69 / 100
アデライト 逆行復讐編
マカロン家大掃除当日
しおりを挟む大量の真っ赤な血が私を覆い隠し、目の前で倒れているルカに手を伸ばそうとするけれど届かない……何度も何度も何度も何度も呼んでも貴方はピクリとも動いてないのよ。ただ…心臓の音だけがハッキリと聞こえる。
ルカの心臓を奪い、我が者顔で生きてる奴を八つ裂きにしないと気が済まない。
「……ッハッ!!ハァ…ハァハァ……!なんで……また……こんな夢…。ルカはいる。生きてる。大丈夫よ。問題ないわ」
気づいたら、もう朝だった。朝見た夢があまりにもリアルで気分が悪かったので、朝食はいらないとメイドに伝えた。私は薄いオレンジ色のドレスに着替えて待っていた。
そう我が父の兄である伯父のシリウス・マカロンを。
彼は本来の次期マカロン家当主になる筈だったのをアッサリとお父様に負けた。ワザと負けたのでしょうけど……前回はソフィアが伯父に会いに行って、お父様お母様が捕まった後も、アメリーと共にマカロン家を再建させた。
仕事も早く出来る、いい稼ぎ頭になるのに丁度良いもの。
「さて、そろそろだわ。…ねえ、お父様とお母様の様子はどうなの?」
私の部屋に控えているメイドの一人が少し困った顔をしながら話す。
「朝食の時間は一緒に過ごしておりますが、お二人とも言い争っておりますというか、旦那様が奥様を責めているようで……」
「…そう。もう下がってちょうだい」
ふふ、お父様は裏帳簿が無くなった事に気づいたのね。裏帳簿を知っている人間はお父様、お母様、そして私だったわ。前回の私は17歳に教えられたのだけど、まさか11歳の私がとは思ってもいないでしょうね。
前回はソフィア、いえ多分アメリーが、ソフィアが気づくように仕向けた筈。ソフィアはシリウス伯父様に書類などを渡してたんでしょうね。
「……やられる方はとばっちりで腹が立つわね。アメリーには躾なおさないといけないわね」
そう考えながら、階段を降りようとした時
「この馬鹿ものがああああ!!!」
パリン!と何かが割れる音とお父様の怒鳴り声が屋敷内に響いた。玄関ホール先には正座をしているソフィアと、ソフィアを庇ったのか頰から血が出ているジェイコブお兄様がいた。
お父様の隣にはお母様がアメリーを抱きながら、ソフィアを叱っていた。
「ジェイコブまで、おかしな事をしてるなんて!ソフィア!あなたが変な事を吹きこんだからよ!お前は本当に何をやってもだめね!」
「…女が剣術を習うだと!?恥を知れ!恥を!アデライトのようになれと何度も言っているだろう!お前がこんなんだから、ジェイコブもおかしくなったんだな!見ろ!ソフィア!お前が心配ばかりさせるから頭の髪がまた無くなったじゃないか!」
「…お父様、それは元々でーー」
パァン!とお父様はソフィアの頰を叩いた。ソフィアは涙を流して俯き、ジェイコブお兄様はソフィアを庇うようにお父様達に訴えていた。
「父上!母上!ソフィアは悪くないです!僕は………僕は…剣よりも……あ、あああ編み物とお菓子作りが大好きなん、です!!!」
まだあの乙女な趣味が好きだったのね。前回もやたらとクッキーやらなんやら渡すから、やっぱりとは思っていたけど。
ジェイコブお兄様の発言にお父様はさらに怒り出し、お母様は「冗談よね?ジェイコブ、今ならお母様達は許してあげるわ」とジェイコブお兄様の肩を触ると、ジェイコブお兄様はお母様の手を振り払った。
「…ふふ。あらあら、今回のお兄様は少し違うようね」
ジェイコブお兄様は、お父様とお母様のソフィアに対する扱いも、自分の事も、この家はおかしいと話す。
「…あと、アデライトもおかしい!確実におかしくなったんだ!」
……あとで、また新作の栄養ドリンクをお兄様に飲ませてあげるわ。
「よしよし、アメリー…あなたは、ダメよ。あんな子になっては」
そうアメリーをあやすお母様に私はそっと寄り添いながら話しかけた。
「お母様、私がアメリーを抱いてますわ」
「アデライト…あぁ、貴女はやっぱり長女ね。ソフィアのせいで、ジェイコブがおかしな事をいいだすのよ。お父様がもう頭にきていて……」
「アデライト!お前はアメリーを連れて、別の場所に移動しろ。貴族らしさもないこの二人を私は罰せねばならん!!誇り高き由緒正しいマカロン家なのに!」
私はそっとアメリーを抱き上げる。あんなに怒鳴り声やら、音があっても泣かずにすやすやと寝ているわ。図太い子なのは確かね。
私はまた階段を登った後、くるりと振り向き、フロアにいるお父様達を見下すように笑った。
「あら、ふふふ、誇り高き由緒正しいマカロン家?貴族らしく?……ぷっ……あはははは!!嫌だわ!お父様ったら……頭も禿げるだけでおかしいのに、お馬鹿ね」
「…え?アデライト?」
アデライトが家族に見せた事がない顔をすると、屋敷にいた全員、顔を青ざめていた。とても冷たい目と表情をしていたからだ。
「お父様、お母様……私が知らないとでも?今回のあの聖スピカ病院の子供達の臓器売買の件とか、あなた達が一番深く関わっているじゃない」
そう、アデライトが話すと二人は更に青ざめた顔をしていた。その時扉が開かれた。ナタリアと
シリウス・マカロンが現れた。
シリウスはハァとため息を出しながら、チラッと自分の弟を見て、またため息を出した。
「さて…アデライト・マカロンとは君かい?」
シリウスは泣いているソフィアに手を貸して起き上がらせたが、ソフィアはフルフルと首を横に降る。上の階段にいる赤子を抱いてる銀色の巻き髪の少女を見て納得した。
「……なるほど、君か。私に手紙を出したのは」
「初めまして。シリウス伯父様」
ニッコリと可愛いらしく笑顔と優雅な挨拶をするアデライトに、少しシリウスは考えていた。
「なななんで兄上が!!?」
「うるさい。愚弟が。話かけるな。もう少しで騎士団がくる。最後に子供達に挨拶でもするんだな」
