追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~

さとう

文字の大きさ
62 / 109
第六章

鉱山へ、そして

しおりを挟む
 真龍聖教。
 エンシェントドラゴンを神とする、聖王国クロスガルドを中心に広がる宗教。最高指導者は枢機卿のリンドブルム。外見は十四歳ほどの少女だが、数千年の時を生きるドラゴンであり、エンシェントドラゴンによって生み出された偉大なる存在である。
 
 エンシェントドラゴンによって生み出されたドラゴンは、全部で八体。
 現在、その行方が分かっているのは、リンドブルムのみ。
 完全に姿をくらましたドラゴンもいれば、ヒトに擬態し生活する者もいる。
 そして……ヒトを率い、組織を作るドラゴンも。

 現在、人が確認しているドラゴンは四体。
 真龍聖教の枢機卿リンドブルム。
 東方の国に安置されている石化したドラゴン。
 そして、ヒトの欲望、悪意、おぞましさを好み、好き勝手暴れている双子のドラゴン。
 
 エンシェントドラゴンが生み出し、『神話八龍』の双子ドラゴン。
 『毒魔凶龍』テュポーン。『睡蓮水龍』エキドナ。
 ヒトが手出しできない、最強最悪の犯罪組織のボスである。
 組織の名は、『ギガントマキア』……構成員は約三百名。
 数自体はそれほどでもないが、テュポーンとエキドナにより何らかの『力』を与えられた、違法スキルを所持する傭兵、そして元冒険者の集団である。

 ギガントマキアの構成員は、熟練冒険者たちによる襲撃を受け、アジトの一つが壊滅。構成員の数名が逃げて行方をくらましたとの報告が入っていた。
 さて、彼らはどこに逃げたのか?

 ◇◇◇◇◇◇
 
 ◇◇◇◇◇◇

 ◇◇◇◇◇◇

「準備できた? じゃ、行くわよ」

 ギルドでムーン公爵家の指名依頼を受けた俺たちは、公爵家が用意した冒険者運搬用の馬車に乗り、ムーン鉱山を目指し進んでいた。
 冒険者運搬用馬車。これがなかなか立派である。

「すっげーな。あの馬」
「あれ、魔獣との混合馬だよ。体力は普通の馬の数十倍、脚力もすごくて、一蹴りで岩を砕くとか」
「荷台も鉄製だし、意外と椅子は座り心地いいし、欲しくなるぜ」

 レノ、サリオが話している。
 確かにすごい。荷台は木製だが鉄板が貼りつけられ頑丈に補強され、座る部分には柔らかなクッションが敷いてある。このクッション、高いやつだよな。
 レイは、アピアと話している。

「鉱山に現れた魔獣……どんな魔獣でしょうか?」
「そうねぇ。鉱山って鉱石取るところで、魔獣とかエサとかそんなにいないはず。そこに住む魔獣だと……ロックワームとか、ロックタイタンとか、鉱石を食べる魔獣かな?」
「そんな魔獣がいるんですね……知りませんでした」
「ま。世界は広いってことね」

 俺は、『闘気精製』で作った剣を磨きつつ、投擲用の短剣を確認する。
 ルイさんには悪いことしたな……俺のためにいろいろ武器を用意してくれたみたいだけど、今の俺は武器に困っていない。全部『闘気精製』で作れるから。
 なので、武器のデザインだけ確認した。今ある武器は全部、新しいデザインで錬成したものだ。
 すると、サリオが近づいてきた。

「ね、リュウキくん。リュウキくんって、杖とかも作れる?」
「杖……こんな感じか?」

 俺は、闘気精製でサリオの持つ杖と同じのを作った。
 サリオに渡すと、すごく喜んでくれる。

「いいの? もらって」
「ああ、使ってくれ」
「わぁ~……ありがとう!」

 さっそく、サリオは俺の作った杖を装備……なんか照れるな。
 するとレノも。

「おい、オレにもガントレット作ってくれよ」
「いいぞ。ほら」
「よっしゃ!!」
「リュウキくん、私に銃を……」
「す、すまん。銃とか構造が複雑なのは難しい……」
「あたしはパス。これ、気に入ってるし」

 なんか、仲間と冒険しているって感じだ。
 それから半日馬車が進み、ムーン鉱山入口に到着した。
 鉄のフェンスで仕切られ、鉄製の門に守られた『ムーン鉱山』だ。鉱山前には管理人の小屋があるが、今は無人となっている。
 御者が門を開き、俺たちに言う。

「気を付けてください。ここからは魔獣の巣になっています」
「了解。さ、みんな行くわよ。リュウキとレノ、先頭で」
「「了解」」

 俺とレノが先頭になり、鉱山内部へ踏み込む。
 鉱山内は、魔導ランプの光で通路が明るく、視界も悪くない。
 だが、やはり通路が狭い。
 俺は腰に差していた二本のナイフを抜いた。

