聖剣が最強の世界で、少年は弓に愛される~封印された魔王がくれた力で聖剣士たちを援護します~

さとう

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聖剣が最強の世界で①/リベンジ

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 戦いが、再び始まった。
 飛び出す七人の聖剣士たち、立ちはだかるのは七人の魔剣士。
 七魔剣士は、すでに傷も回復し、疲労も癒えている……が、七聖剣士は負傷はそのまま、疲労も濃いまま。だが……アークレイは奇妙に感じた。

(なんだ、この威圧感……)

 七人揃った聖剣士は、これまでにない威圧感だった。
 先ほど圧勝したスヴァルトが、鎖鎌を振り回しながらアークレイへ迫る。

「リベンジ、カマすぜ」
「フン、無様に這いつくばり、私に傷一つ付けることができなった雑魚が──」

 そう言ったが、アークレイはすぐに気を引き締めた。
 スヴァルトが鎖鎌の鎌を振り回して接近していたのだが、その背後にいたサリオスが突撃槍を構え突進してきたのだ。

「『シャイニング・スラッシャー』!!」
「!!」

 剣の変形機構。
 聖剣には、この『変形機構』があった。だが魔剣にはそれがない。
 サリオスの突撃槍を回避したが、サリオスは素早く反転、双剣を振りアークレイに迫る。
 アークレイは双剣を受け、サリオスと鍔迫り合い。

「てっきり、闇聖剣の男かと思ったのだがな……!!」
「忘れるな、これは一対一じゃない……七対七だ!!」

 ゾッとしたが、すでに遅かった。
 ララベルが投げたブーメランが接近、アークレイはサリオスを突き飛ばし全力でのけぞるが、ブーメランの一部が頬を掠り、血が出た。
 同時に、ブーメランはサスケやアミュをけん制する。

「オラぁ!!」
「なっ──っごぁ!?」

 アークレイは、殴られた。
 聖剣ではない。スヴァルトの拳が、横っ面にヒットしたのだ。
 スヴァルトはニヤリと笑い、拳を見せつける。

「おいおいおいおい、イケメンさんよ……動きが鈍いぜ?」
「貴様……!!」

 アークレイの額に青筋が浮かぶ。
 サリオスはすでにグレコドローマに向かい、エレノアがアミュに、アオイはライハと鍔迫り合いをしていた。
 
「……チッ」
「へ、どうした? まあ、気付いてねぇんだろうなあ」
「……何?」
「教えねぇよバァ~カ」

 スヴァルトが舌を見せ、中指を立て、親指で自分の首を掻っ切る真似をした……というか、アークレイはその『意味のない動作』を最後まで見ていた時だった。

「『水祝』」
「なっ、っぶぁ!?」

 ユノの水が顔面を直撃……びしょ濡れになるのだった。

 ◇◇◇◇◇◇

「へえ、やるじゃないか……というか、シナリオ通り」

 七聖剣士と七魔剣士の戦いは、やはり混戦となった。
 気付いているのかいないのか。
 
「一対一では負けるけど……七対七なら聖剣士のが上手だね。まあそうだよね……七聖剣士と違って、七魔剣士は『摸擬戦』とか『連携訓練』なんてやったことないし」

 そう、混戦の経験のない七魔剣士は、互いにどういう技を持つのか、どう動くのかわからない。
 七魔剣士とはいうが、知っているのは名前、それぞれの魔剣の名前、特性くらい。どういう技を持ち、どのように戦うのかなんて、理解していないのだ。
 だから、七聖剣士のように、それぞれのことを理解し、どういう動きで、先読みして動くなんてことができない。混戦となったことで、それが露呈してしまった。
 アークレイ、ライハなどは「周りを巻き添えにしてでも倒す」と考えそうだが……サリオスが人差し指を立て、クルクル回すのに気づき、軽く歯を食いしばる。

「それじゃつまんないしね……ふふ、一対一では勝てないけど、七対七の混戦なら勝てる……面白い展開になってきたね」

 ササライは玉座で、剣士たちの戦いを眺めている……すると。

「高みの見物してんじゃないわよ!!」
「おお?」

 なんと、エレノアがサスケを蹴り飛ばし、ササライに向かって走ってきた。

「展開!!」

 手にはバーナーブレード。剣が開き、超高熱の炎が刀身となる。
 ロセと対峙していたヴェスタが気付くが、すでに遅い。

「ササライ様!!」
「『灼炎楼・天照』!!」

 エレノアの奥義の一つが放たれる──が、ササライは指一本でガードした。
 エレノアが舌打ちするが、ニコニコしたままササライは言う。

「剣筋が甘いね。ふふ、かなり疲労してるみたいだ」
「うる、さい……!!」
「『冥炎楼・一閃』!!」

 すると、ヴェスタが背後から一閃。エレノアは大剣モードに変えて刀身で受け、そのまま吹き飛ばされる。
 そして、エレノアを追ってヴェスタが飛んだ。

「エレノア、ササライ様を狙うの……許さないから!!」
「悪いけど、魔王倒すって決めてんのよ!!」

 再び、エレノアとヴェスタがぶつかる。
 その様子を眺めながら、ササライは言った。

「連携では七聖剣士が遥か上だけど……どうやら、体力も限界が近いね。ふふ、どうなることやら」

 どこまでも余裕な笑みを浮かべ、ササライは玉座に寄りかかるのだった。
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