7 / 38
第一章
四ノ巻ー楓姫①
しおりを挟む
「楓姫様。古部様がお見えになられました」
白髪の女房頭が御簾内で囁いた。
「お通しなさい」
「はい。それでは古部様。こちらへどうぞ」
御簾の内に入れて下さる。萩野は女房頭が別室へ連れて行こうとしたが、縁側で控えると言って固辞した。権太との約束を守るためだ。
「その方は古部様のお付きのものですか?」
「はい。乳母子でございます。一番信用できます」
「それならば、御簾内にお入れしましょう。もうそろそろ夜は冷えますゆえ」
「お心遣い感謝致します。萩野、入りなさい」
「はい。ありがとう存じます。それでは失礼致します」
「古部様。一枚几帳の内にお入り下さいませ」
楓姫の小さな声がした。
「え?それは……」
「小さい声でお話しいたしますれば、お入り下さいませ。誰に聞かれるかもわかりませぬ故」
私は萩野に目配せし、自分だけ扇を使って顔を隠しながら几帳の内へ入った。ゆかしい香が焚かれている。
一枚几帳内に入ったが、その目の前にも几帳がおかれており、楓姫の姿を上手く隠していた。部屋の調度品は見事なものだ。静姫のところにあるものと同等かそれ以上。彼女の身分を再認識できた。姫は脇息に寄りかかっておられるのだろう。萌黄色の裳裾が見える。
「今日は直接お目もじする失礼をお許し下さり、誠にありがとうございます」
「いえ、こちらこそ。文を下さるのは大変だったことでしょう。左大臣家の若様も姉君のためとはいえ、このようなところへ文をお持ちになるなんて頭が下がります。わたくしにもこんな兄弟がいたらと思わずにはおれませんでした」
「……楓姫様……」
「東宮殿にはまだ入られていませんよね。もうわたくしをお訪ねになるような心配事がございましたか?」
「いえ。ご存じかもしれませんが、朱雀皇子は今帝とご一緒に伊勢へ行幸中です。お戻りは早くとも来月になるかと思います。戻られる前に準備をして東宮へ入り、整えておくようにと触れがございまして」
「そうでしたか。静姫はおそらく、私がいた寝殿に入られるはずです。東の対ですよね?」
「そのとおりです」
「今日は全てお話しします。実は私も古部様ではなく、父の懇意にしている幽斎様に少しご相談し、祈祷をしていただいたことがあるのです」
幽斎様とはお坊様だ。神社の兄とはまた違うが、右大臣家ではお寺と親しくしていると聞いた。
「祈祷していただかねばならないことがあったということですね」
「まだ朱雀皇子に直接お目にかかっていないのならわからないかもしれませんが、皇子ご自身は決してちまたで言われているような悪い方ではありません。皇后が朱雀皇子をそれは厳しくお育てになったようですので、その反動でしょう、皇子ご自身はとても甘えたがりなのです」
私はすぐにピンときた。そうか。女性に母親の愛を求めているのね。
「それで女性の影が多いということですね。楓姫様と朱雀皇子は仲が悪かったわけではないということですか?」
「ここだけの話ですが、皇子様からの私を正室にしたいという気持ちはほとんど感じられませんでした。相手に愛を求めるばかりでご自身からはほとんど与えてはくださらない。そして飽きっぽいのです」
最悪かもしれない。そういう男君は苦手だ。
「時間がありません。聞きたいことをまず伺います。桔梗は皇子の何ですか?」
楓姫が息をのむ様子がわかった。
「さすがに古部家の姫。すでに当たりをつけていたんですね。彼女は皇子のふたつ年上で、筆頭侍従である忠信の子です。昼はまるで皇子の姉のようで、夜は情人です」
やはりそうだったのか。
「そのことは東宮にいるものは皆知っています。そして、帝と皇后もご存じです。彼女を側に置くことで彼がきちんと政務をこなしているので離すことができないでいました」
「楓姫さまが正室となれば、それも終わりだと皆様思われていたんですよね」
「そうですね。あちらに上がる前、皇后からそれとなくそういうお話しを頂戴しました。でも、実体はもっと深刻でした」
「え?」
「東宮殿で仕えているものたちのほとんどの弱みを握り、困っているものたちに金子を与え、牛耳っていたのです」
「ええ!?」
「朱雀皇子の伽を一度でもして、その寵愛を独占しようとする女房は、桔梗により東宮を出されたり、実家へ戻る前に手を下されたりということもあったようです」
小さい声で話された。
「楓姫様にも何かするような不届き者だったなら、排除してしまってもよかったのではありませんか?皇后様もきっと望んでおられたなら手を貸して下さらないのですか?」
「各御殿に間者を入れているのです。あとで気づいたのですが私達のことは彼女に筒抜けでした。ある日私の腹心だった乳母子の女房を朱雀皇子の目につくところへわざわざ呼んで、興味を持たせました。その夜、皇子は彼女に伽をさせたのです」
「え!」
「彼女は私に申し訳ないと思ったのでしょう。何も言わなかった。でも日に日に顔色が悪くなる。おかしいと思っていながら聞けなかった私も悪いのです。彼女は何度も皇子に……そして……」
「病になったのですか?」
「それは表向きです。子を宿していたことがわかり、実家へ返しました」
「そうだったんですね」
「でも……彼女は結局、子を産めませんでした。戻ってから流れてしまったのです。それも本当かわかりません。桔梗が手を回したのかもしれないからです」
「……」
「私は、退出する前の彼女から桔梗の手引きで朱雀皇子が彼女を孕ませたことを聞き、心底怒りが収まりませんでした。それ以降、私は皇子を受け入れることができませんでした」
「朱雀皇子に直接言ったのですか?」
「いいえ。彼は拒絶し出した私を見て何かわかっていたと思います。皇后の耳にも入り、彼女は自分のお付き女房ひとりを皇子に差し上げたくらいで騒ぐのは論外だとしかられました。将来の皇后になる身なのだから寛容になるようにと言われたのです」
白髪の女房頭が御簾内で囁いた。
「お通しなさい」
「はい。それでは古部様。こちらへどうぞ」
御簾の内に入れて下さる。萩野は女房頭が別室へ連れて行こうとしたが、縁側で控えると言って固辞した。権太との約束を守るためだ。
「その方は古部様のお付きのものですか?」
「はい。乳母子でございます。一番信用できます」
「それならば、御簾内にお入れしましょう。もうそろそろ夜は冷えますゆえ」
「お心遣い感謝致します。萩野、入りなさい」
「はい。ありがとう存じます。それでは失礼致します」
「古部様。一枚几帳の内にお入り下さいませ」
楓姫の小さな声がした。
「え?それは……」
「小さい声でお話しいたしますれば、お入り下さいませ。誰に聞かれるかもわかりませぬ故」
私は萩野に目配せし、自分だけ扇を使って顔を隠しながら几帳の内へ入った。ゆかしい香が焚かれている。
一枚几帳内に入ったが、その目の前にも几帳がおかれており、楓姫の姿を上手く隠していた。部屋の調度品は見事なものだ。静姫のところにあるものと同等かそれ以上。彼女の身分を再認識できた。姫は脇息に寄りかかっておられるのだろう。萌黄色の裳裾が見える。
「今日は直接お目もじする失礼をお許し下さり、誠にありがとうございます」
「いえ、こちらこそ。文を下さるのは大変だったことでしょう。左大臣家の若様も姉君のためとはいえ、このようなところへ文をお持ちになるなんて頭が下がります。わたくしにもこんな兄弟がいたらと思わずにはおれませんでした」
「……楓姫様……」
「東宮殿にはまだ入られていませんよね。もうわたくしをお訪ねになるような心配事がございましたか?」
「いえ。ご存じかもしれませんが、朱雀皇子は今帝とご一緒に伊勢へ行幸中です。お戻りは早くとも来月になるかと思います。戻られる前に準備をして東宮へ入り、整えておくようにと触れがございまして」
