84 / 186
番外編 〜 ノア3〜4歳 〜
番外編 〜 狙われたイザベル10 〜 ノア4歳、イーニアス5歳
しおりを挟む「ケヴィンさん、あんたを訪ねてお客さんが来たよ!」
「え? お客様??」
「外套被って怪しい感じだけど、大丈夫かぃ? あれだったら、騎士様呼んでくるけど」
「外套……」
「四人組で、ありゃ多分一人は女性だね」
「女性ですか……。とりあえず会ってみますね」
「何かあったら叫ぶんだよ! ディバイン公爵領都はみんな頼り甲斐があるからね!」
「ありがとうございます。頼りにしています」
なんて会話が聞こえてきますわ。
それはそうですわよね。わたくしたち、怪しすぎますもの。
ケヴィンさんたちとお話をする為、彼らの泊まっている宿にテオ様、ウォルト、護衛騎士、わたくしの四人で押しかけたのだけど、ほら、普段の装いですと目立ちますでしょう。それでこのような外套を被っていますのよ。
そうしたら、宿の女将さんにたいそう怪しまれておりますの。
そもそも、わたくしたちがこちらに来るのではなく、ディバイン公爵邸へ呼べば良いという話なのですが、テオ様曰く、頻繁に邸を出入りすると、ケヴィンさんたちの身が危ないとの事でしたので、こうして参りましたのよ。
「ベルは屋敷で待っていた方が良い」などと言っていたテオ様の言葉を振り切って、ついてきましたの。
だってわたくしを訪ねて来てくださった方ですのよ。
「───なんと……っ、まさかディバイン公爵閣下にお目通りできるなんて……! 夫人も、わざわざ足を運ばせてしまいまして、申し訳ございません!!」
ケヴィンさんたち、また土下座しておりますわ。低頭平身すぎですわよ。
「……妻に強引に面会したと聞いた。君たちのやり方はあまりにも無礼で、本来であれば話を聞く価値もない」
「っ……も、申し訳ございません!!」
テオ様の絶対零度な態度と言葉に、ケヴィンさんとその部下の人はぶるぶると震え、顔を上げられない状態だ。
「しかし、領民と自身の命を賭け、一縷の望みと邸を訪れたその勇気に免じ、今回は不問とする」
「か、寛大なご配慮を賜り、誠にありがとうございます……っ」
額を地面に擦り付け、謝罪と感謝を繰り返すケヴィンさんたちが可哀想に思えてくるが、これは必要なことなのだそうだ。
今回のような事がまた起きてしまわないように、テオ様は特例措置だと強調する。
「ウィニー男爵領地の現状は妻から聞いている。食糧、燃料、雪崩で出来てしまった氷の壁の撤去などの支援は国が行ってくれるだろう。だが、問題はその後だ。君たちが金策に走り回っていることは予想がつく」
「は……っ、ご存知の通り、我々の領地にはもう、何も売るものがなく、どうしようもなくなり、ディバイン公爵夫人のお知恵をお借りするしか方法がなかったのです……っ、本当に、数々の無礼、お許しください!」
涙を流し、拳を握るケヴィンさんたちは、領民の為に必死だ。
「……妻に相談したのは正解だった」
「え?」
「君たちの領地を救う方法を、私の妻が見つけた」
「「!?」」
え、嘘でしょ? この短期間で!? というような顔をしてわたくしを見る二人に頷いておく。
「しかし、この件に関しては、皇帝陛下とウィニー男爵との話合いが必要だ。軽々しくお前たちに伝えることはできない」
「っ承知いたしました。それでは我々は、領地に戻り、当主を待つ事にいたします!」
ケヴィンさんはそう言って、テオ様とわたくしに深々と一礼すると話合いを終え、領地へと戻っていったのだ。
その後、両陛下とテオ様、ウィニー男爵とで話合いの場が設けられ、支援と平行して、秘密裏に魔石の採掘準備が進んだのである。
わたくしはというと、現在街中で襲撃を受けておりますわ。
1,652
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
〖完結〗愛人が離婚しろと乗り込んで来たのですが、私達はもう離婚していますよ?
藍川みいな
恋愛
「ライナス様と離婚して、とっととこの邸から出て行ってよっ!」
愛人が乗り込んで来たのは、これで何人目でしょう?
私はもう離婚していますし、この邸はお父様のものですから、決してライナス様のものにはなりません。
離婚の理由は、ライナス様が私を一度も抱くことがなかったからなのですが、不能だと思っていたライナス様は愛人を何人も作っていました。
そして親友だと思っていたマリーまで、ライナス様の愛人でした。
愛人を何人も作っていたくせに、やり直したいとか……頭がおかしいのですか?
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全8話で完結になります。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる