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第4話 スキルマスター
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スキルマスターは、全てのクラスのスキルを自由に選んで習得する事が出来る特性を持つ。
しかもレベルアップ時に手に入るSPが、他のクラスと比べてかなり多い。
一般から上級までは、レベルアップ時に1。
最上級と特殊クラスは2で、伝説級である勇者は3だ。
そしてスキルマスターは何と、勇者の倍である6も手に入る。
――流石神話級のクラス。
と言いたい所だが、このクラスには大きな落とし穴があった。
スキルマスターはスキルで強化しまくれる反面、成長率が最低なのだ。
一般から上級クラスまでは必須な能力が2、最上級なら3上がる。
必須ではない物に関しては1だ。
そして勇者は4づつ上がるぶっちぎりな成長率を誇っている訳だが、その上を行くはずのスキルマスターは、何故か全ステータスの上昇が最低の1だった。
これは全人口の7割以上を占め、基本的に非戦闘員となる市民のクラスと同じ上昇である。
そのため、レベル15の俺の基本ステは24前後しかない。
これがもし勇者と同等の成長だったなら、70近い数字になっていたはず。
3倍近く。
そう考えると、とんでもない差である。
「も……もうそろそろ終わりにしないか……」
既に1時間以上、ソアラとの木剣での手合わせが続いている。
流石にへとへとだ。
「まだまだだよ!」
だが、手加減して戦っている彼女はまだまだ元気いっぱい。
不完全燃焼の様だ。
ガンガン剣を振り回し、容赦なく攻め立てて来る。
……人に合わせる事を、早く覚えて欲しいもんだ。
まあ知能がかなり高いとはいえ、4歳児にそれを求めるのは酷という物か。
「くっそ!」
必死に迫る木剣を捌く。
今の俺のステータスは高い物でも100にも満たないため、手加減されても猛烈にきつかった。
――今の俺が習得しているスキルは全部で6種類。
勇者マスタリーLv10。
必要総SP30。
全ステータスがレベル×10%アップ。
学習能力がレベル×10%上昇し、更に全ての武器魔法の扱いに補正が付く。
伝説マスタリーLv10。
必要総SP30。
全ステータスがレベル×10%アップし、更に集中力と記憶力に大幅な補正が付く。
この二つは勇者のマスタリーだ。
二つ合わせて、全ステータスに+200%のボーナスが付く。
全ての技術に補正が付き、学習能力――知識だけではなく、技術的な物も含む――までも上がる素晴らしいスキルとなっている。
勇者のスキルは優秀極まりない。
流石伝説級である。
当然ソアラも優先的にこの二つを習得しており、スキルの効果で彼女は4歳にして全ステータス250越えの飛んでも能力になっていた。
それ以外には――
剣マスタリーLv10。
必要総SP10。
腕力・敏捷さ・器用さにレベル×5%びボーナスが付き、更に剣の扱いに補正が付く。
槍マスタリーLv10中7まで取得。
必要総SP。
腕力・器用さ・体力にレベル×5%びボーナスが付き、更に槍の扱いに補正が付く。
この二つは戦士クラスのマスタリーだ。
三種類だけだが、必要なステータスを最大レベルで基本ステの50%も増やしてくれる上、武器の扱いにも補正がかかる。
この二つのマスタリーは、戦士クラスの根幹を支えるスキルと言っていいだろう。
戦闘系以外だと――
経験値ブーストLv1。
取得SP2。
取得経験値に+50パーセントのボーナスが付く。
経験値ブーストLv2.
