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おかん猫登場?~おかん視点~
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「ぶにゃ」
今日も重い体をあげて城内を歩くのは誰もにオカンと呼ばれる私。拾われてから餌をねだりにねだった結果非常にあちこちに肉がついたものの後悔はない。
美味しいものを食べずにいる不幸に比べれば幸せで培った肉は寧ろ愛おしいもの。
「なぁ~う!」
「にゃうにゃう!」
そんな中私によくなつく二匹の小さな猫が駆け寄ってくる。猫島と猫太郎という猫が多すぎるが故に名前が思い付かず安直になってしまった二匹の子猫。
だけど本人たちはいたく気に入っている様子なので問題はない。
ママ、ママと慕ってくれる二匹もいつかにゃんこ隊に入ることだろうと考えながら私の肉で遊ぶ二匹を微笑ましく見守る。
残念ながら私はこのように体が重いのでにゃんこ隊には選ばれない。残飯係なら喜んでなるが。食の細い猫たちだってたくさんいるからね。後は悩み相談やこうして猫島、猫太郎みたく遊びたいけど相手のいない子猫や猫を構ってやることが私の役割。
飼い主にはいつもみんなを支えてくれてありがとうとよく言われるわ。私、体以上に心も大きいからね。
「おー、今日もおかんは子守りか」
「猫はたくさんいすぎて見分けつかんが、おかんだけはわかるなぁ」
「俺も俺も」
「ぶにゃっ!」
あんたたち仕事さぼってんじゃないわよと言いながらも伝わるはずもなく人は通りすぎていく。まあそれでもたまに餌をくれるし、悪い人たちではないわ。
「にゃふにゃふ」
「うにゃ~」
「にゃぶ……」
何が楽しいのか、そんな通り過ぎる人を気にせず私の肉をふみふみ触ることに夢中な二匹。そんなに楽しいなら肉という幸せを育てたかいがあったというもの。
「なう……」
そんな中現れたのはモナちゃん。最近はどうにも気分が落ち込んでいるようで気になってはいたの。今は一匹になりたいのかと待っていたけどようやく相談に来たようね。
「ぶにゃにゃ」
「にゃご……」
二匹は肉に夢中だから気にせず話なさいと言えば、モナちゃんは頷きを見せる。何がそんなにモナちゃんの元気をなくさせたのか、話を聞けばよく会っていた人間、銀次郎という人物が死んだことで落ち込んでいたらしい。
銀次郎は悪いことをして裁かれたのだと。まさかそこまで重い話だとは思わずどうしたものかと思う。死ねば猫も人も生き返ることはないのだから。
「にゃぶぶ」
「にゃご?」
しかし、生まれ変わる可能性はある。私は体が大きく、心も広く大きいが、知識も恐らく猫の中で一番と自負している。だからラフィーナ様の日記をたまたま読んでしまったことがあるのだ。
そこには転生というラフィーナ様が前世の記憶を持つ人であることがわかる記述があった。物語による話かもしれないけど、ラフィーナ様が頑張ってきた道筋も書かれていたからこれは真実なのだと私は思っている。
なら、銀次郎という人物だって同じように転生とやらがされるかもしれない。希望になるかはわからないけど私はその話をした。
「にゃごぉ……!」
「ぶにゃっ!?」
しかしあくまで可能性であって確実ではない。それを伝えたというのにモナちゃんは転生した銀次郎を探しにいくとはりきってしまった。さらにそのためしばらく旅に出ると。本気かい!?と言うもモナちゃんの目には決意が宿っていた。
「にゃごご」
「ぶにゃ……」
みんなを頼むというモナちゃんに、子猫時代の頼りなさはない。仕方ない、飼い主には私から言っておくよとモナちゃんを送り出す。
そしてモナちゃんが去った後残ったのは私とひたすら私の肉をふみふみする子猫の二匹だけだった。
おわり
あとがき
昨日はおやすみさせていただきました。婚約破棄シリーズ第五弾完結し、第六弾公開中ですのでお読みになっていただければと思います。
今回はデブ猫おかん書きたかっただけです。モナちゃん、ついに銀次郎探しの旅へ……!そして周囲を気にせず肉をひたすらふみふみする子猫たち……。
今日も重い体をあげて城内を歩くのは誰もにオカンと呼ばれる私。拾われてから餌をねだりにねだった結果非常にあちこちに肉がついたものの後悔はない。
美味しいものを食べずにいる不幸に比べれば幸せで培った肉は寧ろ愛おしいもの。
「なぁ~う!」
「にゃうにゃう!」
そんな中私によくなつく二匹の小さな猫が駆け寄ってくる。猫島と猫太郎という猫が多すぎるが故に名前が思い付かず安直になってしまった二匹の子猫。
だけど本人たちはいたく気に入っている様子なので問題はない。
ママ、ママと慕ってくれる二匹もいつかにゃんこ隊に入ることだろうと考えながら私の肉で遊ぶ二匹を微笑ましく見守る。
残念ながら私はこのように体が重いのでにゃんこ隊には選ばれない。残飯係なら喜んでなるが。食の細い猫たちだってたくさんいるからね。後は悩み相談やこうして猫島、猫太郎みたく遊びたいけど相手のいない子猫や猫を構ってやることが私の役割。
飼い主にはいつもみんなを支えてくれてありがとうとよく言われるわ。私、体以上に心も大きいからね。
「おー、今日もおかんは子守りか」
「猫はたくさんいすぎて見分けつかんが、おかんだけはわかるなぁ」
「俺も俺も」
「ぶにゃっ!」
あんたたち仕事さぼってんじゃないわよと言いながらも伝わるはずもなく人は通りすぎていく。まあそれでもたまに餌をくれるし、悪い人たちではないわ。
「にゃふにゃふ」
「うにゃ~」
「にゃぶ……」
何が楽しいのか、そんな通り過ぎる人を気にせず私の肉をふみふみ触ることに夢中な二匹。そんなに楽しいなら肉という幸せを育てたかいがあったというもの。
「なう……」
そんな中現れたのはモナちゃん。最近はどうにも気分が落ち込んでいるようで気になってはいたの。今は一匹になりたいのかと待っていたけどようやく相談に来たようね。
「ぶにゃにゃ」
「にゃご……」
二匹は肉に夢中だから気にせず話なさいと言えば、モナちゃんは頷きを見せる。何がそんなにモナちゃんの元気をなくさせたのか、話を聞けばよく会っていた人間、銀次郎という人物が死んだことで落ち込んでいたらしい。
銀次郎は悪いことをして裁かれたのだと。まさかそこまで重い話だとは思わずどうしたものかと思う。死ねば猫も人も生き返ることはないのだから。
「にゃぶぶ」
「にゃご?」
しかし、生まれ変わる可能性はある。私は体が大きく、心も広く大きいが、知識も恐らく猫の中で一番と自負している。だからラフィーナ様の日記をたまたま読んでしまったことがあるのだ。
そこには転生というラフィーナ様が前世の記憶を持つ人であることがわかる記述があった。物語による話かもしれないけど、ラフィーナ様が頑張ってきた道筋も書かれていたからこれは真実なのだと私は思っている。
なら、銀次郎という人物だって同じように転生とやらがされるかもしれない。希望になるかはわからないけど私はその話をした。
「にゃごぉ……!」
「ぶにゃっ!?」
しかしあくまで可能性であって確実ではない。それを伝えたというのにモナちゃんは転生した銀次郎を探しにいくとはりきってしまった。さらにそのためしばらく旅に出ると。本気かい!?と言うもモナちゃんの目には決意が宿っていた。
「にゃごご」
「ぶにゃ……」
みんなを頼むというモナちゃんに、子猫時代の頼りなさはない。仕方ない、飼い主には私から言っておくよとモナちゃんを送り出す。
そしてモナちゃんが去った後残ったのは私とひたすら私の肉をふみふみする子猫の二匹だけだった。
おわり
あとがき
昨日はおやすみさせていただきました。婚約破棄シリーズ第五弾完結し、第六弾公開中ですのでお読みになっていただければと思います。
今回はデブ猫おかん書きたかっただけです。モナちゃん、ついに銀次郎探しの旅へ……!そして周囲を気にせず肉をひたすらふみふみする子猫たち……。
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