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王家の絆編
PART08 火星奪還作戦
しおりを挟む火星奪還作戦は矢継ぎ早に進行し
明日には作戦開始と言う運びとなった
宇宙戦艦金剛を旗艦にし
8個艦隊から成る数百隻規模の大艦隊
地球に残す防衛手段はこれで
圧倒的に足りなくなる
其処を敵ガルスグレーサーに突かれ
本土決戦に成ることを覚悟し
防衛隊司令部は火星奪還に決死の
覚悟で挑んだ
だが此は・・この情報は当然のように
ガルスグレーサー側にも伝わっていた
情報漏洩覚悟での無謀な作戦
地球は守りを捨て攻勢に打って出る!
ガルスグレーサーからして見れば
大本命の地球を火星を餌に
無傷で手に入れる絶好の好機に他なら無い
ガルスグレーサー帝国では
この好機に多数の戦力を出す事を決定した
ガルスグレーサーは銀河を遙か離れた
場所に存在しており
全てが人工物である天体級大円盤の内部に
科学文明の頂点を極めた巨大都市が存在する
その建物の全てが規格外に巨大で
そしてその内部に暮らす民もそのサイズが
あり得ないほどの巨人である
人間の10倍にもなるその巨体は
対象物となる小さい星人達で対比出来る
巨人文明において普通サイズの人間は
彼等の生きた奴隷として扱われ
{巨人にあらずば人にあらず}の扱いが
一般となっていた
小人サイズの人々は様々な種族に分かれており
命令一つでどんな事でもやらされる
巨人に生涯使えることが彼等の喜びであり
誇りであると仕込まれ異を唱える者は居ない
其れがガルスグレーサーでは
何世紀にも渡って培われてきた
支配体制であった
巨人から小人サイズに身分を落とされるのは
巨人世界では死刑以上の重罰であり
逆に小人から巨人サイズに昇格すれば
栄光の日々が約束される
此が宇宙最強の捕食者とも呼ばれる
巨人文明ガルスグレーサーである
巨人にしてみれば今更地球など
無きに等しい星だった
だが・・そうは考えない者もいる
それは偉大なる巨人の王であり
祖先の屈辱を我が事の様に憂う信心深い人物
齢580にして未だ現役
体の大きさが寿命に影響すると言う
学説を信じるならば彼はまだ
人間で言えば50代に過ぎず
逞しい肉体は若々しく覇気に満ち
黄金の髪に蒼い瞳は神々しくさえある
彼こそがガルスグレーサー星帝
ギルザート18世その人であった。
ガルスグレーサー軍総司令でもある
彼の威光に眩しさを覚える
それに付き従うのはガルスグレーサー
宰相リンクス3世{指令参謀}である
リンクスは自分の主である
ギルザート18世に絶対の信服を寄せている
はっきり言えば地球侵略に時間が
取られすぎていると言うのがギルザートの
言である
「あのような吹けば飛ぶ辺境惑星に
これ以上の時間を要すれば
我等ガルスグレーサーに反抗する
勢力が要らぬ希望など抱きかねん」
そのような心配はこの
強大帝国に無縁な心配だとリンクスは思う
ギルザート18世様に地球人と言う
新たな下僕を追加する事を報告する
そんな当たり前の通常業務を果たすのが
当たり前の約束に過ぎなかった。
地球の自由は風前の灯火状態だった
この時点で銀河連邦からガルスグレーサーに
対しての注意喚起は全く皆無である
ガルスグレーサーの国力が自分達と
同等かそれ以上だと解った途端
ガルスグレーサーからの
狙いは地球だけだというメッセージが
届いた時・・既に銀河連邦の意志は
統一されていた 曰く
地球と言う1辺境の惑星のために銀河全体を
危機には晒せない、地球侵略に関してだけは
銀河連邦は不可侵と言う盟約を
ガルスグレーサーと結んだのだ。
無論ガルスグレーサーが他の
銀河文明圏に一切関わらないのが
その条件ではあるが
切り捨てられた地球人には気の毒とは
思うが・・大の虫を生かす為には
小の虫を殺すのは致し方ない
トカゲは尻尾を切って生き延びる
其れが生存戦略の一環なのだ
銀河連邦は今日をある程度予想して
地球を軍事国家として承認せず
自由と安全を保証しながら憲法第9条で縛り
いつでも切り捨てられる準備を整えていたのだ
ガルスグレーサーの件がなくても
地球は既に銀河連邦に奴隷化
されていたのである。
自衛とは悪まで自衛であり他国からの
侵略を止めるのが目的で
こちらから攻めることが出来ない
その時点で地球にガルスグレーサーを
攻撃する手段は無かった
「攻撃する軍事力がない限り
敵の侵略行為を根本的に解決する手段は無い
防衛とは単なる時間稼ぎ・・地球は選択を
誤ったのだ」
リンクスは平和を他者に譲る脆弱な
地球に哀れみさえ感じる
{戦いに敗れた者は全ての権利を
剥奪される、それが宇宙の摂理なのだ
誠に哀れなもの}とあざ笑う
火星を奪還すると言う地球人の目論見は
こうしてガルスグレーサー宰相リンクスにより
見事に看破され人類の歴史に終止符が
うたれる運命であった。
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★付箋文★
地球の衛星軌道上に100隻からなる
地球最後の大艦隊が集結しつつあった
宇宙戦艦金剛の金剛艦長はその光景に
武者震いが止まらない
「実に素晴らしい光景だ・・この大艦隊の
旗艦の一隻が我が金剛だという事実は
誇りでさえある、なあ副長?」
金剛の艦長は今や参謀であり
自分が小田司令を追い落とした後
その権力の座に付くための最大の
支持者である副長にそういって
笑いかける
副長は金剛艦長に何時もと変わらない
最大限の経緯と賛辞を送りつつ
『胸の中ではこう思う・・この男も
この作戦の後は用済みだな・・』
ガルスグレーサー本星から
大軍が押し寄せ地球が占拠されれば
最早この{無能}に使える義理はなくなるのだ
ムーの末裔はガルスグレーサーの
古き血に連なる血統・・その幸せは
約束されている
自分達も支配する側に必ずなれると
信じて疑わない、
此はガルスグレーサーの盟王である
ギルザート18世と何か約束をした訳ではなく
ただ同じムーの血筋であることを頼りに
そう彼等が{思い込んで}いるに過ぎない
巨人族と小人族のギャップの差を埋めるに
ガルスグレーサーが重んずるのは
武力と実績・・実力主義の宇宙の捕食者に
血がどうとかは関係ないのだ
今でも軽んじられる彼等の立場が
何故そのように思い上がった
勘違いが出来るのか甚だ疑問だが
用済みになって捨てられるのは
恐らく・・・
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★付箋文★
太陽系第4惑星・火星
ガルスグレーサーの狼将軍
ウルフシューターは
ガルスグレーサーの今回の作戦を
聞かされ目眩を起こしそうになった
火星を餌に地球の艦隊を迎え撃ち
その隙にガルスグレーサー本隊で
地球に攻め込むと言うのは
少々強引ながら悪い作戦ではない
但し・・{ハヤテ}がいなければの話だ
だがこの作戦は
ガルスグレーサー星帝が立てた
王命作戦である以上反対は許されない。
ウルフシューターの副官シェパードは
狼将軍に進言した
「これは火星を脱出する事も念頭に
置いておかねばなりませんね」
ウルフシューターは苦笑いし
「ハヤテのポテンシャルが
それを許してくれればだがな・・」
ウルフシューターでさえ
ハヤテが持つ真の実力を掌握出来ていない
「あの船と真っ向から戦うのは危険すぎる」と
野生の感が最大限の警告を鳴らしているが、
もう考えている余裕はない
「シェパード副長・・火星基地にある
全艦出撃準備だ・・用意が出来次第
出るぞ!!」
ウルフシューター将軍は確実に
悪い予感を感じながらそう命じる以外無かった。
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★付箋文★
地球艦隊が衛生軌道上に集結しているのを余所に
1隻の宇宙駆逐艦が太陽軌道を回って火星を
反対方向から目指した、
この軌道だと一見地球から来た様には見えない。
「ハヤテは予定通り火星の裏側に到着しました」
勝流水艦長は、いよいよ火星奪還作戦を
開始する秘密通信を司令部に伝えた
<敵艦隊は今火星を離脱したところだ
ジャストといったタイミングだな・・
いけるかね?勝艦長>
ハヤテと小田司令との秘匿回線は
あらゆる意味で傍受不可能な
古代の通信技術と春吉進一郎と言う
希代の天才科学者が産み出した
オーバーテクノロジーの極致である
{敵の裏をかくにはまず味方から}
それがガルスグレーサーとの戦争に勝つ
唯一の道だと彼等にも解っていた
<心苦しいが・・味方の犠牲を減らし
勝利するには此処まで徹底するしか他ない>
地球艦隊と火星からの敵艦隊が
鉢合わせになるまで其れほど時間はない
ハヤテは作戦行動に出た
「宇宙戦闘機隊、緊急発進開始」
ハヤテ周辺の宇宙区間に横並びになって
光の転移ゲートが出現すると
そこから銃弾のように次々に宇宙戦闘機が
飛び出してくる
瞬く間に宇宙戦闘機の大編隊が
その場に出現した。
機体名・サンダーシャーク
エンジン数2
武装30㎜2基
35㎜2基
AAM及びASM8基
全長19,5m
全幅12,0m
全高6,5m
敵機と空中戦になっても圧倒する機敏性と
攻撃力を誇る防衛隊の宇宙戦闘機を
ハヤテは50機出した
これで火星コロニーの制空圏を完全に掌握し
地上戦を{援護}するのが
坂巻進吾(18)サンダーシャーク隊隊長に
与えられた任務だった。
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★付箋文★
火星に残された
ガルスグレーサー臨時基地司令部を
任されたブルドッグ少佐は
突然火星に出現した50機からなる
宇宙戦闘機の大部隊に驚愕した
「一体何処から現れた、あの戦闘機部隊は!?」
50機もの戦闘機が突然現れるとは
レーダーに空母艦らしき艦影は確認できない
どうやらリープしてきた艦影が1隻あるが
駆逐艦サイズだ・・とても50機も宇宙戦闘機を
搭載出来る訳がない
130メートルの船に18メートルの
戦闘機が50機も物理的に搭載できる道理もない
『恐らく何処かに空母が隠れている筈だ』
索敵は続けつつ臨時司令を任された
ブルドック少佐は敵の正体を聞くことになる
「艦の識別完了しました・・
未確認艦は・・ハヤテ・・
地球の新鋭宇宙駆逐艦ハヤテ!
又1隻で火星に現れました!」
『この前来た時には何も出来ずに
逃げ帰ったのに・・我等の狼将軍が
温情を掛けたのを良いことに調子に乗り・・
馬鹿な奴だ!とは言え・・今の状況を
閣下にお伝えせねばならん』
ブルドック少佐は通信官に命じ
ウルフシューターに連絡を入れた、だが・・
「申し訳有りません原因不明の
通信障害が発生しており只今
スペースウルフとの通信が繋がらない
状況と成っております」
ブルドッグ少佐は火星の通信状況は
良好だと聞いて敵の通信妨害ではなく
単なる自然現象だと理解した
宇宙に置いて通信が繋がらない
自然現象は少なくない、どうせ
時間が足てば自然に回復するのだ
「仕方ない・・将軍への御報告は
敵を撃退した後で良かろう」
ブルドッグ少佐にしてみれば
ハヤテ1隻を片づけるのに
さほど手間は掛からないと言う
自信があった
火星に残ったウルフシューターの
第13ミサイル艦艦隊の艦数は10隻
ミサイルの強力無比な破壊力は
駆逐艦1隻でどうにか出来る代物ではなく
ミサイル一発でも被弾すれば駆逐艦など
容易く吹き飛ぶのだから戦力差はハッキリしている
それに・・
ミサイル艦にはミサイル空母と言う
種類が有ることも敵艦は知るまい!
ブルドッグ少佐は3隻のミサイル空母艦にも
出撃を命じた
「ミサイル空母艦も出撃だ・・何と言っても
駆逐艦は戦艦殺し、動きが素早いからな・・
だが戦闘機なら駆逐艦よりも遙かに敏捷だ!
戦闘機で取り囲みダメージを与えてから
ミサイル攻撃で一気に撃沈してくれる!!」
ミサイル空母に搭載される戦闘機の数は
1隻でも最大50機、それが3隻ある
3隻の空母なら150機の大編隊だ戦力として
申し分ない!
ハヤテのサンダーシャーク隊は
のべ150機の大編隊を相手取る事になるのだ
火星に残された艦隊は決して侮れる
敵ではなかった
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★付箋文★
「150機か・・制空圏を奪い取るには
奴等を全機撃墜するしかない・・」
ハヤテの方に何機呼び寄せられるかが
鍵だと大城誠矢は唾を飲み込む
「・・火星コロニーを
無傷で取り戻すのがこの作戦の
勝利条件だからな・・」
無茶な作戦ではある・・だが
火星くらいは無傷で奪還したい!
それくらい地球人は多くを
侵略者ガルスグレーサーに奪われた
もうこれ以上何も貴様等に奪わせない
それが大城誠矢の決意だった
{否!誠矢だけではない
ハヤテの戦士達は皆同じ思いだ}
ブルドック少佐が命じる
「ミサイル空母戦闘機部隊に命じる
全機発艦せよ!」
宇宙磁気傷害によって
ウルフシューター将軍と連絡が付かないのは
少々気にはなるが何の問題もない、
通信が回復すれば敵の駆逐艦を
撃沈したという何時も通りの報告をするだけだ
「それにしても・・只の駆逐艦を・・
それも1隻を撃沈しても何の功績にもならない
・・この1隻に全艦出撃させたと言う方が
逆に恥ずかしいくらいだ・・全く面倒・・」
ブルドック少佐は未確認の空母の可能性に
思い当たった・・『そうだ!空母だ・・
あれだけの戦闘機を搭載できる空母となれば
かなりの大物ではないか?』
『駆逐艦など2の次だ・・隠れているであろう
空母艦を炙り出す!そうだ・・そのためには
あの駆逐艦を痛めつけ助けを呼ばせればいいのだ』
我ながらの名案にブルドック少佐は大いに
満足する、これはウルフシューター将軍に
誉めてもらえるぞ!
種族の特性か・・・彼等獣人種族は
上位者にたいしての忠誠心が
異常な程高いのだ。
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★付箋文★
神風型駆逐艦ハヤテ
その速度と機敏性は特筆すべき物がある
戦艦の主砲で狙ってもその素早さで
中々当たらずかえって味方に誤射する
デメリットさえある
ミサイル艦で攻撃し追尾機能を頼っても
そのミサイルでさえ逃げながら
多数の砲塔で迎撃する
小さく小回りが利きある程度の
打撃力があるのだから手に負えない
「しかし機銃だよな?」
ハヤテがミサイルを迎撃するのに使う
機銃の威力が少しおかしい・・
まあ気にするほどではないが
射速が速すぎるのだ
「やはり戦闘機で追いつめるしかないか・・
よし爆撃機を20機ほど向かわせろ!
奴を追いつめとどめにミサイルをぶち込む!」
駆逐艦の天敵は戦闘爆撃機と相場が決まっている
「どんなに機敏でも所詮は船
空飛ぶ猛禽にはかなわないのだ
海鳥に刈られる哀れな小魚・・
それがお前だハヤテ」
ハヤテほどではないが神懸かり的な
操艦をする駆逐艦はある
ガルスグレーサーはそれらを戦艦の驚異と
見なし対抗策を編み出していた
それ即ち駆逐艦殺しである。
超高速で動き回るハヤテに余裕で
追いつく戦闘爆撃機
搭載された機銃で射撃しても
ハヤテの装甲はそれを弾き返す
「駆逐艦とはいえ
流石に24ミリでは傷も付かないか!
だがこの爆雷は駆逐艦の装甲では
耐えられまい!」
爆撃機2機がハヤテを追いかけ
其れを待ち伏せる18機が
一斉にハヤテに向けて爆雷を
正面から矢継ぎ早に撃ち込んだ
ハヤテはこれを正面から喰らってしまう
「爆雷の威力は間違いなく駆逐艦なら
一発で沈む威力だ!あれだけ喰らえば
只では済むまい」
ブルドック少佐が勝ち誇った笑みを
浮かべたが・・その笑みは途中で
驚愕に変わった
「馬鹿な・・何故沈まぬ・・?」
『この方法で沈まなかった駆逐艦など
今まで居なかったぞ!一体何隻沈めたと
思っているのだ!!なのに奴は
どうして平気で飛び回って・・』
「あり得ない・・何発もの爆雷を
まともに喰らったくせに・・幾ら何でも
頑丈が・・過ぎるだろ?」
だがハヤテは爆撃機から逃れようと
必死に飛び回っている確実に効いてはいるのだ
爆撃機の連携は上手くいっている・・
こうなればやはり爆雷の数を更に増やし
動けなくしてからミサイル攻撃で止めを
刺すのが駆逐艦淘汰の常套手段である。
ミサイル艦のミサイルの威力は爆雷の
比ではない・・これの破壊力は
戦艦の重装甲でさえ絶対に耐えられないのだ
「爆撃機でハヤテを誘導しろ!
ミサイル艦の威力を奴に見せてやるのだ!!」
直進から錐揉みしての直下行
中に乗る乗組員は船に掛かる重力で
圧死している筈が・・信じ難いが未だに
平気で飛び回っている
「本当に・・あれは船か?」
全長130メートルのデルタ翼が有る
有翼艦に見えるが・・本当は
戦艦に偽装した戦闘機ではないのか?
『もしそれでも・・爆雷をああも喰らって
平気で逃げ回るなど説明が付かない・・
異常だぞ・・あの船は不気味だ
常識が悉く通用しない』
ブルドック少佐は今一つ
ハヤテの力が掴めないでいた
駆逐艦なのに戦艦より丈夫で
戦闘機に負けない運動性能を持つ・・
まあその程度で有れば問題はない
数で圧倒すれば良いだけの話だ・・
だが不気味だ・・
未確認の空母の存在も気になるし
やはり速いうちに
沈めておいた方が良さそうだ
ミサイル艦隊の攻撃ポイントに
爆撃機隊が上手くハヤテを追い込んだ
「よし!対艦ミサイル全門発射だ!!」
ブルドッグ少佐の命令により
ミサイル艦の搭載する全てのミサイル攻撃が
小さな目標であるハヤテに襲いかかる
一発のミサイルの大きさがハヤテの
半分にも及ぶ大型ミサイルの壁が迫る
絶体絶命の危機が迫る。
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★付箋文★
ミサイルウオール
ウルフシューターが編み出した狼戦法の
その壱である
爆撃機を狼に例え集団で獲物を追いつめ
そこにミサイルの壁で逃げ場を無くし
後ろから爆撃機が爆雷を獲物の背中に
加えることで更に追い込み挟撃する
鬼畜と言われる程情け容赦のないミサイル戦法だ
「この戦法を編み出した
ウルフシューター将軍閣下こそ
正しく戦の天才よ!」
ブルドッグ少佐もウルフ戦法を学んで
此処までの戦争で多くの武勲をあげた
ウルフ戦法の使い手としては将軍の弟子として
一番の使い手だと自画自賛している
ハヤテは後方から来る雷撃の爆発で
尻を押されそのままミサイルの壁に
激突する形で叩きつけられ爆発の
餌食になる筈だった
だがそこでハヤテは全速前進でミサイルの
壁に自ら体当たりし雷撃の追撃を振り解き
ミサイル数発を爆発させるだけで
被害を済ませたのだ
「エエイ!思い切りのいいパイロットだ!」
此は狼戦法その壱の唯一の回避手段である
ミサイルの壁も一つのミサイルに集中し
それだけに上手く当たればミサイル数発の
打撃だけで済む・・だがミサイルの
爆発に耐えられる獲物はなく
結局は自爆みたいな攻略方法なのだが・・
あのやたらと丈夫な駆逐艦は
やはり原型を取り留めている・・
「信じ難い頑強ぶりよ・・・」
だが・・
煙を噴きながら船体が揺らいでいる・・
「・・効いている・・あの異常なタフさも
流石に限界が近いようだ
追い込むなら今だ・・逃がしてしまって
生き返られては厄介だからな」
「火星に残る戦力のほぼ全てを投入し
ハヤテを確実に沈めるのだ!」
ブルドック少佐はたかが駆逐艦に
此処まで良いように翻弄されて
面白くない上に・・・ウルフシューターの
ある言葉を思い出し焦りを抱いていた
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「この宇宙には信じられないような
{個}の力を持つ存在が居るのは事実だ
その様な存在に遭遇したなら迷わず撤退しろ!」
「戦闘を出来る限り回避するのだ・・
将兵の命はお前達の再拝に掛かっている」
「一人一人の将兵にも親家族・・そして
妻や子が居ることを決して忘れてやるな」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
その言葉が何故か頭から離れない
『馬鹿な!あれは只の駆逐艦だ!
手に負えない相手ではない・・その証拠に
既に相当のダメージを与えている・・』
煙を噴き上げ時々火花が飛び散っている
間違いない・・奴は弱っているぞ!
火星基地の防衛は150機の戦闘機隊に任せ
残っていたブル少佐のミサイル艦までもが
ハヤテ撃沈に向かった
「ミサイル空母が残っているから
取り敢えずの急場は凌げる」
地球の戦闘機はたかだか50機
ドックファイとでも3対1なら余裕で勝利出来る
という計算だ
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★付箋文★
「ミサイル空母か・・コロニーに近いし
ミサイルでも撃たれたら厄介だから・・・
先に沈めるか・・」
坂巻進吾は愛機サンダーシャークを
自在に操りながら敵機を翻弄していた
今のところ50機のサンダーシャーク隊は
敵機への牽制に止めており
本格的な戦闘は控えているが・・
「竜一の奴・・随分芝居がかった真似を・・
面白がるのは良いが・・あれじゃいずれバレるぞ」
ハヤテを操縦する響き竜一は爆撃機と
無数のミサイルに追いつめられ
撃沈される寸前の擬瀕死を楽しんでいた
「もう少し翼を左右に振った方が
追いつめられた感じがでるかな?」
そう言うとハヤテのデルタ翼を左右に
振って見せる
すると敵の爆撃機とミサイルの
攻撃が最後の止めとばかり勢いを増した
「単純だね~っ」
多少オーバーなくらいハヤテの弱った姿を
見せる事で捕食者の食欲を倍増させる
「ここら辺りで良いか・・・・」
勝艦長は次の作戦行動に此処で出た!
「VXライガー」
「VXレオールド」
「全戦車隊発進せよ!!」
超重量級の大型戦車ライガー20両
軽量級中型戦車レオールド50両
計70両もの戦車隊が転移ゲートから
猛スピードで次々に飛び出してくる
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『あの駆逐艦も流石に終わりだな・・』
コーヒーに似た飲料を口にし
そのオペレーターはそう呟くと
何気なくレーダーを見ていた
「敵ながら中々手強かったが・・」
するとレーダーに突然光点が点灯し
其れが火星コロニーの2キロ先に
次々に現れた事で
ガルスグレーサーのレーダー官は
楽勝ムードだった空気で油断していた
せいもあり頭が一瞬真っ白になった
「な・・何・・何だ!?」
これは・・レーダーの故障か!?
だが・・光点がこの基地に向け動きだし
始めたのを見てオペレーターの血の気が引いた
「こ・こ・此は!!敵襲だ!!」
ハヤテを沈める目的で
ミサイル艦で発進したブル少佐は
火星基地からの緊急通信を受ける事になる
「何の用だ?この忙しいときに」
「其れが・・基地のオペレータが
レーダーに多数の戦車の襲撃が観測されて
いるとの通信が・・」
ブル少佐は何を言われたのかと・・一瞬口が
ポカーンとなるが、直ぐに思い直し
「何を言ってるんだ!?戦車?馬鹿な事を!?」
「空母でも戦闘機でもなく今度は戦車!?
誤認ではないのか馬鹿者め!」
「所が・・この艦のレーダーにも
その大規模な戦車隊と思われる動く光点が
観測されてまして・・・」
ああ~ん??
