継母の心得 〜 番外編 〜

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番外編 〜 ミーシャ 〜

番外編 〜 ミーシャの日常 授業参観編8 〜

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ミーシャ視点


「ねぇ、皇帝陛下と皇后陛下はアカデミーの見学に行かれたのに、ディバイン公爵閣下と、公爵夫人はいらっしゃるけど、どうしてかしら……」

担任が三者面談用の部屋へと移動し、一組目が呼ばれてからすぐのことだ。

お父様とお母様が教室から移動しない事に気付いたクラスメイトが、おかしいと思い始めたらしい。

「さっき、皇帝陛下が仰っていたミーシャって、ディバイン公爵家の公女様の事よね」
「あ、私もそれ、引っかかってたの!」
「陛下の口ぶりだと、まるでディバイン公爵家の公女様がこのクラスにいるみたいな言い方だったわよね……」
「そうそう!」
「もしかして、変装して紛れてたりして」
「同じ名前の子もいるし、あの子だったり?」
「えー、わざわざ同じ名前は使わないと思うなぁ」

と、話しだしたではないか。

ネロおじ様の言葉は、やっぱり誤魔化しきれていなかった。

額に汗が浮かぶ。

「まぁ、そうなるわよね」
「隠しきれないとは思ってたけど……」
「結局時間の問題なのかな」

と、友人三人は苦笑いだが、まだ私がディバイン公爵家の人間だとバレたわけではない。

「ミーシャ、あきらめなさい」

クロエ、そんなはっきりと……!

「三者面談で呼ばれたら、わかる事だしね」

ナツィーまで……っ

「ご両親が変装してきてない時点で、結果はわかっていたかも?」
「ミーシャ、女神様たちが話しかけたがっているし、行ってあげなさいよ」
「そうだね。みんな親の所に行って話してるしね」

確かに、それぞれが保護者の所へ駆け寄っていっている。でも……

「ミーちゃん、考えてみたんだけど……バレてもバレなくても、あまり学園生活にかわりないかも?」
「え?」

コニーがコテンと首を傾げ、言ったのだ。

「ミーちゃん、今も私たち以外仲良くしている子いないでしょう」
「うん……」
「たとえ公爵令嬢だってバレても、遠巻きにされるだけだと思うの」

遠巻き……

「それって、今とあまり変わらなくなぁい?」

!? 確かに変わらないかも……っ、なぜだか今も遠巻きにされているし、公爵令嬢とバレても、この三人は友だちのまま変わらないし……

「本当だっ、三人さえ一緒にいてくれるなら、変わらない!」

目から鱗とはこの事か。

コニーの発言に頭を殴られたような衝撃を受けた。

「もちろん私たちは友だちのまま一緒にいるけど、遠巻きにされてる事が変わらないって、どうなのよ……」
「アハハッ、でも、皆驚くだろうね」

クロエの言葉にホッとし、笑ってるナツィーに、やっぱり驚くかなぁ、と保護者席に座る両親をチラチラ見る。

「本当ね! 実はちょっとワクワクしてる自分がいるのだけど、不謹慎かしら」
「私は授業の時から保護者がいる方見れないよ……でも、私もワクワクしてるの」
「実は私も」

と笑い合う三人に、友だちがこんなに楽しそうにしているなら、良いかと思い始めた。

そして───

「お父様、お母様、今日は来てくれてありがとう」

保護者席に近付いていき、二人に抱きついたのだ。
やっぱり二人の腕の中は安心する。

「「「「「ぅえエェェェ!?」」」」」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ミーシャの担任視点


ふぅ……やっと8割方終わった。
次は……アボット君か。先日は忙しかったから、彼女の冗談を上手く返してあげる事が出来なかったが、傷ついてはいないだろうか。アボット君は真面目で優秀だから、あの対応では気にしてしまっているのではないかと思う。

私もまだまだ未熟だ……。

「では、アボット君を呼んでいただけますか」

部屋の外にいる副担任に声を掛けると、「わかりました」と言って、隣の教室へ呼びに行ってくれた。

「ヒエェェェ!!」

何だ!? 隣の教室から悲鳴が……って、ああ、もしかしたら両陛下や公爵夫妻がいらっしゃるのかもしれないな。
この世のものとは思えぬほど美しい方々だ。悲鳴があがるのもわかる。生徒の失神者も、一人だけとは運が良かった。
私も、あの美しさは直視できず、授業中も保護者席を一切見る事が出来なかった。もし直視していたら、今頃は医務室のベッドの上だっただろう。

「せ、せ、せ、先生! おつ、おつれ、お連れしました!!」

扉がノックされ、何やら慌てているような副担任の声が耳に届く。

「どうぞ、お入りください」

中から声を掛けると、扉が開き、アボット君が入ってきた。そして……、

「先生、娘がいつもお世話になっておりますわ」

女神様が、私に微笑んだのだ。

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