生まれる世界を間違えた俺は女神様に異世界召喚されました【リメイク版】

雪乃カナ

文字の大きさ
109 / 378

第108話 ミリア・ハイルデートはミリアである29

しおりを挟む


「──ねぇ、クレハ! 今ので〝空間移動〟のスキルでの、飛ぶ距離の記録、更新したんじゃない?」
「うん。しか移動できないから、高い所からだと、やっぱ長く移動しやすいね。まあ、今回は〝空竜〟に乗りながらの条件下からの移動だったけどね」

 あはは……と少し苦笑いのクレハ。
 記録の更新は嬉しいが、全てが自力の条件下での記録では無いので、それを記録更新と言うのはあまり納得がいかない様子だ。

「あ、あれ? エメレアちゃん、お家があるよ!」

 スッとクレハが指をさす。

「え、どこ? あ、本当ね」

 エメレアが頷き、返事を返した、その時……

 ──ビュン! バサリッ!!

「──グウアアアアアアッ!!」

 物凄いスピードで、クレハとエメレアの目の前に、空竜の〝変異種ヴァルタリス〟である──タケシが現れる。

「「!!」」

「わっ!? な、何なの、この青い竜!?」
「く、クレハ危険よ! 早く私の後ろに下がって!」

 明確なを持って現れた、大きな青い竜に二人は困惑し、エメレアはクレハを庇うように、青い竜とクレハの間に立つ。

「ダメだよ、エメレアちゃん! 逃げるよ!」

 ──ヒュン! パッ!

 クレハはエメレアのると〝空間移動〟を使い、目の前の青い竜から急いで離れる。

 次の瞬間、ドバンッ! ──と、今まで二人のいた場所に、タケシの尻尾による、叩きつける攻撃が放たれる。大きな岩ぐらいなら簡単に粉砕できる威力だ。

「あ、危かった。本当に間一髪だよ。とにかく今は逃げよう! エメレアちゃん、しっかり掴まってね!」

 ──ヒュン! パッ!

 クレハはタケシの攻撃のタイミングに合わせて〝空間移動〟をし、攻撃を避けながら着実に距離を取る。

「待って、クレハ! あ、あれ! あそこに人がいるわ! しかも、小さな女の子よ!」

 移動はクレハに任せて、青い竜の攻撃と、辺りの森や湖を警戒しながら、クレハが避け損じた場合の〝防御魔法〟をいつでも撃てる態勢のエメレアが、湖の湖畔こはんに小さな人影を発見し、慌てて声を上げる。

「嘘!? 早く、その子も一緒に逃げなくちゃ!」

 エメレアの視線の先を、クレハもチラリと横目で確認する──だが、その一瞬が命取りになる。

 その隙を見逃さなかった、青い竜の大きな前足による攻撃が、二人の上から振りかざされる──!

「──私のクレハに何するのよ! 《生なる樹木よ・我らに守りの加護を授けよ》──〝木の壁ウッド・ウォール〟!!」

 結構本気で怒ったエメレアが、絶妙なタイミングで魔法を放ち、太い樹木のような木の壁が現れ、青い竜の攻撃を防ぐ。

 先程クレハはエメレアを信じ、危険を承知で青い竜から目を離し、次の行動の算段を立てていた。
 互いの強い信頼があってこその絶妙な連携である。

 だが、エメレアのその魔法も、攻撃を防いだ後──直ぐに放たれた、青い竜の次の攻撃で粉々に破壊されてしまうが、魔法を貫通し、2回目の攻撃が当たったその場所には二人の姿はもう無い。

 ──ヒュン! パッ!

 二人は〝空間移動〟で少し先に移動済みである。

「ガウ!?」

 青い竜は少なくない驚きを感じていた。

 そして焦ってもいた。

 それもそうだ。自分の守る敷地内テリトリーに、こんなにも何者かの侵入を許したは今までに無い。

 そしてその侵入者は、パッパ、パッパと消えるように移動し、完全にとらえたと思った攻撃を避けるのだ。

 ──ヒュン! パッ!

 クレハは次の〝空間移動〟で、湖の湖畔にいた、小さな女の子のすぐ隣へと移動する。

「よかった、間に合った!  怪我はない? 君! 早く逃げるよ! ──私の手に掴まって!」

 クレハはエメレアと繋いでいた反対の方の手を、その少女へと真っ直ぐに伸ばす。

「──ふ、ひゃふッ!?」

 だが、その女の子は目を真ん丸に見開いて、自分の目の前に差し出されたてのひらを見て、物凄く驚いている。

「クレハ! 不味い──来るわ!」

 慌てた様子のエメレアがクレハに声をかける。

「ごめんね! 怖くないから安心して!」

 がしっと、急いでクレハは女の子の手を握る。

「エメレアちゃん、飛ぶ……」

 クレハがエメレアに声をかけ〝瞬間移動〟をしようとした、その時──手を繋いでいた、水色の髪の女の子の発した声で、クレハの声が中断される。

「──タケシ! ストップ! この人達は悪い人じゃないから大丈夫だよ!」

「え、え? 知り合い!?」
「というか、タケシって、この青い竜のこと!?」

 状況がよく飲み込めないクレハとエメレアは、水色の髪の少女と青い竜を交互に見つめる。

「グウ!」

 そしてさっきまで敵意を剥き出しだった青い竜は、水色の髪の少女の一言でピタリと攻撃を止め、バサリと高く飛び上がり、何処かへと飛んで行ってしまう。

「え、えっと……ありがとう。一先ひとまず、あの竜は大丈夫ってことでいいのかな?」

 まだ手を繋いだままの水色の髪の少女に、クレハが少し困惑気味に話しかける。

「あ、えと、ふぁ、ふぁい!」

 対する水色の髪の少女の返事は噛み噛みである。

「──ッ!? あ、す、すすすすいません!」

 繋いでいた手を見て、水色の髪の少女は慌ててその手を離すが、勢い余ってその場にドスっと尻餅しりもちをついてしまう。

「だ、大丈夫!?」
「ちょ、ちょっと、あなた怪我は無い!?」

 直ぐにクレハとエメレアが心配して声をかけるが……

「は、はい、だい……だいじょぷです……あっ……」

 立ち上がろうとする途中に、言葉の間違いに気づいた水色髪の少女は、つるんっと今度は足を滑らせ、バタンと背中から真後ろに転ぶ。

「お、落ち着いて──私達は敵じゃないわよ!」

 見かねたエメレアが、優しく声をかけながら水色の髪の少女に手を伸ばし、起こしにかかる。

 だが、水色の髪の少女は一瞬ビクッ! とした後に、地面に倒れたそのままの状態で、ゴロゴロと鉛筆みたいに横に転がりながら、その場を去っていく。

「え、転がってっちゃったよ!?」
「何あれ、かわいい」

 何処までも転がっていく水色の髪の少女にクレハは驚き、エメレアは目をきゅんっとさせている。

 すると、転がっていく水色の少女が、転がりながら、二人へと何かを叫んでいるのが聞こえる。

「──わ、わた、私も敵じゃないですーー!!」

 その後もミリアは上り斜面も下り斜面も全く気にせず、何処までもゴロゴロと転がっていくのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

湖畔の賢者

そらまめ
ファンタジー
 秋山透はソロキャンプに向かう途中で突然目の前に現れた次元の裂け目に呑まれ、歪んでゆく視界、そして自分の体までもが波打つように歪み、彼は自然と目を閉じた。目蓋に明るさを感じ、ゆっくりと目を開けると大樹の横で車はエンジンを止めて停まっていた。  ゆっくりと彼は車から降りて側にある大樹に触れた。そのまま上着のポケット中からスマホ取り出し確認すると圏外表示。縋るようにマップアプリで場所を確認するも……位置情報取得出来ずに不明と。  彼は大きく落胆し、大樹にもたれ掛かるように背を預け、そのまま力なく崩れ落ちた。 「あははは、まいったな。どこなんだ、ここは」  そう力なく呟き苦笑いしながら、不安から両手で顔を覆った。  楽しみにしていたキャンプから一転し、ほぼ絶望に近い状況に見舞われた。  目にしたことも聞いたこともない。空間の裂け目に呑まれ、知らない場所へ。  そんな突然の不幸に見舞われた秋山透の物語。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

社畜の異世界再出発

U65
ファンタジー
社畜、気づけば異世界の赤ちゃんでした――!? ブラック企業に心身を削られ、人生リタイアした社畜が目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界。 前世では死ぬほど働いた。今度は、笑って生きたい。 けれどこの世界、穏やかに生きるには……ちょっと強くなる必要があるらしい。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

処理中です...