ブル少佐は火星基地に少なくとも
50両を超える戦車隊が向かう光景を
望遠で捉えた映像で観た
これ以上ブル少佐に叱られる前に
オペレーターが現場映像を提供したのだ
「うがが・・・嘘だろ?・・一体何処から?
あの規模の戦車隊を一度に運ぶには
戦車揚陸艇が20隻は必要だ・・」
「宇宙空母ばかりかそんな物まで
一体何処に隠していたんだ??
異常だこの戦場は異常すぎる!!」
ブルドッグ少佐は生まれて初めて
オカルト的な恐怖を感じていた
彼処に現れた戦車も戦闘機も
何もかもが余りに不可解で当たり前の
常識が通用しないのだ
頭が可笑しくなりそうだ・・
だが基地をこのままにして
行くわけにはいかない
「直ちに引き返し上空から
敵の戦車隊をミサイル攻撃する!」
そう命令じたと同時に
強力なエネルギー砲がブルドック少佐の乗る
ミサイル艦と艦隊を組んでいた1隻に命中し
その艦が爆発した
「な・・・何だ!?」
攻撃してきた方向には
追いつめられて瀕死の筈のハヤテが
か細く見える主砲から放熱を発しながら
こちらを狙っていた
「ば・・馬鹿な!」
『死にかけていたのではないのかあの艦は?』
砲撃されたミサイル艦は・・・
どれ程の威力なら此が可能なのか
艦の上部が削られ何も残さず無くなっている
「え!?ええ??」
恐らく上部甲板の乗組員は一瞬にして蒸発した
何だこの威力は?・・・戦艦の威力をも
遙かに超えている
其れをあの駆逐艦サイズの船がやったと
言うのか?
もう一度・・その駆逐艦を見てみると
今は煙も・・炎も上がってない・・
偽傷だったのだ!!傷を負った様に
見せかけていたのだ奴は!
それが解った時にはもう遅かった
基地を守るのは航空戦力150機
だが・・敵機が50機なら敵の戦車隊を
狙うことも出来る
その考えが・・甘いと解ったのは
ハヤテの側から光のゲートが多数出現し
其処からミサイルの如く
戦闘機が次々に飛び出して来て
そのままブルドッグ少佐の乗るミサイル艦を
通り過ぎて火星基地に向かって飛び去った
その戦闘機の数 有に100機
その戦闘機と今向かった戦闘機に挟撃され
ガルスグレーサーの戦闘機は為す術もなく
撃墜されていく
その有っては成らない光景にブル少佐は
ハヤテの神髄が少しだけ垣間見えた気がした
『間違いない・・奴が・・あのハヤテが
・・この火星にあれほどの
戦闘機と戦車を運んできたのだ!』
「あの大きさで・・??どうやってか
まるで解らん!だが・・俺はこの目で見た」
50機の戦闘機に70両の戦車・・
そして今発進させた100に近い
戦闘機を搭載した怪物!
まさに白銀に輝く怪物だ!!
「一隻で艦隊並の作戦行動を可能とする
存在などあり得ぬ・・あってはならぬ
こんな理不尽な存在があってなるものか!」
見る間にハヤテの戦闘機に自軍の戦闘機は
喰散らかされていく、例え同数の戦力であっても
空母艦を失った戦闘機パイロッテに帰る
手だてはない、絶望的な状況に追い込まれ
次々に撃墜される味方機・・
地上には70両の戦車が地帯空ミサイルで
狙いを付けている
戦闘機が撃ち漏らした獲物は
今里真一VXレオールド隊隊長が指揮する
50両の中型戦車の地帯空兵器の餌食となった
「このレオールドの牙から逃れられると
思うなよ!」
ブル少佐は
今まで学んできた兵法が一切通用しない
化け物が・・今目の前にいる事に恐怖した
ハヤテはそれまで逃げ回っていたのが
嘘のように元気を取り戻し
生き生きとした動きをし始める
「否・・違うぞ! 弱って見えていたのは
実は嘘だったんだ・・奴は弱ってなど
いなかった!!」
ハヤテが副砲を撃つと
その次の瞬間には、副砲が直撃した
ミサイル艦の1隻が艦主から右半分を
もぎ取られていた
「又だ・・あの船の攻撃力は副砲でさえ
300メートルあるミサイル艦の
艦体を紙みたいに撃ち抜く」
「主砲じゃなくても・・あの船の砲門は全て
一撃で戦艦を撃沈してしまうのだ」
見た目通りの駆逐艦の戦闘力ではない・・
あの威力は超弩級戦艦をも超えた威力だ
攻撃力までもが怪物だというのか???
早さに機敏さ・・攻撃機と戦車車両を
艦隊並に収納し戦闘力が超弩級戦艦を
凌駕するだと・・馬鹿馬鹿しい・・
馬鹿馬鹿しいが・・現に目の前にいる
こいつの存在は・・理不尽過ぎる!
こんな化け物と我が尊敬する
ウルフシューター将軍が何れ戦うのか!?
ブル少佐は・・火星基地に向かう
大規模な戦車隊を見て基地の陥落を悟った
『駄目だ・・このままでは無駄死にだ・・』
ハヤテが鬼の強さでミサイルでの攻撃を
何発も喰らいながら
ミサイル艦隊を次々に主砲の餌食にしていく
光景が、余りに現実離れして見える
『あの怪物のデーターを・・
何としてでもウルフシューター将軍に
お伝えせねば!!』
ブル少佐は映像に残したハヤテとの
戦闘データーに自分のメッセージを吹き込み
それを火星基地のコンピューターに
{偽装データー}に加工して残すよう
素早く部下に指示を与えた
流石と言うべきか・・狼将軍
ウルフシューターの直属の配下の名は伊達ではない
「俺は凡庸な男だ、ハッキリ言って
あの恐るべき敵の正体さえ全く解らない・・・
だが・・俺の知るあの方なら・・宇宙戦艦設計の
天才であるウルフシューター将軍なら」
「あの船の秘密を解き明かせると信じ・・
奴の戦術データーを偽装データーにして
火星基地に残す!」
『願わくば・・あの化け物を・・・どうか
この無念を・・・晴らして下さい!
ガルスグレーサーに栄光あれ!』
ハヤテの主砲が一閃しブル少佐の乗る
ミサイル艦は上艦部が削られるように
破壊され撃沈した
敵ミサイル艦をハヤテが次々に追いつめ
しとめる横で戦車隊は火星コロニーを
見る見るうちに制圧してしまう
「リクジョウ戦力ハ大シタコトガナイナ」
VXライガー戦車隊長
ジャックゴルドーの戦車隊を迎え撃った
ガルスグレーサーには機動兵器がない、戦時に
戦車揚陸艇を展開するにはそれなりの
準備と時間が必要だからだ
「戦闘機と戦車を大隊規模運用できる
ハヤテが凄すぎるのさ」
今里真一{VXレオールド隊}隊長
彼は若いながらレオールド隊隊長として
有り余る指揮能力を発揮した
上空にいる敵の戦闘機を対空放火で
撃ち落とした数は40機
戦車の天敵である航空機も
上下に挟撃されたら一溜まりもない
空の敵機を何とかかわしても
下からの対空砲で狙われたら
逃げ場がないからだ
立体的な詰め将棋である
この兵法は今里が指揮し
中型戦車の連射性能と切り返しの早さを
最大限に生かした戦術なのである
大型地上兵器があった場合は
ジャックゴルドー指揮する
ライガー戦車隊の出番となるが、
残念ながら此度は出番が少なかった
敵もまさか火星での地上戦を想定して
居なかった為と言える・・
こうして・・ハヤテ勢は
残る敵戦力の掃討を素早く済ませ
そして・・火星に残された
ミサイル艦隊10隻と戦闘機150機
その全てを殲滅し
ガルスグレーサーの火星基地は
ハヤテ単艦により陥落したのだった。
______________________
★付箋文★
ウルフシューターは突然起きた
通信障害で火星と連絡が着かない事に
言いしれなぬ不安を感じていた
眼前には地球の宇宙艦隊が勢揃いとなっており
一触即発はもう寸前と言った所である。
「まだ・・火星との連絡は着かないか?」
『ブルドッグに任せたから杞憂だ
とは思うが・・この嫌な予感は』
ウルフシューター将軍は副官シェパードに
再三、火星との連絡を命じる
宇宙の通信障害はそう珍しい事ではない
とくに太陽系のように惑星が多数ある
恒星系では良くある宇宙現象だ
太陽黒点の活動が磁場や通信に影響を
与える事は良くあること・・
気にし過ぎなのは自分でも解るのだが・・
このタイミングでと言うのがどうにも
気に入らない
兎に角・・
火星基地との連絡が取れたら
大至急私に繋いでくれ
副官に念を押すのも不安の現れだ・・
「目の前にいる地球艦隊は正直言って
我が艦隊に比べればどうという事のない
戦力だ・・戦いになれば我等の圧勝と
なるだろう」
「あのハヤテが居ないのだからそうなる
地球は最強の戦艦をこの大事な一戦で
温存しているのか?」
『意図が解らぬ・・』
スペースヴォルフの艦橋で
ウルフシューターは
いい知れない不安を抱えている
その時・・火星との通信障害が治まり
突然基地との通信が回復した
スペースヴォルフの通信士は直ちに
これをウルフシューターに報告する
「そうか・それで火星基地に連絡は
取れたか?」
一瞬の間があり通信士は
「それが・・
通信を送っているのですが
返事が戻ってきません!」
狼将軍は怪訝な表情を浮かべる
「間違いなくこちらの通信は届いて
居るはずなのですが・・・」
通信士はそう報告した
ウルフシューターの心の音が大きく跳ねた
「な・・ん・・だ・・と」
犬のような唸り声をあげ
副官のシェパードが返答が曖昧な
通信士に詰めより叱責する
「何をハッキリしない言い様を・・
それでも貴様は旗艦の通信士か!
栄誉あるウルフシューター直属の
選ばれい兵士の一人か!自覚を持て」
通信士は態度を改め副官に敬礼すると
直ぐに通信機をもう一度点検し
緊急通信コードを発信した
此は如何なる理由が有ろうとも
必ず状況を知らせる義務の生じる
正式な艦隊の緊急発信である
だが・・此が届いても火星から
応答が一切帰ってこなかった
通信士は覚悟を決めウルフシューター将軍に
報告を上げた
「間違い有りません・・火星基地は
この通信を無視する訳がありません
何か重大な事態が起きたと思われます!」
副官も通信士と同じ意見だと
その硬い表情から伝わった
ウルフシューターは自分が感じていた
悪い予感が現実になったと確信する
「緊急事態だ・・火星に致命的な事態が
起こったと思われる、地球艦隊の足止めは
第二号ミサイル艦を旗艦代行として任せ
艦隊の再編成を急がせろ!」
矢継ぎ早に指示が飛ぶ
スペースヴォルフと5隻のミサイル空母で
直ちに火星に向かう判断を即決した
ウルフシュータだったが
レーダー手の報告でそれすら
もう既に手遅れだと知る
「火星から強力なエネルギー反応!」
一閃の強力な光線砲がウルフシューターの乗る
スペースヴォルフの脇を掠めて行った
「こ・・この光線砲は・・ハヤテだ!
か・・火星の方角から撃ってきた・・
と言う事は火星基地は・・ま・・まさか!」
ウルフシューターが最悪の状況を把握したとき
スペースヴォルフの誇る観測危機が敵の
映像を捉えた
「何だアレは!?」
それは・・ハヤテではなかった
「馬鹿な・・ハヤテでないだ・・と?
