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第4章:三月のディスコード(20)

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 ※ ※ ※

 結局その日、どうしても部活に行く気にはなれなくて、また片桐先生に言って練習を休んだ。

 ただ、河川敷に行こうと決めたのかというと、そういうわけでもない。
 もしかしたら遥奏に会えるかもしれないけど、来なかったらますます絶望を深めるだけだ。
 かといって、ほかに行くところもないし。
 行き先を決めあぐねたまま歩くうち、頭の中を水島くんの言葉が横切る。
『それで、篠崎くんはどうしたいのかな』

 その答えが見つからないまま、正門をくぐった時だった。

「おっす。秀翔くんだよね?」
 左側から、僕を呼ぶ声が聞こえた。
 声のした方向を見ると、一メートルほど先にがっしりした男の子が立っていた。
「あ、はい」
 ……失礼、どなた? 
 僕は、必死に記憶をたどる。
 どっかで見たような気がするけど、なかなかピンとこなかった。
 目の前の人が誰なのか思い出すため、その姿を観察する。
 色黒で、筋肉質。
 体格だけ見れば高校生に見えなくもなかったけど、学ランを着ていたことから、中学生かなと思った。
「えっと……」
 僕が思い出せずに口ごもっていると、相手のほうから自己紹介をしてくれた。

「覚えてる? オレ、ひいらぎ凌牙りょうが。柊遥奏の弟ね」
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