上 下
162 / 199

第二部 第三章「女王陛下と大怪盗」(1)

しおりを挟む


「おいおい、女王陛下って、そりゃいくらなんでも……あっ」

 キムはそこまで言って、周囲を見て慌てて言葉を止めてひざまずいた。
 他のみんながそうしていることに気付いたからだ。

「わはは、そうだよな! こんな糞まみれのばーさんが……」

 空気が読めないルッ君だけが、キムの言葉を続けていらんことを言った。
 花京院は……、ジョセフィーヌが頭を押さえてひざまずかせていた。
 
「ひひひ、愉快な仲間たちじゃのう?」
「きょ、恐縮です」
「えっ、マ、マジなの……? 馬糞……もごっ」

 僕が返答しているのにまだ何か言おうとするルッ君を、キムが押さえ込んだ。

「うちの大使を完全にやりこめた若造がいると聞いて、ちょいとからかってやろうかと思うとったのじゃが、予想以上の傑物のようじゃの、ベルゲングリューン伯」

 女王陛下が言った。
 なるほど、イシドラさんから話を聞いて、仕返しついでにどんな奴か見てやろうって腹積もりだったのか。

「おかげで朝からひどい目に遭いましたよ。エスパダを嫌いになるところでした。せっかくお昼までエスパダ観光と買い物を楽しもうと思っていたのに……」
「まぁまぁ、そう言うでない。これから我が国を大好きにさせてやるゆえ」

 僕の恨み節に、女王陛下が苦笑しながら僕をなだめた。

「海賊討伐の叙勲の際に楽しみにしておくがよい。デモ隊にふんした反抗組織レジスタンスどもを退けるばかりか、見事群衆を味方に付けたそなたの手腕と功績を踏まえ、そなたらが喜びそうな褒美を取らせるゆえ」

 女王陛下直筆の署名による永続的なエスパダへの自由渡航と通商の許可証は、すでにイシドラさん経由でいただいていたが、正式な叙勲があるとのことで、僕たちは後日エスパダの王宮であるアレハンドロ宮殿に出向くことになっていた。

「よかった。イシドラさんがケチなだけだったんですね。てっきり、エスパダの女王がどケチなのかと思っていました」
「お、おい……」

 ヒルダ先輩とヴェンツェルの常識人二人が、僕の物言いにハラハラしている。
 ヒルダ先輩を常識人のくくりに入れるのはちょっと、ためらう部分もあるんだけど、こういう時のハラハラしている感じは祖父であるアルフォンス宰相閣下にそっくりだ。

 そんな二人には申し訳ないけど、僕はこの婆さんの気まぐれと悪ふざけで、今日はさんざんな目に遭わされたのだ。
 今さら気を遣うつもりはなかった。

「じゃが、どうやって見抜いたのじゃ?」
「匂いです。身なりも気にしない、きったねぇ婆さんにしては、やたらといい匂いがしましたので」
「匂いじゃと?」
「ええ」

 目を丸くする女王陛下に、僕は答えた。

 たとえばアリサからは柑橘系の香りがするし、ゾフィアからはライムの香り、テレサからは椰子の実ココナッツの香りがする。
 ミスティ先輩からは上品な薔薇の香りがするし、ヒルダ先輩からはイランイランのエキゾチックな香りがする。
 ジョセフィーヌからはビャクダンや沈香じんこうなどの香木が混ざったような、オリエンタルで中性的な香り。

 それぞれがそれぞれの香りを漂わせているけど、僕はこれまでに、たった一人だけ、「もはやなんの植物なのかもわからない、とにかくすっげぇいい香り」を身にまとわせている女性と会っている。

 ……そう、最近はしゃぎ回っていたせいで、すっかりお笑いキャラになってしまいつつある、あの御方だ。

「ユリーシャ王女殿下の匂いと似た香りがずっとしていたんですよ。なので、この香水はおそらく、そういうステージにいる人しか使えないようなものなのかなって」
「……そんなことより、そなたが体臭を嗅ぎ分けられるほど『ヴァイリスの至宝』と近しい関係にあることに驚きじゃわ」

 老婆の姿をした女王異陛下はそう言いながら、苦笑する。
 
 そういえば、これはイグニア新聞がすっぱ抜いたせいで後で大騒ぎになったんだけど、そんなヴァイリスの至宝は、ベルゲングリューンランドの古代迷宮を各国の冒険者たちが掃討していた時、ユリシール殿の甲冑を着て参加し、クラン「水晶の龍」と共に、なんと最下層まで踏破したのだ。

 その時の王女殿下は、同じような全身甲冑の男を連れ歩いていた。
 さすがに今回は護衛を付けたのだろう、なんて思っていたけど、最下層の踏破で感激したユリーシャ王女殿下が大喜びで兜を脱ぎ捨て、その甲冑の男に飛びついた。

 ユリシール殿の正体を知らなかった冒険者たちはそれだけでも驚愕だったんだけど、飛びつかれた男の方も感極まって兜を投げ捨てて抱きしめてしまい、冒険者たちは勝利の喜びどころではなくなった。

