上 下
27 / 35
天使?のショタ編ー完結ー

12

しおりを挟む
アマリアを逃がさない。そう決めてから、それがどれだけ大変か………自由の効かない幼児の身体での限界を知った。

だから、気は進まなかったけど、牢屋に入って1年の兄の協力が必要だと考えた。気は進まないけど単純で扱いやすいげぼ……じゃなくて、言う通りにしてくれそうな成人男性がいるのだ。

「殿下、こちらは殿下が来られるような場所では………」

「ごめんね、おにいさまにしかできないおねがいがあるんだ。できればふたりにしてほしいんだけど………いいかなぁ?」

「も、もちろんでございまーすっ!」

1年、短いようで長い。舌足らずな感じはなくなり、随分僕も大人びいてきたと思うけど城の外を出るにはまだまだ幼い。人にお願いをするのには困らないけれど、城の外に関してはまだまだ断固反対される。まあ、唯一無二の王太子であるせいだろう。

あの時はまだアマリアの婚約材料に使えると考えていたけど、こうなるとアマリアが来ないことには会えないし、外に行かないことにはアマリアの縁談も始まっているというから止めるのも難しい。

だからこそ、許可をもらえる方法が必要なのだ。せめてアマリアの元に行ける許可が。それには変態子と広まった兄の協力が必要と判断した。

もちろんこの1年の間、王太子としての勉強も簡単で時間がよく空いたので、兄を調きょ……こほん、兄がしっかり反省するように教えてきてあげた。しっかり牢屋の番人には先程のように邪魔しないように言って。

ちなみにあの兄を誑かした女は兄以上の牢獄に入れられていてさすがの僕も手が出せない。出す気もないけれど。あれは使えなさそうだし。

なんて考えをしながら、階段を下りた先のトイレひとつ、寝具ひとつと散らばったパンツがある牢屋につく。すると兄がにやにやとパンツを掲げながら不気味に笑っていた。

「ふ、ふふ……私は、リバース様の忠実なる下僕……ふふ、ははは」

……ちょっと反省調教させすぎたかなと思わなくはない。まあ、4歳……今は5歳だけど、子供だからこそ失敗もあるもんだしね!これくらいは許容範囲のはず。

「おにいさま~」

だからドン引き光景でもなんとか気を取り直して話しかける。

「ああっリバース様……こんなクズで変態のだめな兄の私のために、会いに来ていただけるなんて光栄です……!今日はどんなパンツを……はあはあ………っ」

気持ち悪いなぁ………。噂はあるけど念には念をと、言葉巧みにパンツにハマるようにするため、色んなパンツを与えすぎたのがいけなかったのか、兄は本当に変態になってしまった。

今の兄があの時の兄に戻ったなら、きっとすぐ認めて断罪劇は追い詰める必要もなく一瞬で終わっていただろう。それくらいにちょっとばかり反省調教のさせ方を間違えちゃったみたいだ……なーんて………。

「きょうはしろのブリーフだよ。それより、おにいさまにおねがいがあるんだ」

「お願いですか……?」

「うん。ここからだしてあげるから、そのままおとうさまにはなしをつけて、ぼくがそとにでられるようきょうりょくしてほしいの」

「私でできるかはわかりませんが、リバース様がお望みのままに。話をつけるとは私の牢暮らしは終わりですか?」

「まあ、はなししだいではそうかな?」

「そうですか………わかりました……」

ん……?なんで逆に残念そうなのかな………?

それに、このまま兄の僕に対する態度を放置していいものか迷う。でも、反省したからこそ王太子に敬意をと言えば今の状況でも理解しやすいかもしれない。

まあそこはなるようになるだろうと思うしかないかな……?

ガチャリ

そう決意してこっそり盗………たまたま落ちていたのを見つけて拾って持ち歩いていた鍵で、兄の牢屋の鍵を開けた。

まさかあの敵だった兄を助ける日が来るとは思わなかったけど、今の兄が僕に逆らうとは思えない。

念のため教育していたことがこうも実るとは………やっぱ何事も反省を問い続けるのが大事だよね。まあ、ほどほどさもいると今回は学んだけどね。

「さあ、いこうか、ぼくたちのみらいのために」

でも、それこそ気にしたら敗けだ!アマリアと僕の未来のためなら、僕は変態だって使うさ。

「リバース様のパンツのために!」

と思ったばかりにこの発言。この末期の変態め…………やっぱりすぐ戻そうかなんて思えてしまうのは仕方のないことだと思う。
しおりを挟む
感想 167

あなたにおすすめの小説

婚約破棄してくださって結構です

二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。 ※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています

婚約破棄ですか?それは死ぬ覚悟あっての話ですか?

