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第8話 弟子
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晩飯を食った後、一人星空を眺めていると村長のお孫さんが俺の所にやって来た。
彼は思いつめた表情で俺の顔をじっと見つめる。
「えーっと、何か用かな?」
「お願いします!俺を貴方の弟子にしてください!」
「へっ!?あ?弟子?」
何の前振りも無く、村長のお孫さんに急に土下座されて「ふぁっ?」となる。
いきなり弟子にして欲しいとか言われても、意味不明なんだが。
「貴方の様に強くなりたいんだ!だから……だから弟子にして下さい!」
「いや、そう言われても困るんだけど」
俺の強さはスキルによるものだ。
弟子入りしたからと言って手に入る物では無い。
「先生が異世界人だというのは爺ちゃんから聞きました。だから、俺に異世界の力の使い方を教えて欲しいんです!」
此処だけの話って言ったのに、爺もう話してやがる!?
想像を絶する口の軽さだった。
相手が年寄りじゃなかったら、今すぐぶん殴りに行きたい気分だ。
「いや、異世界の力を教えてくれって言われても」
そもそも異世界の力ってなんだ?
ひょっとしたら転移の際に付与された永久コンボがそれに当たるのかもしれないが、これは人に教えて覚えさせる事が出来る様な物じゃないだろう。
教えてくれと言われても困る。
「俺……本当はこの村の人間じゃないんです……」
「え!?」
爺さんは孫と言っていたんだが、どういう事だ?
そもそも本人も村長を爺ちゃんと言っているし。
俺は首を捻る。
「俺。赤ん坊の時この村の傍に捨てられていたらしいんです。それで父さんと母さんが俺の事を子供として引き取ってくれて……それからこの村で暮らしてるんです。でも、俺……何にもできなかった。拾って育てて貰ったのに。この村の為に俺、何にもできなくて……」
生まれてすぐに捨てられて、しかも引き取られた先でも両親が殺されたのか。
きっついな、それは。
「俺、もう嫌なんだ……何もできない無力なままじゃ……だから……だから強くなりたいんだ!」
「いや、気持ちは分からなくはないが……俺は此処の村の人を隣村に送ったら他所へ行くんだ。お前を連れてはいけないよ」
出発の準備はもう既に整っていた。
隣町までは半日ほどの距離で、明日出発する事になっている。
勿論俺はそこに長居するつもりはなかった。
村長口軽いし。
残念ながら、その短い期間では何も教えてはやれない。
まあ仮に長期滞在したとしても、教えられる事なんて何もないんだが。
「分かっています。だから俺、貴方についていきます」
「いやいやいやいや、駄目だろそれは?」
「爺ちゃんにはもう許可を貰ってます!だから俺を弟子にしてください!」
こんな子供を通りすがりの異世界人に預けるとか、いくら何でも村長クズ過ぎない?
まあ好意的に考えるのなら、息子夫婦が死んで、しかも村を離れるとなると、真面に育ててやれないと思っての行動なのかもしれないが。
「えーっと……リーンだっけ?」
孫としか紹介されていないが、村長が確かそう呼んでいた筈。
「はい!」
「俺の力はスキルによるものだ。弟子になっても覚えたりする事は出来ない。だから俺について来ても……」
「分かってます!でも俺なら大丈夫です!俺の職業はスキルマスターっていう、特殊な奴なんです!」
スキルマスター。
名前からして滅茶苦茶優秀そうな感じだ。
村人が束になっても絶対敵わなさそう。
「そのクラスにはラーニングってスキルがあって。弟子入りして鍛えて貰うと、師匠のスキルを覚える事が出来るスキルなんです」
なにその最強スキル。
寧ろ俺が弟子入りして教えて欲しい位だわ。
「成程。それのスキルを使って俺のスキルを習得しようという訳か」
「はい。あ!先生にもちゃんとメリットがあります!」
「メリット?」
「はい!俺が師からラーニングで習得させて貰ったスキルは強化されるんです!」
強化?
もしそれが事実なら、俺の永久コンボが更に強くなる訳か……
どう強化されるのかは分からないが、このスキル頼りの俺としてはそれはとても魅力的な話だった。
「だからお願いします!俺を弟子にしてください!」
正直迷う。
最終的にアイリーンに報復し、クラスメート達の洗脳を解く事を目的にした場合、今よりもっと大きな力が必要になるだろう。
だが現状、行く当てもない俺が子供を預かるのはどうなんだという気がしてならない。
けど――
「わかった。その代わり、仮にどこかで命を落とす事になっても俺を恨むなよ」
少し悩んだ結果、リーンを連れて行く事に決める。
やはり俺がこの世界で生き抜く為には、力が少しでも必要だ。
アイリーンに対する復讐もそうだが、魔人の事もある。
現状帰れる保証がない以上、魔人への対策は当然考えておかなければならない事だった。
明神達が再封印に成功したり、例え失敗しても永久コンボで魔人を容易くハメ殺せればいいのだが、何の保証もない以上、何とかなるだろうと楽観的に構える気にはなれない。
だから俺自身のスキルを強化し、更にリーンにも永久コンボを習得させて万一の備にさせて貰う。
「はい!よろしくお願いします!」
リーンが大きく頭を下げる。
俺はその頭をくしゃくしゃと撫でた。
まあ出来る限り守ってやろうとは思うが、それでも万一命を落とした場合、冗談抜きで恨まないでくれよ。
そう俺は言い訳がましく心の中で呟いた。
彼は思いつめた表情で俺の顔をじっと見つめる。
「えーっと、何か用かな?」
「お願いします!俺を貴方の弟子にしてください!」
「へっ!?あ?弟子?」
何の前振りも無く、村長のお孫さんに急に土下座されて「ふぁっ?」となる。
いきなり弟子にして欲しいとか言われても、意味不明なんだが。
「貴方の様に強くなりたいんだ!だから……だから弟子にして下さい!」
「いや、そう言われても困るんだけど」
俺の強さはスキルによるものだ。
弟子入りしたからと言って手に入る物では無い。
「先生が異世界人だというのは爺ちゃんから聞きました。だから、俺に異世界の力の使い方を教えて欲しいんです!」
此処だけの話って言ったのに、爺もう話してやがる!?
