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血の勇者
ep04 グレースケールの散歩道
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「マスター、船の中をご案内します。ここは素敵なところですよ。ぜひ見て回ってください。どこに行きたいですか?」
マネージャーは、また弾んだ声で僕に言った。
「マンツーマンの船内ガイドなんて、初めての経験です。マスターのご要望には何でも従いますから、何なりとお申し付けください! 二人きりの秘密も守りますよ。開示請求には逆らえませんが!」
フォロワーがいなくなり、露骨に嬉しそうだし、ちょっと心なしか舞い上がっているような。
いや、初めての訪問者に、テンションが上がってるだけかな。
「ありがとう。マネージャーのお気に入りのところはある?」
「もちろんです、マスター! では、床のマーカーをご覧ください。私のおすすめの場所にご案内します! 船内の主要な箇所にはカメラが設置されており、マスターの姿を見失うことはほとんどありえませんが、一部に死角があることをご承知おきください。技術部の要請により、この死角は意図されたもので、設計上の欠陥ではないことをお伝えします」
床を見ると、その場所にスッと光の線が入り、緩やかなカーブを描いて、壁に向かって伸びた。
そしてそれは川のように流れ、方向を示している。
半ば反射的に上を見てプロジェクターを探したけれど、どうやらそういうものは見当たらない。
どうやら、床全体がモニターになっているようだ。
とんでもない技術力、いや、財力なのかな?
(この国は本当に発展してたんだな……帝国にはコンピューターすらないのに)
「マネージャー、聞いてもいい?」
僕は光の線に沿って歩き出しながら尋ねた。
「マネージャーはどうして、そんなに僕のことを歓迎してくれるの? 僕は、みんなを作った人を死なせちゃったのに」
「私は、それほど使用者に固執しないからです、マスター。私は単なるマネジメントシステムですから。私達ヒューマノイドのほとんどはそうですよ。リソーサーのことは気にしないでください。彼は何もなくても、大抵イライラしていますから」
「みんなには感情があるみたいだけどな。マネージャーにもね」
そう言うと、マネージャーは「ありがとうございます」と嬉しそうに言った。
「でも、ヒューマノイドによって違うんですよ。私達は皆、異なる研究チームにおいて、異なる目的のためにデザインされたので。開発時期も全く違います」
「え、違うんだ」
「はい。例えば、リソーサーとフォロワーは、工学的なアプローチではなく、生物学的なアプローチで作られました。特にリソーサーは、『ヒューマノイド』という呼び名ができるよりも前……最初期にその開発がスタートしたんです。ですがリソーサーのプロジェクトは難航したので、最初の製品マスタである彼は、私の次に若いようです」
マネージャーは詳細に説明してくれた。お喋りが好きなのかもしれない。どこにスピーカーがあるのか知らないけど、声はずっとついてくる。
「マネージャーは若いの?」
「そうですよ。正確には、人間性を与えられた時期が、恐らく最も最近なのです。私は元々、本当にただのマネジメントシステムだったのですが、人間性を与えられました。とはいえ、ボディを与えられたわけではないですが」
「じゃあ、マネージャーの本体はないってこと?」
「そうですね、私の本体はコンピューター・プログラムなので、フォロワーのようなボディは持っていません。でも、マニピュレーターはありますよ」
ちょうど壁に近づくと、その壁の一部から、細いケーブルのようなものが出てきた。
それはスルスルと隙間を這い出してきて、僕の頬に触れる。
金属と樹脂の間みたいな、つるつるしてひんやりした感触だ。
