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10章
317.誘拐
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「ではエヴァさんはこちらでお待ちください」
エヴァは馬車に案内されると大人しく乗り込んだ…
「クラウス隊長…あの薬師だけで大丈夫でしょうか?」
不安そうに兵士達が馬車を見つめる。
「薬師としてはかなり腕がたちそうです…魔法も魔力も高そうですしね…国に帰れば施設も充実しています…きっと薬が出来ますよ…いえ…必ず作って貰います」
クラウスが先生を見ると
「そうだな…協力してついてきてくれたんだ、彼女を信じよう…」
兵士達は不満そうにしながらも頷いた…。
「お前…どう思う…」
着々と国に帰る準備をしながら兵士の一人が声をかけると…
「あの子供がいれば確実に薬ができるんじゃないか…?」
「やっぱりそう思うか?」
「どうみたって…あの子が薬に何かしたよな」
「ああ…俺もみた…」
兵士達の手が止まると…
「お前は…下の子が病に侵されたんだったな…」
深刻な顔をしている兵士が頷く…
「お前だって…妹の子供がかかったんだろ?」
「ああ…まだ三つだぞ…もっと色んな事をさせてやりたかった…」
「年齢が低いほど…死亡率が上がるんだよな…」
「それに…これ以上熱が上がれば何かしら障害が残るって言われた…」
二人は顔を見合わせると…
「罰せられる覚悟はあるか?」
兵士が聞く…もう一人は覚悟を決めて頷くと、二人はそうっと気づかれぬ様に町から出て行った…。
二人はドラゴンが降り立った森を目指して飛竜に乗って向かうと
「気付かれないように低く飛ぶんだ…」
近くまで来ると飛竜から降りて走り出す…すると…遠くでドラゴンが飛び立って行くのが目に入った。
「あれは…ドラゴン…って事はあの近くか…」
兵士達は気配遮断をすると…足音をたてないように素早く近づいて行った…
森に入ると…真新しい小屋が目に入った…周りを確認すると、人の気配は無い。二人はそっと扉を開けると…そこには目当ての人物が寝ていた…。
(いた…)
二人は頷くと…子供のそばにいる従魔が立ち上がり警戒する。
(気配遮断をしているのに…気がついた?)
しかし辺りを警戒している従魔に
「ううん…」
子供がモゾモゾと動くと従魔を抱きしめてしまった。
「コハク…行っちゃ…駄目…大人しく…」
子供に抱きかかえられて身動きが取れなくなっている。
(今が絶好のチャンスだ!)
お互い目を合わせると同じ事を考えているようだった…
一人が魔物を麻痺させる粉を出すと動けない従魔に素早く嗅がせる。
従魔がぐったりと大人しくなった。
子供から離そうとするが手を退けてくれない…
「これ以上強く剥がすと…起きちまうかも…」
「仕方ない…従魔ごと連れて行こう…」
二人は用意していた麻袋に子供と従魔を入れると、素早く小屋から立ち去った、急いで飛竜の所に戻ると…
「暴れない様に眠らせておこう…」
「可哀想だが、見つかったら大変だ…どうにか国まで連れてければ…」
二人は睡眠薬を布に染み込ませると…子供と従魔に嗅がせる…
「ごめんよ…」
「すまないなぁ…」
申し訳なさそうに子供が寝ているのを確認すると…包んであった布をそっと包み直しまた麻袋に戻した…。
そのまま飛竜に飛び乗ると、町へと急いだ!