「は!?あ!?なななな何を言って!アデライト!!何故シリウスと連絡を!?シリウス!お前もノコノコと!」
シリウスとアデライトは、同じような冷たい目でジェイソンに微笑みかける。
「「もう終わりですわ(だ)」」
そう二人の声が響いていた。
90
あなたにおすすめの小説
妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます
冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。
そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。
しかも相手は妹のレナ。
最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。
夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。
最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。
それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。
「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」
確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。
言われるがままに、隣国へ向かった私。
その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。
ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。
※ざまぁパートは第16話〜です
「お幸せに」と微笑んだ悪役令嬢は、二度と戻らなかった。
パリパリかぷちーの
恋愛
王太子から婚約破棄を告げられたその日、
クラリーチェ=ヴァレンティナは微笑んでこう言った。
「どうか、お幸せに」──そして姿を消した。
完璧すぎる令嬢。誰にも本心を明かさなかった彼女が、
“何も持たずに”去ったその先にあったものとは。
これは誰かのために生きることをやめ、
「私自身の幸せ」を選びなおした、
ひとりの元・悪役令嬢の再生と静かな愛の物語。
婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。
パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~
ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。
そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。
シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。
ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。
それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。
それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。
なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた――
☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆
☆全文字はだいたい14万文字になっています☆
☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆
王命って何ですか? 虐げられ才女は理不尽な我慢をやめることにした
まるまる⭐️
恋愛
【第18回恋愛小説大賞において優秀賞を頂戴致しました。応援頂いた読者の皆様に心よりの感謝を申し上げます。本当にありがとうございました】
その日、貴族裁判所前には多くの貴族達が傍聴券を求め、所狭しと行列を作っていた。
貴族達にとって注目すべき裁判が開かれるからだ。
現国王の妹王女の嫁ぎ先である建国以来の名門侯爵家が、新興貴族である伯爵家から訴えを起こされたこの裁判。
人々の関心を集めないはずがない。
裁判の冒頭、証言台に立った伯爵家長女は涙ながらに訴えた。
「私には婚約者がいました…。
彼を愛していました。でも、私とその方の婚約は破棄され、私は意に沿わぬ男性の元へと嫁ぎ、侯爵夫人となったのです。
そう…。誰も覆す事の出来ない王命と言う理不尽な制度によって…。
ですが、理不尽な制度には理不尽な扱いが待っていました…」
裁判開始早々、王命を理不尽だと公衆の面前で公言した彼女。裁判での証言でなければ不敬罪に問われても可笑しくはない発言だ。
だが、彼女はそんな事は全て承知の上であえてこの言葉を発した。
彼女はこれより少し前、嫁ぎ先の侯爵家から彼女の有責で離縁されている。原因は彼女の不貞行為だ。彼女はそれを否定し、この裁判に於いて自身の無実を証明しようとしているのだ。
次々に積み重ねられていく証言に次第に追い込まれていく侯爵家。明らかになっていく真実を傍聴席の貴族達は息を飲んで見守る。
裁判の最後、彼女は傍聴席に向かって訴えかけた。
「王命って何ですか?」と。
✳︎不定期更新、設定ゆるゆるです。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。