生まれる世界を間違えた俺は女神様に異世界召喚されました【リメイク版】

雪乃カナ

文字の大きさ
111 / 378

第110話 ミリア・ハイルデートはミリアである31

しおりを挟む


 ミリアと一緒にクレハとエメレアが森に入ると、森の中は豊富な山菜や果物の宝庫であった。

「凄い! 歩けども歩けども、色んな食物があって、それに空気も美味しいし、水もとっても綺麗だね!」

 クレハが辺りの森に感嘆かんたん眼差まなざしを向け、楽しそうに思ったことを口にする。

「しかも、どれも高品質よ。絶対美味しいわ」

 と、言いながら、エメレアは森に生えてる、先端がぐるぐるとしている山菜──コゴミを見ている。

「エメレアのはコゴミですね、お母さんも大好きでした。街に売ってる削り節とお醤油で食べるんですよね」
「あら、そうなの? 気が合いそうね。今度私もミリアのお母さんにも会ってみたいわ」

「……う、私のお母さんは24日前に亡くなりました。ごめんなさい……もう会えないです……」

 目に見えて、ショボンと肩を落とすミリア。

「あっ……ごめん、ごめんなさい! ど、どうしよう、私、悲しいこと思い出させちゃった……! ごめん、ごめんね、本当にごめんなさい……!」

 エメレアは本気で慌てた顔で、あたふたとしながら謝りながら、ぎゅっとミリアを抱き締める。

「え、エメレアちゃん! 傷付けようとして言ったわけじゃないんだから! 落ち着いて、一緒に謝ろ?」

 わたわたと困るエメレアをクレハが必死になだめる。

「──大丈夫。分かってますから。二人共、謝らないで下さい。お母さんが生きてたら、私もクレハやエメレアに会ってほしかったですから」

 エメレアの腕の中でミリアは優しく笑う。

「あー、もう何なの! 可愛い! 好きだわ!」
「エメレアちゃん、何か話がズレて来て無い!?」

「大丈夫よ! 最初から可愛いと思ってたから!」
「いや、そういう事じゃなくて……まあ、確かに凄く可愛いのは認めるけど、ミリア困ってるよ?」

 エメレアに思いっきりハグをされて驚いた様子のミリアは、目を真ん丸に開けて、パチパチと瞬きをしながらピシッと固まっている。

「あ、ごめんなさい。ミリア大丈夫!?」

 我を取り戻したエメレアは更にミリアに謝る。

「だ、大丈夫です。後、嬉しかったです……」

 そんなミリアを見て、またエメレアはハグ衝動に駆られるが……

「はい、エメレアちゃん、ストップだよー」

 と、ミリアにクレハが後ろから抱きつきながら、さっと、エメレアから遠ざけるように身体をひるがえす。

「う……はい……」

 クレハに白い目で見られたエメレアは、瞬時に大人しくなる。

「私もね、3年前にお母さんとお父さんが死んじゃったんだ──〝3年前の魔王戦争〟で、私を魔物達から逃がす為に。だからって訳じゃないけど、ミリアの辛い気持ち、よく分かるよ」
「……そ、そうだったんですね……ごめんなさい……」

