると…アランはリリンの後ろに魔物の気配を感じる。

「おい、待て…ゆっくりとこっちに来い」

アランが声を落としてリリンに声をかけると…

「そんな事言って近づいたらそいつらと同じ様にするんでしょ!魅了魔法を使ってメンバーを操ってたなんて報告されたら…冒険者の資格が無くなっちゃう!」

リリンが声を上げると逃げ出そうと立ち上がる。

「馬鹿野郎…」

アランが顔をしかめると…リリンはなんだか異臭に気がついた…

「ま、まさか…」

そっと後ろを伺うと…

「シュルルル…」

すぐ後ろに舌を出してヨダレを垂らすニーズヘッグが口を開けていた…

「きゃあああ!!」

リリンは大声をあげる!逃げ出したいが足がすくんで動けない…そんなリリンを格好の獲物とニーズヘッグが飛びかかった!

リリンは既の所でどうにか避けるが牙が顔を掠めた!

アランは走り出すと

「相手は俺だ!お前の肉楽しみだなぁ!」

嬉々としてニーズヘッグに襲いかかった!


アランはなんて事なく一人でニーズヘッグを肉にした。

鼻歌を歌いなが解体していると…

「いやぁー!!私の!私の顔が!」

リリンから叫び声があがる。

「今度はなんだよ…」

アランがうんざりすると

「助けて!何か、何か薬は無いの!」

叫ぶリリンに振り返り顔を向けると、襲われたリリンの顔がニーズヘッグから受けた傷でみるみる爛れていた。

「毒か?」

リリンの顔をじっと観察すると傷口を確かめる。

「こりゃ俺じゃ無理だな、急いで帰らないとどんどん傷が広がるぞ」

「な、なら早く!早く帰りましょ!」

「いいけどお前遅いじゃん、帰るのに一日かかるんだろ?それにこいつらも連れて帰らないと…」

アランは気を失っている男四人を見つめると

「そんなヤツらどうでもいいわ!それよりも私の顔よ!お願いなんでもするから連れて帰って…」

アランの足に縋り付く…

「本当になんでもするわ!あなたの満足行くまで抱かれてもいい!足の裏を舐めろって言うなら舐めてもいいわ!だからお願い…」

アランに手を伸ばすと…

「なんでもねぇ…」

アランはリリンをじっと見下ろした…
しおりを挟む
感想 6,825

あなたにおすすめの小説

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

料理屋「○」~異世界に飛ばされたけど美味しい物を食べる事に妥協できませんでした~

斬原和菓子
ファンタジー
ここは異世界の中都市にある料理屋。日々の疲れを癒すべく店に来るお客様は様々な問題に悩まされている 酒と食事に癒される人々をさらに幸せにするべく奮闘するマスターの異世界食事情冒険譚

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

公爵家に生まれて初日に跡継ぎ失格の烙印を押されましたが今日も元気に生きてます!

小択出新都
ファンタジー
 異世界に転生して公爵家の娘に生まれてきたエトワだが、魔力をほとんどもたずに生まれてきたため、生後0ヶ月で跡継ぎ失格の烙印を押されてしまう。  跡継ぎ失格といっても、すぐに家を追い出されたりはしないし、学校にも通わせてもらえるし、15歳までに家を出ればいいから、まあ恵まれてるよね、とのんきに暮らしていたエトワ。  だけど跡継ぎ問題を解決するために、分家から同い年の少年少女たちからその候補が選ばれることになり。  彼らには試練として、エトワ(ともたされた家宝、むしろこっちがメイン)が15歳になるまでの護衛役が命ぜられることになった。  仮の主人というか、実質、案山子みたいなものとして、彼らに護衛されることになったエトワだが、一癖ある男の子たちから、素直な女の子までいろんな子がいて、困惑しつつも彼らの成長を見守ることにするのだった。

転生幼女はお願いしたい~100万年に1人と言われた力で自由気ままな異世界ライフ~

土偶の友
ファンタジー
 サクヤは目が覚めると森の中にいた。  しかも隣にはもふもふで真っ白な小さい虎。  虎……? と思ってなでていると、懐かれて一緒に行動をすることに。  歩いていると、新しいもふもふのフェンリルが現れ、フェンリルも助けることになった。  それからは困っている人を助けたり、もふもふしたりのんびりと生きる。 9/28~10/6 までHOTランキング1位! 5/22に2巻が発売します! それに伴い、24章まで取り下げになるので、よろしく願いします。

転生したらチートすぎて逆に怖い

至宝里清
ファンタジー
前世は苦労性のお姉ちゃん 愛されることを望んでいた… 神様のミスで刺されて転生! 運命の番と出会って…? 貰った能力は努力次第でスーパーチート! 番と幸せになるために無双します! 溺愛する家族もだいすき! 恋愛です! 無事1章完結しました!

側妃は捨てられましたので

なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」 現王、ランドルフが呟いた言葉。 周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。 ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。 別の女性を正妃として迎え入れた。 裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。 あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。 だが、彼を止める事は誰にも出来ず。 廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。 王妃として教育を受けて、側妃にされ 廃妃となった彼女。 その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。 実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。 それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。 屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。 ただコソコソと身を隠すつまりはない。 私を軽んじて。 捨てた彼らに自身の価値を示すため。 捨てられたのは、どちらか……。 後悔するのはどちらかを示すために。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。