「今日はナイフか?」
「ああ。狭いし、剣だとな」
「多彩だねぇ」

 レノは拳をパシッと打ち付ける。すると、通路の前から何かがやってきた。

「来たわよ。二人とも」
「「了解」」

 ナイフを構え、やってきた魔獣を見る……それは、ムカデだった。

「む、ムカデかよ」
「ロックワーム。鉱石や岩、土なんかを食べる魔獣ね。鉱山に現れる魔獣としては、ありきたりなモノ。でも……ありきたり故に、厄介なのよ。一匹みたら十匹はいると思いなさい」
「じゃ、俺が」

 闘気を解放し、袖に仕込んでいたナイフを抜き投げる。
 ナイフはムカデの頭を貫通した。あれ、けっこう脆いのかな?
 ムカデは倒れ───……なんと、ムカデの仲間が現れ、共食いを始めた。

「ひっ……」
「なんだあれ、共食いかよ」
「仲間意識はないみたい。というか……あれ、全て退治するの大変だよ」

 アピアが俺の背に隠れ、レノが嫌そうな目で見て、サリオが首を傾げる。
 すると、レイが言う。

「……親がいるわ」
「「「「親?」」」」
「そう。ロックワームの親。そいつを倒せば、残りの子は死ぬわ。鉱山の奥に進んで、親を倒すわよ」
「親か。強いのか?」
「ええ。マザーロックワーム。討伐レートはB+の魔獣。ったく、ムーン公爵家だっけ? ずいぶんと嫌らしい魔獣を当ててくるわね」

 そう言い、レイは鉱山の奥へ歩き始めた。
 俺はアピアを安心させるように笑うと、アピアは小さく頷く。レノとサリオも並んで歩きだした。
 歩きだし、俺はほんの少し違和感を感じた。

「……ん?」
「ん、どうしたリュウキ」
「あ、いや……気のせいか」
 
 なんだか、見られてたような……でも、封鎖されてる鉱山に、誰かいるなんてこと、ないよな。

 ◇◇◇◇◇


「…………」


 ◇◇◇◇◇
しおりを挟む
感想 32

あなたにおすすめの小説

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

土属性を極めて辺境を開拓します~愛する嫁と超速スローライフ~

にゃーにゃ
ファンタジー
「土属性だから追放だ!」理不尽な理由で追放されるも「はいはい。おっけー」主人公は特にパーティーに恨みも、未練もなく、世界が危機的な状況、というわけでもなかったので、ササッと王都を去り、辺境の地にたどり着く。 「助けなきゃ!」そんな感じで、世界樹の少女を襲っていた四天王の一人を瞬殺。 少女にほれられて、即座に結婚する。「ここを開拓してスローライフでもしてみようか」 主人公は土属性パワーで一瞬で辺境を開拓。ついでに魔王を超える存在を土属性で作ったゴーレムの物量で圧殺。 主人公は、世界樹の少女が生成したタネを、育てたり、のんびりしながら辺境で平和にすごす。そんな主人公のもとに、ドワーフ、魚人、雪女、魔王四天王、魔王、といった亜人のなかでも一際キワモノの種族が次から次へと集まり、彼らがもたらす特産品によってドンドン村は発展し豊かに、にぎやかになっていく。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

無職が最強の万能職でした!?〜俺のスローライフはどこ行った!?〜

あーもんど
ファンタジー
不幸体質持ちの若林音羽はある日の帰り道、自他共に認める陽キャのクラスメイト 朝日翔陽の異世界召喚に巻き込まれた。目を開ければ、そこは歩道ではなく建物の中。それもかなり豪華な内装をした空間だ。音羽がこの場で真っ先に抱いた感想は『テンプレだな』と言う、この一言だけ。異世界ファンタジーものの小説を読み漁っていた音羽にとって、異世界召喚先が煌びやかな王宮内────もっと言うと謁見の間であることはテンプレの一つだった。 その後、王様の命令ですぐにステータスを確認した音羽と朝日。勇者はもちろん朝日だ。何故なら、あの魔法陣は朝日を呼ぶために作られたものだから。言うならば音羽はおまけだ。音羽は朝日が勇者であることに大して驚きもせず、自分のステータスを確認する。『もしかしたら、想像を絶するようなステータスが現れるかもしれない』と淡い期待を胸に抱きながら····。そんな音羽の淡い期待を打ち砕くのにそう時間は掛からなかった。表示されたステータスに示された職業はまさかの“無職”。これでは勇者のサポーター要員にもなれない。装備品やら王家の家紋が入ったブローチやらを渡されて見事王城から厄介払いされた音羽は絶望に打ちひしがれていた。だって、無職ではチートスキルでもない限り異世界生活を謳歌することは出来ないのだから····。無職は『何も出来ない』『何にもなれない』雑魚職業だと決めつけていた音羽だったが、あることをきっかけに無職が最強の万能職だと判明して!? チートスキルと最強の万能職を用いて、音羽は今日も今日とて異世界無双! ※カクヨム、小説家になろう様でも掲載中

処理中です...