ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

文字の大きさ
上 下
419 / 687
10章

531.脱出

しおりを挟む
ピュー!

伝書鳥の音にオリビアは顔をあげると、部屋の中に手紙をつけた鳥が戻ってきた!

「早かったな!」

オリビアは早速手紙を確認すると…目を見開き顔にえみがこぼれる。

「誰か!」

大声で声をかける!

「どうしましたか?」

オリビアに仕えるエルフ達が部屋へと入ってくると

「アルフノーヴァ兄様がエルフの国に入られた!急いで迎えを出せ!」

「まことですか!今どの辺に!」

「ヒカリゴケの洞窟を過ぎた所を城に向かい歩いているそうだ!」

「わかりました、直ぐにでも馬を走らせます」

エルフ達が部屋を出ていくと、オリビアはほっと胸をなでおろす。

「やっと帰ってきてくれる…あとはあの人間をどうするか…」

お兄様が戻ってきてくれたなら用無しだな…処分すればいいか…

オリビアは部屋にいたお世話係のエルフを見ると

「おい!捕まえた人間共を連れてこい、アルフノーヴァ兄様が来る前に確認しておきたいことがある」

「はっ!」

エルフは人間を捕まえておいた地下牢へと急いで向かった。

オリビアは早速アルフノーヴァが帰ってくることを伝えに国王に会いに行った!

オリビアはこのエルフの森が一望出来る城の最上階に向かうと…

「お父様!」

ノックもせずに扉を開くと…そこには見知った兄達の姿があった…

「オリビア…お前はまた」

オリビアをみて残念そうにため息をつく。

「な、なんで兄様達が…」

「今、父と森に出現した魔獣について話し合っている。お前は部屋に戻っていなさい」

一番上の兄が窘めるように部屋を出るように言うと

「私だって戦えます!もう子供じゃない、話に参加させてください!」

オリビアがつかつかと中に入り兄達の間に割り込むと

「お前はまだ小さい、兄達の言う事を聞いて大人しくしてなさい」

ひとりの少し歳を召したエルフが優しく微笑むと…

「でも…お父様…」

口を尖らせて拗ねたような顔をする。

「大丈夫、優秀な兄達に任せておきなさい」

ポンポンと頭を撫でる。

「で、でも…」

オリビアがまだ食い下がろうとすると

「ほら!もういけ!子供じゃないと言うなら素直にお父様の言う事を聞くんだ!」

14番目の子供のアッシュがオリビアを引っ張って外へと連れ出した。

「離して!アッシュだって私と変わらないじゃない!なんでアッシュが良くて私が駄目なの!」

アッシュの手を振り払うとキッと睨みつける。

「オリビアはまだ成人にもなってないだろ?しかも女だし…みんな心配してるんだ」

オリビアはムッとするとアッシュを無視して部屋へと戻る!

「おい!オリビア、大人しくしてるんだぞ」

子供扱いする声にさらにオリビアは苛立ち部屋へと走り出した。

バン!

扉を開けると慌てた様子でお世話係のエルフが待っていた…

「オリビア様!大変です」

「一体何!」

思わず強い口調であたると

「捕まえていた人間がいません!牢屋から逃げたもようです!」

「逃げた?だってあの牢屋は神木で出来ているのよ、エルフだって逃げるのは不可能よそれを人間がどうやって逃げるって言うのよ」

「牢屋にはこれが…」

そこにはあの人間達を縛っていたロープが切られていた。

「な、なんで?これも神木から作ったロープよ!」

オリビアは驚いてロープを掴む、自分で引っ張るがビクともしない…

「牢屋の柵も同様に切られていました…」

「逃げられた…」

オリビアはギリッとはお食いしばると…

「オリビア様が…人を連れて来て逃げられたとなると…国王やマグノリア様達にお知らせした方が…」

お世話係が恐る恐る発言すると

「お父様や兄様の手なんか借りなくても私だけの力で解決できる。アルフノーヴァ兄様が来るまでに何としても人間を捕まえろ!」

「は、はい!」

「いいか!それまで帰ってくるなよ!部屋にも誰も近づけるな!!」

オリビアはお世話係を怒鳴り散らして追い出すと…

「もう!」

バン!と床を叩きつけた。


━━━━━━━━━━━━━━━

「さてと…で牢屋は抜けたけどどうするか?」

ベイカーとセバス、アランはどうにか持ていたナイフで自分達のロープを切ると今度は牢屋の柵を削り牢屋を抜け出していた。

「ここはエルフの国ですから注意しないと…とりあえず外に行ってみますか」

セバスさんが隠密のスキルを使って用心しながら地下を進んで行くと…慌てた様子の足音が前から聞こえて来た。

三人は目を合わせて頷きあい物陰に隠れる…様子を伺っていると…

若いエルフがやって来た…そして自分達が抜け出した牢屋をみて我々が逃げ出した様子に慌てだす。

「た、大変だ…オリビア様に知らせないと…」

オリビアと言う名前に三人は反応すると…

コクッ…

エルフが元来た道を戻り出した、そしてこっそりと後を追いかけた…


━━━━━━━━━━━━━━━


「もう!なんでこうも上手くいかないんだ!せっかくアルフノーヴァ兄様が帰ってくるのに…」

ガタッ!

