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私、帝国領で暴れます!
私、地面に突き刺さります!
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「わぁ……。綺麗ですね」
思わず、私の口から感嘆の声が漏れ出てしまいました。それ程までに、弟子の体から放出される魔力は綺麗でした。
奥深くまで澄んでいて。静かで、なのに力強くて。そんな煌めきを放つ魔力の輝きは、見た瞬間に「太陽のようだ」と思いました。
仄かに混じっている白色は、きっと私の魔力が混ざった結果でしょう。何だか、本当の師弟関係になれたような気がしますね。
おっといけない。感動してばかりではダメなのです。
今から私の弟子は、初陣を乗り越えに行くのですからね。
「弟子」
そう呼び掛けると、弟子は静かに、けれどハッキリと、私の目を見て返事をしました。
「はい。師匠」
「あなたは今から、初陣です。敵はただのブタさんだとは言え、油断すると食われますからね。私はあなたが死のうとも、手を出す気はありません。
油断しないよう、しっかりと気張ってきなさい」
本当は、ヤバくなる前に助けるつもりではいますけど、そんな事を言っては、弟子の成長の妨げになってしまうかもしれませんからね。
ここは敢えて、気を引き締めさせるような事を言っておくのが、師匠としての務めでしょう。うむ。
「はい。師匠、しっかりと見ていてください」
弟子はそう言うと、私の腕からスッと抜けて、そのまま落下していきました。
金色の魔力が尾を引いて、どんどん下へと向かっていきます。
その様子を見ながら私は、
「ええ。頑張りなさい」
大きく頷いた後に、
「…………え? 弟子、落ちてった……? あれ……? 弟子、飛べなくない……?」
…………。
「やっべェェェェェェ!?!!? な、ななな、どうしよう!?」
大変に焦ります! ヤベェです! ヤベェよヤベェよ!?
いや、落ち着け。落ち着くんだ私!?
そうだ。落ち着くんだ。うむうむ。よーし! いい感じだ。やれば出来る子。それが私!
って、ちがーう! 違う違う、そうじゃ、そうじゃな~い~♪
いやいやいや!?!? ほんとに落ち着け!?
「ひっひっふー。ひっひっふー。…………よし、とりあえず救出に……」
そう決めて、天と地をひっくり返した瞬間、魔力で作った足場を蹴ろうとして、
ドカァァァァァァァン
下を見れば、盛大に土埃が上がっていた。戦場全体が、覆い隠されてしまうくらいに。
私はどうやら、やってしまったらしいぞ、と気付いた。助けに行くという判断が、とても遅かったーーいえ、遅すぎたようです。
これには某左近次さんも、思わず頬をバシッ! と殴りつけて、言ってしまうでしょう。「判断が遅いッ!」と。
「…………弟子よ、すまぬ。私はどうやら、いい師匠では無かったようです。……悔やんでも悔やみきれません」
私の呟きは、ゴウゴウと唸る大気によって、天の方へと流されていきました。
せっかく、本物の師弟になれたと思ったのに。私は何をやっているのでしょうか。
本当に、情けなさすぎて涙が出ます。
「ああ、弟子……。今度こそは、ちゃんと育てて見せますから……ッ! 私はーーッ」
ドカァァァァァァン
!?!!?!?
なななな、なにが!? 暗いです!? 何も見えない!?
いや、今度こそ落ち着くんだ私。さっきそれで弟子を殺して閉まったばかりじゃないか!
ふぅ、と息を吐こうとして、気付く。
「!!? いひふぁふへふぁふぃ!?」
私、死ぬのかな……? 弟子と、同じ場所で。同じ死に方で……。
それも……、いいかもしれませんね。
「あがぁ、べぎぼ。ばびべばいぎぎょぶごぉ、びが、あばばごぼほべびぎぶぐばはべ」
「「「「「フゴフゴフゴォォォォ!!?!!」」」」」
ん? ブタさんの声が聞こえます……?
ああ、そうでしたそうでした。ここって、ブタさんいっぱいの戦場なんでした。
……ん? 上から聞こえたような……?
あれ、もしかして私…………埋まってたりするのでしょうか?
うん。そうかも。それなら暗いのも、喋れないのも、呼吸出来ないのも納得ですね!
