31 / 51
「ずるいおとこ」
しおりを挟む
「狡いだろう? 俺は」
謙一さんが、冷えた手で私の目尻を拭う。
「こんな話をしたら、きみが──俺に同情してくれると、そう分かっていて話した」
目を開く。謙一さんは眉を下げた。私は──小さく、首を振る。お湯が小さくちゃぷりと音を立てた。
「違うの、分かってます」
「なにが」
「謙一さん……寂しかった、ですか」
きゅ、とその身体に抱きついた。また、どこかでトサリと雪が落ちる音。
「──どうだろう」
戸惑ったように言うその声は、ひどく幼くて。
私は彼のこめかみに、そうっと唇を寄せた。胸がつきん、と痛んだ。
謙一さんはウチの会社の社長の甥っ子だってことだから、別に天涯孤独ってわけじゃないんだろうと思う。
(でも──)
家族を、一度に喪って。
想像も──したくない。けれど、頭に浮かんだ。喪服の、今より若い謙一さんがぽつんと座っている。眼前には白い絹で包まれた骨壺、2つ。
よくわからない感情で頭どころか身体がいっぱいになる。
「……悪かった」
謙一さんが呟く。
「忘れて、くれないか」
「金沢へ」
私は謙一さんの身体に、もう一度抱きつき直しながら言った。
「金沢へ行ってみたいです」
「──麻衣?」
「謙一さんが生まれ育った街を、見てみたい」
そうっと、首筋に唇を寄せた。ちゅ、と吸い付く。跡が残るといいなと、頭のどこかでそう思う。
(いま、だから)
自分がいま、特殊な環境下にいることは分かっている。人里離れた、現実味のない──雪に閉ざされた世界。
だから、いま、だから……こんな感情に突き動かされているのかもしれない、と思う。
名前が付けられない、こんな感情に。衝動に──。
「麻衣」
謙一さんがどこか呆然と、私の名前を呼んだ。きっともうお互いに、何がなんだかよく分かっていない。
唇が重なる。ひんやりしていた。きっと私の唇も、冷たいのだと思う。
お互いを貪るようにキスを重ねる。何度も、何度でも、舌を絡めて唾液を飲んで──お互いを甘噛みして、狂おしいほどにお互いを味わう。
「麻衣」
時折唇が離れれば、降ってくる低い声。私を呼ぶ声。謙一さんの、声。
ぐっと抱きしめられて、そのまま抱き上げられた。ざばりとお湯の音。謙一さんは私を脱衣所まで連れて行って、バスタオルで乱雑に拭いた。
その間も、私たちはキスを重ねる。
離れることが厭だった。必要としていると思った──必要と、されているのではなくて。
寝室のベッドに2人で倒れ込む。
謙一さんの大きな手が、身体の輪郭を確かめるように動いて──ほとんど性急に、足の付け根に指を這わせた。
「……っ、!」
腰が揺れる。キスが落ちてきた。重ねるだけのそれ。
離れて──といっても、鼻の先と先がぶつかりそうな距離で──目が合う。
どこか特徴的な虹彩。飲み込まれそうになってしまう、その視線の熱さ。
「謙一さん」
零れるように、彼の名前を呼ぶ。同時にくちゅくちゅと謙一さんの中指が肉襞に侵入してくる。
上がる息と、動き出す指の感覚。
「っ、ぁ、はあっ、あ……」
一本だけ入って、お腹側の……肉芽の裏あたりを刺激される。指でされて、気持ちがいい……トコロ。
「きもち、い……」
気がつけば、自分から膝をたてて足を開いて、強請るように腰を揺らしていた。
多分とんでもなくハシタナイ顔をしているだろう私の顔を真剣に見つめて、謙一さんは掠れた声で言う。
「君が欲しい」
はっきりと、きっぱりと──そう、告げて。
その間も、器用に指先は私のナカを弄り続ける。増えた指に、きゅんきゅんとナカが締まるのを覚えた。
上擦った声だけが唇から漏れる。
「麻衣──、例え何があろうとも、どんな手段を使おうとも……必ず君を手に入れてみせる」
火傷しそうなくらい、熱い視線。思わず「もう貴方のものです」と言いそうになって、口を噤んだ。
(だって──もし、違ったら)
こんな風に閉じ込められた、謙一さんのことだけしか考えられないような世界で。
(違ったら──謙一さんを、傷つけてしまう)
それとも、もう手遅れなのだろうか?