何だあの円盤は?」
其処に見えるのはハヤテとは似ても似着かない
円盤型の{未確認飛行物体}であった。
_________________
★付箋文★
「あれは・・あの機は!」
その円盤は地球艦隊で知らない者は居ない
あまりに有名な宇宙円盤だった
「銀河連邦の・・俗に言う銀河円盤!!」
太陽系第3惑星地球を銀河連邦に無理矢理
開国させた悪名高き地球にとっての黒船
地球を日本に無理矢理統合せるために
日本以外{全世界}のあらゆる電子機器を
電磁パルス攻撃で破壊した悪魔のUFO
地球人類はこのたった一機のUFOにより
科学文明を破壊されてしまったのだった。
その後は言うまでもなく
唯一残された日本が地球を復興させ
銀河連邦に加盟を強制された
{憲法9条}を条約として結ぶのが
地球が生き残る唯一の条件として。
「地球が屈辱の不平等条約を呑まされた
あの悪夢(UFO)が・・なぜこの場に?」
ガルスグレーサーのミサイル戦艦
スペースヴォルフにエネルギー砲を
発射したのがその銀河円盤だと知って
地球艦隊はその意図が全く理解出来ず
まずは通信を試みる
<そこの銀河連邦の円盤に告ぐ・・
一体何用でこの場に現れたのか・・
その理由の返答を求む>
だが銀河円盤からの応答は無かった
銀河連邦ユニオンは地球を常に見下し
いつも一方的だが・・
艦隊を預かる金剛艦長は
銀河連邦の船が相手では下手に出るしかない
圧倒的な科学力の差と軍事規模の
開きを知っているからこそ
地球は銀河連邦に決して逆らってはいけない
亡国への道に繋がると理解している
<我々はガルスグレーサーと言う
侵略的外星人に侵略を受けています
今我々と対峙している艦隊こそが
そのガルスグレーサーなのです
何卒・・御回答を頂きたい>
金剛艦長は銀河連邦の円盤に向けて
粘り強く交信を続ける
______________________
★付箋文★
一方でスペースヴォルフでも
謎の円盤が・・銀河連邦のものだと
データ照合は取れた
だが・・・
「違うな・・あれはハヤテだ!」
あの独特な光線砲を見間違えるものか
巨大なビームを圧縮し放った様な
あの異常な高密度エネルギーの塊を・・
ウルフシューターはそれよりも
自分の艦隊がハヤテと地球艦隊に
挟まれているこの事態に対処せねば
ならなかった
『いっそ地球艦隊にこのまま突撃し
同士討ちを誘えば、ハヤテは手出しが出来ない』
『だがそれはミサイル艦の戦い方ではない
距離を詰める?それではミサイル艦の
最大の長所である遠距離からの一方的な
攻撃方法を自ら捨てることだ』
『其れでは戦艦の主砲と
まともに殺り合う事になる
砲撃戦と成れば逆にミサイル艦が不利だ!
突撃するのは余りに愚作・・』
『それにハヤテは何故あのような姿に
己を見せているのか・・?
味方にまで正体を隠す・・為か?
自軍から正体を隠すのは・・一体何故だ!?
何より銀河連邦の円盤に偽装する意味は!?』
『とは言え・・大体の想像は付く・・
そう思えるのは初撃でこのスペースヴォルフを
撃沈しなかった事実だ・・』
「指揮官を殺してはこの艦隊がその仇を討つまで
引き下がらなくなると言う計算か」
ウルフシューターがそう思案している間にも
ハヤテは徐々に自軍との距離を詰めてくる
長距離射撃できるハヤテは
火星からこの地球と火星の中間地点まで
攻撃範囲内だ、威力も恐ろしいが・・
命中率ももの凄い制度を出している
「もう少し近くなればこちらも
長距離ミサイルを使う手も出てくるが・・」
『否・・不味い!・・それは不味いぞ
ハヤテにはアレがある!』
その事に思い当たったウルフシューターは
ハヤテの決戦兵器・ジェットトルネードの
推定射程距離を計測した
『不味い・・後少しであの兵器の射程圏内だ
此は不味い!撤退しかない・・』
「地球の船ではなく
{銀河連邦}の横槍で戦略的撤退をしたと
説明すれば・・本国も納得する
逃げる理由まで用意してくれるとは・・」
「ハヤテめ小癪な真似を・・この借りは
利子を付けて返してやるぞ・・必ずだ!」
ウルフシューターは即決し全艦隊に
戦略的撤退するよう命じ木星に進路をとらせる
次々にリープでその場を離れていく
ウルフシューターのミサイル艦隊
「一体これは・・何なんだ?」
地球艦隊は敵の撤収を
まるで狐に摘まれた様な複雑な思いで
只何も出来ずに見送った。
____________________
★付箋文★
金剛艦長が
事の顛末を地球司令部に伝えての
司令部の出した答えは・・
宇宙艦隊はそのまま火星へと向かい
ガルスグレーサーの手から火星を
奪還せよと言う命令だった
これだけの大艦隊を送り出したのだから
絶対に戦果をあげろと言う事なのだろう・・
銀河連邦がどのような企みがあるのか
全く解らないが・・艦隊が無傷の状態で
火星に向かえるのは誠に幸運としか
言いようがない
「だが此では戦で武勲をあげた事に成らんのだ!」
金剛艦長は表面上は冷静さを装っていたが
その胸の内は臓腑が煮えくり返っていた。
「其れにしても円盤が敵旗艦に発射した
あのエネルギー砲は凄まじかった・・
流石・・銀河連邦の戦闘円盤よ
あれが自分の艦隊に向かって使われたらと
思うと背筋が冷たくなる」
金剛艦長は銀河円盤に
敵との戦いを台無しにされた怒りより
あの化け物を相手にせずに済んだ安堵感が
今は勝っている感じだ。
_______________________
★付箋文★
ハヤテはウルフシューターの
ミサイル艦隊が戦場を撤退するのを見送ると
次の作戦に打って出た
「さあいよいよ本番だ!」
この茶番劇に終止符を打つ時が来た
今現在・・銀河外周に予測では
ガルスグレーサーの侵略艦隊が
無防備の地球に向かって侵攻して
来ている筈だ
「敵は地球の裏をかいたとほくそ笑んでいる
だろうが・・そうはいかない」
ハヤテ戦闘総隊長の大城誠矢は
今回の火星奪還作戦に大きな意味で関わっていた
前回の犬吠岬で撃墜した
ガルスグレーサーのスパイシップから
得た情報により、その侵略方法と思想が
分析出来た{分析では}
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ガルスグレーサーは地球を出来る限り
無傷で手に入れたがっている
そこで地球艦隊を火星に向かわせ
地球の守りにわざと隙を作り
ガルスグレーサーの本星より
直接艦隊を差し向けさせると言う
おびき寄せ作戦を立案したのだ
そのためにハヤテはまず
太陽を回り込む形で地球艦隊と
逆方向から火星に先回りして
敵火星基地を強襲した
今の所は作戦は上手く行っている
ハヤテのガードミラージュ・システムが
この作戦の要である
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
{ガードミラージュ・システム}とは
ハヤテの周りの空間に映像を投影し
ハヤテの姿を消したり複数に見せたり或いは
{別の姿に見せる擬態機能}の名称
独立遊撃隊であるハヤテの
敵と味方の目を同時に欺く作戦用に開発された
春吉科学班長自慢の画期的大発明なのだ。
_____________________
★付箋文★
ガルスグレーサーは巨人文明
ムー直径の子孫である
天体級大円盤と言う人知を遙かに超えた
超古代文明兵器の力により多くの星々を陥落させ
その勢力を拡大し続け・・今や
銀河にも匹敵する大帝国を築きあげた
5万年の昔・・最終戦争の末に滅んだ星から
ムーとアトランテスは共に大円盤で脱出し
宇宙を3万年以上放浪した其の果てに
地球という理想の星に辿り着いた
同じ大円盤で旧敵同士だった彼等が
互いに協力し助け合ったからこそ
実現した奇跡(ミラクル)である
此処ではもう互いの利害を捨て争いを捨て
共存共栄を目指す筈だった・・・
だがそこで巨人である彼等は地球人が
自分達より文明が劣り
尚かつ小型人類であると知ると
此処で又{二つの派閥}に別かれた
巨人族による小人人類の支配を唱えるムー派と
人間サイズに体格を合わせ地球人と
共存共栄を目指すアトランテス派の
2派閥闘争が勃発される。
アトランテスは地球の陸地に
新たなる王国{アストラ}を建国し
移住したが、ムーは地球征服を強行する
無論アトランテスは地球人を守ろうとして
両陣営の激しい戦争が始まった。
数百年に及ぶ戦争の果てに
ムーはアトランテスの圧倒的な
魔導の力の前に敗北する
だがアトランテスは
同郷の生き残りであるムーを滅ぼせず
宇宙に追放する事しか出来なかった。
____________________
★付箋文★
2万年もの年月が経ち・・
ムー文明は新たな姿に生まれ変わる・・・
アトランテスに復讐する為の
軍事的パワーを追い求め、多くの文明圏を
滅ぼしては文化吸収と奴隷化を続け
やがて比類無き軍事国家へと変貌した
最早何者にも敗北する事はない
全宇宙の支配者と成ったのだ!
何時しか彼等は自らを{神の子}と
呼ぶようになる
ガルスグレーサーこそは神の楽園
巨人族に生まれた者は永遠の富と幸福と権力を
手にする選ばれし民族なのだと・・・
ガルスグレーサーこそは全宇宙に
真の平和をもたらす偉大な神の系譜
全ての知的生命体は偉大なる神の子によって
等しく支配されねばならない
さすれば小さき者同士の愚かな
いがみ合いや諍いも無くなり平和で穏やかな
ユートピア世界が実現されるのだ
黄金郷の実現はガルスグレーサーが
支配して初めて実現するのだ
アトランテスが如何に間違いであったか・・
{正当なる支配者}ガルスグレーサーが
道を示さねばならない
此が 大城誠矢を激怒させた一文である
スパイシップの人工知能から回収した
ガルスグレーサー帝国の概念
正直これを知るまで大城誠矢は
{防衛隊}の思考にまだ縛られていた
だがこの傲慢な理念を知ってから誠矢は変わる
「アトランテスの間違いを正す!?