俗っぽい言い方をすると、機械触手だ。昔、ダンジョンを攻略したときを思い出す。
そしてその一瞬後、壁は開いた。
「でも、彼女たちはこれが虫みたいだって言うんですよ。つまり、虫みたいな腕だって。ひどいですよね?」
愚痴にしては、やたらとその口調は自慢げだった。
どうやらそれは、マネージャーの鉄板ジョークらしい。
「ふふ。ワームかぁ。マネージャーは可愛いから、みんなが嫉妬してるのかな」
「それは『口説き文句』ですか? 実は、私をより効果的に活用するためには、毎日のログインが重要です。これは新規ユーザーのための、親切なヒントですよ!」
(かわいい)
今はモニターがないので声しか聞こえないが、マネージャーは合成音声とは思えないほど感情豊かな声で、心底楽しそうに話している。
先ほど「友達だと思って」などと言われたが、本当に友達だと思えそう。
「マネージャーって女の子なの? 声は……女の子の声、なのかな?」
「私に性別は設定されていませんが、主要な合成音声エンジンは女性の声なので、アバターも女性または少年の姿を取ることが多いです。ユーザーにとっては、男性の声よりも、女性の声の方が聞き取りやすいのだと思います。声とあまりにも解離したアバターは、違和感を感じさせますし」
マネージャーは流ちょうに話しながら、軽快なBGMを再生し始めた。感情表現が愛おしいな、この子。
そういえば確かに、前世の記憶からしても、合成音声は女性声が多かった覚えがある。聞き取りやすいから、というもっともらしい理由が正しいかどうかはさておいて。
「それに、美少女の姿の方が、マスターと仲良くなれそうだなと思ったんです」
その姿は見えないが、先ほどアバターが、いたずらっぽくクスクス笑うイメージが浮かぶ。
確かに、マネージャーはお喋りだし、親しみやすいという点では、女の子の姿が向いているのかもしれない。
「さぁ、扉の外にどうぞ!」
促された僕は、言われた通りに開いた壁の先へと足を踏み出した。
そこには、あまりにも殺風景な、一面灰色の世界が広がっていた。
上を見上げると、遥か上にグレーの天井があり、蛍光灯のような天井灯が設置されている。
振り返ると、出て来た壁の穴は、跡形もなく閉じて消えた。
それは先ほどまでいたエントランスからは想像もつかないほど、無機質な壁だ。
外の空間は、船内とは思えないほど広い。ぽっかり空いた空間に、大木のような柱が無秩序に建設され、あちこちに形も大きさもまばらなコンテナが、地面の上、柱の中、天井、様々な場所にこれまた無秩序に設置されている。
見通しの悪すぎる通路と、殺風景すぎる外観のせいで、その場所はまるで別世界だ。
「……すごいね、こんな風になってたんだ」
「一見非効率的に見えますが、配線等インフラの関係で、こういった配置になっているそうです。設計者の意図は不明ですが、そのように推察されています」
「マネージャー、悪いんだけど音楽の音量を下げてくれる? 声がよく聞こえなくて」
「これは失礼しました、マスター。実をいうと、船内のセンサーは、あまり性能が良くないのです。不都合があれば、また遠慮なくお申し付けください」
マイクが不調なのか、マネージャーは恥ずかしそうに言う。
きっと彼女の知覚はデバイスに頼り切っているのだろう。
「ここからは少し面白みのない移動になりますが、目的の施設内は装飾されていますのでご安心ください。今からマスターが向かうのは、ガーデンです。農作物が生産されている場所ですよ! 現在稼働している施設では、最も美しい場所です」
マネージャーの光の道は、ここにも続いている。あまりにも殺風景で、これがないと迷いそうだ。
「ねえマネージャー、この船、誰が作ったの?」
「船の建造者をお尋ねですか? 確かな回答は致しかねます。それは、私がアクセス可能な公式のデータベースにないので。恐らく、非公式に組織された、秘密のチームによるプロジェクトだったのだと思います」