想像を絶する口の軽さだった。
相手が年寄りじゃなかったら、今すぐぶん殴りに行きたい気分だ。
「いや、異世界の力を教えてくれって言われても」
そもそも異世界の力ってなんだ?
ひょっとしたら転移の際に付与された永久コンボがそれに当たるのかもしれないが、これは人に教えて覚えさせる事が出来る様な物じゃないだろう。
教えてくれと言われても困る。
「俺……本当はこの村の人間じゃないんです……」
「え!?」
爺さんは孫と言っていたんだが、どういう事だ?
そもそも本人も村長を爺ちゃんと言っているし。
俺は首を捻る。
「俺。赤ん坊の時この村の傍に捨てられていたらしいんです。それで父さんと母さんが俺の事を子供として引き取ってくれて……それからこの村で暮らしてるんです。でも、俺……何にもできなかった。拾って育てて貰ったのに。この村の為に俺、何にもできなくて……」
生まれてすぐに捨てられて、しかも引き取られた先でも両親が殺されたのか。
きっついな、それは。
「俺、もう嫌なんだ……何もできない無力なままじゃ……だから……だから強くなりたいんだ!」
「いや、気持ちは分からなくはないが……俺は此処の村の人を隣村に送ったら他所へ行くんだ。お前を連れてはいけないよ」
出発の準備はもう既に整っていた。
隣町までは半日ほどの距離で、明日出発する事になっている。
勿論俺はそこに長居するつもりはなかった。
村長口軽いし。
残念ながら、その短い期間では何も教えてはやれない。
まあ仮に長期滞在したとしても、教えられる事なんて何もないんだが。
「分かっています。だから俺、貴方についていきます」
「いやいやいやいや、駄目だろそれは?」
「爺ちゃんにはもう許可を貰ってます!だから俺を弟子にしてください!」
こんな子供を通りすがりの異世界人に預けるとか、いくら何でも村長クズ過ぎない?
まあ好意的に考えるのなら、息子夫婦が死んで、しかも村を離れるとなると、真面に育ててやれないと思っての行動なのかもしれないが。
「えーっと……リーンだっけ?」
孫としか紹介されていないが、村長が確かそう呼んでいた筈。
「はい!」
「俺の力はスキルによるものだ。弟子になっても覚えたりする事は出来ない。だから俺について来ても……」
「分かってます!でも俺なら大丈夫です!俺の職業はスキルマスターっていう、特殊な奴なんです!」
スキルマスター。
名前からして滅茶苦茶優秀そうな感じだ。
村人が束になっても絶対敵わなさそう。
「そのクラスにはラーニングってスキルがあって。弟子入りして鍛えて貰うと、師匠のスキルを覚える事が出来るスキルなんです」
なにその最強スキル。
寧ろ俺が弟子入りして教えて欲しい位だわ。
「成程。それのスキルを使って俺のスキルを習得しようという訳か」
「はい。あ!先生にもちゃんとメリットがあります!」
「メリット?」
「はい!俺が師からラーニングで習得させて貰ったスキルは強化されるんです!」
強化?
もしそれが事実なら、俺の永久コンボが更に強くなる訳か……
どう強化されるのかは分からないが、このスキル頼りの俺としてはそれはとても魅力的な話だった。
「だからお願いします!俺を弟子にしてください!」
正直迷う。
最終的にアイリーンに報復し、クラスメート達の洗脳を解く事を目的にした場合、今よりもっと大きな力が必要になるだろう。
だが現状、行く当てもない俺が子供を預かるのはどうなんだという気がしてならない。
けど――
「わかった。その代わり、仮にどこかで命を落とす事になっても俺を恨むなよ」
少し悩んだ結果、リーンを連れて行く事に決める。
やはり俺がこの世界で生き抜く為には、力が少しでも必要だ。
アイリーンに対する復讐もそうだが、魔人の事もある。
現状帰れる保証がない以上、魔人への対策は当然考えておかなければならない事だった。
明神達が再封印に成功したり、例え失敗しても永久コンボで魔人を容易くハメ殺せればいいのだが、何の保証もない以上、何とかなるだろうと楽観的に構える気にはなれない。
だから俺自身のスキルを強化し、更にリーンにも永久コンボを習得させて万一の備にさせて貰う。
「はい!よろしくお願いします!」
リーンが大きく頭を下げる。
俺はその頭をくしゃくしゃと撫でた。
まあ出来る限り守ってやろうとは思うが、それでも万一命を落とした場合、冗談抜きで恨まないでくれよ。
そう俺は言い訳がましく心の中で呟いた。
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