誰も居ないはずの部屋で物音がした…

「誰だ!」

オリビアは音がした方を睨みつけ手を構える!

いつでも魔法で殺れるように注意していると

「全く…ベイカーさん気をつけて下さい」

セバスが立ちあがり物陰から姿をあらわした。

「違う!アランさんが押したんだよ!」

その後ろからベイカーとアランも姿を見せると

「お、お前らいつの間に…」

「そうですね…〝一体何!〟辺りからですかね」

「私が戻ってきてからか…まぁいいちょうどお前らを呼ぼうと思っていたところだ」

オリビアはニヤリと笑うとセバスに向かっていきなり雷撃を放った!

「少し痺れるが大人しくしててもらおう」

オリビアの雷撃がセバスに直撃すると…

「あーあ…セバスさんに雷撃とは…」

ベイカーが心配する。

「また相性の悪いものを選んだもんだ」

アランも苦笑すると

「何を笑っている!次はお前らだ!」

「次…とは私はもう倒されたという認識でしょうか?」

セバスの声にオリビアは驚き振り返る、するとそこには平気な顔で立っているセバスの姿があった…

「くっ…上手く避けたのか…」

もう一度と今度は狙いをしっかりと取ると

「雷撃!」

今度こそ当たるところを確認すると…

「あっさっきより強めですね」

体に雷撃を貯め、バチバチと体を鳴らしながらセバスがにっこりと笑っている。

「お前…何者だ…」

オリビアが驚きセバスを見つめると

「何って…あなたが攫ってきた、魔力の弱い人間ですよ」

セバスが笑って答えているのをみて、ベイカーとアランは顔を引きつらせ

「魔力が弱いだと…」

「どの口が言ってんだか」

コソコソと呟いていた。
しおりを挟む
感想 6,825

あなたにおすすめの小説

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

転生したらチートすぎて逆に怖い

至宝里清
ファンタジー
前世は苦労性のお姉ちゃん 愛されることを望んでいた… 神様のミスで刺されて転生! 運命の番と出会って…? 貰った能力は努力次第でスーパーチート! 番と幸せになるために無双します! 溺愛する家族もだいすき! 恋愛です! 無事1章完結しました!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

収容所生まれの転生幼女は、囚人達と楽しく暮らしたい

三園 七詩
ファンタジー
旧題:収容所生まれの転生幼女は囚人達に溺愛されてますので幸せです 無実の罪で幽閉されたメアリーから生まれた子供は不幸な生い立ちにも関わらず囚人達に溺愛されて幸せに過ごしていた…そんなある時ふとした拍子に前世の記憶を思い出す! 無実の罪で不幸な最後を迎えた母の為!優しくしてくれた囚人達の為に自分頑張ります!

料理屋「○」~異世界に飛ばされたけど美味しい物を食べる事に妥協できませんでした~

斬原和菓子
ファンタジー
ここは異世界の中都市にある料理屋。日々の疲れを癒すべく店に来るお客様は様々な問題に悩まされている 酒と食事に癒される人々をさらに幸せにするべく奮闘するマスターの異世界食事情冒険譚

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

この度、双子の妹が私になりすまして旦那様と初夜を済ませてしまったので、 私は妹として生きる事になりました

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
*レンタル配信されました。 レンタルだけの番外編ssもあるので、お読み頂けたら嬉しいです。 【伯爵令嬢のアンネリーゼは侯爵令息のオスカーと結婚をした。籍を入れたその夜、初夜を迎える筈だったが急激な睡魔に襲われて意識を手放してしまった。そして、朝目を覚ますと双子の妹であるアンナマリーが自分になり代わり旦那のオスカーと初夜を済ませてしまっていた。しかも両親は「見た目は同じなんだし、済ませてしまったなら仕方ないわ。アンネリーゼ、貴女は今日からアンナマリーとして過ごしなさい」と告げた。 そして妹として過ごす事になったアンネリーゼは妹の代わりに学院に通う事となり……更にそこで最悪な事態に見舞われて……?】

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。