上 下
80 / 157
第4章「ヴェル魔法大会」

第17話「ヴェル魔法大会 FINAL」

しおりを挟む
 試合が再開され、会場に熱気が戻って来る。
 シオンさんも順調に勝って2回戦目が始まる。
 2回戦の最初がマーキンさん対ゴチンコさん。ランベルトさんのメモにあった「???」の正体がこれでわかるのかと期待していたけど、期待した僕がバカだったようだ。 
 二人の入場の時点で「キー●タマ!」「チー●ーコ!」コールが流れてる時点で嫌な予感が僕の頭をよぎった。予感で済めば良いけど、勿論済むはずがない。

 試合開始とともに数合の打ち合いが始まった。そしてゴチンコさんが「我が流派では、本気で倒すと決めた相手には、全てを曝け出し戦う決まりがある」と言い出し、服を脱ぎだした。
 それに合わせて歓声が沸いた。「キャー」と言う悲鳴のような女性の声が会場の所々から聞こえてくる。
 対してマーキンさんも「ならば私も、それに答えよう。キース道場の名にかけて」と言って同じく全裸になっていた。勝手に名前をかけられたキースさんは爆笑しているけど、良いのか?
 それに合わせて歓声が沸く、「キャー」と言う歓喜のような女性の声が会場の所々から聞こえてくる。顔による差別だ!

「私、こんな奴に負けたんだ……」

 サラががっくりと項垂れている。気持ちは分からなくもないけどさ。 

「こ、これが戦士の矜持きょうじと言う物なら仕方がない」

 腕を組んで、堂々とした姿勢だが、イルナちゃんの顔は既に真っ赤っかだ。
 隣では同じように顔を真っ赤にしたフルフルさんが自分の手で両目を覆いながらも、指の隙間からこっそり覗いてはビクッとしている。もしかして:初心うぶ 

「フルフル、お前が裸や下の話が苦手なのは知っている。だがこれは戦士の矜持きょうじだ。そういう態度は彼らの誇りを冒涜する行為に他ならない」

 いや、彼らの行為の方が戦士の誇りを冒涜しまくってるから! 
 シオンさんの言葉に素直に従いながらも、上目遣いでリングをチラっと見ては視線を落としてを繰り返すフルフルさん。
 両手はスリットの入ったスカート部分をぎゅっと握って、恥ずかしさに耐えている様子だ。しかし、その姿勢のおかげで、彼女の両腕に挟まれたアレが更に押し出されて凄い事になっている。
 一瞬リングを見てビクっと体が強張る、それに合わせてアレが正拳突きのように一瞬突き出されては、タメの姿勢に戻る。
 もはや「ぽよん」なんて可愛いものじゃない、「パンッ!」と言った感じだ。

「エルク」

 リンの言葉でハッと我に返る。そして条件反射の如くビクっとリンの方を振り返った。もしかして凝視してた所を彼女に見られたか!?
 しかしリンは真っ直ぐを前を見ている。良かった、どうやらリンは試合に夢中でリングを見ていたようだ。

「アレ、エルクのより大きいです」
「うん」

 アリアもリンもナニの話かな!?
 その後、試合の最中に係員達に取り押さえられて、マーキンさんとゴチンコさんは強制退場させられていった。
 近くに居たスクール君に話を聞いたところ、二人が大会で当たるといつもこうなるらしい。だったら出場禁止にしようよ。

 続く試合はキースさん対バンさん。
 お互いが空剣術の使い手で、お互いが空中をピョンピョンしていた。上を取ったほうが勝ちと言わんばかりに高く上昇していった。
 どんな流派も基本は相手が目の前に居る事を前提に作られているから、上から飛んでくる相手には対応していない。故に上を取ったほうが有利ではあるのか。
 ただどっちも高度が上がり過ぎて太陽を背にしているから、観客席からはどんな戦いをしているのか全く見えない。と言うかまぶしくて見てられない。
 しばらくして、そのままお互いリングの上に着地し「やっぱり兄さんはすごいや」と言ってバンさんがリングを降りた。
 何を納得したのかわからなかったけど、周りもわからないのか皆首を捻っていた。まぁそのまま戦っていたとしても、何してるのかここからでは見えないし結局試合はわからないか。
 準決勝はマーキンさんとゴチンコさんは両者失格なので、ここでキースさんの決勝進出が決定した。