そんな馬鹿げた理由で
多くの星を侵略し文明を破壊しては蹂躙し・・
そして俺の家族とキャシーを・・真耶の・・
お父さんやお母さんを・・奪ったのか!」
「許さない・・俺は許さないぞガルスグレーサー
祖先のアトランテスは大きな間違いを冒した・・」
「使える武力を使わず奴等を宇宙に逃がしたのは
大間違いだ・・今度こそ・・逃がさない・・
俺は奴等を・・ガルスグレーサーを此の手で必ず
全滅させてやるぞ!!」
____________________
★付箋文★
今・・銀河外周に迫りつつある
凶悪な暴力の化身と言える大艦隊がある・・
それは地球侵略の為に派遣された
ガルスグレーサー帝国侵略艦隊
その艦数は有に1万隻、一惑星である地球を
攻めるには過剰すぎる大戦力だった
3000メートル級の旗艦グレートガルス
要塞と呼んでも差し支えのない超巨大戦艦だ
その内部は人類には何もかもが
巨大過ぎるマクロの世界が広がっていた。
人類サイズの10倍ある巨人からしてみれば
この艦も普通の大きさでしかない感覚である。
内装が全て10倍の世界では
小人と呼称される我々人類にとっては
危険と恐怖に満ち溢れた世界となるのだ
巨人に少し踏まれただけで殺されかねない
巨人が何かを床に落とすだけでその重さ次第では
小人には致命傷になる。
巨人達がそれを気を付ければまだ良い
だが巨人はこの世界の神である
気を付けるのは逆に小人奴隷の責任で
邪魔にならないようひっそり行動し
巨神の世話をするのが義務であり幸福
そう幼い頃から徹底的に言い聞かされ
教育を躾られた小人達は
巨神に使えることに何の疑問も抱かず
人形のように育てられていく
ガルスグレーサーは自分達に従順な人間には
慣用に振る舞い、逆らう者は情け容赦なく虐げ
弄び重い刑罰を課すとされる
このドス黒い文化にドップリ漬かる
厄介者が居た。
今回の地球侵略艦隊の艦隊司令を務める
グレートガルスの巨人艦長ゲーレツ司令官
「2万年前の文献で地球人は奴隷として
大変に有能だったと記されていた」
「地球を侵略した暁には
見栄えの良い地球人共を選別し
ワシの小人奴隷にしてしまおう」
「そして朝から晩まで雑用をさせてこき使い
気に入った娘は・・グフフ」
ゲーレツは己の歪んだ妄想に酔いしれていた
巨人である彼の側では彼の身長の10分の1
サイズの人間達がセカセカ働いている
重いゲーレツの体に必死でマッサージを
させられて居るもの、又は髪を櫛で梳く者
ゲーレツはそんな彼等を労いもせず
それが当たり前の様に振る舞い
少しでも髪の毛を強く梳き痛みを感じれば
其れをやった小人を手で叩き落とした
床の上に落ちた小人は手足を骨折し
半死半生の目に合わされる
だが怪我をした小人は下げられ直ぐに次の
小人が髪梳きの役目を交代した
ゲーレツに使える小人奴隷の中には
かって巨人だった者も居る
だが・・弱者の小人を虫ケラと呼び
虐げられる小人の心を思うと
余りに酷い扱いをするゲーレツに
意見を言った所、その巨人にゲーレツは
「知らんな・・虫ケラの事など
解る訳が無かろう」
そう吐き捨て気に入らないその巨人を汚い罠に填め
無実の罪を着せた挙げ句小人刑に処してしまい
その巨人の妻子も同じく小人奴隷に落とし
ゲーレツは現在、かっての部下を
自分の小人奴隷としてこき使っている
この元巨人の名は{セイイアル}
本当ならゲーレツの副官だった男だ。
「ククク・・地球人共を奴隷にしてどんな風に
弄んでやるか・・今から楽しみだなセイイアル!」
ゲーレツは元副官のセイイアルにわざと
聞こえるようにそう言った
セイイアルが優秀な副官なのは間違いない
いけ好かないが妙に頭の切れる男だ
出来れば自分の手駒としては欲しい人材
だから家族まで人質に取りこうして側に置き
思想教育を施している
セイイアルはゲーレツのそんな企みなど
とおの昔に見抜いているが・・・
リンクス指令参謀からこの男の面倒を
見てやってくれと言う頼みに
仕方なく従っている
ゲーレツはこう見えて王族の一人・・・
素行の悪さが無ければそれなりの役職に
着けている
(リンクス様の思惑に従いこの男を正そうと
しましたが・・とても私の手に負える輩では
ありません)
諦めにも似た表情でゲーレツを見・・
セイイアルは地球人の未来を憂いた
「せめて・・本土攻撃などしないで下さい」
「其れは約束出来んな・・ガルスグレーサーに
逆らう者には死を与えるのが原則だからな」
無条件降伏を地球が受け入れない場合
地上に向け衛星軌道上から戦艦による
荷粒子砲の一斉攻撃をお見舞いする
地球を焦土化すると言うのがゲーレツの
方針だった「虫螻共を焼き殺してやる」
「折角無傷で侵略してやるという我の
申し出を断るのだ・・それくらいの
罰を与えて当然だろう?」
地球を守る防衛軍艦隊は
ウルフシューター将軍により釘着けとなっている
丸裸にされた地球はこの狂った侵略者に
最早抵抗する術がないのだ
(あの美しい青い星が・・見る影も無いほど
破壊し尽くされる・・この悪夢が
現実になるのは時間の問題だ)
セイイアルがそう思ったその時
「アレはなんだ?」
ガルスグレーサー艦隊が
銀河外周にたどり着いたその時・・
突然1機の円盤が姿を現した
銀色の表面に虹の模様が常に走る古典的な
その姿は何処か幻想的ではあるが
それが銀河連邦の円盤と同一であると
観測官はゲーレツに報告を入れる
「銀河連邦ユニオンの中型円盤だと?」
『今更銀河連邦が何のようだ?・・もう奴等とは
地球侵略に関しては黙認すると我が
ガルスグレーサー政府と話が付いている筈だが』
疑問には思ったがゲーレツは問題にしなかった
相手はたった1機の円盤である・それも古典的な
中型ではないかと端から侮った
「ガルスグレーサーの艦艇で言えば
駆逐艦クラス・・何の驚異にも成らない」
通信士がゲーレツに、前方に見える
円盤から通信が届いていると報告をあげる
ゲーレツは面倒臭そうに通信を繋ぐよう
部下に命じた
<ガルスグレーサー艦隊に告ぐ・・
諸君等は銀河連邦の宇宙海域を侵犯している
直ちに当方の領海から立ち去れ!
警告を聞き入れない場合、当方は直ちに
実力を行使する>
この台詞にゲーレツは猛烈に腹が立った
「条約違反はどっちだ!取り決めた約束と違うぞ!
地球を侵略する事に関しては銀河連邦は
黙認すると制約を交わした筈だ今更何を言か!!!」
だがその銀河連邦の銀色円盤の答えは
思いもしない物だった。
<確かに銀河連邦はそのような取り決め事を
交わしたが、其れほどの大艦隊を銀河に送る事を
容認した覚えはない!>
<貴殿等が地球のみならず
銀河そのものを侵略する目的で攻撃艦隊を送ったと
我々{銀河の盾}が判断した!以上の理由で
それ以上一歩でも進めば貴殿等を銀河に対する
侵略意志有りと見なし最大武力で報復する
進むのなら覚悟するが良い!>
実に強い言葉の牽制だ・・とてもこの
大艦隊を前に只一機の円盤で宣う台詞ではない
銀河連邦と事を構えるのは確かに想定外だが
向こうがその気なら・・此処は押し通り
地球を侵略してから銀河連邦と改めて
交渉し直せば良いとゲーレツは判断した。
その様子を側で見ていたセイイアルは
銀河連邦の円盤がこのように無謀な行為をする
意味を計りかねていた
「銀河の盾・・聞いた事がない名前だ」
向こうも円盤の大群で迎え撃つならまだ話も解る・・
だが円盤1機で立ち塞がって一体何のつもりだ?
抑止にもならないし無意味な行為だ・・
ガルスグレーサー艦隊は銀河連邦の円盤を
無視して銀河領海内に進入した
その刹那、突如として宇宙空間に異常現象が
巻き起こり始める
銀河連邦の円盤が巨大な宇宙竜巻現象を人工的に
発生させ、それに数百の艦艇が一気に呑み込まれた
「なっ!!?」
宇宙竜巻に呑み込まれた宇宙戦艦や宇宙空母が
互いに衝突しあって大爆発を起こしていく
「な・・何だと!?」
銀河連邦の円盤はガルスグレーサーに
強烈なメッセージを放つ
<警告はした・・今のは
銀河を侵略する愚か者に対する制裁である
貴殿等ガルスグレーサーの艦隊の数は1万
銀河に進入できる数は1000隻までとさせて貰う
その数まで削減したら通ってくれて構わない>
明らかな挑発である・・1000隻だけなら通してやる
そう言われて大ガルスグレーサーがお目お目
従う筈がない・・・
『此は・・銀河連邦のこの円盤を撃墜しない限り
進むも引くも出来なくなったぞ!』
それがガルスグレーサーと言う戦闘国家なのだ
セイイアルは今の攻撃を見て銀河円盤の戦闘力を
見誤るととんでも無いことに成ると感じた
今の攻撃は・・200メートルクラス程度の
大きさの円盤が出来る芸当ではない
全長3キロもあるグレートガルスでさえ
今の威力を持つ攻撃は絶対不可能だ
宇宙竜巻を攻撃手段に持つ戦力は・・
ガルスグレーサーでも上位の要塞戦艦級
ゲーレツは目の前で自分の預かる
艦隊の戦艦と空母が破壊された事実に
怒りと憎しみで一杯になり
ガルスグレーサー全艦隊に
銀河連邦の円盤に対する総攻撃を命じた
だが・・目標が小さすぎた
艦隊の全砲門で狙っても銀河円盤は
縦横無尽に飛び回り、なかなか命中しない
それでも数発は直撃したが銀河円盤は
まるで何事も無いように飛び回り続けた
「何と丈夫な円盤だ!宇宙戦艦の60ガルスカノンの
直撃でもダメージが無いだと!?」
知らされていた銀河連邦の技術を遙かに凌駕している
ゲーレツは未だに相手を下に見ているようだが
セイイアル(元)副官は銀河円盤を脅威に感じた
『アレはとんでもない円盤だぞ!』
セイイアルの目には銀河連邦の円盤は
控えめに見ても大変な驚異に映っていた
的が小さい上に動きが素早い
味方の砲撃が味方の艦に当たる同士撃ちが
際だって多い上に
あの円盤は只逃げ回っているのではなく
ハッキリとした目的があって艦隊を
密集させているのだ
「エエイ情けないぞ!それでも貴様等
栄えあるガルスグレーサー軍人か!」
だがそんなことを言われても
銀河円盤の耐久力と素早さは手に負えなかった
それから銀河円盤は艦隊の密集した地帯に
標準を定め、先程とは又違う宇宙現象クラスの
大規模破壊兵器を披露した。
<審判級兵器の二つめを披露する
超重力の奔流の刑を貴様等に下す!!>
次の瞬間には強大な超重力の波が発射され
それに呑み込まれると宇宙戦艦も空母も
凄まじい重力に押し潰され超重力の海に沈んで
圧懐されていった
「なにいいいいい~~~~~~~っ!!」
ゲーレツが金切り声をあげて
椅子の上で仰け反り返る
「ありえん!ありえんぞ!何なのだ
一体何が起こっておるのだぁあ!?」
「味方艦500消失!敵の攻撃により・・
約500が・・一瞬で消滅しました」
その報告は恐怖を伴っていた
「敵円盤から通信!」
慌てて円盤からの通信を開く通信士
次は自分達が狙われるかも知れない恐怖から
ゲーレツの判断を仰ぐ前に繋いでしまう
「貴様勝手に・・・」ゲーレツは
思わずそう言いかけるが
部下にこちらの動揺を見せたくない
巨人であるゲーレツの顔を見れる者は
このブリッジには居ない
巨人の顔が天上近くにあり過ぎて
角度的に見る事が出来ないのだ
ゲーレツにとってそれは幸運だった
今のゲーレツの顔は恐怖と焦りに赤黒く変色し
とても部下達に見せられた物じゃない
それでも声の様子で日っての優秀な副官は
ゲーレツの心の動揺が手に取るように解る
『相当動揺しているな・・相手が思った以上に
強いと感じて後悔し狼狽えている・・だがもう
・・遅い・・・』
小一時間と経たない内に・・味方艦約700隻を
ゲーレツは失っていた、此は・・・例え王族でも
ガルスグレーサーでは許されない大罪となる
下手をすれば(小人刑)も視野に入る程に。
だが今のゲーレツは目の前の
円盤に対する怒りからそれすら眼中にない
敵円盤からの通信は更にゲーレツを激高させる
<無能な司令官に告げる・・
尻尾を巻いて退散するのなら今の内だぞ
これ以上の虐殺は勘弁してやっても良い
逃げ帰るのをお勧めするが返答は如何に?>
この放送をガルスグレーサー艦隊の全ての
将兵が聞いている・・例え降伏したくても
ゲーレツが敗北を認めれれる状況じゃない!
『わざとやっている・・この声の主は
ゲーレツの性格やガルスグレーサーの民族性も
全て考慮した上で挑発し逃がさないように
しているのだ』
セイイアルはそれを感じると身震いした
『恐ろしい奴だ・・』このままでは1万の
ガルスグレーサー艦隊は・・きっと
殲滅されてしまうぞ。
_______________________
★付箋文★
『さあ・ゲーレツと言う艦隊司令官が
ガルスグレーサーのスパイシップにあった
データー通りの男なら、これで逃げ帰る事は
出来なくなった筈だ・・』
大城誠矢はガードミラージュ・システムによって
銀河円盤に姿を変えたハヤテのブリッジで
敵のガルスグレーサー艦隊を睨みつけていた
誠矢の挑発的な演説はハヤテ全艦に流され
大ウケである。
「大城隊長の演説は何度聞いても最高だな!」
「敵の総司令官を彼処まで煽れるなんて
ちょっと出来ないよ!」
「額に青筋浮かせてブルブル震えている姿が
想像できるよな」
「ああ・・隊長が味方で本当に良かった・・
敵に回したら最強に厄介だぜ!」
「全くだ!!」(大笑い)
ハヤテの乗組員達は大城誠矢の存在を
ハヤテの象徴のように称えている
そして・・ハヤテの乗組員の予想通り
ガルスグレーサー地球侵略艦隊総司令
ゲーレツは憤怒のあまりその激情を
自分の周りにいた小人奴隷達にブツケ
何も罪のない彼等を殴り回し踏みつぶした
何度も何度も踏みつぶし内蔵が口から
飛び出した死体や
血を口から吐きながら眼球が飛び出し
虫の息になる者もいた
手足が奇妙な形に折れ曲がり呻いている
哀れな者達など死屍累々の有様である
セイイアルはその暴力を受けるも戦闘訓練を
真面目にやっていた御陰で
ゲーレツの蹴りで吹っ飛ばされたとき
受け身を取り事なきを得る
(何という事だ・・ゲーレツめ・・
王族とは言え・・絶対許せぬ!)
