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一章:援交とタローさん
性交はイコールで愛になるか 16*
しおりを挟むそれだからか、僕は羞恥で体が熱くなってしまった。
「そんな、見ないでよ」
掴んでいた彼の髪の毛を放し、手を股間に下ろす。
隠そうと伸ばした腕は、お兄さんの手に捕まった。
「こーら、隠さないの。綺麗なんだから見せてよ」
一番長い指を口内に含まれる。
ちゅう、と吸われた後で解放された。
綺麗だと言われても、自分の体は貧相に思える。
体の出来上がっている彼と較べれば、当然の如く、己の裸は貧弱で、悔しさと共に憧れも湧いた。
まだ子供なのだと意識して、お兄さんが大人なのだと、改めて感じる。
「大人になったら、何か変わるのかな?」
ぽつり、と零した言葉は、常に抱える漠然とした不安だ。
大人になることで何が変わるのか、まだ先のこと過ぎて、僕には掴めそうになかった。
「うーん、そうだね。あんまり大して変わらないかな。体は大きく成長するし、気持ちも、まあ何となく折り合いを付けるのが上手くなるけど。根本は、いつでも同じじゃない? 自分はいつまで経っても、何処まで行ったって、結局は自分なんだよな」
飽くまでも俺の考えね、と宣いにんまりと口角を上げて、独り言のようなくだらない台詞に返してくれた。
嗚呼、変わらないのかと。
落胆でも歓喜でもない感情が胸に渦巻く。
無表情で頷く僕の腰に、彼の腕が回された。
「哲学的なこと言って、随分余裕だね。おじさん、そろそろ本気出したいんだけどなあ」
ニヤニヤ笑うお兄さんの息がベニスに掛かる。
え、と信じられない思いで自分の股間を凝視した。
今にも銜えようと口を開ける彼が目に入る。
「ま、待って……! きた、ないよ」
「えー、お風呂入ったし綺麗だよ。洗ったじゃん」
不満気に見上げてくる彼に、頭がクラクラした。
こんなことは、されたことがない。
要求されたこともなかった。
「そういう問題じゃ、ないよ。おしっこ出るとこだし」
もごもごと反論しつつも、説得力のない言葉だと自分でも思った。
排泄器官に性器を挿入するのだから、汚いも何もない。
例え、スキンケアをすると言っても、気持ちの問題で言えば変わらないだろう。
「キィ君って、慣れてるのか初なのか解らないね。気持ち良ければ良いんじゃない? 俺は構わないんだし。気にしない気にしない。可愛く喘いでてよ」
真っ赤になる僕を見て、あはは、と笑っていたお兄さんの舌先が、ゆっくりと伸ばされる。
くにゅ、と亀頭にぶつかって、生暖かな感触が鈴口を辿った。
己の性器の上を、他人の舌が走る様は、何とも言えず淫靡である。
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