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8章

404.休息

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シルバ達の頼みを受けてミヅキは次の朝早速ベイカーの元へと向かった。

「ベイカーさん!一緒に狩りに行こうよ~!依頼受けに行こうよ~!」

「えー…」

寝ているベイカーを揺すり起こすとミヅキはねーねーとベイカーに頼み込む。

「シルバ達が狩りに行きたいんだって!私だけ行ってもいいけど…」

ミヅキの言葉にベイカーは飛び起きると

「駄目に決まってるだろ!」

「なら一緒に行こう!午後にはマルコさんと学校の先生達を見なきゃ行けないから早く行こうよー」

【そうだぞ!早くしろ!】

シルバもベイカーの服を噛むとグイグイと引っ張る!

【面白そう!僕も】

コハクも面白がって反対側の服を引っ張ると…

「お、おい止めろ!破けるだろ!」

ベイカーがシルバ達を引き剥がそうとすると…

ビリッ!

無惨にベイカーの服が破けた…。

「ああぁぁ!俺の一張羅が!」

ベイカーが破けた場所を確認する。

「くっそ…この防具結構防御力高いはずなのに…」

シルバとコハクを睨みつけるが、シルバは知らん顔をして…コハクは怒っているベイカーを見つめていた。

【どうしたの?】

コハクが首を傾げる。

「あーあ…シルバ駄目じゃん」

ミヅキが破けた部分を拾うが修復は難しそうだった。

【俺のせいか?コハクもだろ!】

シルバがコハクを見ると

【ごめんなさい…】

コハクが耳と尻尾を垂れてベイカーに謝っていた…その姿にベイカーも

「うっ…まぁいいよ。お前は子供だし反省してるみたいだもんな」

ベイカーがコハクの頭を撫でて許してやると

「だが!シルバ!お前はわざとだろう!許さんからな!きっちりと弁償してもらう」

【なんでだ!】

「ガウッ!」

シルバがベイカーに吠える!

「この狩りで防具になりそうな魔獣を絶対捕まえろよ!それを貰って新しく防具を新調してやる!」

【ん?まぁどうせ狩りに行くんだらかいいか?よし!なら早速行こう!】

シルバはベイカーの服を更に引っ張って催促すると…

ビリッ!

破れた箇所が更に広がる…

「お前!いい加減にしろよ!勘弁してくれ」

【ああ悪い悪い】

シルバはそんなベイカーを無視してサッサと外に向かって行った。


ベイカーとミヅキ達はギルドに向かうと…

「おーい、なんか高ランクの依頼を頼む。なるべく討伐系がいいな!」

ギルドに入るなり受付のお姉さんにそんな事を頼む。

「高ランクですか?」

いきなり来た態度の大きな男にお姉さんが不機嫌そうな声を出して顔を上げると…

「こ、これはベイカー様!それにミヅキさん!失礼しました!ただいま確認して参りますのでお待ちください!」

お姉さんは凄い勢いで立ち上がると椅子が倒れた事にも構わずに奥の部屋へと走り出して行った…

「なんだ?」

ベイカーがミヅキを見ると…

「ベイカーさん何かしたの?」

ミヅキがジロっとベイカーを睨みつける!

「な、なんもしてねえよ!…多分…」

不安そうにお姉さんが消えていった扉を見つめると…

「おい…あれA級冒険者のベイカーさんじゃねえか?」

「そうだよ…噂通り小さい女の子連れてるし…」

周りの冒険者達がベイカー達を見ながらコソコソとざわつき出す。

「やっぱりベイカーさんみてみんな笑ってるよ…きっとそんなボロボロの服を着てるからだ…」

ミヅキが一歩ベイカーから離れると…

「いや!何かするならミヅキだね!きっとミヅキの噂でもしてるんだ!ちょっと聞いてくる!」

ベイカーがコソコソと話してる男達の元に向かおうとすると…

バタン!

扉が勢いよく開きギルドマスターが出てきた、後ろには先程の受付のお姉さんもついてきている。

「ベイカーさん!よく来て下さいました!依頼ですね!どうぞこちらに!」

ガシッと掴まれると扉の奥へと連れていかれる。

「お、おい!引っ張るなよ、すげぇ力だな…どこのギルドマスターもやっぱりバケモン揃いなのか?」

ベイカーが引きずられているのを唖然と眺めていると…お姉さんか話しかけてきた。

「ミヅキさんもどうぞ一緒に、従魔さん達もよろしければ中にどうぞ」

外で待っているシルバ達をみる。

「いいんですか?」

ミヅキが確認する。

「ええもちろんです!従魔さん達は意思疎通が取れると聞いておりますので問題無いですよ」

お姉さんが笑顔で頷いてくれたのでミヅキはシルバ達を呼んでベイカーの後に続いた。

ギルマスの部屋に通されると…

「依頼を受けたいとの事だがこれなんてどうだ?この間入ってきたが…どうにも誰も受けてくれなくて…」

ギルマスが困ったように依頼書を差し出す。

ベイカーが受け取ると中身を確認する。

「なになに…バイコーンの討伐?こんなのB級が何組か組めばできるんじゃないのか?」

ベイカーが顔を顰めてギルマスをみる。

ミヅキはベイカーをつんつんと突くと…

「バイコーンって何?」

気になって口を挟んだ。

「バイコーンってのはユニコーンに似た角が生えた馬の魔獣だ」

「ユニコーン!」

ミヅキが顔をパァーっとかがやかせる!

「ユニコーンは角が一本でバイコーンは二本姿は似てるが性格や生態は正反対だ、ユニコーンの角は薬になるがバイコーンの角は毒薬だ。しかもバイコーンは気性が荒く人を食う事もある」

「えっ!似てるのにそんなに違うの?」

「ユニコーンはめったにお目にかかれないがバイコーンは人を恐れずに襲ってくるからな…でもB級冒険者なら倒せない事も無いと思うぞ」

ベイカーが説明すると

「そうなんですが…ここから南の地でバイコーンが大量発生致しまして…食糧難なのか村を襲って壊滅状態にしてしまっているんです」

「珍しいなぁ…あいつらは確かにボスを決めて群れになるがそんなに大きなコミニティは作らないと思ったが」

「はい、私も初めて聞きました。村の人達はどうにか逃げ延びましたが村の作物や家畜は全て狩りつくされて今もそこに留まっているようです」

「数名の冒険者を送りましたがやはり数が多すぎてなかなか手に負えず…」

「うーん…バイコーンか…馬肉も悪くないか」

ベイカーが呟くと…

「はい?馬肉?」

受付のお姉さんがベイカーの呟きに反応する。

「バイコーンの皮とかは防具に出来ないの?」

ミヅキが聞くと

「まぁ出来なくも無いが…ちょっと防御力は心もとない気がするなぁ~またシルバにいつ噛まれるかわからんからなぁ~」

ベイカーがジロっとシルバを見る。

【知るか、どんな皮だろうと俺の牙に敵うわけない!】

シルバがガキッ!と歯をならした…お姉さんがビクッと驚くと…

「もう、ベイカーさんもシルバもやめなよ!ギルマスさんこの依頼受けます」

ミヅキがベイカーから依頼書を奪うとサラサラっとサインをした!

「何を勝手に!」

ベイカーがミヅキを見ると…

「困ってる人がいるんだからベイカーさんが出来るならやればいいじゃん!私もシルバ達も手伝うし!」

「まぁ…そうだが…じゃあギルマスこれを受けるよなんて村だったかな?」

「ありがとうございます!ここから南に50キロ程行ったニモド村ですニモド村にはもう人は居ませんので安心して暴れて大丈夫ですよ」

「そうか、じゃあ行ってみるか?」

ベイカーが立ち上がると…

「数名の冒険者を連れていきますか?いくらなんでもベイカーさんとミヅキさんだけでは…」

受付のお姉さんが心配すると

「いや、大丈夫だ次いでにリュカとテオを連れていくか…あいつらの修行にもなるだろう」

「それいいね!二人が戦うの見たいや!シンクコハクと行って呼んできてくれる?」

【いいよ~】

シンクはコハクを乗せるとリュカ達の所に飛んでいった。


コハクはリュカとテオを見つけると…くるんと回りながら二人の前に着地する。

「リュカ!テオ!えっと…」

コハクは言うことを忘れた…上のシンクを見ると…

【コハク、討伐だよ。冒険者ギルドにこいって言って】

「とうばつだ!ぼうけんしゃギルドにいけ!」

それだけ言うとコハクは満足そうに頷きシンクに飛び乗った!

「「えっ?」」

リュカとテオは突然の出来事に唖然と立ち尽くしていた…。
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