17 / 30
一章:援交とタローさん
性交はイコールで愛になるか 15*
しおりを挟む僕の知らない感情、感覚だ。
絡め合いどちらのものかも解らなくなった唾液を飲み込んで、僕はどうにもならない感情で涙を止めることが出来なくなっていた。
きつく閉ざした目蓋から、静かに水滴は流れていく。
「大丈夫だよ。怖くないよ?」
おもむろに、お兄さんと距離が空いた。
離された唇は色付いていて、彼の口唇から目が離せない。
優しく宣い、お兄さんは頭を撫でてくれた。
まるで僕が初めて経験するかのように扱ってくれている。
何処までも優しい人だと思うと、余計に涙が止まらなくなった。
タローさん、と呟き彼の肩口に額を当てる。
この人の優しさを愛と呼ぶのなら、なんて温かいのだろう。
この温もりが欲しかった。
彼女に抱き締めて貰えたなら、どんなにか嬉しいか。
名前を呼んで頭を撫でて貰えるのなら、それは幸せと呼べるのだろう。
必死でお兄さんにしがみ着いた。
首に回していた手は、背中に移動している。
「ごめんなさい。もう大丈夫」
何とか気持ちを落ち着かせる。
ぐすん、と鼻を啜りながらも、彼と目を合わせて微笑みを向けた。
「うん、ゆっくりで良いからね」
そう言って、お兄さんの唇が降りてきた。
額に目蓋に頬にと口付けを落とされる。
肩を竦ませるも、黙って受け止めた。
段々と接吻は下っていき、首筋や鎖骨をキツく吸い上げられる。
痕は困るよ、と抗議しながら身を捩った。
悪戯に笑う彼と視線がかち合う。
そのまま顔は下がり、肋骨の辺りを舐め上げる舌に、ひゃん、と声を上げた。
熱い舌ベロが、肌の上を走る。
擽ったさに混じる、何とも言い表し難い感触に体がびくついた。
骨を辿るかのように、ゆっくりと動く舌にこそばゆさと、全身を逆撫でるような、得も知れぬ感覚が体を廻る。
そうこうする内に、どんどん下降していく彼の頭を無意識に掴んでいた。
お臍の周りを舐めるお兄さんの顔が上を向く。
「どうしたの?」
「そんな、舐めると……なんか変だよ。ムズムズする」
目と目が合うと、恥ずかしくて目線を逸らした。
彼は笑って、うん、と頷くも、止めようとはしない。
焦って髪の毛を引っ張れば、呆れたようにお兄さんの手がパンツに掛かった。
「ムズムズして良いんだよ。男の子だから当然でしょ。大人しく感じてて」
そのまま、ズルリと足首までずらされてしまう。
僕の性器は小さいながらに勃ち上がり、彼の視線に晒されていた。
何度も性交渉はしたが、いつも性急で、こうやってじっくりと見られることなどなかった。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
年上の恋人は優しい上司
木野葉ゆる
BL
小さな賃貸専門の不動産屋さんに勤める俺の恋人は、年上で優しい上司。
仕事のこととか、日常のこととか、デートのこととか、日記代わりに綴るSS連作。
基本は受け視点(一人称)です。
一日一花BL企画 参加作品も含まれています。
表紙は松下リサ様(@risa_m1012)に描いて頂きました!!ありがとうございます!!!!
完結済みにいたしました。
6月13日、同人誌を発売しました。
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる