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滅びの神託
第十章第15話 セムノスの美食
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2021/12/13 誤字を修正しました
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私たちを乗せた馬車は一路東へと向かい、セムノスにやってきた。この町を訪れるのはかれこれ四度目なわけだが、そのいずれも大急ぎの旅だったためじっくりと滞在するのは今回が初めてだ。
私たちとしてはイエロープラネットに向かった先遣隊がエイブラへと行って、色々な調整をして戻ってくるころにイエロープラネットとの国境の町に到着できるのが理想だ。そのため、あまり先を急ぐことに意味はない。
そんなわけで私たちはこのセムノスで四泊する予定になっている。その間は主に魔物たちを衝動から解放してあげるつもりなのだが、これまでにしっかりと堪能できなかったグルメを味わうつもりだ。
特に、ペカという鉄の鍋に興味がある。この前はそのペカで調理された料理だけをもらったのだけだったため、そのお鍋自体は見ていないのだ。どうせなら、調理用に一つくらい買っていくのもありかもしれないね。
そんなわけで私たちはさっそく前回イエロープラネットへと出発する前に料理を分けてもらったレストランへと向かった。
「聖女様。ようこそおいでくださいました。さあ、こちらへ」
「はい。ありがとうございます」
今回はペカで蒸し焼きを作るところからみたいと希望を伝えてあるので、すぐに裏にある厨房へと通してもらった。
するとそこにはずらりといくつものかまどが並んでおり、それぞれのかまどにいくつもの鉄の鍋がくべられてじっくりと加熱されている。しかも、鉄の鍋は下からだけではなく、上にも炭が置かれて加熱されているのだ。
「ここが、ペカ専用のかまどです。このように、炭火で上下からおよそ二時間かけてじっくりと蒸し焼きにいたします」
なるほど。あの美味しいラム肉はこうして作られていたのか。炭火でこうしてじっくり蒸し焼きにしたからこその味なのかもしれない。
うん。これは今日の料理が楽しみだ。
「聖女様。本日は子牛のペカをお召し上がりいただきます。このように適切な大きさにカットしたジャガイモ、ニンジン、パプリカ、玉ねぎ、そして潰したニンニクを鍋に並べます」
シェフが料理の作り方まで説明してくれる。
「子牛の肉は適切な大きさに切り、塩コショウ、白ワイン、オリーブオイルを混ぜたマリネ液に浸します。そしてこの肉を野菜の上に並べ、そのまま残ったマリネ液も注いでしまいます。最後に、乾燥ローズマリーとローリエを乗せて蓋をします」
どうやら調理の過程はあまり難しくなさそうだ。
「続いてこのように炭の山に円形の窪みを作り、その上にペカを置きます。最後はこのように蓋をして、その上に炭を被せておよそ二時間で完成となります」
「なるほど。こうしてあの美味しい料理が出来上がるんですね」
「ありがとうございます。恐縮です」
うん。これくらいならアイリスタウンのように何も無い場所でもしっかり料理できそうだ。やはりこのペカの調理セットは一式買いそろえておこう。
「聖女様がいらっしゃるのに合わせてこちらの鍋で調理をしておきました。そろそろ出来上がるころですので、どうぞお席でお待ちください」
「ありがとうございます」
それから私たちは席に着き、料理の到着を待つ。すると、まるで私たちが着席するのを待っていたかのようにさっと料理が運ばれてきた。
一品目はタコと野菜のサラダだ。
これは前に来たときも分けてもらった料理だ。大量のブツ切りのタコにトマト、玉ねぎ、レタスが添えられている。ドレッシングも前と同じでオリーブオイルとレモン汁、塩とパセリだそうだ。
まずはタコを一口。うん。やっぱりセムノスのタコは美味しいね。柔らかくて、それでいて噛めば噛むほどそのうま味が口いっぱいに広がっていく。そこに塩味と酸味とオリーブオイルの甘みが加わり、絶妙な塩梅でタコの味を引き立ててくれているのだ。そこに追加で野菜を口に運べば、もはやそこは味と香りのパラダイスと言っても過言ではない。トマトの酸味と香り、玉ねぎのシャキシャキ感とわずかなツンとした香り、さらにその中に隠された辛みと甘みとシャキッとしたレタスの甘みとわずかな苦味が次々と現れては混ざりあうのだ。
うん。さすがはセムノス産のタコと野菜のサラダだね。
それから同時に供されたスープをいただく。クリアな黄金色のスープには何かの香草と小さなお魚の欠片、そして少しだけお米が入っている。
おお! お米!
レッドスカイ帝国やゴールデンサン巫国では度々お世話になったけれど、ホワイトムーン王国で食べるのははじめてな気がする。
私はさっそくスプーンでそっとスープを掬うと口に運んだ。
うん。シンプルでとても優しい味だ。味付けは塩だけなのだろう。だがそれでもきっちりとお魚の出汁が出ており、これでもかと大海原の恵みを主張してきている。塩はその味を引き締めつつもそっと下支えをしてくれていて、さらに香草がくどくなりすぎないようにバランスを整えてくれているのだ。
そしてスープをほどよく吸い込んだお米はどうだ!
自身の甘みと相まって、いくらでも食べられそうなほどに美味しい。このスープにもっとお米を入れて雑炊風にしたら、疲れた夜や宴会の締めにも最適な一品になるのではないだろうか?
ちらりとみんなの様子を窺ってみると、やはり笑顔で食事を口に運んでいる。
うんうん。やっぱり美味しいよね。
そう考えていると、次のメニューが運ばれてきた。
「ムール貝のブザラでございます」
え? ブザラ? ブザラといえば、メインディッシュじゃないの? 子牛のペカは?
あ、もしかしてさらに来るってこと?
そんな不安に駆られた私だったが、それはどうやら杞憂だったようだ。私の前には小さなお皿が差し出された。そこにはブザラ特有のやや明るい黄土色の濁ってとろみのついたスープとムール貝が五つ盛り付けられている。スープ自体は様々な魚介類で取ったのだろう。複雑な香りにニンニクとバジルの香りが漂ってきおり、なんとも食欲がそそられる。
「こちらは手づかみでお召し上がりください。また、バケットもございます。どうぞお好きな量だけお召し上がりください」
そう言ってウェイトレスさんがパンとフィンガーボウルを一緒に運んできてくれた。私は早速パンをつかむと、一口サイズに千切ってスープに浸し、それを口に運んだ。すると口の中に先ほどのスープの香りと柔らかなパンの香りが広がっていく。
うん。やっぱりスープに浸したパンというのは本当においしいね。噛めば噛むほど染み込んだスープの濃厚なうま味が口いっぱいに広がり、油断すればもう一切れ、もう一切れと食べ進めてしまいそうになる。
続いてムール貝を手で掴むと、貝殻を蝶番の部分で二つに割る。そして身のついていない片方をスプーン代わりにしてその身を貝からはがし、そのまま口に運んだ。するとまずは濃厚なスープの味と香りが広がってくる。それから滑らかでとろける食感の身を噛み切れば、じゅわりと貝のエキスがあふれだすではないか!
甘みがあって豊かな味わいなのに、それでいてさっぱりしているのだから驚きだ。これは今まで食べたムール貝の中でも一二を争う美味しさかもしれない。
おかげであっという間にパンとムール貝を完食してしまった。
うん。本当に美味しかった。これが普通のサイズで出されていたら、きっと私はお腹いっぱいになるまで食べてしまったに違いない。
しかし、小さなお皿で供してくれるというこの心づかいがなんともありがたい。
「子牛のペカでございます」
おっ! ついに来た。
前回はラム肉だったわけだが、今回は子牛で玉ねぎとニンジンが追加されている。
よし。まずは子牛のお肉からいただこう。このペカで調理したお肉は、フォークで刺すだけでほろりと崩れそうになるほどに柔らかくなるのが特徴だ。しかもきっちり一口サイズに切り分けてくれているため、ナイフいらずなのもありがたい。
そんなお肉を口に含めばほとんど噛むことなく肉はほろりと崩れ落ち、熱々の肉汁がまるで洪水のように口の中であふれだした。臭みもなく、うま味だけがしっかりと引き出されている。しかもそこに塩と白ワインのコク、ニンニクの香り、そしてオリーブオイルの甘みがプラスされるのだ。さらにニンニクほど強烈ではないにもかかわらず、胡椒とハーブが全体のバランスをしっかりと整えて調和をもたらしている。
そしてそこに合わせるのはやはりこのジャガイモをおいて他にはないのではないだろうか?
美しい黄金色に蒸し上げられたそれは見るからに美味しそうな湯気を立ちのぼらせており、ニンジンのオレンジ色と相まって見た目からも食欲をそそってきている。
私はそのジャガイモをフォークで口に運んだ。熱々のジャガイモは先ほどの肉汁とマリネ液を程よく吸ってしっとりとした食感に仕上がっており、その甘みがお肉の味をマイルドにしてくれている。しかも中心はホクホクなため、ジャガイモ本来の味まで楽しめるではないか!
これは美味しい。やはりこのペカという料理はジャガイモとセットになってこその料理なのだろう。
ニンジンと玉ねぎもわき役として中々にいい味を出している。ニンジンも玉ねぎもしっかりと甘みがあり、お肉、ジャガイモ、お肉、ニンジン、お肉、玉ねぎと交互に食べ進めることで飽きることなく食べられるのだ。
私用のお皿はどれも小さなもので提供してもらっているというのもあるが、あっという間に食べ終わってしまった。
ああ、美味しかった。ちらりとルーちゃんを見れば、満足そうな顔をして大きなお皿に盛られたそれを平らげている。
いやはや、本当に素晴らしいね。
よし。やっぱりこのお鍋は後で買いに行こう。
食後の心地よい満足感に浸りながら私はそう決意したのだった。
================
ペカの調理方法は、各家庭各レストランで異なります。本話では現地の方の作られたいくつかの動画を参考にしておりますが、分かりやすさのため日本で馴染みのない調味料などについてはアレンジしております。そのため本話の説明どおりに調理しても本場の味と同等にはなりませんが、何卒ご了承ください。
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私たちを乗せた馬車は一路東へと向かい、セムノスにやってきた。この町を訪れるのはかれこれ四度目なわけだが、そのいずれも大急ぎの旅だったためじっくりと滞在するのは今回が初めてだ。
私たちとしてはイエロープラネットに向かった先遣隊がエイブラへと行って、色々な調整をして戻ってくるころにイエロープラネットとの国境の町に到着できるのが理想だ。そのため、あまり先を急ぐことに意味はない。
そんなわけで私たちはこのセムノスで四泊する予定になっている。その間は主に魔物たちを衝動から解放してあげるつもりなのだが、これまでにしっかりと堪能できなかったグルメを味わうつもりだ。
特に、ペカという鉄の鍋に興味がある。この前はそのペカで調理された料理だけをもらったのだけだったため、そのお鍋自体は見ていないのだ。どうせなら、調理用に一つくらい買っていくのもありかもしれないね。
そんなわけで私たちはさっそく前回イエロープラネットへと出発する前に料理を分けてもらったレストランへと向かった。
「聖女様。ようこそおいでくださいました。さあ、こちらへ」
「はい。ありがとうございます」
今回はペカで蒸し焼きを作るところからみたいと希望を伝えてあるので、すぐに裏にある厨房へと通してもらった。
するとそこにはずらりといくつものかまどが並んでおり、それぞれのかまどにいくつもの鉄の鍋がくべられてじっくりと加熱されている。しかも、鉄の鍋は下からだけではなく、上にも炭が置かれて加熱されているのだ。
「ここが、ペカ専用のかまどです。このように、炭火で上下からおよそ二時間かけてじっくりと蒸し焼きにいたします」
なるほど。あの美味しいラム肉はこうして作られていたのか。炭火でこうしてじっくり蒸し焼きにしたからこその味なのかもしれない。
うん。これは今日の料理が楽しみだ。
「聖女様。本日は子牛のペカをお召し上がりいただきます。このように適切な大きさにカットしたジャガイモ、ニンジン、パプリカ、玉ねぎ、そして潰したニンニクを鍋に並べます」
シェフが料理の作り方まで説明してくれる。
「子牛の肉は適切な大きさに切り、塩コショウ、白ワイン、オリーブオイルを混ぜたマリネ液に浸します。そしてこの肉を野菜の上に並べ、そのまま残ったマリネ液も注いでしまいます。最後に、乾燥ローズマリーとローリエを乗せて蓋をします」
どうやら調理の過程はあまり難しくなさそうだ。
「続いてこのように炭の山に円形の窪みを作り、その上にペカを置きます。最後はこのように蓋をして、その上に炭を被せておよそ二時間で完成となります」
「なるほど。こうしてあの美味しい料理が出来上がるんですね」
「ありがとうございます。恐縮です」
うん。これくらいならアイリスタウンのように何も無い場所でもしっかり料理できそうだ。やはりこのペカの調理セットは一式買いそろえておこう。
「聖女様がいらっしゃるのに合わせてこちらの鍋で調理をしておきました。そろそろ出来上がるころですので、どうぞお席でお待ちください」
「ありがとうございます」
それから私たちは席に着き、料理の到着を待つ。すると、まるで私たちが着席するのを待っていたかのようにさっと料理が運ばれてきた。
一品目はタコと野菜のサラダだ。
これは前に来たときも分けてもらった料理だ。大量のブツ切りのタコにトマト、玉ねぎ、レタスが添えられている。ドレッシングも前と同じでオリーブオイルとレモン汁、塩とパセリだそうだ。
まずはタコを一口。うん。やっぱりセムノスのタコは美味しいね。柔らかくて、それでいて噛めば噛むほどそのうま味が口いっぱいに広がっていく。そこに塩味と酸味とオリーブオイルの甘みが加わり、絶妙な塩梅でタコの味を引き立ててくれているのだ。そこに追加で野菜を口に運べば、もはやそこは味と香りのパラダイスと言っても過言ではない。トマトの酸味と香り、玉ねぎのシャキシャキ感とわずかなツンとした香り、さらにその中に隠された辛みと甘みとシャキッとしたレタスの甘みとわずかな苦味が次々と現れては混ざりあうのだ。
うん。さすがはセムノス産のタコと野菜のサラダだね。
それから同時に供されたスープをいただく。クリアな黄金色のスープには何かの香草と小さなお魚の欠片、そして少しだけお米が入っている。
おお! お米!
レッドスカイ帝国やゴールデンサン巫国では度々お世話になったけれど、ホワイトムーン王国で食べるのははじめてな気がする。
私はさっそくスプーンでそっとスープを掬うと口に運んだ。
うん。シンプルでとても優しい味だ。味付けは塩だけなのだろう。だがそれでもきっちりとお魚の出汁が出ており、これでもかと大海原の恵みを主張してきている。塩はその味を引き締めつつもそっと下支えをしてくれていて、さらに香草がくどくなりすぎないようにバランスを整えてくれているのだ。
そしてスープをほどよく吸い込んだお米はどうだ!
自身の甘みと相まって、いくらでも食べられそうなほどに美味しい。このスープにもっとお米を入れて雑炊風にしたら、疲れた夜や宴会の締めにも最適な一品になるのではないだろうか?
ちらりとみんなの様子を窺ってみると、やはり笑顔で食事を口に運んでいる。
うんうん。やっぱり美味しいよね。
そう考えていると、次のメニューが運ばれてきた。
「ムール貝のブザラでございます」
え? ブザラ? ブザラといえば、メインディッシュじゃないの? 子牛のペカは?
あ、もしかしてさらに来るってこと?
そんな不安に駆られた私だったが、それはどうやら杞憂だったようだ。私の前には小さなお皿が差し出された。そこにはブザラ特有のやや明るい黄土色の濁ってとろみのついたスープとムール貝が五つ盛り付けられている。スープ自体は様々な魚介類で取ったのだろう。複雑な香りにニンニクとバジルの香りが漂ってきおり、なんとも食欲がそそられる。
「こちらは手づかみでお召し上がりください。また、バケットもございます。どうぞお好きな量だけお召し上がりください」
そう言ってウェイトレスさんがパンとフィンガーボウルを一緒に運んできてくれた。私は早速パンをつかむと、一口サイズに千切ってスープに浸し、それを口に運んだ。すると口の中に先ほどのスープの香りと柔らかなパンの香りが広がっていく。
うん。やっぱりスープに浸したパンというのは本当においしいね。噛めば噛むほど染み込んだスープの濃厚なうま味が口いっぱいに広がり、油断すればもう一切れ、もう一切れと食べ進めてしまいそうになる。
続いてムール貝を手で掴むと、貝殻を蝶番の部分で二つに割る。そして身のついていない片方をスプーン代わりにしてその身を貝からはがし、そのまま口に運んだ。するとまずは濃厚なスープの味と香りが広がってくる。それから滑らかでとろける食感の身を噛み切れば、じゅわりと貝のエキスがあふれだすではないか!
甘みがあって豊かな味わいなのに、それでいてさっぱりしているのだから驚きだ。これは今まで食べたムール貝の中でも一二を争う美味しさかもしれない。
おかげであっという間にパンとムール貝を完食してしまった。
うん。本当に美味しかった。これが普通のサイズで出されていたら、きっと私はお腹いっぱいになるまで食べてしまったに違いない。
しかし、小さなお皿で供してくれるというこの心づかいがなんともありがたい。
「子牛のペカでございます」
おっ! ついに来た。
前回はラム肉だったわけだが、今回は子牛で玉ねぎとニンジンが追加されている。
よし。まずは子牛のお肉からいただこう。このペカで調理したお肉は、フォークで刺すだけでほろりと崩れそうになるほどに柔らかくなるのが特徴だ。しかもきっちり一口サイズに切り分けてくれているため、ナイフいらずなのもありがたい。
そんなお肉を口に含めばほとんど噛むことなく肉はほろりと崩れ落ち、熱々の肉汁がまるで洪水のように口の中であふれだした。臭みもなく、うま味だけがしっかりと引き出されている。しかもそこに塩と白ワインのコク、ニンニクの香り、そしてオリーブオイルの甘みがプラスされるのだ。さらにニンニクほど強烈ではないにもかかわらず、胡椒とハーブが全体のバランスをしっかりと整えて調和をもたらしている。
そしてそこに合わせるのはやはりこのジャガイモをおいて他にはないのではないだろうか?
美しい黄金色に蒸し上げられたそれは見るからに美味しそうな湯気を立ちのぼらせており、ニンジンのオレンジ色と相まって見た目からも食欲をそそってきている。
私はそのジャガイモをフォークで口に運んだ。熱々のジャガイモは先ほどの肉汁とマリネ液を程よく吸ってしっとりとした食感に仕上がっており、その甘みがお肉の味をマイルドにしてくれている。しかも中心はホクホクなため、ジャガイモ本来の味まで楽しめるではないか!
これは美味しい。やはりこのペカという料理はジャガイモとセットになってこその料理なのだろう。
ニンジンと玉ねぎもわき役として中々にいい味を出している。ニンジンも玉ねぎもしっかりと甘みがあり、お肉、ジャガイモ、お肉、ニンジン、お肉、玉ねぎと交互に食べ進めることで飽きることなく食べられるのだ。
私用のお皿はどれも小さなもので提供してもらっているというのもあるが、あっという間に食べ終わってしまった。
ああ、美味しかった。ちらりとルーちゃんを見れば、満足そうな顔をして大きなお皿に盛られたそれを平らげている。
いやはや、本当に素晴らしいね。
よし。やっぱりこのお鍋は後で買いに行こう。
食後の心地よい満足感に浸りながら私はそう決意したのだった。
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ペカの調理方法は、各家庭各レストランで異なります。本話では現地の方の作られたいくつかの動画を参考にしておりますが、分かりやすさのため日本で馴染みのない調味料などについてはアレンジしております。そのため本話の説明どおりに調理しても本場の味と同等にはなりませんが、何卒ご了承ください。
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