ゲーレツは荒れ狂った御陰か・・幾らか
落ち着きを取り戻した
「酒を持ってこい!ガル酒だ!!」
ゲーレツがそう言えばいつもなら直ぐに
小人奴隷が酒を注いだグラスを抱えて
持ってくるのだが・・全く反応がない
それで落ち着いて周囲を見ると
自分の飼っている小人奴隷が多数床に
血みどろの肉塊となって転がっていた
「ああ・・またやってしまったか・・仕方ない
此もあの銀河円盤がこのゲーレツ様を・・
怒らせたのが原因だ」
「全てあの円盤のせいだ!ガルスグレーサーの
栄光ある王族のゲーレツザートを侮辱するなど
神をも恐れぬ所行だぞ!」
そう言って銀河円盤を指さした
だが・・その銀河円盤が突然
大型宇宙戦艦グレートガルスに接近し
艦橋部に取り付くとゲーレツは
ひいっと情けない悲鳴を上げる
「ななな!!!」
椅子の背もたれに背中が痛くなるほどの
力で押しつけそのまま沈み込む
剥き出しの恐怖が生まれて初めて
王室育ちの脆弱神経のゲーレツを襲った
(殺される!?)
ギヒイイイイイイ~~~ッ
情けない悲鳴を上げるゲーレツザートにかわり
セイイアルは通信士に銀河円盤と回線を繋ぐよう
指示を出す
『ここで直面しての対話を敢えて望むか・・』
セイイアルは全艦隊に攻撃を一時中断するよう
指示を出した
本来なら小人刑に処されたセイイアルの
発言に従う義務はないのだが、この優秀な
副官を知る者達は皆{セイイアル}を
ゲーレツには過ぎた副官だと解っていて
この緊急事態に際し一も二もなく
無条件に従ったのだ
ガルスグレーサー艦隊はセエイアルに従い
銀河円盤への攻撃を中断すると
旗艦グレートガルスと銀河円盤の交渉を
そのまま見守る姿勢になった。
<このまま戦闘を継続する場合
銀河連邦への侵略行為を元に戦争に発展し
ガルスグレーサー星軍との全面戦争に
発展する可能性があるが
我々は1万の銀河円盤を待機してある>
「1万・・」セイイアルの背中に冷たい汗が流れる
<このまま殲滅戦ともなれば其方に一方的且つ
甚大な被害が出ると強く警告する!!>
『この怪物が後1万機だと?冗談じゃない』
<今すぐ無条件で我等の領海から立ち去れば良し
さもなくば遺憾ながら・・・このまま貴殿等を
殲滅させて貰う>
殺意と圧倒的な自信に裏付けられた警告
ここまでの戦闘でこの場の
ガルスグレーサー艦隊では歯が立たない事は
間違いない事実、本当に皆殺しにされる
セイイアルはゲーレツに向き直ると
「どうしますか司令官?このまま戦えば
間違いなく我々は皆殺しになりますが・・
ガルスグレーサーの名誉と誇のために
敢えて死んで名誉を守る事も私は止めません
あなた次第です・・選んで下さい」
『この小心者にそんな勇気はあるまい』
ゲーレツは怯えきった目で
セイイアルを見・・そして目の前にいる
銀河円盤に目を向けて本当の恐怖に襲われた
「もうや・・止める!俺は死にたくない!
もう沢山だ!こんな所にいられるか!死ぬのは嫌だ!
怖い!あの銀色の悪魔から逃げろ早く撤退しろ
逃げるんだぁあああ」
そう言って頭を抱え縮こまるゲーレツ
セイイアルは今の会話を抜け目なく
録音させていた{後で難癖を付けられない様に}
証人も腐るほど居るし抜かりはない。
これでリンクス宰相に報告すれば
ゲーレツの軍人としてのキャリアも命も終いだ
恐らくコイツは極秘裏に
王家の恥として粛正される
{この場の凄惨な現場を考えればそれすら
生温い処罰}だろう・・・が併し・・・
この銀河円盤のガルスグレーサーに対する
猛烈な敵意は・・とても抑止だけが目的に
思えない・・そしてまるでゲーレツの事を
前もって知っていたかのような・・
セイイアルは銀河円盤の指示に従い
直ちに撤退すると通信した
<これは地球侵略艦隊司令ゲーレツ様の
下された決断である、
全軍直ちにこの領域より離脱する>
<バラバラでも良い・・兎に角
銀河円盤の気が変わらない内に
全艦この宇宙域から全速で離脱せよ!
これ以上誰も死ぬことは許さない
絶対に生き延びるのだ!!>
セイイアルの必死の呼びかけに
まだ銀河円盤に攻撃を諦めきれていない
モノの解らない戦艦以外は全力で撤退を始めた
最初は数隻だったが・・その数隻に
引きずられる様に次々に追従を始め
その流れはあっと言う間に艦隊全体に波及した
気が着けば数隻を残し銀河領域から
ガルスグレーサー艦隊は撤退したのである
銀河円盤に主砲で狙いをつけていた
命知らずな数隻の戦艦も遂に諦め
先に行った艦隊の後を追いその場から
リープして撤退していく
此はガルスグレーサー帝国
始まって以来の屈辱の大敗退だ。
「敵にもマトモな判断の出来る
奴が居るようだな・・」
大城誠矢は皮肉を込めてそう言った
だが所詮、誤った思想を持つ巨人族の
極少数派に過ぎないだろうとも思う
大慌てで退散する負け犬達を見送り
銀河円盤に偽装したハヤテも
そのまま銀河系に向けリープ2で発進した。
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★付箋文★
取り敢えず銀河領域から逃れた艦隊を
大急ぎで旗艦グレートガルスを中心に
再集結させると
セイイアルはガルスグレーサー本星に
向けて帰還する様に指示を出した
艦隊司令のゲーレツはその身柄を拘束し
今回の件がかたずくまで自室に幽閉した。
ガルスグレーサー艦隊を700隻も
正体も良く解らない様な相手に沈められ
艦隊だけでなく王家の威信をも傷つけた
ゲーレツの責任はあまりに大きく重い
序列的に王家と言ってもゲーレツは下位になる
有力な権力者も落ち目の無能に肩入れする
旨味が無いうえ・・今回の大失態だ
確実にその名さえ帝国の歴史から抹消されるだろう
「だがその前に・・」
セイイアルは幽閉したゲーレツの顔を見に
わざわざ足を運ぶゲーレツがセイイアルの姿を
驚愕の目で見た
「貴様・・誰の許しを得て巨人に戻った!?」
「グレートガルスの中には調整器が設備されて
いるからな」
セイイアルが言うのは人間の体を
巨人にも小人にも出来るバイオタンクの事である
だがゲーレツはそんな事を聞きたい訳ではない
「誰の許しを得てそんな真似をしたと
聞いたおるのだ勝手は許さんぞ!!」
ゲーレツがぬけぬけと
そんなことを言うものだから
セイイアルもはっきり言うことにした
「リンクス宰相の御指示だ・・馬鹿め!」
セイイアルのこの一言でゲーレツは
自分の悪事が全て露見し、あの切れ者宰相の
耳に入ったと知った
「・・・そ・・そんな!リンクスが・・・?」
ゲーレツは自分にとって今の状況が如何に
最悪なのかをやっと気づいた
「ち・・ちょっと待ってくれ!違うのだ!
そうじゃない・・セイイアル少し話を
しようじゃないか!」
歪んだ顔で猫撫で声を出すゲーレツを
セイイアルは侮蔑を込めた目で見て
一言言った
「アンタとする話はもう無い死んで償えクソ豚!」
これを聞きゲーレツは激高し
「何だと貴様!?いい気になりおって!
殺す!今此処でこの手で絞め殺し・・」
言い終わらない内に逆にセイイアルは
ゲーレツの首を鷲掴みにする
そして声を押し殺して殺意を込めた目で
睨み着けこう言った
「やれるものならやって見ろ下衆が!もう俺は
小人ではないのだぞ!!」
ゲーレツは本物の武人の持つ迫力と殺気に
恐怖し小便を漏らしてながら命乞いをする
「許してくれ・・ご免なさい・・殺さないで
下さいぃいいいセイイアル殿~いや様~」
鼻水を垂らしみっともなく怯える
かっての上司を置き去りにし、セイイアルは
ゲーレツのいない光の世界に戻って行った。
______________________
★付箋文★
火星を地球艦隊が無血開城の状態で
占拠出来たのは地球にとって正に暁光だった。
だが旗艦金剛の艦長は不満だった
「これでは戦って武勲を上げた事に成らない
ではないか!」
火星を犠牲を払って奪還してこそ
自分が小田指令を出し抜き
最高権力を手にする野望が叶うと言うのに・・
そうは言っても火星は奪還出来た
それも敵と一度も砲火を交えずにだ
恐らくあの銀河円盤が火星にも現れ
ガルスグレーサーを追い出したのだ
10隻以上の敵宇宙戦艦の残骸が
それを物語っている
だが・・銀河連邦は敵と極秘裏に
ガルスグレーサーと不可侵条約を結び
地球を見捨てた筈だ
『それが・・なぜ今になって地球に手を貸す?』
「まったく余計な真似を・・・」
金剛艦長は自分が英雄になれる
機会を奪う者は全て邪魔者でしかなかった。
___________________
★付箋文★
銀河系内に帰還しハヤテはその偽装を解いた
銀河型円盤は人類の歴史に古くから
関わり、20世紀初頭から頻繁に
世界各国に飛来していた
ハヤテの偽装した銀河円盤は地球開国の時飛来した
UFOを記録したデーターから得た情報を元に
細部にわたり復元してあるので本物と瓜二つに見える。
天才・春吉進一郎がハヤテの為に
開発した{空間偽装装置}その名は
ガードミラージュ・システム
空間を超圧縮し湾曲レンズ状にすることで
立体映像を投影し、自分の大きさ以上の物に
偽装する事が可能となる。
だがあまり大きな物に偽装すると
物体に接触した際に偽装がバレる欠点がある
130メートル級のハヤテが全長200メートルの
銀河円盤に化けたのは大きさの差が少ない為だ。
また円盤形状ならハヤテを覆い隠しても
万が一にも偽装バレる確率は低い、
複雑な形状はかえって粗が出るものだ。
今回使用する兵器もハヤテの正体を隠す意味で
主砲と銃火機の通常兵器は使わない方が良いと
具申したのも大城誠矢の発案だ
正体不明の円盤が、得体の知れない
大規模破壊兵器を使用すれば
敵の恐怖は更に倍増する
そうすれば早い内に決着が付き
最小限の犠牲で敵を撤退させられる
と言うのが誠矢の真意であった
「ガルスグレーサー軍の殆どは
戦争で接収した奴隷兵士なんです
そんな彼等を出来るだけ殺したくない」
誠矢は小人奴隷制度と言う非人道的な
行いをするガルスグレーサー帝国を
その奴隷達を解放する事で体制そのものを
崩壊させるのが最良の方法だと力説した
「戦争で攻める側も攻められる側も
どちらも多くの血が流れるのは解っています
其れでも・・ガルスグレーサーの巨人達は
殆どの戦争を小人奴隷と名付けた人々に
間接的にやらせている」
「ゲーレツと言う奴は自分の出世欲に駆られ
地球に向け自ら出て来た愚か者ですが・・・」
「本当の悪は自分では手を汚さず
征服した奴隷に戦争をさせて更に奴隷を増やす
其れがガルスグレーサーの遣り方なんです」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━★付箋文★
勝流水と小田吉宗はハヤテの艦長室で
今回の火星作戦の概要と此からの
ガルスグレーサーとの戦争に向けての
方針を直通通信で話し合っていた
「誠矢王子の王族としての覚醒はどうやら
我々が予測していたより早く起きた様だな」
小田指令は勝流水に誠矢の将来は
地球防衛隊の指揮官として待望していた
つまり自分の後継者は誠矢しかいないと
勝流水に公言して阻ばからない
まだ気が早いと勝は小田司令の勇み足を
諫めたものの勝自身・・誠矢の非凡な才能に
眩しい物を感じている
「才気溢れる若者が成長していく姿は
胸躍る物を感じるのは老体として
当然の本能なのだろうな・・・・」
小田も勝もガルスグレーサーとの戦いで
息子を戦死と言う形で失っている
誠矢を実の息子の様に思い
期待するのも当たり前の
感情なのであった
「それにしてもハヤテを敵と味方に
{銀河の盾}と呼ばれる架空組織の円盤と
思わせるとは上手い方法を思いつくもんだ」
小田司令は地球との条約を破り
ガルスグレーサーと
裏取引をした銀河連邦を快く思っていない
{銀河連邦安全保証条約}など所詮
地球の戦力を押さえつけるための
鎖でしか無かったのだ「・・まさかその
{銀河連邦}に一泡吹かせるとは」
小田司令は思わず頬が緩む
誠矢は戦争を拡大させる気はない
だが銀河連邦の中にガルスグレーサーを
危険視する勢力が存在すると誤認させるのが
目的だった
「これでガルスグレーサーも・・銀河連邦が
一枚岩で無いと疑念を抱いたでしょうな」
