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番外編 〜 ノア3〜4歳 〜
番外編 〜 ハロウィン? パーティー2 〜 ノア4歳、イーニアス5歳
しおりを挟む「イザベル様は、猫耳カチューシャがとても素敵ね! 可愛いわ!! あら、尻尾も生えているのね! 良く出来ているわぁっ」
「髪の毛と同じ色の耳にいたしましたの。あとは耳を髪の毛でかくすと、案外違和感なく溶け込みますのよ」
猫獣人のコスプレをしたわたくしを、可愛いと褒めてくださるレーテ様は凛々しく、女性たちに黄色い声を上げられそうだと思いながら、わたくしも美しさにドキドキしてしまう。
「ははうえは、きしで、イザベルふじんはねこさんなのだな!」
「はい! おかぁさま、ねこさん! かわいいのよ」
「うむ。わたしのははうえも、かっこいいのだぞ」
あらあら、赤と青のドラゴンさんが、わたくしたちを褒めてくださっておりますわ。
可愛いのはあなたたちよ、と言いたいけれど、これを言ったらノアに「めっ」されますわね。
『アス、かっこいー!』
『ノア、かっこかわいー!!』
蜂さんの着ぐるみを着た妖精たちが、やっぱりキノコは被ったまま、二人のドラゴンさんの周りを飛び回る。
「アカも、とってもかわいいのだぞ」
「アオも、かわいーのよ! ハチさん、キノコかぶってるのね」
蜂と仲が良いドラゴン、可愛すぎますわ。
「イザベル様っ、見てちょうだい! あの尻尾ふりふりしながら、のっしのっし歩いてるつもりの、あのうしろ姿も可愛いわぁ!!」
「本当に! 何て可愛いのでしょうっ、わたくしメロメロになってしまいますわ」
「オホホッ、めろめろになっているのは、テオ様もみたいよ!」
「え?」
皇后様にそう言われ、まだ始まっていないパーティー会場に様子を見に来ていたテオ様を見る。
すると、テオ様と目が合って、こちらへやって来たのだ。
「ベル、何と愛らしい姿をしているのか」
「テオ様?」
「可愛すぎて、攫ってしまいたくなる」
まぁっ、テオ様ったらまたクサイ台詞を言っておりますわ。何の本を見ればそんなお言葉が出てくるのかしら?
「猫可愛がりという言葉があるが、このように愛らしいと、可愛がりたくなる気持ちもわかるな」
「テオ様、わたくしペットではございませんのよ」
「わかっている。君は私の妻だ」
「もぅ、テオ様ったら」
やっぱり美形はクサイ台詞も様になりますわ。
「おとぅさま、わたち、どりゃ、どらごんさんよ!」
「こうしゃく、わたしも、どらごんさんなのだ」
「アスでんかと、おそろいなのよ」
そこへ、のっしのっし(のつもり)と戻って来たノアとイーニアス殿下が、テオ様に嬉しそうに自分たちの着ぐるみを見せているではないか。
『テオ、アカ、はちさん!』
『アオも、かわいーはちさん!!』
妖精たちも寄ってきて、可愛いが大渋滞している。
「そうか。ドラゴン……? ドラゴンなのか?? まぁ、可愛らしいな」
あ、テオ様、それは言ってはいけませんわ。
「おとぅさま、めっ! わたちたち、かっこいぃのよ!」
「そうだぞ、こうしゃく。わたしたちは、かっこいいのだ」
「ぅ、そ、そうか。格好良い……か?」
わかりますが、そこは断言してくださいませ。
『テオ、アカは!』
『テオ、アオもかっこいー!!』
「お前たちは滑稽だ」
この一言に、妖精たちがほっぺたをぷくっと膨らまし、ブーンと言いながらテオ様の周りを飛んで怒られていた。
そして、パーティーが始まった。
あっちを見てもこっちを見ても、ドラゴンやユニコーン、蜂やクジャク、定番のクマさんなど、着ぐるみの子供たちで可愛さが天元突破している。
「みんな可愛いですわ!」
ご夫人方も皆楽しそうに、我が子の可愛さにはしゃいでいる。そして、ご自身のコスプレにもテンションが上がっているようで、いつものパーティーよりもキャッキャとしている。
「……イザベル、ふじん……、ほ、ほんじちゅは、おまねき、ありがと、ごじゃいましゅ」
「ブルちゃん! 丁寧なご挨拶、ありがとう存じますわ。まぁっ、ブルちゃんはクマちゃんの着ぐるみですのね!」
テディ大好きなブルちゃんは、安定のクマちゃん。しかもテディを抱っこして、可愛すぎますわ!!
「なんて可愛いのかしら!」
女の子の可愛さにメロメロになっていると、ブルちゃんのお母様がやって来てご挨拶してくれましたのよ。
「イザベル様、本日はこのように素晴らしいパーティーにご招待いただき、ありがとう存じます。もうっ、ブルネッラが可愛すぎて……っ、失礼を承知でご相談なのですが、ぜひ、こちらのお洋服を買い取らせていただきたいのです!」
この一言がきっかけで、「私も!」と我が子に着ぐるみを! というお母様方に囲まれてしまい、その後、着ぐるみロンパースがバカ売れするのだけれど、今はこの幸せで可愛い着ぐるみパーティーを堪能させてほしいわ。
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