生まれる世界を間違えた俺は女神様に異世界召喚されました【リメイク版】

雪乃カナ

文字の大きさ
66 / 378

第65話 多数決

しおりを挟む


 俺の質問が一段落すると次にクレハが口を開く。

「ていうか、ユキマサ君さっきの『追い出すなら今だぞ?』──って、どういうこと? 今さら私がユキマサ君を追い出すと思ってるの……?」

「いや……だから、理由はさっきの話の通りだろ?」
「……」

 ムスー……

 どうやらクレハは大変ご立腹の様子のようだ。

「……で、次は私からの質問ね。エルルカさんに抱き付かれてたけど……告白断るんじゃなかったの……?」

 まず、そこを聞かれるのか……? てっきり、王女アリスと一緒に居たことを聞かれるかと思ったんだが……

「あの場にクレハもいただろ……? それに、ああ言われたら……断るとかの状況じゃ無かったろ?」
「そうだけどさ……にしても、ユキマサ君、エルルカさんに抱き付かれて、スッゴく嬉しそうだったよねー?」

 つーん、とクレハそっぽを向いてしまう。

「あー、まあ……別に悪い気はしなかったが……」

 エルルカ程の美人に……何はともあれ、抱き付かれて嫌悪感を抱く男は、まずいないだろう。

 それに、あの時はギルドの往来で目立ってたし、クレハは怖い笑顔で見てくるし、それを見ながらアリスは唐辛子食ってるしで……状況的に、意識せずには済んだけどさ。

 まあ、色々柔らかい感触があったのは認めるが。

「ふーん、そうなんだ、ふーん……」

 不機嫌そうにクレハの声のトーンが下がっていき、どんどん目を細めてジトっとした目になっていく。

「……じゃ、じゃあ、私も抱き付いてもいい?」

 クレハは顔を赤くし、まだ膨れっ面のまま、チラリと俺を見て、緊張した様子の声でそんな事を聞いてくる。

「──は……?」

 斜め上の発言に俺は変な声を上げる。

「……私じゃ……嫌かな……?」

  戸惑う俺に、クレハは不機嫌とも、寂しげとも取れる表情で……恐る恐ると俺の返事を待っている。

「……い、嫌じゃない……」
「本当……?」

「当たり前だ。というか……朝起きると大体そんな形になっちまってるだろ? もし、それが嫌なら、一緒にベッドで何て寝たりどころか、そもそも居候させて貰ったりなんてしない」

 あ、でも……寝起きに抱きついたのは、あくまでもなので……今のクレハの発言みたいに……に抱きつくと言うのは、また違った話しになるのか?

「そっか……よ、よかった……じゃ、じゃあ……こっち来て……?」

 ポンポンとクレハは自身の腰かけるベッドの、隣のスペースを軽く叩き、顔を赤らめながら「ここに座って」と俺を招く。

 クレハに言われるがまま、俺はそこに座ると……

 隣で「すぅ~、はぁ~。よ、よしっ……!」

 と、何故かクレハは小さな声で気合いを入れてる。

 ──そして、こつん……と……

 俺の肩に寄りかかるように身体を預けてくる。

「そ、その……ユキマサ君、あの、へ、変な事はしちゃ駄目だからね! こ、これはあくまでも、私がエルルカさんに負けない為に、だ、抱きつくんだから……!」

 えーと、何の勝敗なんだ? 

 クレハが一体、何の勝負で何を基準に勝ち負けを判断しているのかは分からないが……所謂、はダメだと言う意味は分かったので……

「わ、分かった」

 そう答えた俺だが、この二人っきりの状況下のせいだろうか……? 何か、少し無心にならないと、流石にちょっと変に意識してしまいそうだ。

「じゃ、じゃあ……抱きつくよ……?」

 緊張した声のクレハは、自身の身体を俺に預けた状態から、ゆっくりと俺の身体に両手を回してくる。

 クレハはエルルカみたいな後ろから抱きつく形のハグでは無く……俺に、こつんと寄りかかった状態から、抱きついてきたので……
 横側から、ぎゅっ……と抱きつく形になる。

 改めて思うが、クレハは本当に超が付く程の美少女で……セミロングの黒い髪はサラサラで、肌も白く、身体のラインも整っていて、しかも全身からはシャンプーとか石鹸とか……あと、女の子特有の自然な独自の香りが混ざりあって──毎度ながら色々と柔らかくて、とてつもなく良い匂いがする!

 今、エメレアに〝黒い変態〟と呼ばれても、俺は何も否定できない気がする。
 それぐらい、俺はクレハを意識してしまっていた。

「ユキマサ君、ドクン、ドクン、ってしてる……」
「そりゃ、生きてるからな?」

 クレハは、ぎゅっと抱きついたまま、俺の心臓の音を聞いてるみたいだ……後、今の俺はクレハに抱き付かれた事により、いつもより心拍数は高い気がする。

「……えい!」

 そんな掛け声と共にクレハが俺をベッドに押し倒す。

(──え、えーと……!?)

「私……この体制……好きみたい……あ、べ、別に変な意味じゃないからね!」

 『ほ、本当だからね! 嘘じゃないよ!』と更にクレハが付け加える。
 ……まあ、クレハの表情や声のトーンを見るにフリとかじゃないみたいなので、俺は「あ、ああ……」と短く返す。

「も、もう少し……このままでもいい……?」
「……ああ……好きにしろ……」

「本当? じゃあ、このまま寝てもいい……?」

 クレハは俺の寝てる横で抱きつきながら、そんな提案をしてくる……いや、嬉しいけど、嬉しいけどさ……

 ──けど、色んな意味でヤバい! エメレアとか、理性とか、後は、エメレアとか、エメレアとか……!

 あれ? だとエメレアが理性に勝ったぞ!?

(よし、これからは理性がヤバくなったらエメレアの事を考えよう!)

 ……まさか、エメレアに感謝する日が来るとは、夢にも思わなかったな?
 それこそアルテナの〝異世界召喚〟以来の驚きだ。

 それに、エメレアも普通にしてれば……かなりの美人なんだよな──でも、あいつは……ツンドラ? いや、構ってちゃん? あ、いや、レズフだったか!

 所謂いわゆる、残念美人……いや、残念エルフか……?

 でも、正直、ああいう真っ直ぐなタイプは嫌いじゃない。
 むしろ、好きか嫌いかで言えば好きなタイプだ。

 あ、待て、別に変な意味じゃないぞ?

「あぁ……あ、でも……俺、買い物ついでに布団買ってきたから、別に一緒の布団じゃ無くても寝れるぞ?」

(俺を信じてると言ってくれてるとはいえ……クレハも俺と一緒のベッドだと……気を使うだろうし、疲れも取れづらいだろうからな……)

 ──って、あれ……?

 ムッスー!!

 何故だか、クレハは急に物凄く不機嫌になる。

「じゃあ、今度は私がユキマサ君の布団に入って寝る!」
「ん? ああ、別に構わないが……?」

 クレハは布団派だったのか?

「……ゆ、ユキマサ君と一緒にだよ!」
「──、疲れが取れにくかったりとか無いのか?」

「だ、だから私はユキマサ君と一緒に寝たいの! それとも、ユキマサ君は私と一緒に寝ると疲れるの?」
「いや、そういうわけじゃないが……」

 俺は頬を人差し指で掻きながら答える。

「……あぁ、もう分かったよ! ちょっと照れくさかっただけだ! 俺もクレハと一緒が良い!」

 確かに、変に意識しちまうって事もあるが……
 それでも、クレハと寝てると、温かくて落ち着くんだよな……だから、俺は逆に疲れが取れるぐらいだ。

「──ひゃっ/// わ……/// う、うん……!」

 顔を真っ赤にしたクレハは珍しく、ミリアみたいな噛み方をしている。

「てか、それならこのままいつも通りに寝ればいいか……」
「そ、そうだね……うん!」

 ──ごろん、と俺とクレハはベッドに寝転がる。

 別に、これも変な意味じゃないぞ?

 まあ、まだクレハは俺に抱き付いた状態なんだが。
 と、取り敢えず、一旦、落ち着こう……うん。
  
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

湖畔の賢者

そらまめ
ファンタジー
 秋山透はソロキャンプに向かう途中で突然目の前に現れた次元の裂け目に呑まれ、歪んでゆく視界、そして自分の体までもが波打つように歪み、彼は自然と目を閉じた。目蓋に明るさを感じ、ゆっくりと目を開けると大樹の横で車はエンジンを止めて停まっていた。  ゆっくりと彼は車から降りて側にある大樹に触れた。そのまま上着のポケット中からスマホ取り出し確認すると圏外表示。縋るようにマップアプリで場所を確認するも……位置情報取得出来ずに不明と。  彼は大きく落胆し、大樹にもたれ掛かるように背を預け、そのまま力なく崩れ落ちた。 「あははは、まいったな。どこなんだ、ここは」  そう力なく呟き苦笑いしながら、不安から両手で顔を覆った。  楽しみにしていたキャンプから一転し、ほぼ絶望に近い状況に見舞われた。  目にしたことも聞いたこともない。空間の裂け目に呑まれ、知らない場所へ。  そんな突然の不幸に見舞われた秋山透の物語。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

社畜の異世界再出発

U65
ファンタジー
社畜、気づけば異世界の赤ちゃんでした――!? ブラック企業に心身を削られ、人生リタイアした社畜が目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界。 前世では死ぬほど働いた。今度は、笑って生きたい。 けれどこの世界、穏やかに生きるには……ちょっと強くなる必要があるらしい。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

処理中です...