「そうでしたか。静姫はおそらく、私がいた寝殿に入られるはずです。東の対ですよね?」
「そのとおりです」
「今日は全てお話しします。実は私も古部様ではなく、父の懇意にしている幽斎様に少しご相談し、祈祷をしていただいたことがあるのです」
幽斎様とはお坊様だ。神社の兄とはまた違うが、右大臣家ではお寺と親しくしていると聞いた。
「祈祷していただかねばならないことがあったということですね」
「まだ朱雀皇子に直接お目にかかっていないのならわからないかもしれませんが、皇子ご自身は決してちまたで言われているような悪い方ではありません。皇后が朱雀皇子をそれは厳しくお育てになったようですので、その反動でしょう、皇子ご自身はとても甘えたがりなのです」
私はすぐにピンときた。そうか。女性に母親の愛を求めているのね。
「それで女性の影が多いということですね。楓姫様と朱雀皇子は仲が悪かったわけではないということですか?」
「ここだけの話ですが、皇子様からの私を正室にしたいという気持ちはほとんど感じられませんでした。相手に愛を求めるばかりでご自身からはほとんど与えてはくださらない。そして飽きっぽいのです」
最悪かもしれない。そういう男君は苦手だ。
「時間がありません。聞きたいことをまず伺います。桔梗は皇子の何ですか?」
楓姫が息をのむ様子がわかった。
「さすがに古部家の姫。すでに当たりをつけていたんですね。彼女は皇子のふたつ年上で、筆頭侍従である忠信の子です。昼はまるで皇子の姉のようで、夜は情人です」
やはりそうだったのか。
「そのことは東宮にいるものは皆知っています。そして、帝と皇后もご存じです。彼女を側に置くことで彼がきちんと政務をこなしているので離すことができないでいました」
「楓姫さまが正室となれば、それも終わりだと皆様思われていたんですよね」
「そうですね。あちらに上がる前、皇后からそれとなくそういうお話しを頂戴しました。でも、実体はもっと深刻でした」
「え?」
「東宮殿で仕えているものたちのほとんどの弱みを握り、困っているものたちに金子を与え、牛耳っていたのです」
「ええ!?」
「朱雀皇子の伽を一度でもして、その寵愛を独占しようとする女房は、桔梗により東宮を出されたり、実家へ戻る前に手を下されたりということもあったようです」
小さい声で話された。
「楓姫様にも何かするような不届き者だったなら、排除してしまってもよかったのではありませんか?皇后様もきっと望んでおられたなら手を貸して下さらないのですか?」
「各御殿に間者を入れているのです。あとで気づいたのですが私達のことは彼女に筒抜けでした。ある日私の腹心だった乳母子の女房を朱雀皇子の目につくところへわざわざ呼んで、興味を持たせました。その夜、皇子は彼女に伽をさせたのです」
「え!」
「彼女は私に申し訳ないと思ったのでしょう。何も言わなかった。でも日に日に顔色が悪くなる。おかしいと思っていながら聞けなかった私も悪いのです。彼女は何度も皇子に……そして……」
「病になったのですか?」
「それは表向きです。子を宿していたことがわかり、実家へ返しました」
「そうだったんですね」
「でも……彼女は結局、子を産めませんでした。戻ってから流れてしまったのです。それも本当かわかりません。桔梗が手を回したのかもしれないからです」
「……」
「私は、退出する前の彼女から桔梗の手引きで朱雀皇子が彼女を孕ませたことを聞き、心底怒りが収まりませんでした。それ以降、私は皇子を受け入れることができませんでした」
「朱雀皇子に直接言ったのですか?」
「いいえ。彼は拒絶し出した私を見て何かわかっていたと思います。皇后の耳にも入り、彼女は自分のお付き女房ひとりを皇子に差し上げたくらいで騒ぐのは論外だとしかられました。将来の皇后になる身なのだから寛容になるようにと言われたのです」
