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番外編 明るい未来

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「ばーば、早く早く」

「ばーちゃまも早く早く」

「ばーばもばーちゃまもそのままで綺麗なんだからわざわざ準備に時間かけなくても大丈夫だよ」


今日は絵師に家族の姿絵を描いてもらう。


5歳になる息子はお義母様をばーばと、お母様をばーちゃまと呼んでいる。


「じーちゃまは母様の後ろね。ばーちゃまはじーちゃまの横、ばーばはばーちゃまの横だよ。

僕は母様と父様の間に座りたいから、母様はここで父様はレーナを膝に座らせてね。

叔母さんは母様の横に座ってね。お腹が大きいんだから無理はしちゃ駄目だよ。叔父さんは叔母さんの後ろ、肩に手を置いて。

絵師さんお願いします!」


今日は息子のネオが仕切っている。

レーナは3歳になる娘。

妹は嫁ぎ今第一子がお腹に宿っている。


ネオはお母様とお義母様から、

「好きな人には優しく誠実に接しなさい。それが良い男よ」

と言われている。

絵師が描いてる間にレーナは泣き出し、ネオがあやしている。


「レーナ、レーナの可愛いお顔が泣き顔で残っちゃうよ?にーにはレーナの笑った顔が大好きだから笑顔のレーナを絵師さんに描いてもらいたいな~」

「うん…グズ…」


今回絵師に家族の姿絵を描いてもらう事になったのはネオが私とレオのウエディングドレスとタキシードの姿絵を見つけたから。


「母様、僕、誕生日のプレゼント家族皆の絵がいい」

「プレゼントじゃなくてもいいのよ?姿絵はプレゼントとは別に描いてもらいましょ?」

「ううん、これから僕の誕生日のプレゼントは家族皆揃った絵がいい」

「分かったわ。ネオの誕生日プレゼントは毎年家族の姿絵にしましょう」

「うん!ありがとう!」


後はきっとアリスと会ったから…。

ネオの誕生日の1ヶ月前にノアお兄様とイザベラお姉様の子、アリスと初めて対面した。

5歳頃から始まる社交。お茶会にお呼ばれした時に口さがない人はどこにでもいる。誰かから聞くよりは、とレオと話し合いネオに話そうと決めた。

お父様にも相談し、イザベラお姉様のご両親の意見も聞くために大人達だけで集まった。

イザベラお姉様のご両親はアリスを養女にし愛情を持って大切に大事に育てている。そしてアリスの社交が始まる前に正直に話したそう。

父親が亡くなり母親は育児を放棄した、それでも自分達はアリスを愛している、と。部屋に閉じこもったアリスが一週間後笑顔で出て来たそう。


私達もネオが産まれてからアリスを引き取ろうか、と話していた。イザベラお姉様のご両親が養女にしたのは知っていた。お義父様と離縁し縁を切ったけど、没落した伯爵家のノアお兄様の子供、お義母様も一緒に暮らしている。私達が育てるのが筋じゃないかと。

そこで待ったをかけたのがお母様。

「引き取るのは簡単よ。だけどね、子供を育てるのは大変なの。まずネオを5年育ててそれでも引き取ろうと思うならその時は協力するわ」



ネオの誕生日の2ヶ月前、私達はネオに全てを正直に話した。


「父様の背中の傷はその人がやったの?」


背中の傷の事は言わなかった。


「父様と一緒にお風呂に入ってるから知ってるよ」


レオは毎日ネオと一緒にお風呂に入る。


「そうだよ。

ネオ、この背中の傷は母様を愛する事を諦めなかった傷なんだ。例え結婚出来なくても一生エリザを愛し続ける、それだけを心に戦った証拠なんだ。父様にとっては勲章のようなものだよ?」

