98 / 154
第六章 赤
第96話 聖王国にて(後編)★フレッド視点
しおりを挟む
フレッド視点です。
********
大神官を脅し……もとい、話し合いをした翌朝。
ワシは、大神官の案内で、ハルモニアの部屋を訪れた。
ハルモニアは、大神官の娘であり、現聖王マクシミリアンの妃だ。
『旋律の巫女』として力を使い続けた彼女は、人の言葉を聞くことも話すことも出来ない。
ワシが聖王だった頃から、神事の際を除いて城の中に幽閉され、外に出ることもままならない状態である。
――ワシは、深く後悔していた。
今も、自分に対して、どうしようもない怒りを抱えている。
ワシは当時ハルモニアの状況に気付いてやることが出来なかった。
聖王としての公務に追われ、甥っ子の問題も、ハルモニアの状態も、兄が裏で糸を引いていた問題も、一切耳に入ってくることはなかったのだ。
それだけではない。
娘のソフィアが抱えていた問題すら、ワシは気が付かなかったのだから。
ソフィアが遺した手紙を読んで、ワシはとにかく自分を責めた。
だが、いくら後悔したところで、過去を変えられる訳ではない。
聖王国に一切戻らず、問題と向き合わず、情報も集めずに呑気に暮らしていた――ワシは、そんな自分に怒りを抱いた。
だが今は、過去を嘆いている場合ではない。
セオやパステル嬢ちゃんのためにも、ソフィアの手紙に書いてあった問題を最優先で解決しなくてはならないのだ。
昨晩大神官から聞いた話を信じるなら、マクシミリアンの方は今のところ放っておいても問題ないだろう。
ハルモニアも、話せば分かってくれる可能性が高い。
問題は『調香の巫女』フローラだが……上手いこと交渉材料を見つけなくては。
二人が、『巫女』の問題に気付く前に、全てを終わらせるのが理想だ。
さもないと――セオとパステル嬢ちゃんを引き離す羽目になってしまう。
ハルモニアの部屋の扉を開くと、そこには先客がいた。
青色の髪を揺らし、彼女は優雅に振り返る。
「あら、フレデリック様、大神官様、ご機嫌よう」
「ん? メーア嬢、来ておったのか」
「ええ。聖王城に来てから毎日、ハルモニア様とお話させていただいておりますわ」
「ほう。仲良くなったようで、何よりじゃのう」
「ええ、お陰様で」
久しぶりに会ったハルモニアは、髪と同じ銀色の目を細めて、楽しそうに口元を緩めていた。
彼女が笑うのを初めて見たような気がする。
ふと隣を見ると、大神官も驚いた表情をして佇んでいた。
ハルモニアの傍らには、人語を話す高位の妖精、フェンリルが控えている。
ハルモニアは、妖精とは意思疎通が出来るらしく、フェンリルを通じて他者とコミュニケーションを取っているのだ。
マクシミリアンが不在の間も、神事は行われる。
『豊穣の祭壇』と呼ばれる場所で、女神姿をとった地の精霊レアと、眷属の精霊たちに祈りを捧げるのだ。
豊穣の精霊たちは、王族から受け取った魔力を元手に、聖王都の世界樹に魔力を流す。
世界樹は聖王都全体に魔力を巡らせ、魔鉱石の鉱山に恵みをもたらし、森や田畑を豊かにし、力の弱まった精霊たちや妖精たちに力を与える。
世界樹から力を受け取った精霊たちは、自らの棲む地域へと帰っていき、その地に恵みを与え、力が弱まればまた聖王都へとやって来るのだ。
「~♪ ~~♪」
ハルモニアが、人には聞き取れない言語で、不思議な旋律を口ずさむ。
歌の時もあるし、笛やハープを使う時もあるが、ハルモニアの奏でる音色は、妖精にとっては意味のある言葉として聞こえるらしい。
傍らに控えていたフェンリルが、すぐさま人の言葉に通訳する。
「大神官よ、ちょっと退出しててくれねえか? ハルがそう望んでる」
フェンリルは、白くて大きな、長い毛を持つ妖精だ。
犬のような愛らしい見た目に反して、言葉遣いが少し乱暴なのは、彼が光の精霊から人語を教わったからだろうか。それとも、元々の彼の性格によるものだろうか。
大神官は、ワシとメーアに頭を下げて、部屋から出て行った。
「よう、フレッド。久しぶりだな。と言っても、まともに話したことは数えるほどしかねえが」
「うむ、久しいのう。フェンリルもハルモニアも、変わりないようじゃな」
「変わらねえよ。変わりようがねえからな、この場所じゃ」
「……すまん」
「……全くだぜ」
「~♪ ~~♪?」
「クゥ、クゥーン」