0
あなたにおすすめの小説
後宮なりきり夫婦録
石田空
キャラ文芸
「月鈴、ちょっと嫁に来るか?」
「はあ……?」
雲仙国では、皇帝が三代続いて謎の昏睡状態に陥る事態が続いていた。
あまりにも不可解なために、新しい皇帝を立てる訳にもいかない国は、急遽皇帝の「影武者」として跡継ぎ騒動を防ぐために寺院に入れられていた皇子の空燕を呼び戻すことに決める。
空燕の国の声に応える条件は、同じく寺院で方士修行をしていた方士の月鈴を妃として後宮に入れること。
かくしてふたりは片や皇帝の影武者として、片や皇帝の偽りの愛妃として、後宮と言う名の魔窟に潜入捜査をすることとなった。
影武者夫婦は、後宮内で起こる事件の謎を解けるのか。そしてふたりの想いの行方はいったい。
サイトより転載になります。
後宮の偽花妃 国を追われた巫女見習いは宦官になる
gari@七柚カリン
キャラ文芸
旧題:国を追われた巫女見習いは、隣国の後宮で二重に花開く
☆4月上旬に書籍発売です。たくさんの応援をありがとうございました!☆ 植物を慈しむ巫女見習いの凛月には、二つの秘密がある。それは、『植物の心がわかること』『見目が変化すること』。
そんな凛月は、次期巫女を侮辱した罪を着せられ国外追放されてしまう。
心機一転、紹介状を手に向かったのは隣国の都。そこで偶然知り合ったのは、高官の峰風だった。
峰風の取次ぎで紹介先の人物との対面を果たすが、提案されたのは後宮内での二つの仕事。ある時は引きこもり後宮妃(欣怡)として巫女の務めを果たし、またある時は、少年宦官(子墨)として庭園管理の仕事をする、忙しくも楽しい二重生活が始まった。
仕事中に秘密の能力を活かし活躍したことで、子墨は女嫌いの峰風の助手に抜擢される。女であること・巫女であることを隠しつつ助手の仕事に邁進するが、これがきっかけとなり、宮廷内の様々な騒動に巻き込まれていく。
翡翠の歌姫-皇帝が封じた声【中華サスペンス×切ない恋】
雪城 冴 (ゆきしろ さえ)
キャラ文芸
宮廷歌姫の“声”は、かつて皇帝が封じた禁断の力? 翠蓮は孤児と蔑まれるが、才能で皇子や皇后の目を引き、後宮の争いや命の危機に巻き込まれる【詳細⬇️】
陽国には、かつて“声”で争い事を鎮めた者がいた。田舎の雪国で生まれ育った翠蓮(スイレン)。幼くして両親を亡くし孤児となった彼女に残されたのは、翡翠の瞳と、母が遺した小さな首飾り、そして歌への情熱だった。
宮廷歌姫に憧れ、陽華宮の門を叩いた翠蓮だったが、試験の場で早くもあらぬ疑いをかけられる。
その歌声が秘める力を、彼女はまだ知らない。
翠蓮に近づくのは、真逆のタイプの二人の皇子。優しく寄り添う“学”の皇子・蒼瑛(ソウエイ)と、危険な香りをまとう“武”の皇子・炎辰(エンシン)。
誰が味方で、誰が“声”を利用しようとしているのか。歌声に導かれ、三人は王家が隠し続けてきた運命へと引き寄せられていく。
【中華サスペンス×切ない恋】
ミステリー要素あり/ドロドロな重い話あり/身分違いの恋あり
旧題:翡翠の歌姫と2人の王子
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
後宮の手かざし皇后〜盲目のお飾り皇后が持つ波動の力〜
二位関りをん
キャラ文芸
龍の国の若き皇帝・浩明に5大名家の娘である美華が皇后として嫁いできた。しかし美華は病により目が見えなくなっていた。
そんな美華を冷たくあしらう浩明。婚儀の夜、美華の目の前で彼女付きの女官が心臓発作に倒れてしまう。
その時。美華は慌てること無く駆け寄り、女官に手をかざすと女官は元気になる。
どうも美華には不思議な力があるようで…?