 
 ☆ ☆ ☆


 シオンさんも2回戦を順調に勝ち進め、準決勝。
 対戦相手のヴァレミー校長は「なんで魔法が効かないような奴ばかり当たるかな」と愚痴っていた。
 開始とともに杖で地面をトントンと突いてみるが、当然のようにシオンさんにはかすりもしない。
 溜息をついて諦めて杖を手放し、そのまま接近戦で戦いながらも、サラがやったように死角からコールドボルトを飛ばしてみるがこれも効果が無かった。

「魔眼と言うのは、死角から出しても魔力の流れが見えるのか?」

「あぁ、校長の体から不自然な魔力の流れが、俺の後ろに流れているのが見えた」

「むぅ……」

 距離を取ってみたり、逆に近くで戦ってみたり、上から魔法を降らしてみたりと色々と試しながら戦うヴァレミー校長。
 結局シオンさんの剣術を捌ききれず剣を落とし、降参していた。
 これで決勝はキースさん対シオンさん、3位決定戦は対戦相手不在によりヴァレミー校長で決まった


 ☆ ☆ ☆


 四角いリングの上に、一人の男がゆっくり歩いて行く。
 坊主頭に赤いスーツ、手にはマイクを持っている。彼の登場で歓声が沸いているが、まるで聞こえていないかのようにわき目もふらず、中央に向かって歩いている。
 中央に立ち、一礼。頭を上げて45度回りまた一礼。四方全てに一礼をしてゆく。
 大きくなっていく歓声。このままいけば、興奮と言う名の爆弾が爆発し、会場どころか、街全体を震わせかねない大声援になるだろう。
 だが、司会者の彼が手の平を垂直にして、そっと前に出すとピタリと声が止む。聞こえるのは今か今かと待ちわびて興奮気味の周りの息遣いと風の音だけだ。

「皆さま。長らく続いたヴェル魔法大会とも、お別れの時間が迫ってまいりました」

 優しく語りかけるような口調でゆっくりと喋り出す司会者。
 遠くからでも、終わりを悲しむような寂しい目をしているのが伝わる。プロの司会者だから出来る表現なのだろう。もしこれを普通の人がやってたとしたら、それはただ台本を読んでいるようにしか思えないと思う。

「今年のヴェル魔法大会は色々な事がありました。初参加で本戦に出場した選手たち、新たな魔法の可能性を見せてくれた者、決勝まで勝ち残った新人。とてもこの場では語りつくせない多くの物語がありました」

 僕は彼の言葉に無言で頷いていた。
 周りを見ると、他の人も同じように感じたのだろう。皆無言で頷いている。

「このヴェル魔法大会も毎年試合のレベルが上がっていると思います。ですが私はそれを手放しに良い事だとは思いません」

 えっ?
 会場からどよめく声が聞こえてくる。僕だって参加者のレベルが上がる事は良い事だと思うけど。

「グレン選手やピラ選手のような、参加する事に意義を感じてもらいたいのです。そして次の大会で成長を披露する喜びを、見る感動を味わってほしいのです。大会のレベルが上がり、参加を躊躇する方も増えたと存じております」
 
 あー、確かに。
 どの選手も予選から凄い人ばかりだった。それを見て尻込み、強い人だけの大会になってしまう。
 別に強い選手だけでも良いじゃん? と思われそうだけど、そうはいかないんだろうな。
 弱い選手が排他される状況が作られると、ドベから順に居なくなる。実際僕が勇者マスクマンで参加した時の批判は酷かったし。
 それで実力が低い層の選手が減っていけば、大会の規模を小さくせざる得なくなる。規模が小さくなれば街の集客効果が弱くなる。
 1ヶ月以上も街全体がお祭り状態になる規模の大会だ。規模を縮小していけば経済的なダメージは相当の物になるだろう。

「規模は大きいですが、固い大会ではございません。ですので次回は是非お気軽に皆様のご参加をお待ちしております」

 そう言って、右手を胸に当てて礼をする彼に拍手が巻き起こる。

「俺も次回は参加するぞ」と言った声が、所々から聞こえてくる。次回のヴェル魔法大会は、きっと参加者が増えるだろう。
 次回か……次回の大会の時にこの街に居たら僕もまた参加してみたいな。隣に居るリンやアリアも頷いて「来年も参加しよ(するです)」と言っている。
 サラは苦い顔で「まぁ、来年ここに居たら私も参加してあげても良いけど」と言っている。素直じゃないな。

