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番外編 〜 ノア3〜4歳 〜
番外編 〜 おかぜをひいた、おかぁさま 〜 ノア4歳、悪魔を倒してすぐ
しおりを挟む── 悪魔を倒してからすぐの事 ──
「ケホ……ッ」
「奥様、お風邪ですか」
「コホ……ッ、そうみたいですわ……」
おかぁさま、おくちおさえて、コホコホッてち、しているの。
どうちたのかしら?
「おかぁさま」
「ノア、ごめんなさいね。お母様お風邪を引いたかもしれないの。ノアに感染したらいけないから、お部屋でお休みしますわね」
おかぜ? びゅーびゅーの、おかぜ??
どおちてわたちと、あそんでくれないの?
「ノア様、奥様はお風邪というご病気でお元気がないのと、お風邪は人に感染ってしまいますから、ノア様に感染さない為にお部屋に戻られるのですよ」
カミラがね、そお、おちえてくれたの。
「おかぁさま、おげんきない!? たいへんなのよ!」
「ふふっ、ノア、大丈夫よ。あなたに感染らないように暫くは会えないけれど……、」
「あえない、いや! おかぁさま、わたち、いいこしゅる! そば、いりゅの!」
「ノア……」
おくちをおててで、かくちたおかぁさま、こまったおかおちて、わたち、みてりゅの。
「いいこしゅるの……」
「……わかりましたわ」
「奥様!?」
おかぁさま、いっしょ!
でも、カミラ、びっくりちてる……。どちて?
「その代わり、うがい手洗いを欠かさないことと、聖水を飲む事。出来るかしら?」
「はい! わたち、うがい、おててありゃう、できりゅの!」
◇◇◇
「おかぁさま、どおちておくち、およーふくきてる?」
おかぁさまのね、おくち、およーふくきてるのよ。ふち、しぎなの。
「これはマスクといって、ノアに悪い事をしようとする、お風邪を感染さないようにするためのものなのよ」
「しゅごいのね!」
「フフッ、そうね……ゴホッ、ケホ……ッ」
「おかぜ、おかぁさまに、わりゅいことちてるの。ますく、どおちて、わりゅいこと、させるの!」
わたち、ますく、めっちたの。
「まぁっ、ノア、マスクはすでにお風邪になってしまった人は守ってくれないのよ」
「どおちて?」
「お母様が今咳をしているでしょう。これは、悪い事をするお風邪を外に追い出そうとしているの。コホ……ッ、だけど、追い出したお風邪が他の人にぴとってくっついて、悪い事をしちゃうかもしれないでしょう。だからこのマスクが止めてくれてるのよ」
「そーなのね! でも……それだと、おかぁさま、おげんきないままよ……」
「おかぁさまには、聖水があるから、明日には良くなっているわ。ノアもちゃんと飲むのよ」
「はい!」
あちた、おかぁさまげんきなってりゅ!
そういってたのに……、
「ノア様、申し訳ございません。奥様は現在お熱が高く、お話できない状態です」
「おねちゅ……」
「ノア様はうがい、手洗いをし、聖水をお飲みになってお過ごしください」
ミランダに、おかぁさまのおへや、いれてもらえなかったの……。きのおも、いっしょ、ねんねちてないのよ。
「ノア様、お部屋には入れませんが、奥様の為にお花を摘んで持っていきませんか?」
「おはな……おかぁさま、おはなみたら、げんき、なる?」
「はい! 前もひまわりに喜んでくださいましたし、きっとお喜びになりますよ」
「わたち、おはな、もっていく!」
カミラ、いちゅも、おかぁさまよろこぶこと、おしえてくれるの。ありがとなのよ。
おにわにでると、おはなたくさんあってね、どおちよ……ちてたの。
「これは、これは、ノア様。小さな紳士はお花をお探しでしょうか」
「にわちちょお!」
「よろしければ、この爺がお手伝いいたしましょうか」
「はい! おねがいちます! わたち、おかぁさまのおはな、さがちてるのよ!」
「ほぅ。奥様に」
「おみ、おま……おみみゃ……まい! しゅるのっ」
「お見舞いですか。ふむ、では、こちらはいかがでしょう。ガーベラといって、奥様も大好きなお花ですよ」
おかぁさま、すきなおはな!
「これ、する!!」
「では、花束にしてさしあげましょう。何色のガーベラがよろしいですか?」
おいろ……、
「あっ、これ!」
「ああ、これは……そうですね。きっと奥様も喜んでくれますよ」
「はい!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
イザベル視点
「───“紫の花”か……、まるで可憐なベルのようだ」
その晩、熱も下がり、聖水のお陰でだいぶ良くなったわたくしの様子を、心配して見に来てくださったテオ様が、部屋に飾られたガーベラの花を見つけ微笑んだ。
「まぁ、テオ様ったら……。あれはノアがお見舞いに持ってきてくれましたのよ」
「ほぅ、なかなかセンスのある花を選んだのだな。君の色だ」
ノアを褒めているテオ様だけど、それは本人に伝えてあげてほしいですわ。
「素敵でしょう。早く元気になってって、お手紙も付けてくれましたの」
「君の風邪が早く治ったのは、ノアのお陰か」
「ええ、小さな騎士様のお陰です」
「妬けるな」
「ふふっ、次はテオ様も、お花とお手紙を持ってきてくださいましね」
「ああ。だが、小さな騎士には勝てそうもないな」
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