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至高魔王ササライ・世界はひとつ③/全ての準備が整う時
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魔王聖域・『忘却王城彼方永久』の最上階にある『玉座の間』に、七人の魔剣士が揃っていた。
玉座にはササライが座り、足を組んで肘掛けで頬杖をついている。
白い学生服を着て、真っ白な髪を指で梳き、青い瞳には好奇心が浮かんでいる。
そんなササライの前に、七人の魔剣士が揃い、全員が跪いていた。
「アークレイ、グレコドローマ、ライハは勝利」
「「「はっ」」」
「ヴェンデッタ、サスケ、ヴェスタは負け」
「「「……はっ」」」
「アイシクルミューゼは引き分け」
「……はい」
七対七の決戦は、三勝三敗一分けで終わった。
すでに、魔剣士七人は怪我の治療が終わり全快……着ている服も着替え、休息を取り、戦う前と同じ万全の状態であった。
ササライはにっこり笑い、パンパンと手を叩く。
「うん、いい。実にいいね……こうもシナリオ通りとは、自分の脚本家としての素質が恐ろしいよ。あはは、魔界と人間界を統一後は、本格的に脚本家をやろうかな~?」
ササライは楽しそうだ。
よくわかっていないのか、アークレイは言う。
「……しかしササライ様。全ての『吸魔の杭』を破壊され……人間の魔力を吸収する術が失われ」
「ああ、問題ないよ。『大魔境統治圏』の維持に七十七本の杭から魔力を吸収するっての、嘘だから」
「……え?」
「すでに仕込みは終わってる。杭はブラフで、『大魔境統治圏』の術式に『人間の魔力を吸収』するって効果がある。つまり、発動すれば無条件で、人間は『餌』として生きることが決まるのさ」
「な、なんと……」
「さて問題。なんで『杭を壊せ』なんて言ったと思う?」
「「「「「「「…………」」」」」」」
七人は答えられない……本当に、わからない。
ササライは玉座から立ち上がり、ゆっくり歩きながら言う。
「そっちのが『ドラマチック』だからさ。人間は希望に縋り、勝ち目の薄い戦いに全力で挑む……七聖剣士の道を開くため、魔界貴族と戦う聖剣士、そして聖剣士たちに背を押され、きみたち七魔剣士と戦う……こんなドラマチックな展開はそうないね」
全てはシナリオ通り。
人間が勝つのはあり得ない。魔族の、魔界の統一こそ絶対。
「正直、不安はあったよ。人間がボクの言うことをどこまで信じるか不安だったけど……まさか、疑いもせず、杭を破壊すればいいなんて都合のいい希望にここまで縋るとはねえ。悪いけど、笑いを堪えるの少し大変だったよ」
「「「「「「「…………」」」」」」」
七人は黙りこむ。
ササライは玉座の階段を降り、七人の周りをゆっくり歩く。
「さて、次のシナリオでは……七人の聖剣士の絆がさらに深まり、この『忘却王城』を駆けのぼり、ボクたちの前に現れる」
そう言うと、玉座の間の扉がけ開かれ、七聖剣士が飛び込んできた。
「みっけ!! ふふん、てっきり罠とか魔界貴族だらけと思ったのに、ほとんど一本道とはね!!」
エレノアが叫び、炎聖剣をササライに突きつける。
ササライは苦笑し、玉座に戻りつつ言う。
「まあ、王城の仕掛けを全て解除しておいたからね」
ササライが指を鳴らすと、アークレイを中心に魔剣を抜き、七人が並ぶ。
負けじと、七聖剣士たちも並んで抜剣……構えを取る。
ササライは、対峙する十四人の剣士を見て、ゾクリと震えた。
「いいね、実にいい……ふふふ、本当に楽しいよ」
「至高魔王ササライ……お前なんかに、ボクたちは負けないぞ!!」
ササライはウンウン頷き、笑顔で言う。
「『ぬかせ。七魔剣士たちよ……七聖剣士を倒すのだ!!』……かな?」
決められたセリフを言うと、七聖剣士と七魔剣士たちの魔力が膨れ上がる。
エレノアがポツリとつぶやく。
「……ロイ、お願いね」
ササライには、聞こえていた。
今にも噴き出しそうなくらい震えてしまう。
「く、くく……まあ、希望を信じているといいよ。ふふふ」
ロイはもういない。
ササライは、そのことを教えるつもりなんて、最初からなかった。
玉座にはササライが座り、足を組んで肘掛けで頬杖をついている。
白い学生服を着て、真っ白な髪を指で梳き、青い瞳には好奇心が浮かんでいる。
そんなササライの前に、七人の魔剣士が揃い、全員が跪いていた。
「アークレイ、グレコドローマ、ライハは勝利」
「「「はっ」」」
「ヴェンデッタ、サスケ、ヴェスタは負け」
「「「……はっ」」」
「アイシクルミューゼは引き分け」
「……はい」
七対七の決戦は、三勝三敗一分けで終わった。
すでに、魔剣士七人は怪我の治療が終わり全快……着ている服も着替え、休息を取り、戦う前と同じ万全の状態であった。
ササライはにっこり笑い、パンパンと手を叩く。
「うん、いい。実にいいね……こうもシナリオ通りとは、自分の脚本家としての素質が恐ろしいよ。あはは、魔界と人間界を統一後は、本格的に脚本家をやろうかな~?」
ササライは楽しそうだ。
よくわかっていないのか、アークレイは言う。
「……しかしササライ様。全ての『吸魔の杭』を破壊され……人間の魔力を吸収する術が失われ」
「ああ、問題ないよ。『大魔境統治圏』の維持に七十七本の杭から魔力を吸収するっての、嘘だから」
「……え?」
「すでに仕込みは終わってる。杭はブラフで、『大魔境統治圏』の術式に『人間の魔力を吸収』するって効果がある。つまり、発動すれば無条件で、人間は『餌』として生きることが決まるのさ」
「な、なんと……」
「さて問題。なんで『杭を壊せ』なんて言ったと思う?」
「「「「「「「…………」」」」」」」
七人は答えられない……本当に、わからない。
ササライは玉座から立ち上がり、ゆっくり歩きながら言う。
「そっちのが『ドラマチック』だからさ。人間は希望に縋り、勝ち目の薄い戦いに全力で挑む……七聖剣士の道を開くため、魔界貴族と戦う聖剣士、そして聖剣士たちに背を押され、きみたち七魔剣士と戦う……こんなドラマチックな展開はそうないね」
全てはシナリオ通り。
人間が勝つのはあり得ない。魔族の、魔界の統一こそ絶対。
「正直、不安はあったよ。人間がボクの言うことをどこまで信じるか不安だったけど……まさか、疑いもせず、杭を破壊すればいいなんて都合のいい希望にここまで縋るとはねえ。悪いけど、笑いを堪えるの少し大変だったよ」
「「「「「「「…………」」」」」」」
七人は黙りこむ。
ササライは玉座の階段を降り、七人の周りをゆっくり歩く。
「さて、次のシナリオでは……七人の聖剣士の絆がさらに深まり、この『忘却王城』を駆けのぼり、ボクたちの前に現れる」
そう言うと、玉座の間の扉がけ開かれ、七聖剣士が飛び込んできた。
「みっけ!! ふふん、てっきり罠とか魔界貴族だらけと思ったのに、ほとんど一本道とはね!!」
エレノアが叫び、炎聖剣をササライに突きつける。
ササライは苦笑し、玉座に戻りつつ言う。
「まあ、王城の仕掛けを全て解除しておいたからね」
ササライが指を鳴らすと、アークレイを中心に魔剣を抜き、七人が並ぶ。
負けじと、七聖剣士たちも並んで抜剣……構えを取る。
ササライは、対峙する十四人の剣士を見て、ゾクリと震えた。
「いいね、実にいい……ふふふ、本当に楽しいよ」
「至高魔王ササライ……お前なんかに、ボクたちは負けないぞ!!」
ササライはウンウン頷き、笑顔で言う。
「『ぬかせ。七魔剣士たちよ……七聖剣士を倒すのだ!!』……かな?」
決められたセリフを言うと、七聖剣士と七魔剣士たちの魔力が膨れ上がる。
エレノアがポツリとつぶやく。
「……ロイ、お願いね」
ササライには、聞こえていた。
今にも噴き出しそうなくらい震えてしまう。
「く、くく……まあ、希望を信じているといいよ。ふふふ」
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ササライは、そのことを教えるつもりなんて、最初からなかった。
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