取得SP5。
取得経験値に+50パーセントのボーナスが付く。
――の二つ。
これが、現状で俺が取得した全84ポイントの内訳となっている。
マスタリーばっかなのは、ポイント当たりの効率が最も高いと判断したからだ。
ステータスへのボーナスがかなり優秀だからな。
今の俺はスキルの効果で、筋力と器用さに+285%のボーナスが付き。
敏捷性が+250%、体力に+235%、そしてそれ以外が+200パーセントのボーナスとなっている。
これを数字にすると――
【Lv:15】
【クラス:スキルマスター】
【生命力】 34 (+200%)= 102
【気 力】 24 (+200%)= 72
【マ ナ】 19 (+200%)= 57
【筋 力】 24 (+285%)= 92
【体 力】 24 (+235%)= 80
【敏捷性】 24 (+250%)= 84
【器用さ】 23 (+285%)= 88
【魔 力】 19 (+200%)= 57
【知 力】 24 (+200%)= 72
【耐久力】 24 (+200%)= 72
【抵抗力】 20 (+200%)= 60
【精神力】 24 (+200%)= 72
【S P】 0
とまあ、まあこんな感じ。
平均250程あるソアラの約3分の1以下って所だな。
剣マスタリーのお陰か、剣の扱い自体は若干俺の方が上ではあるが、流石に本気を出されたらこの能力差では勝負にもならない。
神様はスキルマスターが伝説級の勇者より上だと言っていたが、馬鹿みたいなステータス差を考えると、正直怪しい話である。
まあそれ自体は全然かまわないのだが……
俺は魔物と戦ったりする気はないし。
問題は、ソアラの鑑定眼にもそう映ってしまっている事だ。
そのせいか、現状でこれだけ差があるにも拘らず、彼女は本気で俺が勇者より強くなると思いこんでしまっていた。
そして自分の相棒として育てるべく、最近ではほとんど毎日の様に剣術の訓練を施しにやって来る始末。
ほんっと、いい迷惑である。
「はぁ……はぁ……無理……」
疲労困憊。
へとへとになった俺はその場に崩れ落ち、尻もちをついた。
もう無理。
死ぬ。
転生したての頃は上げ膳据え膳ヒャッホーとか思ってたのだが、まさかこんなスパルタ部活みたいな訓練が早々に始まってしまうとは。
俺が一体何をしたというのか?
スローライフ狙いでも、大人になれば多少しんどい事位はあるだろうと覚悟はしていた。
だがこれは完全に想定外だ。
今のままだと、12歳でソアラが王都に行くまでこの地獄の訓練が続きかねない。
「あらあら、情けないわねぇ。アドルも男の子なんだから、もっと頑張らなくっちゃ」
母が庭で座り込む俺の元に、水を持って来てくれる。
それを受け取り、俺は一気飲みした。
気遣いには感謝するが、無茶は言わないで貰いたい。
相手勇者様やぞ?
「じゃあ30分だけ休憩ね!そしたら練習再開だから!」
「ふぁっ!?」
ソアラが笑顔で二部構成を口にする。
こいつ俺を殺す気か?
もう一セットなんて誰がするか!
「いやいやいや!あんま他所んちに長時間居ると、騎士さん達も困るだろ!」
意訳:さっさと帰れ。
「はっはっは。我々の事は気にしなくて大丈夫だ。存分にソアラ殿と訓練してくれればいい」
騎士の一人が爽やかにそう返して来る。
頼むから空気読んでくれよ。
「いや、いつもの様に自分一人で今日の剣術訓練を振り返って……」
「嘘ばっか!アドル、私がいない時全然練習してないでしょ!経験値で分るよ!だから今日はもう一本!」
「ぐぬぬぬ……」
この世界では、努力や訓練も経験値になる。
ソアラの鑑定眼は相手の経験値も見えているので、そこから俺が彼女の居ない時にひたすらだらけているのがバレバレだった。
……余計な事に気付くなよ。
心の中で舌打ちする。
「うふふふ。二人は本当に仲がいいわねぇ」
おかん、あんたの目は節穴か?
俺は死ぬ程迷惑そうにしてる訳だが?
勇者を嫁に取りたさすぎてか、母であるユミルの目は完全に曇ってしまっている様だった。
はぁー、やだやだ。
こんな事なら、友達になって欲しいなんてゴリアテさんの頼み聞くんじゃなかった。
俺の平和を返せ!