「痛い?」

「その時はね、でも今は痛くないよ。

それでどうする?アリスに会ってみる?」

「うん、会いたい。僕の従姉弟でしょ?」




それからアリスにも聞いてもらい会う事が実現した。

アリスはノアお兄様に似ていた。そしてネオはレオに似ている。アリスとネオは姉弟かと思うほど似ている。

始めはお互いよそよそしかったけど、しだいに打ち解け仲良く遊びだした。そこにレーナも加わり3人で仲良く遊んでいた。

アリスは一度泊まりに来た。そして今日も、


「ネオ誕生日おめでとう」

「ありがとうアリス」


ネオの誕生日を一緒に祝うために今日はお泊りする。


絵師に頼んで子供達3人が遊んでいる所を描いてもらった。

今回家族の姿絵にネオはアリスも誘った。


「今はまだいいかな。いつか私が入りたいと思ったら一緒に入れてくれる?」


アリスがいつか同じ絵の中に描かれる時がきっとくる。


私とレオは3人が仲良く遊ぶ姿を遠くから微笑ましく見ていた。

今はレオの膝の上、


「エリザ、エリザと結婚できて良かった。可愛い子供にも恵まれたし、子供達の成長が楽しみだ」

「そうね」

「ありがとう」

「どうしたの?」

「俺を幸せにしてくれて」

「私も幸せにしてもらってるわ」

「エリザ愛してる。これからも一緒に幸せになろうな」

「ええ、私も愛してるわ」


レオの唇が私の唇と重なった。


「父様~母様~」


手を振る3人に私達も振り返す。


「父様、母様、僕ね、父様と母様とレーナ、じぃちゃまもばぁちゃまもばーばも、アリスも、勿論叔母さんも叔父さんも家族皆大好きなんだ~。

誕生日を大好きな人達に祝ってもらえて僕すごく嬉しい~」


満面の笑みで話してるネオに私達の方が幸せをもらった。

元気に遊ぶ3人の笑顔をこれからも護っていこう。


ネオ、レーナ、アリス、


あなた達の明るい未来に幸せがたくさん訪れますように…




            完結


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感想 139

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みんなの感想(139件)

まほ
2022.07.04 まほ

イザベラ父が、いくらレオ父が嫌だからってイザベラを捨てなければ…と思ってしまいますね…
ノアとイザベラは洗脳だろうが好きあってたんだろうし

アズやっこ
2022.07.04 アズやっこ

まほ様

コメントありがとうございます。

イザベラ父はレオ父の幼い頃からのイザベラ母への執着が異常なものだと察知していた。だから子供は関係ないとは分かっていても結婚を許す事が出来なかったんだと思います。それでもイザベラはノアを選んだ。貴族令嬢が親の反対を押し切れば勘当されても仕方がない。イザベラを捨てたのはその結果です。残念ではありますが…。

この作品を読んで頂けた事、とても嬉しいです。他の作品もまほ様の目に止まる事を願っています。

解除
かな
2022.05.18 かな

初恋は実らないにならなくて、ほんとぉぉぉに良かった😭
背中のキズは治って欲しかったけど…
エルザを愛していた勲章かぁ😊

イザベラの父親はなんでノアとの結婚を反対したんだろう
自分の妻と不貞をしていた訳でも無いのに…
ノアは良い奴っぽいし、結婚するからって絶縁するまでも無いのでは…
妻の事を好きだったからってのが理由だとしたら、小さい男だなと😤
ノアが死ななければ、幸せな家族になっていただろうから…
ノアが死に、結果イザベラは落ちるところまで落ちたけど…
自分のしてた事が返ってきた、イザベラに似合いのラストでしたね😏

アズやっこ
2022.05.18 アズやっこ

かな様

コメントありがとうございます。

勲章です😆
初恋が実り幸せです💕

イザベラの父親が結婚を反対したのは、幼なじみだから分かるノアの父親のマリベルへの執着です。

ノアが駄目と言うよりも父親と縁を結ぶのが嫌だったからです。

イザベラのラストはあれがお似合いかと!

完結まで読んで頂けた事とても嬉しく思います。

他の作品もかな様の目に止まる事を願っています。

解除
ルーデェー
2022.05.17 ルーデェー

エリザが幸せになれて そして レオとの子達まで 見せてもらえて 嬉しかったです😊
レオパパ とイザベラは 天罰ですね😓
また 次回作も楽しみにしてます♡
ありがとうございました✨

アズやっこ
2022.05.17 アズやっこ

ウル様

コメントありがとうございます。

完結までお読み頂きありがとうございました。

エリザとレオ、そして子供達、愛情に包まれた幸せな家族です。

レオ父とイザベラは天罰ですね。

新作もウル様の目に止まる事を願っています。

解除

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