SとKのEscape

Neu(ノイ)

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一章:SとK

現実逃避 01

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【現実逃避】


 喧嘩、と言うのだろうか。
雰囲気が悪い状況、と言うのだろうか。
経験がないことは解らない。
故に、昨晩の状況もイマイチ良く解らない。


 継生の話を出せば機嫌が悪くなることは解っていた。
しかしながら、あそこまで不快感を露にされたことはない。
何かあったのだろうか、と思いつつも、結局は何も聞けないまま朝を迎えてしまった。


 お互いに気まずい朝食を済ませ、サンは出勤。
僕は出掛ける支度を始める。


 正直、あまり乗り気ではない。


 サンには、自分で決めたことだと言ったが、何処かでサンがどうにかしてくれるのではないかと、そう思っていたことは事実だ。
そんな自分の浅ましさを、サンに指摘され、珍しく頭に血が昇ってしまった。
サンは何も悪くないのだ。
厭気がさす。
こんな自分は本当に厭になる。


 キッチンの隣にある洗面所で顔を洗う。
情けない顔が鏡に映し出された。
長い前髪は目を覆い隠している。
良く目に入り痒くなるので、時々眼鏡を掛けて誤魔化したりしてみるのだが、結局効果はイマイチのようだった。
そろそろ切ろうか、とも思う。
しかし、床屋や理容院といった類いのものは苦手なのだ。
自分で切るか、厭味を言われながらサンに切って貰うか、我慢して店に通うか、選択肢は三つに一つだ。
僕は持ち前の優柔不断を発揮し、切ろうと思い経ってから、半年も行動に移せずにいた。


 自分の顔で一番気に食わないのは、童顔であることだ。
丸顔、なのだろうか、体重はそこまでないのに、昔から顔だけはふっくらとしている。
それに加えて垂れ目である。
サンの比ではないのだ。
少しだけ垂れている目を、サンはしているが、彼はそれをとにかく厭がっていた。
僕よりはマシだと思うが、口にはしない。
機嫌が究極に悪くなるのだ。
ただ機嫌が悪くなるだけならば良いが、サンの場合は、機嫌が悪い=毒舌過多という方程式が成り立つのである。
出来る限りはサンを刺激しないのが一番なのだ。


 濡れた顔と手をタオルで拭い、洗面所を後にする。
自室に戻り、数あるコレクションの中から、濃い緑のフレームの伊達眼鏡を選び、装着した。
前面のみに鍔の付いた帽子を被り、斜め掛けの鞄を肩に掛けてマンションを出る。


 徒歩5分程の距離の駅に着くと、既に継生が待っていた。
黒のパーカーの中に白のシャツを着ている。
下はジーパンだ。
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