「さて、ここまで勝ち進んできた両選手について。私が語る事はもうありません。今までの戦いを見て来た皆様としても、そんなものは不要だと断じます」

 そしてシンプルに、名前だけを呼ぶ。それに合わせてキースさんとシオンさんが入場する。
 会場は既に最高潮まで張り詰めた空気になっている。

「最後の試合、私が合図をするのはやぶさかではございませんが。ここは会場にお越しの皆様にしていただこうと思います。それでは私が右手を上げましたら開始の合図をよろしくお願いいたします」

 司会者さんが左手のマイクを会場に向け、右手を大きく振りかぶる。

「「「「「「レディイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!」」」」」」

 響き渡る会場の声に合わせ、司会者さんは右手を大きく振り下ろした。

「「「「「「ゴオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」」」」」」

 会場に居る全ての人が、一丸となりこぶしを握り、お腹の底から開始の合図を叫んだ。
 僕も、彼女達も、周りの皆も。もしかしたら試合を見れず会場の外でうろうろしている人たちも。


 ☆ ☆ ☆


 開始の合図とともに、先に動いたのはキースさんだ。

「マジ最強なんでよろしく!」

 そう叫びながらピョンピョンと空中に飛んでいくが、途中で姿が消えた。
 気づいたときには”地上に居る”シオンさんと打ち合っていた。

「おっと、これは『浮遊』と『瞬歩』の合わせ技ですね」

 実況席から、冷静な声で試合を解説するジャイルズ先生の声が聞こえた。
 『浮遊』の足場を使い『瞬歩』を行っているのか。リング上でやるには距離が微妙で一つ間違えればリングアウトになる。
 それに『浮遊』で太陽を背にする事により、相手の視界を制限できる。実際にキースさんが『浮遊』で飛ぶたびに、シオンさんは目を細め眩しそうにしているし。
 一瞬で移動してくる技だからこそ、太陽で一瞬でも目がくらめばそれが命取りになる。

「なるほど。それがお前の全力か?」

「いいや。この状況をどうにか出来たら本気を出してやっても良いぜ」

「良いだろう」

 キースさんの挑発に対し、目を瞑り剣を構える。
 聞いたことがある。一流の戦士は目で見なくても気配や空気の流れで動きを察知できる『心眼』と言う技術を持っていると。
 つまりシオンさんはこの『心眼』が扱えると言う事か!

「ホッ! ハッ!」

 そしてキースさんはゆっくりと”目を開き”その場でジャンプをし始めた。
 ゆっくりとだけど、高度が少しづつ上がっていく。シオンさんも『浮遊』を使い始めた。
 まだ慣れないのか、少しバランスを崩しながらも、一歩一歩確実に上へ上へと昇っていく。ところでさっき目を瞑った意味無くない?

「なるほど。シオン選手は一瞬の間でイメージを固め、『浮遊』をモノにしたようですね」

 イメージトレーニングのようなものか、だから目を閉じたわけだ。
 そのまま空中で打ちあう二人。踏ん張りがきかないのか、一合打ち合うたびにお互いバランスを崩しながら離れて行き『浮遊』で必死に体制を整えている。
 何合か打ち合い、不意にキースさんがその場から降りてリングに着地する。それに合わせてシオンさんもリングに降りて行った。

「そろそろ『浮遊』には慣れた?」

「わざわざ俺が慣れるのを待っていたのか?」

「本気出すけど、お前が不利な条件だとつまらないだろ?」

 首を傾げながら、余裕の笑みを見せるキースさん。
 お互いが万全な状態で勝つ、それが彼の最強としてのプライドなのだろう。
 それに対し、シオンさんも目を細めてフッと笑っている。

