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第二部 第4章
514.宣言
しおりを挟む『アオ、みつけたー!! てんじょーうら、いたー!!』
緊迫した空気が流れるなか、急に大きな青いキノコが天井から落ちてきたのだ。
「アオ、しゅごい! いいこね」
『わーい、アオいいこー!!』
どうやら妖精のアオが、天井裏で何かを見つけたらしい。いつも通り自画自賛しているアオを見ながら、姿が見えないと思いましたのよ……と息を吐く。
しかし、このシリアスな雰囲気を壊してくれた事はありがたい。
「ノア様、天井裏に何者かが潜んでいるのでしょうか」
妖精の声が聞こえないはずのウォルトが、このタイミングでそんな事を言い出すものだから驚きましたわ。
もちろん王女たちには聞こえないよう、囁くような小さな声でしたけれど。
「しょうよ。までぃしょんに、きいたのね」
「はい。今頭の中に侍女長の声が……」
マディソンが指示していますのね。ちろあんがそばにいるようだから、そういった事も出来るのかもしれませんわ。
「ノア様、フローレンス様のように、天井に向けてライトの魔法を発動してもらえないでしょうか」
「ふりょ、ピカッしゅる!」
ウォルトの話を聞いていたフロちゃんが、ノアが頷く前に、天井に向けて光を放つ。すると、天井から呻き声が聞こえて……
あら? 足が動きますわ!
「フローレンス様、ありがとうございます」
フロちゃんにお礼を言ったウォルトが刹那、目の前から消えたと思ったら、わたくしの頭上に影がかかり、何事? と思う間もないままに、天井に穴が開いたのだ。
「キャーッ」
わけがわからず唖然と上を見ていると、女の子の声がして、ウォルトともう一人が降ってきたではないか。
「ウォルトが、とんだ……」
「うぉりゅと、とべりゅのね」
「にゃ!? ちょん、じゃ!!」
イーニアス殿下とノアが口を開けたまま、上を見上げて言った言葉がそれだ。ぺーちゃんは驚き過ぎて目がコロコロと転がっていきそうなほど目を見開いている。
やはりウォルトも影なのだ。忍者のように軽々と天井へと跳び上がり、一瞬で穴を開け、綺麗に一回転して着地する。その手には、短剣が握られていたが、何事もなかったかのように美しい姿勢で立ち上がり、床に転がった小柄な女性……いや、十三、四歳くらいの少女だ。を、捕らえたのだ。
「どうやら拘束魔法を使用していたのは、この子供のようです」
「っはなせ!」
オリヴァーと同じくらいの少女に、こんな子供が侵入者だなどと、なんということか。
目眩がしますわ。
すると、少女の元へノアが近づいていくではないか。
「ノアッ、そちらへ行ってはダメですわ!」
止めようと手を伸ばしたその時、ノアが少女の前で歩みを止めた。
「おねぇさん、おかぁさま、いじめちゃ、めっ! わたち、ぷんぷんちてるのよ」
「な……っ、何なのよ……」
「ひとのおうち、ないちょで、はいっちゃ、めっ」
ノアったら、本当に「めっ」しておりますわ……。
「あ、あたしは影だから、見つかったらダメなの!」
「かげ、みちゅかっても、だいじょぶよ?」
「大丈夫じゃないわよ!?」
「? うぉりゅとも、みりゃんだも、いちゅも、みちゅかってるの」
ノア、その言い方では、二人がいつもドジをして見つかっているみたいに聞こえますわよ。
「ノア様、私やミランダは、執事や侍女を兼ねておりますので、わざと姿を見せているのです」
さすがのウォルトも公爵家の影としてのプライドからか、即座に訂正している。
「まいにち、みちゅけるの!」
「……そうですね。ノア様にはすぐに見つけられてしまいます」
ウォルトがノアに押し負けましたわ! あの天使のような笑顔で言われたら、何も言えなくなってしまいますわよね。
「ノア、これであと、さんにんだ」
「さんにん、ちゅかまえる!」
イーニアス殿下とノアが、王女たちを見据え、宣言したのだ。
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