町に戻るともう部隊が飛び立つ準備が出来ていた…
戻ってきた二人に副隊長が気がつき睨みつける。
「何処に行っていた!」
副隊長の怒鳴り声が響く
「すみません…周りに怪しい人影があり…確認に行っておりました」
麻袋を持ったジャンが答えると
「それで人影とは?」
「すみません…気の所為でした…」
「全く…この大変な時に何をしてるんだ…」
副隊長が呆れると
「もう直ぐにでも出発する予定だ!準備しろ!」
「「はい!」」
二人は急いで他の兵士達の列に入っていった。
「では…我々ももう帰らせていただきますね…」
セバスとベイカーが席をたつと…
「…この度は町を救っていただきありがとうございました…近々、国から報奨金をウエスト国に贈らせていただきます」
「別にいいですから…それは国同士で話合って下さい」
「わかりました…本当に…申し訳ない…」
クラウス隊長は深々と頭を下げると…
「…もう、本当にいいですから…」
セバスが頭を上げさせようとするが…クラウスは再度深く頭を下げた。
「町長…彼らに良ければこの町でもてなしをしてあげて下さい…我々は事情があり…直ぐにでもここをたちますから」
クラウスが町長に声をかけると…
「では…失礼致します」
クラウス隊長は足早に屋敷を出て行った。
「何をあんなに急いでいるんだ…」
ベイカーが怪訝に思っていると
「なんか…後ろめたそうでしたね…」
セバスも走り去るクラウスの背中をじっと見つめていた…。
「クラウス隊長もああ言っておりましたし…良ければ町で休んで行ってください」
町長が声をかけると
「我々ももう国に帰らないと行けないんですよ、お誘い感謝いたしますが失礼させていただきます」
セバスが町長とロイドさんに礼を言うと屋敷を出て行った。
外ではサウス国の兵士達が飛竜に乗り飛び立とうとしていた…。
「飛竜部隊か…」
ベイカーが兵士達を見つめて避けながら歩いていると一人の兵士が目につく…何か袋を大事そうに抱えて走り去って行った…。
(美味いもんでも隠し持ってんのか?)
妙に気になり目で追っていると急に止まったセバスさんにぶつかりそうになる。
「どうした?」
セバスさんを見ると
「あちらの移動手段も凄いものですね…」
セバスが空を見ている、その目線の先を追うと…巨大な馬車を一回り大きな飛竜が数匹で持ち上げていた。
「空の移動か…ウチと一緒だな」
「プルシアさんの方が速そうですね」
飛び去って行くサウス国の部隊を見ていると…凄まじい魔力が近づいて来るのを感じる。
「セ、セバスさん…これって…」
ベイカーが町の外を見つめると
「この感じは…シルバさん?凄い速さで向かって来ていますが…ミヅキさんに何かが…?」
二人がシルバを待っていると…
【ベイカー!セバス!ミヅキは何処だ!】
シルバが止まることなく突っ込んできた…
「なっ!シルバ!止まれ!」
ベイカーが剣を取り出し盾にすると、
「ベイカーさん!防壁を張ります!」
セバスがベイカーを支えるように後ろにたつと防壁を張る!
【邪魔だ!】
ベイカーを足蹴にしようとするが
バッチン!
防壁に弾かれた、その衝撃でベイカー達も後ろに吹っ飛ぶと…直ぐに体勢を立て直す。
「シルバ!落ち着け!どうした?ミヅキに何かあったのか?」
【お前ら一体何をしていたんだ!ミヅキが大変な時にそばにいやしない!しまいにはミヅキが消えたんだぞ!】
シルバが唸り声をあげるが何を言っているのか伝わらない…しかし…
「やばい…絶対何かあった…」
ベイカーの顔色が変わる。
「こっちに来たって事は…町か?それとも…」
サウス国の兵士達が消えた空を見ると、シルバが空に雄叫びをあげる!