ワシとフェンリルが気まずい空気になっているのを察したのか、ハルモニアは、妖精の言葉でフェンリルに何か質問し始めたようだった。
もう一人室内に残っている、メーアに目を向ける。
深海の色の瞳は、ワシの様子を訝しんでいるようだった。
目が合うと、メーアは口を開いた。
「フレデリック様、大丈夫ですか?」
「ん? 何がじゃ?」
「……いえ、沈んだ表情をしておられたので」
「はっはっは、さすが帝国の皇女の目は誤魔化せないのう」
「何かお力になれること、ございますか?」
「そうじゃのう。メーア嬢には話しておこうかのう」
「ええ、何なりと」
帝都から聖王都への旅の途中でメーア嬢から得た情報は、『氷の祝子』であるノエルタウン領主の身柄と引き換えになり得る氷の魔石が、帝都で用意できること。
そして、ハルモニアの母がエルフであり、ハルモニアとアルバートが共にエルフとしての生を望んでいること。
事前に聞いていたその情報と、記録水晶の内容を照らし合わせて、兄と大神官の行ってきた取引が浮かんできたのだ。
そしてもうひとつ――。
「ソフィアが遺した手紙があるんじゃ。――ここに」
ワシは懐から手紙を取り出すと、メーアに渡した。
ハルモニアも、何事かとこちらをみている。
音としての言葉は理解できないハルモニアだが、文字を読むことは可能だったはず。
「ハルモニア、お主も読んでいいぞ。ただし他言無用じゃ」
すぐさまフェンリルが通訳すると、ハルモニアはしっかり頷いて、メーアと共に手紙を読み始めたのだった。
ゆっくり時間をかけて手紙を読み終わった二人は、難しい顔をして黙り込んでいる。
ワシは、テーブルの上に置かれた手紙を折りたたみ、再び懐にしまいこんだ。
「……何をすべきか、わかったかのう?」
「……このことを、セオとパステルは知っているのですか?」
「いや、知らないはずじゃ。二人に気付かれる前に、この件を解決したいと思っとる」
「~♪ ~~♪」
「ハルは、協力するってよ。アルバートと一緒に帝都に行ってもいいそうだ」
「かたじけない」
「問題は、『調香の巫女』ですわね」
「うむ。せめて王国に伝手があればのう。それに、フローラを説得出来る材料があれば良いのじゃが」
「王国の伝手だが、カイとノラは使えねえのか?」
「そうじゃのう、カイとノラには火の精霊の件と並行して、次代の『調香の巫女』候補になり得る者を探してもらおうかのう。……だが、王国は精霊の加護を閉ざした土地。難しいじゃろうな」
「フレデリック様、私、当てがございますわ。どうやら最近、王都で不思議な力を持つ魔女が活躍しているという噂が出回っているそうです」
「……魔女? 詳しく聞かせてくれんか?」
「もちろんですわ。もし噂が真実だとしたら、『調香の巫女』の件、一気に片付く可能性があります。その魔女は――」
そうしてワシらは、時間をかけて情報の整理をした。
途中で屋敷に戻るというイーストウッド侯爵に手紙を預け、昼過ぎにししまるを通じてセオからの伝言を受け取り、人目を避けながら城の資料室で調べ物をする。
マクシミリアンが戻るまであと数日――ワシは可能な限りの情報を集め、その時に備えたのだった。
とはいえ、ワシが聖王の座に興味を示さず、国民にも自分の存在を公表しない方針を貫けば、マクシミリアンが仕掛けてくることはまずないだろう。
一度は奴と会わねばなるまいが、帝国からの賓客であるメーア嬢と共に行動していれば、下手なことにはならない。
可愛い孫に絶交されないためにも、無理は禁物だ。
メーア嬢は、セオによって帝都に送り届けられたししまるを通じて皇帝と情報共有。
氷の魔石を確保し、帝国の騎士に届けさせるように手配した。
黒猫の妖精ノラから、セオたちと接触したという連絡を受け、火の精霊の件と並行して魔女の捜索をするよう依頼。
マクシミリアンが聖王都に戻ってきたのは、ちょうどその時だった。
ワシは気を引き締めると、メーア嬢と共に、会談に臨んだのであった。
********
次回からパステル視点に戻ります。
********
大神官を脅し……もとい、話し合いをした翌朝。
ワシは、大神官の案内で、ハルモニアの部屋を訪れた。
ハルモニアは、大神官の娘であり、現聖王マクシミリアンの妃だ。
『旋律の巫女』として力を使い続けた彼女は、人の言葉を聞くことも話すことも出来ない。
ワシが聖王だった頃から、神事の際を除いて城の中に幽閉され、外に出ることもままならない状態である。