子持ち愛妻家の極悪上司にアタックしてもいいですか?天国の奥様には申し訳ないですが
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
胸がきゅんと、甘い音を立てる。
相手は、妻子持ちだというのに。
入社して配属一日目。
直属の上司で教育係だって紹介された人は、酷く人相の悪い人でした。
中高大と女子校育ちで男性慣れしてない私にとって、それだけでも恐怖なのに。
彼はちかよんなオーラバリバリで、仕事の質問すらする隙がない。
それでもどうにか仕事をこなしていたがとうとう、大きなミスを犯してしまう。
「俺が、悪いのか」
人のせいにするのかと叱責されるのかと思った。
けれど。
「俺の顔と、理由があって避け気味なせいだよな、すまん」
あやまってくれた彼に、胸がきゅんと甘い音を立てる。
相手は、妻子持ちなのに。
星谷桐子
22歳
システム開発会社営業事務
中高大女子校育ちで、ちょっぴり男性が苦手
自分の非はちゃんと認める子
頑張り屋さん
×
京塚大介
32歳
システム開発会社営業事務 主任
ツンツンあたまで目つき悪い
態度もでかくて人に恐怖を与えがち
5歳の娘にデレデレな愛妻家
いまでも亡くなった妻を愛している
私は京塚主任を、好きになってもいいのかな……?
苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」
母に紹介され、なにかの間違いだと思った。
だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。
それだけでもかなりな不安案件なのに。
私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。
「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」
なーんて義父になる人が言い出して。
結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。
前途多難な同居生活。
相変わらず専務はなに考えているかわからない。
……かと思えば。
「兄妹ならするだろ、これくらい」
当たり前のように落とされる、額へのキス。
いったい、どうなってんのー!?
三ツ森涼夏
24歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務
背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。
小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。
たまにその頑張りが空回りすることも?
恋愛、苦手というより、嫌い。
淋しい、をちゃんと言えずにきた人。
×
八雲仁
30歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』専務
背が高く、眼鏡のイケメン。
ただし、いつも無表情。
集中すると周りが見えなくなる。
そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。
小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。
ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!?
*****
千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』
*****
表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101
香死妃(かしひ)は香りに埋もれて謎を解く
液体猫(299)
キャラ文芸
第8回キャラ文芸大賞にて奨励賞受賞しました(^_^)/
香を操り、死者の想いを知る一族がいる。そう囁かれたのは、ずっと昔の話だった。今ではその一族の生き残りすら見ず、誰もが彼ら、彼女たちの存在を忘れてしまっていた。
ある日のこと、一人の侍女が急死した。原因は不明で、解決されないまま月日が流れていき……
その事件を解決するために一人の青年が動き出す。その過程で出会った少女──香 麗然《コウ レイラン》──は、忘れ去られた一族の者だったと知った。
香 麗然《コウ レイラン》が後宮に現れた瞬間、事態は動いていく。
彼女は香りに秘められた事件を解決。ついでに、ぶっきらぼうな青年兵、幼い妃など。数多の人々を無自覚に誑かしていった。
テンパると田舎娘丸出しになる香 麗然《コウ レイラン》と謎だらけの青年兵がダッグを組み、数々の事件に挑んでいく。
後宮の闇、そして人々の想いを描く、後宮恋愛ミステリーです。
シリアス成分が少し多めとなっています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる