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第267話 エルフレストラン2
しおりを挟む「ユキマサ様、少しお聞きしますが、ウルスラとの戦いで、魔力は全体のどれぐらい使いましたか?」
「ん? 詳しくは分からんが、体感的には全体の半分ぐらいは使った感覚だな?」
ごっそり使った感覚だ。
寝不足のような妙な疲労感がある。
「だからではないでしょうか? 魔力を大量に使った後は、皆お腹が空くものですよ。ユキマサ様の魔力量なら人の数倍はお腹も空くでしょうね」
「そういうもんなのか? 初めて知ったぞ」
そーいや〝魔力枯渇〟の時も食事をちゃんと摂れとか言ってたっけ?
「まあ、空腹ってのは飯が更に美味くなる──最高の調味料って言うからな? いつでも歓迎とまでは言わないが、ハハッ、たまには悪くねぇよな」
「ふふふ♪ 本当に呑気ですね、ユキマサ様は──ですが、とても心地が良い。ユキマサ様みたいな方が増えれば戦争も無くなるのではないですか」
「いやいや、今さっき、この国の中枢機関に当たる王宮と、その付近の森林、あと〝世界樹〟ぶっ壊して来た所だぞ?」
「そうでしたね。でも、私は感謝してますよ」
「なら、よかった」
──ゴン、ゴン、ドン。
卵が大きいので、そんな音がする。
極楽鳥だったか? どんな鳥なんだろうな。
醤油を滴し、ぐるぐるとかき混ぜる。
行程は一緒だな。
後は、このすり鉢みたいな器に入った、コヌフラッチョスこと、ザ・ライスに溶いた〝極楽鳥の卵〟をかけるだけだ。どんな味なんだろうな?
では、一口。
「──!!」
もう一口。
「────!! うまっ!!」
黄身が濃厚でコクが強い。
それでいてクドくない。
(何だこれ、美味い──! 美味いぞ!)
「良かった、気に入って貰えたようですね」
ガツガツと牛丼でも頬張るかのように、TKGを食べる俺を、フォルタニアが笑顔で見ていてくれる。
「超、気に入った。フォルタニア、ありがとな!」
ニシシ、と俺は笑う。いや本当に美味かった。
「こんなに楽しい食事は本当に久しぶりです」
「そりゃよかった。あとフォルタニア、食い終わったら〝エルクステン〟に直で向かう形でいいか?」
もぐもぐ、もぐもぐ。
これで味噌汁があれば完璧なんだがな。
「あ、はい。大丈夫です……」
「? 何か思い残しでもあるのか?」
「思い残しと言いますか、一人、お礼を言わなければならない方がおりまして……」
「礼?」
「その先日、私が部屋で乱暴されそうになった所を助けてくださった、兵士の方がいたのですが……」
「ん? そいつエイジって名乗ってなかったか?」
「な、なぜ、それを!?」
「お前の部屋に突入して、ゴミの片付けをして、朝まで外で見張りをやっていた兵士だろ?」
「え、あ、は、はい!」
「悪い、それ俺だ。フォルタニア様」
俺は兵士に変装していた時の声でフォルタニアを呼ぶと、目を見開いてフォルタニアが驚く──
そして。
ポロポロ……ポロポロ……ツー……
泣き出した。フォルタニアが。
「あ、お、オイッ!?」
「ユキマサ様……ユキマサ様、本当に、本当にありがとうございます──でも、不思議と何処かであの人はユキマサ様なような気がしていました……」
「そりゃ、もう少し変装頑張んなきゃだな? ──どういたしまして、何にせよ無事でよかったよ」
涙を溢すフォルタニアに、俺は〝アイテムストレージ〟からハンカチを取り出し、渡すのだった。
アリス達と買い物に行った時に、色んな物を大量買いしてたら、オマケで貰った物なんだけどな?
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