継母の心得 〜 番外編 〜

トール

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番外編 〜 ノア3〜4歳 〜

番外編 〜 キス戦争勃発!? 〜 ノア4歳、悪魔を倒した直後

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「おかぁさま、おはよーのちゅっ」

まぁ、朝からノアの可愛い、おはようのキスを、ほっぺにいただきましたわ!

「おはよう。ノア」

ちゅっと、マシュマロほっぺにキスを返すと、ノアは満足顔で頷く。

最近、我が家ではキスの挨拶が流行り始めた。
キッカケは、悪魔対策の為にテオ様が皇城へ行く際、わたくしにキスをした事で、ノアが自分もとねだった事からだった。

しかし、

「どういうことだ……」

挨拶のキスがわたくしとノアの間で日常的に続けられていたのだが、それを今日、テオ様に見られてしまったのだ。

いえ、見られたからといって別にどうという事はないのだけど、なぜかテオ様はショックを受けたように、扉の前でこちらを見たまま固まっておりますのよ。

どうしたのかしら?

「私には目覚めのキスはしてくれていないだろう……」
「はい?」
「目覚めのキスをしてくれた事がない」

何を子供のようなことを言っておりますの!?

「テオ様は、わたくしより早起きですもの。わたくしは眠っておりますから、キスは出来ませんわ」
「ノアにはするのにか……」

まぁ、面倒なことを言い出しましたわ。

「おとぅさま、ごあいさちゅの、ちゅっ、わたちだけよ」
「何?」

ノア!? ノアまで何を言い出しますの!?

「ベルは私の妻だぞ」
「おかぁさま、わたちの、おかぁさまよ」
「ちょ、二人とも何を言ってますの!?」

睨み合う父子に挟まれたわたくしは、どうしたらいいのかわからずおろおろすることしかできない。

「ベル、今日からは私にも目覚めのキスをしてくれるだろう」
「え」
「おとぅさま、おかぁさまこまりゃせる、めっ」
「困らせてはいない」
「むーって、なってりゅの」

何だか二人の間に火花が散っていますわ……。


こうして、よくわからない戦いの火蓋が切られたのだ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「───ということがありましたの……」
「きゃーっ、テオ様とノアちゃんの、キスをかけた戦いね! 見てみたかったわ!」

翌日、皇后様が遊びに来られたので、昨日あったことをお話したのだが、皇后様を喜ばせるだけだったようだ。

「でも、挨拶でキスって素敵ね! イーニアスにしてあげようかしら」
「イーニアス殿下なら、絶対お喜びになるはずですわ。何なら、皇帝陛下にもしてあげると、大喜びしそうですわね」
「え、ネロはいいのよ。だって、挨拶でキスとか恥ずかしいじゃない」

わたくし、その恥ずかしい挨拶を昨日からさせられていますが?

「テオ様は挨拶のキスも様になって素敵だから良いのよ」
「皇帝陛下も様になると思いますけれど」

だってお顔立ちは外国の人ですし。

「あら、そんなことないわよ~」

満更でもなさそうな皇后様に、皇帝陛下と仲良くやっているのだわ、と嬉しく思う。

「皇帝陛下なら、イーニアス殿下と皇后様へのキスで親子喧嘩したりはしないのでしょうね」
「まぁ、ネロはイーニアスを目の中に入れても痛くないくらい可愛がっているから。なんなら、アタシじゃなくて、イーニアスのほっぺにキスしたがるんじゃないかしら」
「皇后様にもイーニアス殿下にもキスしたがりそうですわよ」

間違いないですわ。

「ま、まぁ、ウチのことはいいのよ。それより、テオ様とノアちゃんの負けられない戦いはどうなったの?」

照れているのか話を逸らすと、ワクワクした表情で聞いてくる。

「どうなったかと言われましても……」

結局、わたくしはテオ様より遅くに起きますから、家族揃っての朝食時にテオ様のほっぺにキスすることになりましたのよ。

使用人たちの前で、朝っぱらからですのよ。本当、恥ずかしいですわ。

そうしたら、ノアがもうほっぺにキスをしたというのに、もう一度そこでお父様に対抗するようにねだってくるようになりましたの。そこでまた、テオ様と一悶着あって、やっと朝食がとれますのよ。

「あらあら、それは幸せすぎて大変ね」
「幸せすぎて……、そうかもしれませんわ」
「オホホッ、今日は惚気られたわね!」

惚気てはいませんわよ!?

「まぁ、皇后様も、皇帝陛下と仲良くされているようで、何よりですわ」
「ゴホッ、ちょ、変な事言うから、お茶が気管に入ったじゃないっ」
「照れていらっしゃる皇后様も可愛らしいですわ」
「イザベル様!」

ホホホッと笑いながら、友人との楽しい時間は過ぎていったのだ。

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