一人埋葬! なんちゃって? ふふふ。
ドガァァァァン
そんな、ふざけた下らない事を考えていたら、轟音が響いてきました。
ブタさんたちは、断末魔の叫びすら上げられずに散っていったようです。
「汚い手で……師匠に触れるな。……殺すぞ」
!!! 弟子の声!!
その声を聞き、私はとても嬉しくなりました。だってだって、死んだと思っていたのに、生きていたんですよ? 嬉しくなるに決まってます!
しかも、私の事を守ろうとしてくれたのです!
師匠として、弟子の成長が頼もしいです。
そんなことを思っている間も、ドパンドパンと、ブタさんたちが爆ぜるような音が、絶え間なく私の元まで聞こえてきます。
……弟子の初陣、見逃した。…………音聞いてるからセーフ……?
うんうん。アウトですよね!
「あのっ、あのあの、あの、し、師匠っ! どどっどどどど、どうして、パ、パパ、パパパパ、パンチュを……履いておらっ、れないのですか…………?」
ん? ……そう言えば、着替えた時って私、おパンツ履いたっけ……?
着替えた時は、確か弟子を拾ったばかりの時でしたよね……。うーん。…………履いてないわぁ……。
今の私はスカートですし、……下半身丸出しで地面に突き刺さっている感じなんですね。
……痴女かな?
痴女でないなら、特殊な性癖を持った変態さんでしょうか? ……見せ付けるのも趣味ではありませんし、弟子も見たくなどないでしょう。早く脱出しちゃいましょう。
んほぉぉぉぉぉぉ!!!!! よっとこしょぉぉぉぉぉ!?!!!
……出れなくないですか? これ? 腕も動かないですし。
……仕方ないですね。弟子にお願いするとしましょうか。
「べひ。びぼぎべばずべばべどぐにばびごへ、あびごびばばぐべごばぶべべぎびべぶが?」
地面を吹き飛ばして脱出してもいいんですけど、周りにいる一般人に当たったら危なさそうですからね。ここは弟子に助けてもらわねばなりません。
弟子よ。こんな情けない師匠ですみません。
「はっはひっ! たらひは!」
私が情けなさすぎて失望を隠せないのか、弟子はカミカミで返事をしてくれました。
うぅ。恥ずかしいです。師匠なのに情けない……。
思わず、私の口から感嘆の声が漏れ出てしまいました。それ程までに、弟子の体から放出される魔力は綺麗でした。
奥深くまで澄んでいて。静かで、なのに力強くて。そんな煌めきを放つ魔力の輝きは、見た瞬間に「太陽のようだ」と思いました。
仄かに混じっている白色は、きっと私の魔力が混ざった結果でしょう。何だか、本当の師弟関係になれたような気がしますね。
おっといけない。感動してばかりではダメなのです。
今から私の弟子は、初陣を乗り越えに行くのですからね。
「弟子」
そう呼び掛けると、弟子は静かに、けれどハッキリと、私の目を見て返事をしました。
「はい。師匠」
「あなたは今から、初陣です。敵はただのブタさんだとは言え、油断すると食われますからね。私はあなたが死のうとも、手を出す気はありません。
油断しないよう、しっかりと気張ってきなさい」
本当は、ヤバくなる前に助けるつもりではいますけど、そんな事を言っては、弟子の成長の妨げになってしまうかもしれませんからね。
ここは敢えて、気を引き締めさせるような事を言っておくのが、師匠としての務めでしょう。うむ。
「はい。師匠、しっかりと見ていてください」
弟子はそう言うと、私の腕からスッと抜けて、そのまま落下していきました。
金色の魔力が尾を引いて、どんどん下へと向かっていきます。
その様子を見ながら私は、
「ええ。頑張りなさい」
大きく頷いた後に、
「…………え? 弟子、落ちてった……? あれ……? 弟子、飛べなくない……?」
…………。
「やっべェェェェェェ!?!!? な、ななな、どうしよう!?」
大変に焦ります! ヤベェです! ヤベェよヤベェよ!?
いや、落ち着け。落ち着くんだ私!?
そうだ。落ち着くんだ。うむうむ。よーし! いい感じだ。やれば出来る子。それが私!
って、ちがーう! 違う違う、そうじゃ、そうじゃな~い~♪
いやいやいや!?!? ほんとに落ち着け!?