――ワシは、深く後悔していた。
今も、自分に対して、どうしようもない怒りを抱えている。
ワシは当時ハルモニアの状況に気付いてやることが出来なかった。
聖王としての公務に追われ、甥っ子の問題も、ハルモニアの状態も、兄が裏で糸を引いていた問題も、一切耳に入ってくることはなかったのだ。
それだけではない。
娘のソフィアが抱えていた問題すら、ワシは気が付かなかったのだから。
ソフィアが遺した手紙を読んで、ワシはとにかく自分を責めた。
だが、いくら後悔したところで、過去を変えられる訳ではない。
聖王国に一切戻らず、問題と向き合わず、情報も集めずに呑気に暮らしていた――ワシは、そんな自分に怒りを抱いた。
だが今は、過去を嘆いている場合ではない。
セオやパステル嬢ちゃんのためにも、ソフィアの手紙に書いてあった問題を最優先で解決しなくてはならないのだ。
昨晩大神官から聞いた話を信じるなら、マクシミリアンの方は今のところ放っておいても問題ないだろう。
ハルモニアも、話せば分かってくれる可能性が高い。
問題は『調香の巫女』フローラだが……上手いこと交渉材料を見つけなくては。
二人が、『巫女』の問題に気付く前に、全てを終わらせるのが理想だ。
さもないと――セオとパステル嬢ちゃんを引き離す羽目になってしまう。
ハルモニアの部屋の扉を開くと、そこには先客がいた。
青色の髪を揺らし、彼女は優雅に振り返る。
「あら、フレデリック様、大神官様、ご機嫌よう」
「ん? メーア嬢、来ておったのか」
「ええ。聖王城に来てから毎日、ハルモニア様とお話させていただいておりますわ」
「ほう。仲良くなったようで、何よりじゃのう」
「ええ、お陰様で」
久しぶりに会ったハルモニアは、髪と同じ銀色の目を細めて、楽しそうに口元を緩めていた。
彼女が笑うのを初めて見たような気がする。
ふと隣を見ると、大神官も驚いた表情をして佇んでいた。
ハルモニアの傍らには、人語を話す高位の妖精、フェンリルが控えている。
ハルモニアは、妖精とは意思疎通が出来るらしく、フェンリルを通じて他者とコミュニケーションを取っているのだ。
マクシミリアンが不在の間も、神事は行われる。
『豊穣の祭壇』と呼ばれる場所で、女神姿をとった地の精霊レアと、眷属の精霊たちに祈りを捧げるのだ。
豊穣の精霊たちは、王族から受け取った魔力を元手に、聖王都の世界樹に魔力を流す。
世界樹は聖王都全体に魔力を巡らせ、魔鉱石の鉱山に恵みをもたらし、森や田畑を豊かにし、力の弱まった精霊たちや妖精たちに力を与える。
世界樹から力を受け取った精霊たちは、自らの棲む地域へと帰っていき、その地に恵みを与え、力が弱まればまた聖王都へとやって来るのだ。
「~♪ ~~♪」
ハルモニアが、人には聞き取れない言語で、不思議な旋律を口ずさむ。
歌の時もあるし、笛やハープを使う時もあるが、ハルモニアの奏でる音色は、妖精にとっては意味のある言葉として聞こえるらしい。
傍らに控えていたフェンリルが、すぐさま人の言葉に通訳する。
「大神官よ、ちょっと退出しててくれねえか? ハルがそう望んでる」
フェンリルは、白くて大きな、長い毛を持つ妖精だ。
犬のような愛らしい見た目に反して、言葉遣いが少し乱暴なのは、彼が光の精霊から人語を教わったからだろうか。それとも、元々の彼の性格によるものだろうか。
大神官は、ワシとメーアに頭を下げて、部屋から出て行った。
「よう、フレッド。久しぶりだな。と言っても、まともに話したことは数えるほどしかねえが」
「うむ、久しいのう。フェンリルもハルモニアも、変わりないようじゃな」
「変わらねえよ。変わりようがねえからな、この場所じゃ」
「……すまん」
「……全くだぜ」
「~♪ ~~♪?」
「クゥ、クゥーン」
ワシとフェンリルが気まずい空気になっているのを察したのか、ハルモニアは、妖精の言葉でフェンリルに何か質問し始めたようだった。
もう一人室内に残っている、メーアに目を向ける。
深海の色の瞳は、ワシの様子を訝しんでいるようだった。
目が合うと、メーアは口を開いた。
「フレデリック様、大丈夫ですか?」
「ん? 何がじゃ?」
「……いえ、沈んだ表情をしておられたので」
「はっはっは、さすが帝国の皇女の目は誤魔化せないのう」
「何かお力になれること、ございますか?」
「そうじゃのう。メーア嬢には話しておこうかのう」
「ええ、何なりと」