しかもレベルアップ時に手に入るSPが、他のクラスと比べてかなり多い。
一般から上級までは、レベルアップ時に1。
最上級と特殊クラスは2で、伝説級である勇者は3だ。
そしてスキルマスターは何と、勇者の倍である6も手に入る。
――流石神話級のクラス。
と言いたい所だが、このクラスには大きな落とし穴があった。
スキルマスターはスキルで強化しまくれる反面、成長率が最低なのだ。
一般から上級クラスまでは必須な能力が2、最上級なら3上がる。
必須ではない物に関しては1だ。
そして勇者は4づつ上がるぶっちぎりな成長率を誇っている訳だが、その上を行くはずのスキルマスターは、何故か全ステータスの上昇が最低の1だった。
これは全人口の7割以上を占め、基本的に非戦闘員となる市民のクラスと同じ上昇である。
そのため、レベル15の俺の基本ステは24前後しかない。
これがもし勇者と同等の成長だったなら、70近い数字になっていたはず。
3倍近く。
そう考えると、とんでもない差である。
「も……もうそろそろ終わりにしないか……」
既に1時間以上、ソアラとの木剣での手合わせが続いている。
流石にへとへとだ。
「まだまだだよ!」
だが、手加減して戦っている彼女はまだまだ元気いっぱい。
不完全燃焼の様だ。
ガンガン剣を振り回し、容赦なく攻め立てて来る。
……人に合わせる事を、早く覚えて欲しいもんだ。
まあ知能がかなり高いとはいえ、4歳児にそれを求めるのは酷という物か。
「くっそ!」
必死に迫る木剣を捌く。
今の俺のステータスは高い物でも100にも満たないため、手加減されても猛烈にきつかった。
――今の俺が習得しているスキルは全部で6種類。
勇者マスタリーLv10。
必要総SP30。
全ステータスがレベル×10%アップ。
学習能力がレベル×10%上昇し、更に全ての武器魔法の扱いに補正が付く。
伝説マスタリーLv10。
必要総SP30。
全ステータスがレベル×10%アップし、更に集中力と記憶力に大幅な補正が付く。
この二つは勇者のマスタリーだ。
二つ合わせて、全ステータスに+200%のボーナスが付く。
全ての技術に補正が付き、学習能力――知識だけではなく、技術的な物も含む――までも上がる素晴らしいスキルとなっている。
勇者のスキルは優秀極まりない。
流石伝説級である。
当然ソアラも優先的にこの二つを習得しており、スキルの効果で彼女は4歳にして全ステータス250越えの飛んでも能力になっていた。
それ以外には――
剣マスタリーLv10。
必要総SP10。
腕力・敏捷さ・器用さにレベル×5%びボーナスが付き、更に剣の扱いに補正が付く。
槍マスタリーLv10中7まで取得。
必要総SP。
腕力・器用さ・体力にレベル×5%びボーナスが付き、更に槍の扱いに補正が付く。
この二つは戦士クラスのマスタリーだ。
三種類だけだが、必要なステータスを最大レベルで基本ステの50%も増やしてくれる上、武器の扱いにも補正がかかる。
この二つのマスタリーは、戦士クラスの根幹を支えるスキルと言っていいだろう。
戦闘系以外だと――
経験値ブーストLv1。
取得SP2。
取得経験値に+50パーセントのボーナスが付く。
経験値ブーストLv2.
