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十五話 怪しい物音

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ポタ、ポタ、ポタ

「ケロ」「うむ、こりゃ誰も住んで無いな」
 「以前この地を訪れた時は、通路の両脇をロウの光りが、ユラユラと揺らめき幻想的に奥の通路へと、導いてくれていたが」

 ポタ、ポタ、ポタ
 
 「この洞窟って、もしかして鍾乳洞なの」

 「そうよ、カズラに覆われた入り口の両脇に、湾曲した大きな鍾乳石が有ったでしょ、まるで毒蛇の牙の様に」 
「この鍾乳洞って凄いのよ、今歩いている両脇にはずーっと湾曲する鍾乳石が、ぶら下がっているのよ、残念ながら暗くて、良く見えないけどね」

 「ここを歩いていると、何となく想像出来るわ」
 


 ポタ・・・
 「所でお母様、ここでどんな修行していたの?」 

 
 「この鍾乳洞の中はね、勾玉の力によって、全ての魔力を跳ね返すのよ」
 「いかなる魔力も、この蛇骨の洞窟では」

 「無になる」

 ポタ、ポタ

 「さっきから聞こえてるでしょ、鋭くとがる鍾乳石の先端から、滴り落ちる水滴の音が」

 「はい、お母様それが何か・・・」


 「物と物がぶつかり合う時」「その時わずかですが、力が生まれるのよ」「その力を我が身に吸収し、新たなる力を生み出す」「柚華、いずれあなたにも、この力が必要な時が来るかもしれ無いわね」

 「アカツキ様とイツキ様はその力を利用し、ロウに火を灯していたの」


 「その技を会得する為に、ここを訪れたのですか」

 「そうね」

 桃花は二十年前の事を懐かしく思いながら、そして柚華はその全てを新鮮に思い、ユリネは、ただひたすら怖がり、滴り落ちる水滴の音すら聞こえない様に耳をふざき、奥へ奥へとクネクネと曲がりくねった洞窟の中を、ゆっくりと周囲に注意を払い歩いていた。

 コト、コト

 どれほど歩いただろうか、突然自分達以外の足音が、コトコトと、少し早足でこっちに向かい歩いて来るそんな気配を柚華の耳はとらえる。


 「一、二・・・五人」「どうやら先客が」「まだ少し距離があるが、しかし余りに怪しい」「怪しすぎる」

 柚華は万が一に備え、裏刃刀に右手を添え、鞘よりわずか計り引き抜く
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