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天使?のショタ編ー完結ー
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「おとうしゃま!」
まあアマリアとの未来のためだと兄を連れ、父の元へ。お父様と今なら普通に呼べるけど、父や母の場合はあえて舌足らずにした方が扱いやすい。
僕が見えて一瞬笑顔を見せる父だったが、兄が姿を見せたとたん目をかっと見開いて立ち上がり、兄から僕を離そうとした。
「リバー!?その変態から離れなさい!何故牢から………!」
「ああっ蔑まれるこの快感たまらない……!」
とりあえずこの変態の口を閉じることから始めたいけど、父に捕まってしまったのでまずは父を落ち着かせるべきだろう。
「おにいしゃまははんせいしたとおもうから、ぼくのごえいにしようとおもって」
「ご、護衛……?それなら他のちゃんとした騎士たちがいるぞ?それにこれは王太子としての職務もしてこなかったせいで、使えないのはわかっている。元兄に優しくできるリバーは素晴らしいと思うが、時に優しさは捨てなければならないんだよ?」
父が困ったように、それでいて父親らしく諭すように言ってくれる。まあ、兄の父への信用がガタ落ちなのは、僕のせいばかりではないことがわかる内容。
でも、だからこそこの1年、ちゃーんと僕自ら教育した成果を見せる時。
「だいじょうぶです!おにいしゃまはふつうのごえいじゃないです」
「まあ、罪人だからな……」
「これはいぬでしゅ!」
「い、いぬ?」
人間が犬のように従順になる瞬間を父には見てもらい、まずは兄を認めさせなければ。
「おにいしゃま、おしゅわり!」
「はい!」
「へんじはわんだよ!」
「わん!」
「ふせ!」
「わん!」
「ばくてん!」
「わおん!」
「そくてん!」
「わんわんわん!」
「ちゅうがえり!」
「わああおおおん!」
「おお……」
完璧だ。こんなのでも元は攻略対象だから、スペックは高いはずと教育の中で色々させてみたらこの結果。父もわんわん叫びながら成功させる兄に拍手を送るくらいには素晴らしさがわかってくれたようだ。
その結果、僕はつい調子に乗った。
「ぱんつ!」
「え?」
「パンツをください!ご主人様!」
ずさーっと綺麗に土下座を披露。
これがいけなかった。
「やはりこんな変態は牢屋がお似合いだ!リバーに変なものを教えよって!」
兄が僕に教えたことになってしまった。違うのに。
「牢屋も住めば都……罵られるご褒美までありがとうございますわん!」
前ならばバカみたいに否定しかしなかっただろうに、ちょっと教育しすぎてこれである。
こうして兄をおともに外に出る作戦は終わりを告げた。
ちなみに父に命令され、兄を牢屋に連れていった衛兵からは、スキップしながら喜んで自分から牢屋に入ったことを後に聞いた。
どこで教育を間違ったのか………全然わからない。
まあアマリアとの未来のためだと兄を連れ、父の元へ。お父様と今なら普通に呼べるけど、父や母の場合はあえて舌足らずにした方が扱いやすい。
僕が見えて一瞬笑顔を見せる父だったが、兄が姿を見せたとたん目をかっと見開いて立ち上がり、兄から僕を離そうとした。
「リバー!?その変態から離れなさい!何故牢から………!」
「ああっ蔑まれるこの快感たまらない……!」
とりあえずこの変態の口を閉じることから始めたいけど、父に捕まってしまったのでまずは父を落ち着かせるべきだろう。
「おにいしゃまははんせいしたとおもうから、ぼくのごえいにしようとおもって」
「ご、護衛……?それなら他のちゃんとした騎士たちがいるぞ?それにこれは王太子としての職務もしてこなかったせいで、使えないのはわかっている。元兄に優しくできるリバーは素晴らしいと思うが、時に優しさは捨てなければならないんだよ?」
父が困ったように、それでいて父親らしく諭すように言ってくれる。まあ、兄の父への信用がガタ落ちなのは、僕のせいばかりではないことがわかる内容。
でも、だからこそこの1年、ちゃーんと僕自ら教育した成果を見せる時。
「だいじょうぶです!おにいしゃまはふつうのごえいじゃないです」
「まあ、罪人だからな……」
「これはいぬでしゅ!」
「い、いぬ?」
人間が犬のように従順になる瞬間を父には見てもらい、まずは兄を認めさせなければ。
「おにいしゃま、おしゅわり!」
「はい!」
「へんじはわんだよ!」
「わん!」
「ふせ!」
「わん!」
「ばくてん!」
「わおん!」
「そくてん!」
「わんわんわん!」
「ちゅうがえり!」
「わああおおおん!」
「おお……」
完璧だ。こんなのでも元は攻略対象だから、スペックは高いはずと教育の中で色々させてみたらこの結果。父もわんわん叫びながら成功させる兄に拍手を送るくらいには素晴らしさがわかってくれたようだ。
その結果、僕はつい調子に乗った。
「ぱんつ!」
「え?」
「パンツをください!ご主人様!」
ずさーっと綺麗に土下座を披露。
これがいけなかった。
「やはりこんな変態は牢屋がお似合いだ!リバーに変なものを教えよって!」
兄が僕に教えたことになってしまった。違うのに。
「牢屋も住めば都……罵られるご褒美までありがとうございますわん!」
前ならばバカみたいに否定しかしなかっただろうに、ちょっと教育しすぎてこれである。
こうして兄をおともに外に出る作戦は終わりを告げた。
ちなみに父に命令され、兄を牢屋に連れていった衛兵からは、スキップしながら喜んで自分から牢屋に入ったことを後に聞いた。
どこで教育を間違ったのか………全然わからない。
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