R.K.
恋愛
 結婚式まで数日という日──  それは、突然に起こった。 「婚約を破棄する」  急にそんなことを言われても困る。  そういった意味を込めて私は、 「それは、死ぬ覚悟があってのことなのかしら?」  相手を試すようにそう言った。 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆  この作品は登場人物の名前は出てきません。  短編の中の短編です。

アホ王子が王宮の中心で婚約破棄を叫ぶ! ~もう取り消しできませんよ?断罪させて頂きます!!

アキヨシ
ファンタジー
貴族学院の卒業パーティが開かれた王宮の大広間に、今、第二王子の大声が響いた。 「マリアージェ・レネ=リズボーン! 性悪なおまえとの婚約をこの場で破棄する!」 王子の傍らには小動物系の可愛らしい男爵令嬢が纏わりついていた。……なんてテンプレ。 背後に控える愚か者どもと合わせて『四馬鹿次男ズwithビッチ』が、意気揚々と筆頭公爵家令嬢たるわたしを断罪するという。 受け立ってやろうじゃない。すべては予定調和の茶番劇。断罪返しだ! そしてこの舞台裏では、王位簒奪を企てた派閥の粛清の嵐が吹き荒れていた! すべての真相を知ったと思ったら……えっ、お兄様、なんでそんなに近いかな!? ※設定はゆるいです。暖かい目でお読みください。 ※主人公の心の声は罵詈雑言、口が悪いです。気分を害した方は申し訳ありませんがブラウザバックで。 ※小説家になろう・カクヨム様にも投稿しています。

【コミカライズ決定】地味令嬢は冤罪で処刑されて逆行転生したので、華麗な悪女を目指します!~目隠れ美形の天才王子に溺愛されまして~

胡蝶乃夢
恋愛
婚約者である王太子の望む通り『理想の淑女』として尽くしてきたにも関わらず、婚約破棄された挙句に冤罪で処刑されてしまった公爵令嬢ガーネット。 時間が遡り目覚めたガーネットは、二度と自分を犠牲にして尽くしたりしないと怒り、今度は自分勝手に生きる『華麗な悪女』になると決意する。 王太子の弟であるルベリウス王子にガーネットは留学をやめて傍にいて欲しいと願う。 処刑された時、留学中でいなかった彼がガーネットの傍にいることで運命は大きく変わっていく。 これは、不憫な地味令嬢が華麗な悪女へと変貌して周囲を魅了し、幼馴染の天才王子にも溺愛され、ざまぁして幸せになる物語です。

やはり婚約破棄ですか…あら?ヒロインはどこかしら?

桜梅花 空木
ファンタジー
「アリソン嬢、婚約破棄をしていただけませんか?」 やはり避けられなかった。頑張ったのですがね…。 婚姻発表をする予定だった社交会での婚約破棄。所詮私は悪役令嬢。目の前にいるであろう第2王子にせめて笑顔で挨拶しようと顔を上げる。 あら?王子様に騎士様など攻略メンバーは勢揃い…。けどヒロインが見当たらないわ……?

とある公爵令嬢の復讐劇~婚約破棄の代償は高いですよ?~

tartan321
恋愛
「王子様、婚約破棄するのですか?ええ、私は大丈夫ですよ。ですが……覚悟はできているんですね?」 私はちゃんと忠告しました。だから、悪くないもん!復讐します!

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

絶対婚約いたしません。させられました。案の定、婚約破棄されました

toyjoy11
ファンタジー
婚約破棄ものではあるのだけど、どちらかと言うと反乱もの。 残酷シーンが多く含まれます。 誰も高位貴族が婚約者になりたがらない第一王子と婚約者になったミルフィーユ・レモナンド侯爵令嬢。 両親に 「絶対アレと婚約しません。もしも、させるんでしたら、私は、クーデターを起こしてやります。」 と宣言した彼女は有言実行をするのだった。 一応、転生者ではあるものの元10歳児。チートはありません。 4/5 21時完結予定。

処理中です...