「良いだろう。お前の全力でかかって来い、俺が受け止めてやる」

 その言葉が合図のように、お互い空へと昇っていく。
 多少見づらくもあるが、先ほどのキースさんとバンさんの戦いのように高高度の戦いではないので何とか見える。
 見えるけど、お互い『浮遊』からの『瞬歩』、先ほどと違い打ち合ってもバランスを崩すことなく次の手に移っている。それがあまりに速すぎて目で追いきれない。
 横だけではなく縦や斜めと360度軸を変えた戦いになっている。こんなハイレベルな戦い早々みられるものじゃない、会場は最高に盛り上がっている。
 キースさんが『瞬歩』でシオンさんの真後ろに現れるが、それを予測していたかのようにその場で体をひねりながら前方半回転ジャンプ。キースさんの剣をかわし、逆さまになりながら『瞬戟』による反撃を試みるが、キースさんはこれを剣で受け止める。
 そのままお互い落ちていき、会場には剣戟の音が大量に響く。

 地上に激突する寸前で飛びのくキースさん。逆に無理な体制だったシオンさんは着地しきれずに背中から落ち、その衝撃で「カハッ」と肺の空気を思い切り吐き出していた。
 シオンさんは立ち上がれずにその場でもがくようにしている。後はキースさんが近づいてトドメを刺したら終わりか。
 しかし、キースさんは手に持っていた剣をポイっと投げ捨てた。

「まぁまぁ最強なんでよろしく」

 刃がボロボロになっている、あれじゃもう使い物にはならなさそうだ。
 そしてキースさんは親指を立てたまま笑顔で血を吐きその場で崩れ落ちた。倒れたキースさんの背中には胸から突き刺され貫通したような跡があり、そこから血が噴き出し地面には血だまりが広がっていく。
 よろよろと立ち上がったシオンさんだが、まだダメージが残っているのか足をガクガクさせながらも、右手を高く掲げている。

「まさかの最強が破れる事態に! 優勝は、シオン選手!!!!!!!!!」

 会場からは困惑、驚き、歓喜、良く分からない絶叫。沢山の声が混じって聞こえる。
 そしてシオンさんの優勝を祝福するように拍手が鳴り響き。彼は満足そうに笑い、その場で倒れた。
 どよめく会場、慌ててリングの脇に待ち構えていた治療魔術師達が彼らの元へ走り治療を始めた。
 静まり返った会場で、治療魔術師の人が司会者さんに何かを伝えている。

「えー、二人とも大けがを負っているようですが、命には別条ないとのことです。皆さまもう一度彼らに大きな拍手をお願いします」

 その言葉に皆安堵の息を吐き。晴れやかな表情で拍手を続けていた。
 彼らがタンカで運ばれ、その姿が消えるまで手が痛くなるのも気にせず拍手を続けていた。

「シオンめ、よくやりおったわ。帰ったら存分に褒めてやるぞ」

 目に涙をいっぱい貯めながら、イルナちゃんはシオンさんの優勝を祝福していた。隣にいるフルフルさんも同じように涙を堪えている。
 ハハッ、そういう僕も涙があふれそうだけどね。シオンさん優勝おめでとう。 
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

落ちこぼれの無能だと貴族家から追放された俺が、外れスキル【キメラ作成】を極めて英雄になるまで

狐火いりす@商業作家
ファンタジー
「貴様のような落ちこぼれの無能は必要ない」  神からスキルを授かる『祝福の儀』。ハイリッヒ侯爵家の長男であるクロムが授かったのは、【キメラ作成】のスキルただ一つだけだった。  弟がエキストラスキルの【剣聖】を授かったことで、無能の烙印を捺されたクロムは家から追い出される。  失意の中、偶然立ち寄った村では盗賊に襲われてしまう。  しかし、それをきっかけにクロムは知ることとなった。  外れスキルだと思っていた【キメラ作成】に、規格外の力が秘められていることを。  もう一度強くなると決意したクロムは、【キメラ作成】を使って仲間を生み出していく……のだが。  狼っ娘にドラゴン少女、悪魔メイド、未来兵器少女。出来上がったのはなぜかみんな美少女で──。  これは、落ちこぼれの無能だと蔑まれて追放されたクロムが、頼れる仲間と共に誰もが認める英雄にまで登り詰めるお話。

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません

青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。 だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。 女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。 途方に暮れる主人公たち。 だが、たった一つの救いがあった。 三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。 右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。 圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。 双方の利害が一致した。 ※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

処理中です...