「ひっひっふー。ひっひっふー。…………よし、とりあえず救出に……」
そう決めて、天と地をひっくり返した瞬間、魔力で作った足場を蹴ろうとして、
ドカァァァァァァァン
下を見れば、盛大に土埃が上がっていた。戦場全体が、覆い隠されてしまうくらいに。
私はどうやら、やってしまったらしいぞ、と気付いた。助けに行くという判断が、とても遅かったーーいえ、遅すぎたようです。
これには某左近次さんも、思わず頬をバシッ! と殴りつけて、言ってしまうでしょう。「判断が遅いッ!」と。
「…………弟子よ、すまぬ。私はどうやら、いい師匠では無かったようです。……悔やんでも悔やみきれません」
私の呟きは、ゴウゴウと唸る大気によって、天の方へと流されていきました。
せっかく、本物の師弟になれたと思ったのに。私は何をやっているのでしょうか。
本当に、情けなさすぎて涙が出ます。
「ああ、弟子……。今度こそは、ちゃんと育てて見せますから……ッ! 私はーーッ」
ドカァァァァァァン
!?!!?!?
なななな、なにが!? 暗いです!? 何も見えない!?
いや、今度こそ落ち着くんだ私。さっきそれで弟子を殺して閉まったばかりじゃないか!
ふぅ、と息を吐こうとして、気付く。
「!!? いひふぁふへふぁふぃ!?」
私、死ぬのかな……? 弟子と、同じ場所で。同じ死に方で……。
それも……、いいかもしれませんね。
「あがぁ、べぎぼ。ばびべばいぎぎょぶごぉ、びが、あばばごぼほべびぎぶぐばはべ」
「「「「「フゴフゴフゴォォォォ!!?!!」」」」」
ん? ブタさんの声が聞こえます……?
ああ、そうでしたそうでした。ここって、ブタさんいっぱいの戦場なんでした。
……ん? 上から聞こえたような……?
あれ、もしかして私…………埋まってたりするのでしょうか?
うん。そうかも。それなら暗いのも、喋れないのも、呼吸出来ないのも納得ですね!
一人埋葬! なんちゃって? ふふふ。
ドガァァァァン
そんな、ふざけた下らない事を考えていたら、轟音が響いてきました。
ブタさんたちは、断末魔の叫びすら上げられずに散っていったようです。
「汚い手で……師匠に触れるな。……殺すぞ」
!!! 弟子の声!!
その声を聞き、私はとても嬉しくなりました。だってだって、死んだと思っていたのに、生きていたんですよ? 嬉しくなるに決まってます!
しかも、私の事を守ろうとしてくれたのです!
師匠として、弟子の成長が頼もしいです。
そんなことを思っている間も、ドパンドパンと、ブタさんたちが爆ぜるような音が、絶え間なく私の元まで聞こえてきます。
……弟子の初陣、見逃した。…………音聞いてるからセーフ……?
うんうん。アウトですよね!
「あのっ、あのあの、あの、し、師匠っ! どどっどどどど、どうして、パ、パパ、パパパパ、パンチュを……履いておらっ、れないのですか…………?」
ん? ……そう言えば、着替えた時って私、おパンツ履いたっけ……?
着替えた時は、確か弟子を拾ったばかりの時でしたよね……。うーん。…………履いてないわぁ……。
今の私はスカートですし、……下半身丸出しで地面に突き刺さっている感じなんですね。
……痴女かな?
痴女でないなら、特殊な性癖を持った変態さんでしょうか? ……見せ付けるのも趣味ではありませんし、弟子も見たくなどないでしょう。早く脱出しちゃいましょう。
んほぉぉぉぉぉぉ!!!!! よっとこしょぉぉぉぉぉ!?!!!
……出れなくないですか? これ? 腕も動かないですし。
……仕方ないですね。弟子にお願いするとしましょうか。
「べひ。びぼぎべばずべばべどぐにばびごへ、あびごびばばぐべごばぶべべぎびべぶが?」
地面を吹き飛ばして脱出してもいいんですけど、周りにいる一般人に当たったら危なさそうですからね。ここは弟子に助けてもらわねばなりません。
弟子よ。こんな情けない師匠ですみません。
「はっはひっ! たらひは!」
私が情けなさすぎて失望を隠せないのか、弟子はカミカミで返事をしてくれました。
うぅ。恥ずかしいです。師匠なのに情けない……。
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