 そこには、大喜びするユリーシャ王女殿下を笑って抱きしめる、英雄エリオこと、エリオット国王陛下がいたからである。

 ……そんなわけで、「ユリシール殿」の正体はヴァイリス全土でバレバレになってしまったんだけど、冒険者や街の人の間で「王女殿下がユリシール殿をやっている時は、気付かないフリをして、高名な冒険者、ユリシール殿として接しよう」という暗黙のルールが出来上がったあたり、国民たちから愛されるヴァイリスの至宝なのであった。

 そんなヴァイリスの至宝と似た香りを漂わせているのが、ただの老婆なわけがない。

 あと、「きったねぇ婆さん」と何度も言ってきたけど、僕はよっぽど汚くない限り、お婆さんのことをそんな風に言うことはない。
 
 女王陛下がふんする老婆は、不自然なほどにのだ。

「いかにも、わらわが使っている香水は、アンブロシアという伝説の花の雫が使われておる。一般人にはそうそう手に入らぬじゃろうから、鋭い指摘じゃ」
「そこまでは、きったねぇ婆さんに徹しきれなかったんですね」

 僕がそういうと、女王陛下がきゃっきゃっ、と笑った。

「まっちゃんって匂いフェチだもんね」

 ユキがぼそっと言った。

「フェチって……、なんか僕が変態みたいじゃないか」
「知ってるぅ? まつおちゃんがそんなだから、ウチのクラスの女子、こぞって香水コロンを使い始めたのよぉ? 更衣室の匂いが大変なことになってるんだからぁ~」
「あれは本当に最悪。私なんてさっさと着替えてすぐに出ちゃうもの」

 ジョセフィーヌの言葉に、アリサがうなずいた。
 そんなことより、女子更衣室で女子たちと一緒に着替えるのを許されているジョセフィーヌがすごいと思うし、初対面のエスパダの女王陛下の前でこんなしょうもない会話ができるのもすごいと思う。

「先程の暴動の治め方も見事じゃった。流血沙汰になれば介入しようかとも思ったが……」
「暴動を巻き起こした張本人がよく言いますよ……」
「オレ、馬糞をアイツに投げつけたの、絶対まつおさんだと思ったぜ」
「私も。日頃の行いが悪すぎるんだもん」

 花京院とユキが言うのを、女王陛下が孫たちを見るような目で見て笑った。

「さて……。それでは、わらわの本当の姿を見せてしんぜようかの」
「マ、マジでか……、い、いや、マジですか……!」

 期待に胸を膨らませたルッ君が、思わず口に出た言葉を敬語に直した。
 いや、全然敬語になってないんだけど。

「ふふ……マジじゃ。市民が見ておったら大騒ぎになるじゃろうが、今はあやつらを追い回しておるから構わんだろう。それっ!」

 ボロボロの衣服を身に纏ったみすぼらしい老婆姿の女王陛下がそう言って指を鳴らす。
 その途端。

「おおっ!!!」

 ルッ君が思わず声を上げる。

 布切れのような衣服がみるみるうちにきらびやかな宝石がちりばめられた、真紅のコートと、同色の瀟洒しょうしゃなドレスハットに変化する。

 ぴん、と背筋を伸ばし、聡明さが溢れ出るような理知的な瞳をこちらに向けたエスパダの女王の御姿は、エスパダの紙幣に描かれていた肖像そっくりの……。

 そっくりの貴婦人の50年後のような姿に変化していた。

「けっきょく婆さんなんかい!!!」
「お、おいっ、ルクス! メルセデス女王陛下になんちゅうことを言うんだ……」 

 思わず女王陛下にツッコんでしまったルッ君をヴェンツェルが慌てていさめた。
 そうそう、許可証の署名で初めて知ったんだけど、エスパダの女王陛下はメルセデスというお名前なのだ。
 ……まるで神様みたいな名前だ。

「だってさ、フツー、キレイなお姉さんになるって思うじゃん?!」

 ルッ君の魂の叫びがエル・ブランコの港湾に響いた。

「婆さんに変身していた人がもったいぶって『正体を見せる』って言ってドキドキしてたら違う婆さんになった姿を見せられるこの気持ち、どうしてくれるの? 婆さんトゥ婆さんだぞ?! わざわざ婆さんから、婆さんになる必要ある?!」

 ルッ君が半泣きになって訴えてきたので、僕たちは思わず目をそらした。

「本当はもっと若かったんじゃ!」
「……だいたいの婆さんはそうだと思います。女王陛下」
「い、いや、そうではなくてな……」

 女王陛下は僕のツッコミに少々たじろぎながら、説明してくれた。

「知っての通り、わらわは変身魔法を得意とするのじゃが……、幼き頃より変身を繰り返していたせいで、元のわらわの姿がどうだったか、わからんようになってしまったのじゃ」
「ええぇ……」

 誰かがドン引きした声が聞こえると思って振り向いたら、ヒルダ先輩だった。
 この人がたまに普通っぽいリアクションするの、めちゃくちゃ面白い。 

「そんな、むちゃくちゃな……」
「まだ王女だった頃、わらわには許婚いいなずけがおってな。じゃが、わらわはどうしてもそやつと婚姻を結びたくないあまり、このようなババアの姿に変身してやりすごしたのじゃが……」