謙一さんの言う通り、私は「何があっても」謙一さんのものに、……なってしまうのだろうか?
(わから、ない……)
ナカがぴくんと震えた。絶頂を目前にして、期待で蕩けて、解けて、なのにキュウって締まっていくナカ。
混乱する頭と、熱さが増す身体。
曖昧な私に謙一さんは怒るでもなく、ただ優しく指を抜いてしまう。
「は、……っ」
息が漏れた。ナカが抗議するようにヒクヒク痙攣する。
「けんいち、さ……」
「そんな……可愛い顔をされると本当に困る」
謙一さんは苦笑して、ベッド脇においてあった鞄から箱をとりだした。コンドームの箱。
そうしてコンドームを取り出しながら、ぽそりと言った。
「……足りるだろうか」
とりあえず、……聞かなかったことにしたい。つい、と目を逸らした。なんだか頬が熱い。
謙一さんは手早くそれをつけ終わると、さらりと私の髪を撫でた。
「麻衣」
色んな感情がこもったその声に、思わず身動ぎした瞬間に──クチュン、と謙一さんのが私のナカに埋まっていく。
謙一さんが、冷えた手で私の目尻を拭う。
「こんな話をしたら、きみが──俺に同情してくれると、そう分かっていて話した」
目を開く。謙一さんは眉を下げた。私は──小さく、首を振る。お湯が小さくちゃぷりと音を立てた。
「違うの、分かってます」
「なにが」
「謙一さん……寂しかった、ですか」
きゅ、とその身体に抱きついた。また、どこかでトサリと雪が落ちる音。
「──どうだろう」
戸惑ったように言うその声は、ひどく幼くて。
私は彼のこめかみに、そうっと唇を寄せた。胸がつきん、と痛んだ。
謙一さんはウチの会社の社長の甥っ子だってことだから、別に天涯孤独ってわけじゃないんだろうと思う。
(でも──)
家族を、一度に喪って。
想像も──したくない。けれど、頭に浮かんだ。喪服の、今より若い謙一さんがぽつんと座っている。眼前には白い絹で包まれた骨壺、2つ。
よくわからない感情で頭どころか身体がいっぱいになる。
「……悪かった」
謙一さんが呟く。
「忘れて、くれないか」
「金沢へ」
私は謙一さんの身体に、もう一度抱きつき直しながら言った。
「金沢へ行ってみたいです」
「──麻衣?」
「謙一さんが生まれ育った街を、見てみたい」
そうっと、首筋に唇を寄せた。ちゅ、と吸い付く。跡が残るといいなと、頭のどこかでそう思う。
(いま、だから)
自分がいま、特殊な環境下にいることは分かっている。人里離れた、現実味のない──雪に閉ざされた世界。
だから、いま、だから……こんな感情に突き動かされているのかもしれない、と思う。
名前が付けられない、こんな感情に。衝動に──。
「麻衣」
謙一さんがどこか呆然と、私の名前を呼んだ。きっともうお互いに、何がなんだかよく分かっていない。
唇が重なる。ひんやりしていた。きっと私の唇も、冷たいのだと思う。
お互いを貪るようにキスを重ねる。何度も、何度でも、舌を絡めて唾液を飲んで──お互いを甘噛みして、狂おしいほどにお互いを味わう。
「麻衣」
時折唇が離れれば、降ってくる低い声。私を呼ぶ声。謙一さんの、声。
ぐっと抱きしめられて、そのまま抱き上げられた。ざばりとお湯の音。謙一さんは私を脱衣所まで連れて行って、バスタオルで乱雑に拭いた。
その間も、私たちはキスを重ねる。
離れることが厭だった。必要としていると思った──必要と、されているのではなくて。
寝室のベッドに2人で倒れ込む。
謙一さんの大きな手が、身体の輪郭を確かめるように動いて──ほとんど性急に、足の付け根に指を這わせた。
「……っ、!」
腰が揺れる。キスが落ちてきた。重ねるだけのそれ。