「謝らないで。それこそミリアは何も悪くないんだから──あ、えーと、それじゃあ、ミリア、案内の続き、頼んでもいいかな?」

 『この話はここまで。空気を変えていこう!』とばかりに、クレハがテンションを上げて声をかける。

「あ、は、はい! じゃあ、次はこっちです!」

 そしてその声で、ミリアを先頭に森を歩き出す。

「──あら、この線は何?」

 それから少し歩いた所に、深さ20cmにぐらいに掘られた、森を囲む線を発見したエメレアが声を上げる。

「あ、この線の内側が、家の敷地内なんです。この敷地内に許可されてない人が無断で入ると、タケシが攻撃します」
「え……何それ、怖いわ……」

 エメレアが自分の身体をブルリと震わせる。
 
「あ、あの、そういえば、クレハとエメレアはどうやって敷地内に入ってきたんですか? この境界線付近ならともかく、湖の辺りまで入ってこれた人はので……」

 ミリアは思いのほか、興味津々に聞いて来る。

「あ、それは私のユニークスキルの〝空間移動〟でかな……目視圏内なら移動できるから、空竜に乗って少し遠目の高い場所から移動したんだ……」

 結果、不法侵入となった為、クレハは申し訳なさそうに話すが、そんな事は気にせずに、ミリアはクレハにキラキラとした視線を向けている。

「く、空間移動……て、てれぽーと……ですか……!」
「え、うん。そうだね。後は瞬間移動とか呼び方は色々あるよ?」

「わ、わっ! す、凄いですね……!」

 キラキラ、キラキラ。

「見てクレハ、キラキラしてるわ!」

 目をキラキラさせるミリアを見て『かわいい!』と言いながら、エメレアも目をキラキラさせ始める。

「……えーと、ミリア、瞬間移動してみる?」

 眩しいぐらいの視線を向けられたクレハは、そのきらめく視線に負け、ミリアに問いかける。

「す……すいません。私、そういうつもりじゃ……きょ、興味はありましたけど……あう……」

 顔を真っ赤にしながらも、嘘は吐かないミリア。
 そんなミリアを見て、二人は優しく微笑んでいる。

「大丈夫だよ。でも、生きてる人とかは、私が直に触れて無いとダメだから、手を繋いでもいいかな?」

 と、そっとクレハはミリアにてのひらを差し出す。

「あ、は、はい!」

 その手をミリアは優しく握り返す。

「あ、でも、ここだと少し見晴らしが悪いかな……」

 流れで手を握ってしまったもの……この場所は木の生い茂る森の中、見張らしはお世辞にもよくない。
 どうせなら、長い距離で〝空間移動〟を体験させてあげたいなと思ったクレハは、少し困った顔をする。

「あ、あの、じゃあ、タケシに乗って見ませんか?」

「「え?」」

 またもや、クレハとエメレアの言葉がハモる。

「──タケシ! お願い!」

 クレハとエメレアの困惑を余所よそに、ミリアは空に向けて声を放つ。

 すると、直ぐに──

「ガウッ!」

 ──バサリ! とタケシが現れる。

「「!?」」

 再び現れた〝青い竜〟に、クレハとエメレアは無意識に表情が少し強ばる

「タケシ、背中に乗せて貰ってもいい?」

 と、そんなミリアのお願いに、タケシからは「ガウ」っと、二つ返事で許可が下り、その一連のやり取りを、クレハとエメレアは呆然ぼうぜんと眺めていた──。
  
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

湖畔の賢者

そらまめ
ファンタジー
 秋山透はソロキャンプに向かう途中で突然目の前に現れた次元の裂け目に呑まれ、歪んでゆく視界、そして自分の体までもが波打つように歪み、彼は自然と目を閉じた。目蓋に明るさを感じ、ゆっくりと目を開けると大樹の横で車はエンジンを止めて停まっていた。  ゆっくりと彼は車から降りて側にある大樹に触れた。そのまま上着のポケット中からスマホ取り出し確認すると圏外表示。縋るようにマップアプリで場所を確認するも……位置情報取得出来ずに不明と。  彼は大きく落胆し、大樹にもたれ掛かるように背を預け、そのまま力なく崩れ落ちた。 「あははは、まいったな。どこなんだ、ここは」  そう力なく呟き苦笑いしながら、不安から両手で顔を覆った。  楽しみにしていたキャンプから一転し、ほぼ絶望に近い状況に見舞われた。  目にしたことも聞いたこともない。空間の裂け目に呑まれ、知らない場所へ。  そんな突然の不幸に見舞われた秋山透の物語。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

社畜の異世界再出発

U65
ファンタジー
社畜、気づけば異世界の赤ちゃんでした――!? ブラック企業に心身を削られ、人生リタイアした社畜が目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界。 前世では死ぬほど働いた。今度は、笑って生きたい。 けれどこの世界、穏やかに生きるには……ちょっと強くなる必要があるらしい。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

処理中です...