帝都から聖王都への旅の途中でメーア嬢から得た情報は、『氷の祝子』であるノエルタウン領主の身柄と引き換えになり得る氷の魔石が、帝都で用意できること。
そして、ハルモニアの母がエルフであり、ハルモニアとアルバートが共にエルフとしての生を望んでいること。
事前に聞いていたその情報と、記録水晶の内容を照らし合わせて、兄と大神官の行ってきた取引が浮かんできたのだ。
そしてもうひとつ――。
「ソフィアが遺した手紙があるんじゃ。――ここに」
ワシは懐から手紙を取り出すと、メーアに渡した。
ハルモニアも、何事かとこちらをみている。
音としての言葉は理解できないハルモニアだが、文字を読むことは可能だったはず。
「ハルモニア、お主も読んでいいぞ。ただし他言無用じゃ」
すぐさまフェンリルが通訳すると、ハルモニアはしっかり頷いて、メーアと共に手紙を読み始めたのだった。
ゆっくり時間をかけて手紙を読み終わった二人は、難しい顔をして黙り込んでいる。
ワシは、テーブルの上に置かれた手紙を折りたたみ、再び懐にしまいこんだ。
「……何をすべきか、わかったかのう?」
「……このことを、セオとパステルは知っているのですか?」
「いや、知らないはずじゃ。二人に気付かれる前に、この件を解決したいと思っとる」
「~♪ ~~♪」
「ハルは、協力するってよ。アルバートと一緒に帝都に行ってもいいそうだ」
「かたじけない」
「問題は、『調香の巫女』ですわね」
「うむ。せめて王国に伝手があればのう。それに、フローラを説得出来る材料があれば良いのじゃが」
「王国の伝手だが、カイとノラは使えねえのか?」
「そうじゃのう、カイとノラには火の精霊の件と並行して、次代の『調香の巫女』候補になり得る者を探してもらおうかのう。……だが、王国は精霊の加護を閉ざした土地。難しいじゃろうな」
「フレデリック様、私、当てがございますわ。どうやら最近、王都で不思議な力を持つ魔女が活躍しているという噂が出回っているそうです」
「……魔女? 詳しく聞かせてくれんか?」
「もちろんですわ。もし噂が真実だとしたら、『調香の巫女』の件、一気に片付く可能性があります。その魔女は――」
そうしてワシらは、時間をかけて情報の整理をした。
途中で屋敷に戻るというイーストウッド侯爵に手紙を預け、昼過ぎにししまるを通じてセオからの伝言を受け取り、人目を避けながら城の資料室で調べ物をする。
マクシミリアンが戻るまであと数日――ワシは可能な限りの情報を集め、その時に備えたのだった。
とはいえ、ワシが聖王の座に興味を示さず、国民にも自分の存在を公表しない方針を貫けば、マクシミリアンが仕掛けてくることはまずないだろう。
一度は奴と会わねばなるまいが、帝国からの賓客であるメーア嬢と共に行動していれば、下手なことにはならない。
可愛い孫に絶交されないためにも、無理は禁物だ。
メーア嬢は、セオによって帝都に送り届けられたししまるを通じて皇帝と情報共有。
氷の魔石を確保し、帝国の騎士に届けさせるように手配した。
黒猫の妖精ノラから、セオたちと接触したという連絡を受け、火の精霊の件と並行して魔女の捜索をするよう依頼。
マクシミリアンが聖王都に戻ってきたのは、ちょうどその時だった。
ワシは気を引き締めると、メーア嬢と共に、会談に臨んだのであった。
********
次回からパステル視点に戻ります。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
白い結婚を言い渡されたお飾り妻ですが、ダンジョン攻略に励んでいます
時岡継美
ファンタジー
初夜に旦那様から「白い結婚」を言い渡され、お飾り妻としての生活が始まったヴィクトリアのライフワークはなんとダンジョンの攻略だった。
侯爵夫人として最低限の仕事をする傍ら、旦那様にも使用人たちにも内緒でダンジョンのラスボス戦に向けて準備を進めている。
しかし実は旦那様にも何やら秘密があるようで……?
他サイトでは「お飾り妻の趣味はダンジョン攻略です」のタイトルで公開している作品を加筆修正しております。
誤字脱字報告ありがとうございます!
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろうにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる