生まれる世界を間違えた俺は女神様に異世界召喚されました【リメイク版】

雪乃カナ

文字の大きさ
362 / 378

第361話 シナノの家10

しおりを挟む


 シナノは話を終えると、どうやらお眠のようだ。

「シナノさん、風邪引きますよ」
「そうだぞ。俺は風邪は治してやれねぇからな」
「……あ、はい……でも、私何だか楽しいんです。寝てしまうのが勿体ない。お酒のせいでしょうか?」

 こくん、こくん、と、誰がどう見ても眠たげなシナノは必死に睡魔に抗っている。

「ユキマサさん、クレハさん。布団の一つも無い、辛うじて雨の漏れる屋根と隙間風が入る壁があるだけのボロ小屋ですが、ゆっくり泊まってってください……まあ、しっかりとお金も貰ってますし──それと今日は本当にご馳走さまでした。こんなに豪華な食事は生まれて初めてです。エルフのお酒も美味しかったです」

 ペコリとお手本な迄に綺麗に頭を下げた。
 何処か品がある、だが畏まりすぎてもいない。
 そんな丁寧なお辞儀だった。

「どういたしまして。美味しそうに食べてくれて俺も嬉しい。で、話の腰を折って悪いが布団ならあるぞ」

 〝アイテムストレージ〟から布団を二組取り出す。

「うわ、何でもありですか?」
「二組しか無いからクレハとシナノで使いな」
「でもそうなるとお家の中いっぱいだよ?」

 シナノの家はお世辞にも広くない。広さは4畳だ。布団を2組敷けばいっぱいになってしまう。

「じゃあ、2つの布団で3人で寝れば良いじゃないですか? あ、ユキマサさん。変なことでもしたら蹴り飛ばして慰謝料踏んだくるので覚悟してください」
「善処する」

 と、いうワケで鍋を片付け終えると──
 シナノ、クレハ、俺という並びで寝ることになった。クレハは左右の布団の境目だな。
 寝たこと無いが寝やすいのか? あの境目の場所。

 掛け布団は4枚あったので1枚ずつは取れた。
 夜は気温は下がるが別に今の時期そこ迄でもない。

「布団、布団です。ああ、幸せ……」

 ごろん。と、布団にダイブし本当に幸せそうに布団に入るシナノは少し涙ぐんでいる。

「私、物凄く恵まれてたんだなって染々思う」
「奇遇だなクレハ。俺もだ」

 腹一杯の食事、布団、これはらが当たり前にあると言うのは恵まれていることだろう。
 エメレアの過去話、シナノの現状。それらの話を聞いた後だと、つくづくそう考えさせられる。
 それに世界にはシナノよりも不遇な奴等もいるんだよな。

(仮に俺が全ての魔王を倒したとして、そんな奴等が救われる未来が来るのか? ──なぁ、神様アルテナ?)

「興味本位で聞くが、冬場とかどうしてたんだ?」
「毛布を1枚持っているので、それに包まり後は拾ってきた木の枝でひたすら焚き火です。朝まで火の番もしなきゃなので、正直寝た気がしません。山菜や木の実も採れないので冬は大嫌いです。私の敵です」

 もそもそと更に布団に沈んでいくシナノは目から上だけを出して、続けて俺に言う。

「というか、冬の話しは止めてください。鬱々うつうつしくなります。あー、今年も冬がやってくる……」

 こんなに冬嫌いな奴は初めてみた。
 だが、理由を聞くと納得してしまう。ちなみに余談だが、この世界にも春夏秋冬があることが分かった。

「私、このまま冬眠できませんかね? 食事も過去一の量を食べましたし……」
「残念だったな。人間に冬眠タンパク質は無い。だから人間が冬眠をする事……いや、でも人間も冬眠タンパク質に似た物を持ってると牧野が言ってた気がする」
「く、詳しくお願いします!」

 どうやら本当に冬眠する気らしいシナノは目を輝かせる。

「いや、可能性があるだけで。今すぐの実行は殆ど不可能だ」
「ちぇ、まあ、そんな美味しい話はありませんか」

 もぞもぞと布団の中に帰るシナノ。
 てか、布団の中で冬眠するつもりだったのか?
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

湖畔の賢者

そらまめ
ファンタジー
 秋山透はソロキャンプに向かう途中で突然目の前に現れた次元の裂け目に呑まれ、歪んでゆく視界、そして自分の体までもが波打つように歪み、彼は自然と目を閉じた。目蓋に明るさを感じ、ゆっくりと目を開けると大樹の横で車はエンジンを止めて停まっていた。  ゆっくりと彼は車から降りて側にある大樹に触れた。そのまま上着のポケット中からスマホ取り出し確認すると圏外表示。縋るようにマップアプリで場所を確認するも……位置情報取得出来ずに不明と。  彼は大きく落胆し、大樹にもたれ掛かるように背を預け、そのまま力なく崩れ落ちた。 「あははは、まいったな。どこなんだ、ここは」  そう力なく呟き苦笑いしながら、不安から両手で顔を覆った。  楽しみにしていたキャンプから一転し、ほぼ絶望に近い状況に見舞われた。  目にしたことも聞いたこともない。空間の裂け目に呑まれ、知らない場所へ。  そんな突然の不幸に見舞われた秋山透の物語。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

社畜の異世界再出発

U65
ファンタジー
社畜、気づけば異世界の赤ちゃんでした――!? ブラック企業に心身を削られ、人生リタイアした社畜が目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界。 前世では死ぬほど働いた。今度は、笑って生きたい。 けれどこの世界、穏やかに生きるには……ちょっと強くなる必要があるらしい。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

処理中です...