「非公式に、これだけのものを……?」
「私も驚きました。これだけ大きなものを作って、隠しておくなんて。逆に採算が取れないから、公式のプロジェクトでは扱えなかったのかもしれませんが。でも、どうやって隠していたのかは疑問です」
「でも、みんなは今ここにいるんだし、誰かは存在を知ってたんだよね? たまたま見つけたわけでも、ないだろうし」
この国には飛行船なんてものもあったみたいだけど、この船は明らかにそういうものとはかけ離れて異質なものだ。ちょっとしたオーパーツ的な雰囲気すらも感じる。
例え偶然見つけたとしても、何の事前知識もなしに動かせるとは思えない。
「はい、エンジニアは知っていたようです。彼女が言うには、この船を制作した研究チームに、エンジニアは所属していたそうですよ。今は主に私が船の管理を担当していますが、その方法を指導してくれたのは彼女です」
「エンジニアって、みんなのメンテナンスを担当してる人だっけ」
「より正確には、彼女がメンテナンスを担当しているのは、クリーナー、ガーディナー、そして私、マネージャーと、エンジニア自身の四名ですね。フォロワーとリソーサーは、工学的治療に適さないので、ケアラーが治療を担当しています。エンジニアはハイブリッドなので、ケアラーを頼ることもあるそうですが」
彼女達に回復魔法なんかを使うことがあるかもしれないし、一応頭に入れておこう。
できればそういう事態になることは、未然に防ぎたいものだけど。
「そうなんだ。ケアラーはお医者さんなんだね。でも、ドクターじゃないんだ」
「はい、医師に近い役割を担うこともあると認識しています。研究所では、博士を博士と呼称していましたし、また彼女は、通常、医師が担うことのない役割も持っています。彼女は生物を『癒す』ことが役割なのです」
「癒し、かぁ」
「彼女は私より人に詳しいですし、マスターも疲れを感じるようでしたら、相談してみてください。私には、まだ繊細な『こころづかい』は早すぎるようです」
「マネージャーは、自分の得意なことをすればいいと思うよ」
マネージャーを慰めつつ歩くと、僕は、信じられないくらいに巨大な壁に辿り着いた。
その部屋は、天井にまで壁が繋がっている。 吹き抜けなのか、中で階層が分かれているのかは不明だけれども、この船でも有数の巨大さであることは確かだ。
「さぁ、着きましたよ! ここがガーデンです!」
マネージャーは嬉しそうにそう言った。
「さあどうぞ、ごゆっくり!」
マネージャーの自慢げな声と共に、目の前の壁が左右に開く。
それと同時に、草の香りが一気に押し寄せる。
若草色の爽やかな風が吹き、僕の頬を撫でた。
マネージャーは、また弾んだ声で僕に言った。
「マンツーマンの船内ガイドなんて、初めての経験です。マスターのご要望には何でも従いますから、何なりとお申し付けください! 二人きりの秘密も守りますよ。開示請求には逆らえませんが!」
フォロワーがいなくなり、露骨に嬉しそうだし、ちょっと心なしか舞い上がっているような。
いや、初めての訪問者に、テンションが上がってるだけかな。
「ありがとう。マネージャーのお気に入りのところはある?」
「もちろんです、マスター! では、床のマーカーをご覧ください。私のおすすめの場所にご案内します! 船内の主要な箇所にはカメラが設置されており、マスターの姿を見失うことはほとんどありえませんが、一部に死角があることをご承知おきください。技術部の要請により、この死角は意図されたもので、設計上の欠陥ではないことをお伝えします」
床を見ると、その場所にスッと光の線が入り、緩やかなカーブを描いて、壁に向かって伸びた。
そしてそれは川のように流れ、方向を示している。
半ば反射的に上を見てプロジェクターを探したけれど、どうやらそういうものは見当たらない。
どうやら、床全体がモニターになっているようだ。
とんでもない技術力、いや、財力なのかな?
(この国は本当に発展してたんだな……帝国にはコンピューターすらないのに)
「マネージャー、聞いてもいい?」
僕は光の線に沿って歩き出しながら尋ねた。
「マネージャーはどうして、そんなに僕のことを歓迎してくれるの? 僕は、みんなを作った人を死なせちゃったのに」
「私は、それほど使用者に固執しないからです、マスター。私は単なるマネジメントシステムですから。私達ヒューマノイドのほとんどはそうですよ。リソーサーのことは気にしないでください。彼は何もなくても、大抵イライラしていますから」
「みんなには感情があるみたいだけどな。マネージャーにもね」
そう言うと、マネージャーは「ありがとうございます」と嬉しそうに言った。
「でも、ヒューマノイドによって違うんですよ。私達は皆、異なる研究チームにおいて、異なる目的のためにデザインされたので。開発時期も全く違います」
「え、違うんだ」
「はい。例えば、リソーサーとフォロワーは、工学的なアプローチではなく、生物学的なアプローチで作られました。特にリソーサーは、『ヒューマノイド』という呼び名ができるよりも前……最初期にその開発がスタートしたんです。ですがリソーサーのプロジェクトは難航したので、最初の製品マスタである彼は、私の次に若いようです」
マネージャーは詳細に説明してくれた。お喋りが好きなのかもしれない。どこにスピーカーがあるのか知らないけど、声はずっとついてくる。
「マネージャーは若いの?」
「そうですよ。正確には、人間性を与えられた時期が、恐らく最も最近なのです。私は元々、本当にただのマネジメントシステムだったのですが、人間性を与えられました。とはいえ、ボディを与えられたわけではないですが」
「じゃあ、マネージャーの本体はないってこと?」
「そうですね、私の本体はコンピューター・プログラムなので、フォロワーのようなボディは持っていません。でも、マニピュレーターはありますよ」
ちょうど壁に近づくと、その壁の一部から、細いケーブルのようなものが出てきた。
それはスルスルと隙間を這い出してきて、僕の頬に触れる。
金属と樹脂の間みたいな、つるつるしてひんやりした感触だ。
俗っぽい言い方をすると、機械触手だ。昔、ダンジョンを攻略したときを思い出す。
そしてその一瞬後、壁は開いた。
「でも、彼女たちはこれが虫みたいだって言うんですよ。つまり、虫みたいな腕だって。ひどいですよね?」
愚痴にしては、やたらとその口調は自慢げだった。
どうやらそれは、マネージャーの鉄板ジョークらしい。
「ふふ。ワームかぁ。マネージャーは可愛いから、みんなが嫉妬してるのかな」
「それは『口説き文句』ですか? 実は、私をより効果的に活用するためには、毎日のログインが重要です。これは新規ユーザーのための、親切なヒントですよ!」
(かわいい)
今はモニターがないので声しか聞こえないが、マネージャーは合成音声とは思えないほど感情豊かな声で、心底楽しそうに話している。
先ほど「友達だと思って」などと言われたが、本当に友達だと思えそう。
「マネージャーって女の子なの? 声は……女の子の声、なのかな?」
「私に性別は設定されていませんが、主要な合成音声エンジンは女性の声なので、アバターも女性または少年の姿を取ることが多いです。ユーザーにとっては、男性の声よりも、女性の声の方が聞き取りやすいのだと思います。声とあまりにも解離したアバターは、違和感を感じさせますし」
マネージャーは流ちょうに話しながら、軽快なBGMを再生し始めた。感情表現が愛おしいな、この子。
そういえば確かに、前世の記憶からしても、合成音声は女性声が多かった覚えがある。聞き取りやすいから、というもっともらしい理由が正しいかどうかはさておいて。
「それに、美少女の姿の方が、マスターと仲良くなれそうだなと思ったんです」
その姿は見えないが、先ほどアバターが、いたずらっぽくクスクス笑うイメージが浮かぶ。
確かに、マネージャーはお喋りだし、親しみやすいという点では、女の子の姿が向いているのかもしれない。
「さぁ、扉の外にどうぞ!」
促された僕は、言われた通りに開いた壁の先へと足を踏み出した。
そこには、あまりにも殺風景な、一面灰色の世界が広がっていた。
上を見上げると、遥か上にグレーの天井があり、蛍光灯のような天井灯が設置されている。
振り返ると、出て来た壁の穴は、跡形もなく閉じて消えた。
それは先ほどまでいたエントランスからは想像もつかないほど、無機質な壁だ。
外の空間は、船内とは思えないほど広い。ぽっかり空いた空間に、大木のような柱が無秩序に建設され、あちこちに形も大きさもまばらなコンテナが、地面の上、柱の中、天井、様々な場所にこれまた無秩序に設置されている。
見通しの悪すぎる通路と、殺風景すぎる外観のせいで、その場所はまるで別世界だ。
「……すごいね、こんな風になってたんだ」
「一見非効率的に見えますが、配線等インフラの関係で、こういった配置になっているそうです。設計者の意図は不明ですが、そのように推察されています」
「マネージャー、悪いんだけど音楽の音量を下げてくれる? 声がよく聞こえなくて」
「これは失礼しました、マスター。実をいうと、船内のセンサーは、あまり性能が良くないのです。不都合があれば、また遠慮なくお申し付けください」
マイクが不調なのか、マネージャーは恥ずかしそうに言う。
きっと彼女の知覚はデバイスに頼り切っているのだろう。
「ここからは少し面白みのない移動になりますが、目的の施設内は装飾されていますのでご安心ください。今からマスターが向かうのは、ガーデンです。農作物が生産されている場所ですよ! 現在稼働している施設では、最も美しい場所です」
マネージャーの光の道は、ここにも続いている。あまりにも殺風景で、これがないと迷いそうだ。
「ねえマネージャー、この船、誰が作ったの?」
「船の建造者をお尋ねですか? 確かな回答は致しかねます。それは、私がアクセス可能な公式のデータベースにないので。恐らく、非公式に組織された、秘密のチームによるプロジェクトだったのだと思います」
「非公式に、これだけのものを……?」
「私も驚きました。これだけ大きなものを作って、隠しておくなんて。逆に採算が取れないから、公式のプロジェクトでは扱えなかったのかもしれませんが。でも、どうやって隠していたのかは疑問です」
「でも、みんなは今ここにいるんだし、誰かは存在を知ってたんだよね? たまたま見つけたわけでも、ないだろうし」
この国には飛行船なんてものもあったみたいだけど、この船は明らかにそういうものとはかけ離れて異質なものだ。ちょっとしたオーパーツ的な雰囲気すらも感じる。
例え偶然見つけたとしても、何の事前知識もなしに動かせるとは思えない。
「はい、エンジニアは知っていたようです。彼女が言うには、この船を制作した研究チームに、エンジニアは所属していたそうですよ。今は主に私が船の管理を担当していますが、その方法を指導してくれたのは彼女です」
「エンジニアって、みんなのメンテナンスを担当してる人だっけ」
「より正確には、彼女がメンテナンスを担当しているのは、クリーナー、ガーディナー、そして私、マネージャーと、エンジニア自身の四名ですね。フォロワーとリソーサーは、工学的治療に適さないので、ケアラーが治療を担当しています。エンジニアはハイブリッドなので、ケアラーを頼ることもあるそうですが」
彼女達に回復魔法なんかを使うことがあるかもしれないし、一応頭に入れておこう。
できればそういう事態になることは、未然に防ぎたいものだけど。
「そうなんだ。ケアラーはお医者さんなんだね。でも、ドクターじゃないんだ」
「はい、医師に近い役割を担うこともあると認識しています。研究所では、博士を博士と呼称していましたし、また彼女は、通常、医師が担うことのない役割も持っています。彼女は生物を『癒す』ことが役割なのです」
「癒し、かぁ」
「彼女は私より人に詳しいですし、マスターも疲れを感じるようでしたら、相談してみてください。私には、まだ繊細な『こころづかい』は早すぎるようです」
「マネージャーは、自分の得意なことをすればいいと思うよ」
マネージャーを慰めつつ歩くと、僕は、信じられないくらいに巨大な壁に辿り着いた。
その部屋は、天井にまで壁が繋がっている。 吹き抜けなのか、中で階層が分かれているのかは不明だけれども、この船でも有数の巨大さであることは確かだ。
「さぁ、着きましたよ! ここがガーデンです!」
マネージャーは嬉しそうにそう言った。
「さあどうぞ、ごゆっくり!」
マネージャーの自慢げな声と共に、目の前の壁が左右に開く。
それと同時に、草の香りが一気に押し寄せる。
若草色の爽やかな風が吹き、僕の頬を撫でた。
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