勝の言葉に乗せ小田司令も皮肉下に
「オマケに銀河連邦の円盤が想定以上の
戦闘力を持つと誤解した
ハヤテの戦闘力を持つ円盤が1万機となれば
さぞかし首の後ろを涼しく感じている事だろう」
だが勝流水は此処で首を縦にはしない
「いや・・先にウルフシューターに
円盤に偽装した状態で主砲を撃ったのは
今思えば失敗です・・」
それには小田司令も頷く
「報告によると
ウルフシューター将軍の戦略下としての
判断力と行動力は相当高いレベルらしいな」
「人間の体に狼の頭をした狼人間だったか・・
だがその眼差しは英知に溢れ徒者ではない
空気を纏っていたと・・」
「何よりあの春吉進一郎と言う天才が
一目置くほどの戦艦の設計に秀でた人物だ」
「一度見たハヤテの攻撃方法は見誤らない
だろうと春吉君なら言うでしょう」
勝の言葉に小田司令も
相当厄介な相手だと感じていた
「近い将来奴はハヤテの秘密に必ず
気がつく・・・それを少しでも遅らせたいな・・」
小田司令のその言葉を
まるで待っていたかのように
「其処で何ですが・・
ハヤテが独立遊撃隊として活躍し続ける為に、
影武者艦を用意出来ないでしょうか?」
勝艦長の爆弾発言に小田司令は目を見開いた
「そうか、その手があったか」
______________________
★付箋文★
ウルフシュター将軍は
太陽系攻撃隊の木星司令部にミサイル艦隊を
引き連れ寄港していた
木星衛生ガニメデ基地
そこで太陽系攻撃隊司令官
ヘルターナが狼将軍を向かえる
「貴公が無事で本当に良かった将軍」
ヘルターナーと握手を交わし
ウルフシューターも返事を返す
「恥を忍んで受け入れて頂き感謝する・・
その礼と言う訳ではないが・・情報という形で
ヘルターナー殿だけに知らせたい事が
幾つかあるのだが・・出来れば今すぐ話をしたい」
ヘルターナはウルフシューターの様子から
只ならぬ物を感じ、副官のグラダーに
会談様に至急部屋を用意させる
その部屋は盗聴が不可能なように
過度な装飾のない簡素な部屋で
椅子とテーブルがあるだけだった
その椅子もテーブルも電磁気により
如何なる機械類も仕掛けられない
盗聴防止の洗浄が成されている
無論二人の身体も電磁気で装置の類は
洗浄しての入室となった飲み物はコップの水のみ
最高機密の軍事情報交換を遣り取りする
専用の会談しつなのである
「此処ならどんな話を持ち込まれても大丈夫だ
ウルフシュータ・・」
ターナは敢えて将軍と呼ばなかった
多くの秘密を共有する今
他人行儀にすればかえって腹を探られ
聞きたい事も出てこないと思うからだ
ウルフシューターも当然ヘルターナの
心積もりは弁えている
「心使いに感謝するヘルターナー」
互いに役職と地位を無しにして
共通した知識を得るために腹を割って
話す・・と言う構えである
「それでガルスグレーサーの別働隊が
地球に攻撃を仕掛ける計画だった事を
君なら当然掴んではいると思うが」
ターナーは水をコップに注ぎながら
「まあ大きな作戦だからな・・王族の一人が
功を焦って前々から何やら下準備をしていたが
情報はダダ漏れで・・お粗末なものだったよ」
「・・全く此だから王族は」
ヘルターナーが王族批判をしても
ウルフシューターは気にしない
ガルスグレーサー軍を構成しているのは
間違いなく小人奴隷と言われる将兵なのだ
だが其れでも逆らえない事情がある
王族にはいざと成ればガルスグレーサー全軍を
殲滅できる星帝級艦隊を所持しているから
大船に乗った態度でいられる事を知っている
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
星帝級巨人要塞戦艦・・それはムー科学の
結晶にして完全無欠のモンスター
只1隻で一つの文明を破壊できると
言われる要塞戦艦10隻によって構成される
ガルスグレーサー最強無敵艦隊の呼称だった
実際100万隻を超えるシュピーゲル銀河の
大艦隊を、その巨人要塞戦艦1隻で壊滅させた
と言う伝説的な宇宙海戦が50年程前に起きていた
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ウルフシューターもまた、その
核抑止力張りの脅しに
「まあその王族の事はこの際気にしなくて良い・・
何故なら・・地球侵略艦隊は既に銀河連邦の
円盤1機に破れ、敗走したのだからな」
「!!」
ヘルターナでもその情報は流石に
まだ知らなかった
「破れた!?銀河連邦の円盤1機に!?
情報では艦隊規模は1万隻の・・それに
旗艦はあのグレートガルスだった筈だぞ!」
「それでも・・敗れ去ったのだ完膚無きまでに!」
ヘルターナーは嫌な予感がした
ウルフシュターの話とは・・まさか・・
「この話は・・妙な既視感を感じるのだが・・
俺の気のせいかウルフシューター?」
ウルフシューターはコップに水を注ぎ
それを手に掴むと喉の奥に一気に流し込んだ
そして息を整える
「地球の艦隊を火星と地球の中間地点に
おびき寄せ・・私の艦隊がその場で釘着けに
する・・それが今回与えられた任務だった」
「だが・・地球艦隊と睨み合っている時に
突如その円盤が火星方面からやって来たのだ!」
「火星から?」
「それは火星に残したウルフシューターの艦隊が
その円盤に壊滅されたことを意味するのでは
ないのか?」
ウルフシュータは苦虫を噛み潰した顔になり
人族よりも長い鼻に皺を寄せ牙を剥き
苦しげに唸り声を上げる
「火星と艦隊の間に通信障害が発生し
小一時間連絡がつかなくなった・・・
そして通信障害が治まり交信を行ったが」
「もうその時には・・火星に残した
ブル少佐のミサイル艦隊は
その銀河円盤を名乗る者の手により
壊滅していたのだ!」
ヘルターナーは息を呑む
「いや・・少し待て!時間が合わない!
火星基地には占領軍を配備していたのに
そんな短時間に一体どうやって!?」
ターナーも戦略家として名を馳せた人物で
その実力には定評がある
どう考えてもそんな短時間で
完全に占領された基地を陥落させるには
大規模な機動部隊が必要となる
都市制圧なら少なくても
戦車50両は必要になる・・当然其れを運ぶ
戦車揚陸艦も必要になり、とてもそんな
小一時間で行軍できる筈がない
ターナーは口元を押さえ
「このあり得ない状況を作れる
・・かも知れない存在を・・俺は知っている」
ウルフシューターをターナーは
答えを確かめる為にその名を呼んだ
「説明を頼む・・教えてくれ
・・ウルフシューター」
狼将軍は胸の前に腕を組みながらこう言った・・
「火星から向かってきた銀河連邦の円盤と名乗る
奴は・・我が艦に対し・・あの・・一度見たら
忘れられない・・私の網膜に刻み着いている
光線砲を撃って来たのだ」
ターナーはもうその答えを
聞くまでもないと感じた
だが・・ウルフシューターはそれを
自分だけ把握しておく気はなかった
「アレは・・地球の新型駆逐艦ハヤテの
主砲と同じ物だ!間違いはない!!」
何という秘密を教えるのだ!この狼将軍は!!
これは・・ガルスグレーサー本星に知られると
自分が破滅する類の情報だ!
この情報をガルスグレーサーが知れば
間違った情報は修正される、
ガルスグレーサーは今 銀河連邦の軍事力を
これまでより遙か上方に修正し
銀河円盤1機の戦闘能力が
ガルスグレーサー艦隊1万に匹敵すると。
それが1万機も存在すると言うブラフに
まんまと引っかかった
ガルスグレーサーは
此までの戦略を見直さざるを得ない
これで慎重論が出てくれば敵の思う壺である
「だが・・まあリンクス宰相なら・・
悪戯に手を拱きはしまいが」
ウルフシューターの言葉を聞き
ヘルターナーは星帝の知恵袋と呼ばれる
賢者宰相リンクス3世を思い出した
「確かに・・奴なら・・確実に動くだろう」
ハヤテが起こした蝶の羽ばたきは・・
地球とガルスグレーサーだけではなく
銀河連邦まで巻き込む新たな大嵐を
巻き起こしたのだった。
____________________
★付箋文★
ガルスグレーサー本星
宇宙を移動する天体規模の大円盤
それがガルスグレーサー本星であり
宇宙の覇者を自負する巨人文明の結晶である
今その天体級大円盤に{地球侵略}に向かい
無惨に敗退したゲーレツ艦隊が帰還する。
それは当初予定されていた華々しい凱旋には程遠く
解りやすく敗北し打ちのめされた情けない姿だった
長いガルスグレーサーの歴史でも
此ほど圧倒的で屈辱的な敗北は
未だかって無かった事である
ガルスグレーサーの星帝ギルザード18世は
此までに経験したこと無い怒りを覚えていた
その怒りは当然今回の侵略軍の総艦隊司令である
ゲーレツザートに向けられた。
リンクス宰相がギルザートに報告する
「ゲーレツ候がギルザート様に釈明の機会を
願い出ておりますが如何なさいますか?」
『まあこの様子を見れば
聞くまでも無いとは思うが・・』
詳しい報告を上げなければならない
宰相とはいえ自分が王族の一人を
勝手に裁くことは出来ないからだ。
ギルザートは王座の肘掛けを
強く握り締め問い正した
「此度の戦で・・撤退を指示した虚け者は
いったい誰だ!?」
リンクスはそう質問されると同時に
記録データーを星帝に提出する
それは余りにも無様なゲーレツの姿であり
何より問題なのはそれが小人奴隷達の
目の前で起きた事実だ
此はもう内々に処理の出来ない醜体である
敵に許しを請い床を這い蹲る無様な姿に
ギルザートの目は真っ赤に燃え上がった
「あ・・あの・・・愚か者め~~~っ
せめて敵と戦って死ねば・・まだ救いがあると
言う物を・・王家の面汚しが!!」
星帝は暫く鬼の形相を見せていたが
やがて時と共に・・その怒りは沈静化していった
「部下の者達は最後まで徹底抗戦を望みましたが・・
ゲーレツ候の命令に従い戦場から戦略的撤退を
した胸で御座います」
「何が戦略撤退か!片腹痛いわゲーレツめが!」
「・・最後までガルスグレーサーの誇りを
守るために徹底抗戦を望んだ将兵等には
温情を持って金一封を与えよ」
「そして戦場で勇猛果敢に戦い戦死した
将兵等には勲一等を与え残された遺族達には
報償を約束する」
兵達に戦意を喪失させないためにも星帝は
温情を持って敗残兵を手厚く扱う方針だ
帝王学の基礎的な対応ではあるが・・
全ての責をゲーレツザードに負わせる事で
星帝の恩情は将兵達から満場の拍手に包まれる
後・・ゲーレツ関係筋の処分問題がある
ゲーレツ家に縁の連なる者達は
気の毒だが全て連座処分にするしかない
何故なら
「星帝・・ゲーレツの親類縁者の
処分なのですが・・」
リンクスの言葉にギルザートは
「そんな名は知らんな・・
王族に居たかリンクス?」
リンクスはこの一言で全てを理解した
「確かにそんな名は聞いたこともありません・・
恐らく何かの間違いでありましょう」
こうしてゲーレツと言う家名は
ガルスグレーサー帝国の歴史から
永久に抹消されたのだった。
_____________________
★付箋文★
セイイアルはリンクスに呼ばれ
星帝宮に入城した
「宰相閣下直々のお招きにより
参上致しました」
リンクス宰相はこのセイイアルを
高く評価している
二人は重厚な椅子に向かい合う様に座り
300年物の貴腐ワインを飲み交わした
こんな素晴らしい接待を宰相から受けると
思っても居なかったセイイアルは恐縮し
「作戦に失敗した私などにこの様な厚い待遇を
して頂だいて誠に恐縮の至りです!」
「いや・・君には感謝している・・
よくぞ艦隊を無事に戻してくれた」
セイイアルはリンクスがその事で
自分に感謝してくれていることを知ると
思わず胸が一杯になる
「リンクス様・・」
『この方はゲーレツとは違う将兵の命を
捨て駒などとは考えておられないのだ』
「記録を観たが・・銀河円盤の戦闘力は
恐らく星帝級巨人要塞戦艦と同等・・まあそれは
過大評価だとしても近い能力を持つと
言うのが科学局の見解だ」
セイイアルはガルスグレーサーの科学局が
優れた分析能力を持っている事を知っている
(星帝級巨人要塞戦艦か・・
正直なところ伝説でしか聞いた事がない
100年に一度の戦争に投入されるかどうかの
切り札・・それと同等?)
セイイアルはリンクス宰相が
自分に対して釜を掛けているのかと疑う
成ればこそ敵を過大にも過小にも判断せず
適当なことを言って誤魔化さずに
自分の思い感じた有りの儘を報告する。
「銀河円盤は自分と同じ戦闘円盤が
後1万幾ほど待機していると言いました・・
こらが事実だとすると・・恐らく
天の川銀河の総戦力は星帝級以上かも
知れません」
リンクスは違う答えが来ると思っていた
「星帝級以上だと?・・大袈裟な答えだが・・
何故そう思うのだ?」
セイイアルは言う
「あの円盤は戦闘力を押さえて居ます・・
何故なら・・我等の艦隊を必要最小限の・・
犠牲で終わらせ様としていると私は感じたのです」
リンクスは眉の片方を上げた
「ホホウ~面白い事を言う
敵が最強ガルスグレーサーの犠牲を
気を使ったと言うか?面白い話だが」
セイイアルの眼差しは真剣だ
「何故ならあの円盤は・・最初から
ゲーレツ候だけをターゲットに
していたからです」
「ゲーレツ候を?」
「その通りです・・」
リンクスはその事実は現場で
じかに観ていたセイイアルの情報が
一番正しいものだと感じた
『此だ・・・私は此を期待していた』
前々からゲーレツなどには勿体ないと
思っていたのだこの人材は
リンクスは此処で交換条件を出す
「ガルスグレーサーは余りに巨大に成りすぎた
私は補佐官を最低でも12人必要としている」
「部署としては政治部門・経済部門・
それに軍事部門だ」
「そして此処からが本題なのだが・・・」
「君は私の軍事部門の補佐官に
なりたくはないかね?」
「は?」
「この私がリンクス宰相の補佐官に?
あまりに身に余る待遇に言葉がありません」
「君は自己評価が低すぎる所があるな・・
もっと自信をもちたまえ」
「恐れ入ります・・・」
「それで例の銀河円盤がゲーレツを
狙い撃ちしていたというのはどう言う意味かな?」
リンクスが再び話を振ってきたので
セイイアルは
「まずあの円盤は最初に所属を銀河連邦と
名乗りませんでした・・恐らく連邦の
判断に従わない勢力だからです」
「ほう」とリンクスは関心を示す
「あの円盤は自ら所属する組織の名を
銀河の盾と称しましたから」
リンクスは今回の件を銀河連邦に
ホットラインを利用し伝えたがその回答が
{銀河連邦としては
銀河の盾と称する組織は認識がなく
全く預かり知らない事案であり
銀河連邦とは完全に無関係だと
そう断言できると言う}回答だった
「引き続き調査を行い正体が判明すれば
ガルスグレーサーに情報を提供するとも
言っているが・・銀河連邦は厄介事として
関わり合いに成りたくない様子だ」
それを聞きセイイアルは少し考え・・
「あの円盤についてなのですが・・
あれにはゲーレツ候個人に対して復讐を
果たそうとする者が関わっている気がします」
「復讐?・・それならゲーレツの事を
知っていても可笑しくはないな・・」
「あの愚か者のことだ・・何処でどんな
恨みをかっていても可笑しくあるまい」
リンクスはその話の流れでセイイアルに
話す事を認めた
「有り難う御座います・・
ただゲーレツ候を貶めるのに普通の憎しみでは
あり得ないほどの執念深さを感じたもので
そう思ったのですが」
リンクスはそこで
「そうなると・・銀河円盤の数が万という
事はない・・のか?」と呟く
「あの銀河円盤の性能からして
技術は我々ガルスグレーサーの
裏切り者が銀河に持ち込んだ
借りモノではないかと・・・」
セイイアルの言う裏切り者とは
星帝級巨人要塞戦艦の情報が
ガルスグレーサーから盗まれ何者かに
使われているそう言う推理だ
「成る程・・それなら
同じ小人奴隷の命を重んじ
犠牲を減らそうとする理由にも納得がいく」
セイイアルは勤勉家である
「少し前に太陽系で
ヘルターナー太陽系攻撃隊の艦隊が
謎の宇宙嵐に大きな被害をうけたという
報告が有りましたが・・・あれも」
セイイアルは息を整え
「銀河円盤の仕業と考えれば
益々信憑性が出てくるのではないでしょうか?」
「そうか・・ならば此度の・・
銀河円盤による火星基地襲撃と・・合わせ
ウルフシューターの言う銀河円盤も
同じ1機であると?」セイイアルも此に同意した
「それなら銀河に対する戦力評価も修正せず、
このまま銀河侵略作戦を継続する事が出来るな」
「その通りで御座います」
この英知こそガルスグレーサーを
宇宙の王者として君臨させ続けられる
リンクス宰相の手腕なのだ
セイイアルは自分の話を真剣に聞き
そして最良の解決策を導き出していく
このリンクスという傑物に心酔していく
『そうだ・・・この御方こそが
ガルスグレーサー真の護り手だ!
全宇宙の小人奴隷達もこの方の支配する
ガルスグレーサーでなら皆平等に
平和で幸せな暮らしが実現できるに違いない
私は何としてでもこの方のお力に成らねば
12人の補佐官の一人に抜擢されたからには
必ずお役に立たねば成らない!』
セイイアルはそれが神が自分に定めた
使命であると確信する。
リンクス宰相はセイイアルの意見も参考の
一つとしてトライとらえており他の可能性も
示唆していた
「やはり本格的に銀河連邦の内情を洗い直す
必要があるな」
____________________
★付箋文★
セイイアルと言う優秀な駒を手に入れ
宰相リンクス3世は上機嫌である。
ガルスグレーサーからゲーレツという
ゴミとその取り巻き共を一掃し
セイイアルと言う人的資源を
発掘出来たのは大きい。
此で自分が理想とするガルスグレーサーに
又一歩近ずく事が出来た
リンクス宰相はガルスグレーサーの象徴である
星帝ギルザート18世に拝謁するため
巨人の王の居住するその建物に入る
ガルスグレーサーの建築様式
それは2万年続くムーの伝統に乗っ取った
美しく荘厳な巨人神殿だった
人間サイズの神殿ではなく10倍もの大きさが
あるこの巨大建築物の中では
選ばれた身分の巨人が住まい
その足下には無数の小人奴隷達が働いている
その働く様子を悠々と見下ろしながら
リンクス宰相は星帝が待つ王座に向かい
進んでいく、何とも心地よい光景・・
此こそが正しい平和と言うものだ
ガルスグレーサーの庇護下にあって
初めて小人奴隷達は永遠の安息のなか
秩序的な生活する事が許される
大ガルスグレーサー共栄圏
この宇宙に恒久的平和を成就させるために
巨人族を盟主にあらゆる種族との共存共栄を
作り上げるという崇高な使命を邪魔する
愚か者には死あるのみ
この思想が顕現した人物こそ・・我が主君
ガルスグレーサー星帝ギルザート18世である
「のうリンクス・・地球はまだ征服できんのか?」
王座に座るギルザートの催促にリンクスは
恐縮しながら
「やはり銀河連邦に不穏分子がいるようです」
ギルザート18世は ホウ・・と息を吐き
「銀河連邦の円盤の性能が我等の星帝級だとか
俄に信じられん話だが・・」
『銀河連邦が・・地球から
アトランティス文明の遺跡を
発掘し・・それを秘匿して居るという
噂が以前からあり・・やはりそれが
真実であったと言う事か?』
アトランティスの古代文明は
既に滅んだ古の文明であり
ガルスグレーサーにとって驚異に成り得ない
と言う結論は覆らない、だが今回の銀河円盤の
登場でアトランティスの驚異論が再燃された
もしアトランティスの力の片鱗でも
銀河連邦が手にしているとすれば
それは由々しき事態である
地球侵略計画はもっと慎重に進めるべきだ
それが星帝派の総意と成りつつあった
リンクスは1万機の銀河円盤と言う驚異が
星帝派のみならず軍部までも及び腰に
しているのが面白くはない
この遠回りは敵に利するだけだというのに
『・・星帝様まで引き込むとは』
星帝ギルザートはリンクスに言葉を掛ける
「そう渋い顔をするなリンクス
余とてアトランティス驚異論など
本気にしてはおらん、とは言え派閥の意見も
一方的に無視する訳にもいかんのでな」
帝国の星帝政治派と星帝軍閥との軋轢は
国に長年続く頭痛の種であった
「銀河連邦の円盤に
遭遇したと言うウルフシューターは
どうしておるのか?」
「ハッ!只今将軍はヘルターナーの
木星の衛生ガニメデ基地に第13
ミサイル艦隊と共に居るものと思われます」
ギルザートの突然の質問にもリンクスは
淀みなく答えた
「そうか・・銀河連邦の動きも判明せんうちは
ガルスグレーサー軍の英雄を下手に使えぬ・・
貴族にもあ奴を贔屓する者も多い
何より国民の人気が高いからな・・・」
「ウルフシューターは最後まで使うな
此は王命だ!」
「はっ!畏まりました」
『相変わらず強運な狼だ・・だが助かる』
リンクスは狼将軍には出来れば軍を引退し
その天才的な宇宙戦艦の技術に専念させたい
銀河円盤という危険なイレギュラーに
間違っても殺させる訳にはいかないのだ
『星帝様もその辺りの事情は知っているから
念を押すのだ』
今呼び戻すと銀河円盤に畏れを成したなどと
狼将軍の名を貶める成ると考えての判断だった
『流石は星帝様だ・・』
「それにしても銀河円盤の手掛かりに足跡も
掴めない今の状況は・・打破せねばならぬ・・
そこでだが・・・」
リンクスは星帝ギルザート18世が
一人の男を召還するつもりなのだと解る
「我が星帝軍・諜報部隊が誇る
最高のスパイソルジャー」
「其れでは・・」
リンクスは恭しく伺いを立てた
「J・ジョーカーを使え」
リンクスはこれで銀河円盤の問題は
一気に解決されると確信した
「J・ジョーカーに命じる
太陽系に潜入し銀河円盤の謎を解明するのだ!」
星帝の勅命にガルスグレーサーで最も
恐るべき諜報部隊のエースであるその男
その名はJ・ジョーカー
ガルスグレーサー最高のスパイソルジャーと
呼ばれる戦士だ。
______________________
to be continued.
★付箋文★
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