離れて──といっても、鼻の先と先がぶつかりそうな距離で──目が合う。
どこか特徴的な虹彩。飲み込まれそうになってしまう、その視線の熱さ。
「謙一さん」
零れるように、彼の名前を呼ぶ。同時にくちゅくちゅと謙一さんの中指が肉襞に侵入してくる。
上がる息と、動き出す指の感覚。
「っ、ぁ、はあっ、あ……」
一本だけ入って、お腹側の……肉芽の裏あたりを刺激される。指でされて、気持ちがいい……トコロ。
「きもち、い……」
気がつけば、自分から膝をたてて足を開いて、強請るように腰を揺らしていた。
多分とんでもなくハシタナイ顔をしているだろう私の顔を真剣に見つめて、謙一さんは掠れた声で言う。
「君が欲しい」
はっきりと、きっぱりと──そう、告げて。
その間も、器用に指先は私のナカを弄り続ける。増えた指に、きゅんきゅんとナカが締まるのを覚えた。
上擦った声だけが唇から漏れる。
「麻衣──、例え何があろうとも、どんな手段を使おうとも……必ず君を手に入れてみせる」
火傷しそうなくらい、熱い視線。思わず「もう貴方のものです」と言いそうになって、口を噤んだ。
(だって──もし、違ったら)
こんな風に閉じ込められた、謙一さんのことだけしか考えられないような世界で。
(違ったら──謙一さんを、傷つけてしまう)
それとも、もう手遅れなのだろうか?
謙一さんの言う通り、私は「何があっても」謙一さんのものに、……なってしまうのだろうか?
(わから、ない……)
ナカがぴくんと震えた。絶頂を目前にして、期待で蕩けて、解けて、なのにキュウって締まっていくナカ。
混乱する頭と、熱さが増す身体。
曖昧な私に謙一さんは怒るでもなく、ただ優しく指を抜いてしまう。
「は、……っ」
息が漏れた。ナカが抗議するようにヒクヒク痙攣する。
「けんいち、さ……」
「そんな……可愛い顔をされると本当に困る」
謙一さんは苦笑して、ベッド脇においてあった鞄から箱をとりだした。コンドームの箱。
そうしてコンドームを取り出しながら、ぽそりと言った。
「……足りるだろうか」
とりあえず、……聞かなかったことにしたい。つい、と目を逸らした。なんだか頬が熱い。
謙一さんは手早くそれをつけ終わると、さらりと私の髪を撫でた。
「麻衣」
色んな感情がこもったその声に、思わず身動ぎした瞬間に──クチュン、と謙一さんのが私のナカに埋まっていく。
13
あなたにおすすめの小説
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ブラック企業を退職したら、極上マッサージに蕩ける日々が待ってました。
イセヤ レキ
恋愛
ブラック企業に勤める赤羽(あかばね)陽葵(ひまり)は、ある夜、退職を決意する。
きっかけは、雑居ビルのとあるマッサージ店。
そのマッサージ店の恰幅が良く朗らかな女性オーナーに新たな職場を紹介されるが、そこには無口で無表情な男の店長がいて……?
※ストーリー構成上、導入部だけシリアスです。
※他サイトにも掲載しています。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ナイトプールで熱い夜
狭山雪菜
恋愛
萌香は、27歳のバリバリのキャリアウーマン。大学からの親友美波に誘われて、未成年者不可のナイトプールへと行くと、親友がナンパされていた。ナンパ男と居たもう1人の無口な男は、何故か私の側から離れなくて…?
この作品は、「小説家になろう」にも掲載しております。
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる