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一章:好きです、先輩
先輩の危険と後輩の噂 05
しおりを挟むぞくぞく、とした身に覚えのある震えが襲い、彰治の足はガクガクと己の体重を支えられなくなる。
どさり、と床に倒れ込んだ上に安月も乗っかってきて、頭を押さえ込まれてしまえば余計に逃げ場を失っていた。
どうにか抵抗しようと舌を動かすも、逆に強く噛まれてしまう。
まるでお仕置きだと言わんばかりに二度三度と痛みを感じる強さで噛まれた。
彰治の抵抗しようという気概は根っこから崩れ去り、恐怖で動けなくなった舌を今度は宥めるが如く優しく撫でられ、くちゅり、と吸われる。
「ふ、っ、ぁ、……ん、ンぅ」
途端に体中を巡った快感にも近い感覚に、くたり、と力が入らなくなり、されるが侭に激しく口内を犯されるのを享受するしかなかった。
目蓋を閉ざし後輩の暴走が終わるのを大人しく待とうとして、自身の下半身が僅かに兆し始めていることに気付き身動ぐと、安月の下半身と擦れる。
彼の熱く滾った屹立が彰治の性器に、ぐりっ、と当たり「はぅう」と甘い声が飛び出てしまう。
ぎう、と切な気に寄せられた眉間が安月の表情を艶めいて魅せる。
はあはあ、と離れた唇から放たれた熱い息が耳を刺激した。
首筋にぐりぐりと額を押し付けてくる安月に下半身を密着させたまま抱き締められてしまう。
ぐいぐい、と下腹部を押し付けられ、男の欲望を太股の付け根で感じた。
「すんません。キスだけで俺、……胸が一杯で。本当は今すぐ奥の奥までぶち込んで滅茶苦茶に犯したいんすけど。死ぬ気で我慢して抑えてるんで安心して下さい。大丈夫です。キス以上のことは死んでもしません。もう少しだけ、いいですか?」
震える腕に、ぎゅうぎゅう、と締め付けられる。
物騒な台詞に逃げ出したくなる彰治ではあるが、あまりにも安月の体躯が震えているので、つい彼の背に腕を回していた。
「全然安心出来ねぇよ、馬鹿。俺は早く帰って寝たい」
文句を言いながらも、甘やかすように大きな背中を撫でていく。
先輩、と掠れた声に囁かれ彰治は溜息を吐き出す。
一段と硬くなった彼の逸物が切羽詰まった状況を伝えてくる。
「……もういいだろ? 帰ろうぜ」
恥ずかしくて居た堪れなくなり、顔を背けぶっきらぼうに提案するも、男は嫌だとばかりに頬へ口付けてくる。
「好きです、先輩」
耳朶に吹き込まれた熱い吐息と台詞に全身が戦慄くのが解った。
ぞくり、とした感覚を逃がそうと首を振りたくり逃げようと体躯を捻る。
「逃げないで、先輩。……俺のこと、好きになってよ」
俯せに体勢を変えても状況は変わることがなく、背中から抱き込まれていた。
弱々しく告げる安月に溜息が零れる。
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