「あいつら…よそよそしかったのは、ミヅキに何かしたのか?」
「しかし…彼らがいてミヅキさんだけでも結構な強さですよ…」
セバスが考えていると…
「シルバ、行くか?」
ベイカーがシルバに声をかけると、
「ガウ!」
シルバが頷く。
ふたりが走り出そうとすると…
「待ちなさい!あなた達が行けば問題になります!ミヅキさんに何があったのかまだわからないのに迂闊な行動は控えなさい!」
「なんだと!セバスさん!ミヅキが心配じゃないのかよ!」
ベイカーがセバスに掴みかかると…
「心配しない訳ないじゃありませんか…」
青筋を立てながらにっこりと笑うと…
「もし…ミヅキさんに何かあったんだとしたら…直ぐに国に帰りますよ…」
「それって…」
「正式に抗議します…とぼけるなら……戦うまでだ」
真っ青な空の下…雷が落ちる…
セバスの怒りが大地に響いた。
エヴァは馬車に案内されると大人しく乗り込んだ…
「クラウス隊長…あの薬師だけで大丈夫でしょうか?」
不安そうに兵士達が馬車を見つめる。
「薬師としてはかなり腕がたちそうです…魔法も魔力も高そうですしね…国に帰れば施設も充実しています…きっと薬が出来ますよ…いえ…必ず作って貰います」
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「お前だって…妹の子供がかかったんだろ?」
「ああ…まだ三つだぞ…もっと色んな事をさせてやりたかった…」
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「それに…これ以上熱が上がれば何かしら障害が残るって言われた…」
二人は顔を見合わせると…
「罰せられる覚悟はあるか?」
兵士が聞く…もう一人は覚悟を決めて頷くと、二人はそうっと気づかれぬ様に町から出て行った…。
二人はドラゴンが降り立った森を目指して飛竜に乗って向かうと
「気付かれないように低く飛ぶんだ…」
近くまで来ると飛竜から降りて走り出す…すると…遠くでドラゴンが飛び立って行くのが目に入った。
「あれは…ドラゴン…って事はあの近くか…」
兵士達は気配遮断をすると…足音をたてないように素早く近づいて行った…
森に入ると…真新しい小屋が目に入った…周りを確認すると、人の気配は無い。二人はそっと扉を開けると…そこには目当ての人物が寝ていた…。
(いた…)
二人は頷くと…子供のそばにいる従魔が立ち上がり警戒する。
(気配遮断をしているのに…気がついた?)
しかし辺りを警戒している従魔に
「ううん…」
子供がモゾモゾと動くと従魔を抱きしめてしまった。
「コハク…行っちゃ…駄目…大人しく…」
子供に抱きかかえられて身動きが取れなくなっている。
(今が絶好のチャンスだ!)
お互い目を合わせると同じ事を考えているようだった…
一人が魔物を麻痺させる粉を出すと動けない従魔に素早く嗅がせる。
従魔がぐったりと大人しくなった。
子供から離そうとするが手を退けてくれない…
「これ以上強く剥がすと…起きちまうかも…」
「仕方ない…従魔ごと連れて行こう…」
二人は用意していた麻袋に子供と従魔を入れると、素早く小屋から立ち去った、急いで飛竜の所に戻ると…
「暴れない様に眠らせておこう…」
「可哀想だが、見つかったら大変だ…どうにか国まで連れてければ…」
二人は睡眠薬を布に染み込ませると…子供と従魔に嗅がせる…
「ごめんよ…」
「すまないなぁ…」
申し訳なさそうに子供が寝ているのを確認すると…包んであった布をそっと包み直しまた麻袋に戻した…。
そのまま飛竜に飛び乗ると、町へと急いだ!
町に戻るともう部隊が飛び立つ準備が出来ていた…
戻ってきた二人に副隊長が気がつき睨みつける。
「何処に行っていた!」
副隊長の怒鳴り声が響く
「すみません…周りに怪しい人影があり…確認に行っておりました」
麻袋を持ったジャンが答えると
「それで人影とは?」
「すみません…気の所為でした…」
「全く…この大変な時に何をしてるんだ…」
副隊長が呆れると
「もう直ぐにでも出発する予定だ!準備しろ!」
「「はい!」」
二人は急いで他の兵士達の列に入っていった。
「では…我々ももう帰らせていただきますね…」
セバスとベイカーが席をたつと…
「…この度は町を救っていただきありがとうございました…近々、国から報奨金をウエスト国に贈らせていただきます」
「別にいいですから…それは国同士で話合って下さい」
「わかりました…本当に…申し訳ない…」
クラウス隊長は深々と頭を下げると…
「…もう、本当にいいですから…」
セバスが頭を上げさせようとするが…クラウスは再度深く頭を下げた。
「町長…彼らに良ければこの町でもてなしをしてあげて下さい…我々は事情があり…直ぐにでもここをたちますから」
クラウスが町長に声をかけると…
「では…失礼致します」
クラウス隊長は足早に屋敷を出て行った。
「何をあんなに急いでいるんだ…」
ベイカーが怪訝に思っていると
「なんか…後ろめたそうでしたね…」
セバスも走り去るクラウスの背中をじっと見つめていた…。
「クラウス隊長もああ言っておりましたし…良ければ町で休んで行ってください」
町長が声をかけると
「我々ももう国に帰らないと行けないんですよ、お誘い感謝いたしますが失礼させていただきます」
セバスが町長とロイドさんに礼を言うと屋敷を出て行った。
外ではサウス国の兵士達が飛竜に乗り飛び立とうとしていた…。
「飛竜部隊か…」
ベイカーが兵士達を見つめて避けながら歩いていると一人の兵士が目につく…何か袋を大事そうに抱えて走り去って行った…。
(美味いもんでも隠し持ってんのか?)
妙に気になり目で追っていると急に止まったセバスさんにぶつかりそうになる。
「どうした?」
セバスさんを見ると
「あちらの移動手段も凄いものですね…」
セバスが空を見ている、その目線の先を追うと…巨大な馬車を一回り大きな飛竜が数匹で持ち上げていた。
「空の移動か…ウチと一緒だな」
「プルシアさんの方が速そうですね」
飛び去って行くサウス国の部隊を見ていると…凄まじい魔力が近づいて来るのを感じる。
「セ、セバスさん…これって…」
ベイカーが町の外を見つめると
「この感じは…シルバさん?凄い速さで向かって来ていますが…ミヅキさんに何かが…?」
二人がシルバを待っていると…
【ベイカー!セバス!ミヅキは何処だ!】
シルバが止まることなく突っ込んできた…
「なっ!シルバ!止まれ!」
ベイカーが剣を取り出し盾にすると、
「ベイカーさん!防壁を張ります!」
セバスがベイカーを支えるように後ろにたつと防壁を張る!
【邪魔だ!】
ベイカーを足蹴にしようとするが
バッチン!
防壁に弾かれた、その衝撃でベイカー達も後ろに吹っ飛ぶと…直ぐに体勢を立て直す。
「シルバ!落ち着け!どうした?ミヅキに何かあったのか?」
【お前ら一体何をしていたんだ!ミヅキが大変な時にそばにいやしない!しまいにはミヅキが消えたんだぞ!】
シルバが唸り声をあげるが何を言っているのか伝わらない…しかし…
「やばい…絶対何かあった…」
ベイカーの顔色が変わる。
「こっちに来たって事は…町か?それとも…」
サウス国の兵士達が消えた空を見ると、シルバが空に雄叫びをあげる!
「あいつら…よそよそしかったのは、ミヅキに何かしたのか?」
「しかし…彼らがいてミヅキさんだけでも結構な強さですよ…」
セバスが考えていると…
「シルバ、行くか?」
ベイカーがシルバに声をかけると、
「ガウ!」
シルバが頷く。
ふたりが走り出そうとすると…
「待ちなさい!あなた達が行けば問題になります!ミヅキさんに何があったのかまだわからないのに迂闊な行動は控えなさい!」
「なんだと!セバスさん!ミヅキが心配じゃないのかよ!」
ベイカーがセバスに掴みかかると…
「心配しない訳ないじゃありませんか…」
青筋を立てながらにっこりと笑うと…
「もし…ミヅキさんに何かあったんだとしたら…直ぐに国に帰りますよ…」
「それって…」
「正式に抗議します…とぼけるなら……戦うまでだ」
真っ青な空の下…雷が落ちる…
セバスの怒りが大地に響いた。
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