取得SP5。
取得経験値に+50パーセントのボーナスが付く。
――の二つ。
これが、現状で俺が取得した全84ポイントの内訳となっている。
マスタリーばっかなのは、ポイント当たりの効率が最も高いと判断したからだ。
ステータスへのボーナスがかなり優秀だからな。
今の俺はスキルの効果で、筋力と器用さに+285%のボーナスが付き。
敏捷性が+250%、体力に+235%、そしてそれ以外が+200パーセントのボーナスとなっている。
これを数字にすると――
【Lv:15】
【クラス:スキルマスター】
【生命力】 34 (+200%)= 102
【気 力】 24 (+200%)= 72
【マ ナ】 19 (+200%)= 57
【筋 力】 24 (+285%)= 92
【体 力】 24 (+235%)= 80
【敏捷性】 24 (+250%)= 84
【器用さ】 23 (+285%)= 88
【魔 力】 19 (+200%)= 57
【知 力】 24 (+200%)= 72
【耐久力】 24 (+200%)= 72
【抵抗力】 20 (+200%)= 60
【精神力】 24 (+200%)= 72
【S P】 0
とまあ、まあこんな感じ。
平均250程あるソアラの約3分の1以下って所だな。
剣マスタリーのお陰か、剣の扱い自体は若干俺の方が上ではあるが、流石に本気を出されたらこの能力差では勝負にもならない。
神様はスキルマスターが伝説級の勇者より上だと言っていたが、馬鹿みたいなステータス差を考えると、正直怪しい話である。
まあそれ自体は全然かまわないのだが……
俺は魔物と戦ったりする気はないし。
問題は、ソアラの鑑定眼にもそう映ってしまっている事だ。
そのせいか、現状でこれだけ差があるにも拘らず、彼女は本気で俺が勇者より強くなると思いこんでしまっていた。
そして自分の相棒として育てるべく、最近ではほとんど毎日の様に剣術の訓練を施しにやって来る始末。
ほんっと、いい迷惑である。
「はぁ……はぁ……無理……」
疲労困憊。
へとへとになった俺はその場に崩れ落ち、尻もちをついた。
もう無理。
死ぬ。
転生したての頃は上げ膳据え膳ヒャッホーとか思ってたのだが、まさかこんなスパルタ部活みたいな訓練が早々に始まってしまうとは。
俺が一体何をしたというのか?
スローライフ狙いでも、大人になれば多少しんどい事位はあるだろうと覚悟はしていた。
だがこれは完全に想定外だ。
今のままだと、12歳でソアラが王都に行くまでこの地獄の訓練が続きかねない。
「あらあら、情けないわねぇ。アドルも男の子なんだから、もっと頑張らなくっちゃ」
母が庭で座り込む俺の元に、水を持って来てくれる。
それを受け取り、俺は一気飲みした。
気遣いには感謝するが、無茶は言わないで貰いたい。
相手勇者様やぞ?
「じゃあ30分だけ休憩ね!そしたら練習再開だから!」
「ふぁっ!?」
ソアラが笑顔で二部構成を口にする。
こいつ俺を殺す気か?
もう一セットなんて誰がするか!
「いやいやいや!あんま他所んちに長時間居ると、騎士さん達も困るだろ!」
意訳:さっさと帰れ。
「はっはっは。我々の事は気にしなくて大丈夫だ。存分にソアラ殿と訓練してくれればいい」
騎士の一人が爽やかにそう返して来る。
頼むから空気読んでくれよ。
「いや、いつもの様に自分一人で今日の剣術訓練を振り返って……」
「嘘ばっか!アドル、私がいない時全然練習してないでしょ!経験値で分るよ!だから今日はもう一本!」
「ぐぬぬぬ……」
この世界では、努力や訓練も経験値になる。
ソアラの鑑定眼は相手の経験値も見えているので、そこから俺が彼女の居ない時にひたすらだらけているのがバレバレだった。
……余計な事に気付くなよ。
心の中で舌打ちする。
「うふふふ。二人は本当に仲がいいわねぇ」
おかん、あんたの目は節穴か?
俺は死ぬ程迷惑そうにしてる訳だが?
勇者を嫁に取りたさすぎてか、母であるユミルの目は完全に曇ってしまっている様だった。
はぁー、やだやだ。
こんな事なら、友達になって欲しいなんてゴリアテさんの頼み聞くんじゃなかった。
俺の平和を返せ!
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