 その許婚との婚姻政策を老婆の姿で回避した手前、その姿のまま戴冠する羽目になり、市井しせいの民草にその姿を見せてしまった関係で、ずっとこの姿になっているのだとか。

 そう聞けば、この女王陛下もなかなか大変な人生を送っているものだ。
 そこまでして結婚したくない男性ってのは、どんな人だったんだろう。

「まさかあの時のブサイクなヴァイリスの青年貴族がエスパダの王になる道をさっさとあきらめ、冒険に明け暮れて大陸で勇名を馳せ、婿入りしてヴァイリスの王になるなどとは思いもしなかったがのう……」
「「「「「エリオット陛下かーい!!!」」」」」

 僕とヴェンツェル、ギルサナス、ヒルダ先輩、ユキが身分も忘れてメルセデス女王陛下に思わず全力でツッコんだ。

「そんなわけで、見た目はこんなじゃが、わらわの年齢は30代じゃ。……元の姿がわからんようになっただけでな」

 理知的な笑みを浮かべて、メルセデス女王陛下が言葉を続ける。

「なので、そなたの子をはらもうと思えば、はらめんことはないかもしれんぞ? どうじゃ、美女になってやろうか?」
「うーん……。それは、どうなんだろう」
「……あのな、照れるか全力で嫌がるかのどっちかにしてくれんか?」

 女王陛下が力なくツッコんだ。

 僕はつい、考えてしまったのだ。
 女王陛下には申し訳ないけど、老婆のフリをしてずっと生きてきた人は、見た目はどうあれ、もうその中身はほとんど老婆なんじゃないだろうか。
 
 たとえばアウローラは3000歳以上なんだと思うけど、老婆だと思ったことはない。
 むしろこう、ピチピチでイケイケのお姉さんみたいな印象がある。

 頭の中で話しかけられてゾクゾクするし。
 常に知的で蠱惑こわく的、セクシーな存在だ。

 朝起きたら、ベッドの隣に裸のアウローラがいて、

「ふふ、そなたの寝顔はこんなにかわいいのだな。もう少し眠って寝顔を見せろ」

 って言われたらすごいドキドキすると思うけど。

 いくら美女の姿をしていたとしても、朝起きたら女王陛下が同じベッドにいて、

「なんじゃ、やっと起きたのか? ふふ、寝坊ねぼすけじゃのう」

 とか言ったら、「うわああっ!!」ってなりそうな気がする。

『ふふふ、そなたはよくわかっているではないか。まさにその通り! 女は年齢ではないのだぞ!!』

 僕の心を勝手に覗き込んだアウローラが、勝手に上機嫌になった。

「……ふん、まぁ良いわ。わらわはこれから寄らねばならぬところがあるゆえ、先に行くぞ。それではな」
「い、いや、王宮にお戻りになられたほうが良いのでは……」

 思わずツッコんだミスティ先輩に、女王陛下が嫌そうな顔を向けた。

「いーやーじゃ!! せっかく国政を丸投げして自由の身になったと思ったら、あやつら、わらわをエスパダの象徴だとかなんだとか抜かしおって、ちっとも自由にさせてくれんのだ!! 仕方ないからババアに変身して外に出ようとしたら警察に追いかけ回される始末よ!!」

 女王陛下はそう言って指を鳴らすと、今度は灰色のフクロウに変身して、そのまま飛び立ってしまった。

「いや、だからさ……、変身のチョイスが、お婆さんなんだよね……」

 僕がぼそっとそう言ったのが聞こえたのか、フクロウはバサバサと音を立ててどこかに墜落していった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

婚約者の幼馴染?それが何か?

仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた 「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」 目の前にいる私の事はガン無視である 「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」 リカルドにそう言われたマリサは 「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」 ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・ 「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」 「そんな!リカルド酷い!」 マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している  この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」 「まってくれタバサ!誤解なんだ」 リカルドを置いて、タバサは席を立った

裏切りの代償

志波 連
恋愛
伯爵令嬢であるキャンディは婚約者ニックの浮気を知り、婚約解消を願い出るが1年間の再教育を施すというニックの父親の言葉に願いを取り下げ、家出を決行した。 家庭教師という職を得て充実した日々を送るキャンディの前に父親が現れた。 連れ帰られ無理やりニックと結婚させられたキャンディだったが、子供もできてこれも人生だと思い直し、ニックの妻として人生を全うしようとする。 しかしある日ニックが浮気をしていることをしり、我慢の限界を迎えたキャンディは、友人の手を借りながら人生を切り開いていくのだった。 他サイトでも掲載しています。 R15を保険で追加しました。 表紙は写真AC様よりダウンロードしました。

寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。

にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。 父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。 恋に浮かれて、剣を捨た。 コールと結婚をして初夜を迎えた。 リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。 ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。 結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。 混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。 もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと…… お読みいただき、ありがとうございます。 エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。 それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。

束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。 だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。 そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。 全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。 気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。 そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。 すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。

処理中です...