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連合、まで

連合

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「どうして、ここにいるんだろう?」
 思わず呟く、と周りから、「はあ?」という顔をされた。
 なので、
「どうして、ここにいるんでしょう、僕?」
「この連合のー、功労者だからでしょー?」
 真顔で聞いたら、真顔で猫オバチャンに返された。
 僕、なにかしましたっけ?
 表情から、疑問が読み取れたのか、
「それは・・・ポスター?」
 言いかけて詰まってしまったのは、雪さんをもらった団体の会長。
 猫オバチャンに対抗しての猫お姉さんは却下されたので、猫会長と呼んでくれ、と言われている。
「でしょう? だから、その程度しかしていない僕が、名誉連合長とか、おかしいでしょう?」
 そう、僕は、二つの団体をまとめる名誉連合長として、この場に呼ばれているのだ。
「まあー、どっちかの会長がやると、角が立つしー?」
「実務は分割のままだから、名前だけだし?」
 大人の事情、ぶっちゃけすぎでしょう?
「とはいえ、財団から支出するには、建前も必要ですから」
 アニキの言葉に、みんなが頷く。
 そう、アニキが来ていた。
 例のごとく、足並みを揃え始めた二つの団体が、上手く運営できる方法をアニキに相談したのだ。
 だって、あまりにお金の持ち出しや負担が大きいから、いろんな意味で、いつか潰れてしまう、と思ったからだ。
 その結果が、NPO法人化。
 お互いの団体の独自性を保ちながらも、いろいろと融通し合う。
 そのトップに、なぜか僕が立ち、オジサンの財団が、バックにつく、という話らしい。
 ごめん、意味わからないので、説明のしようも、メリットもわかっていない。
「あ、ごめん。功労者じゃなくて、責任者だった」
 功績なく、責任だけ取るの?
「もうー、どうでもいいよ。早く呑もー」
 どうでもよくないでしょ!?
「はい、乾杯!」
『乾杯!』
「ええええー?」
 グラスが打ち鳴らされた。
 そう、連合発足ガンバレ会という名目の呑み会に来ていたのだ。
 
「やる奴だとー、思ってたのよねえー」
「そうそう、思ってた、思ってた」
 猫オバチャンのイタリアンが食べられる保護猫カフェを貸しきっての宴会は、酷いことになってきた。
 自分の店なの関係なしに、酔っ払う猫オバチャン。
 そのペースに乗せられて、カパカパ空ける猫会長。
 猫を愛でながら呑むので、みんなペースがすごい。
「完全室内飼いって約束してるのにー、かわいそうだから外に出すって、どういうことよー?」
「それで、猫エイズに罹りました、ってお前のせいだろうが!」
「避妊手術の約束してるのにー、妊娠しました。引き取ってくださいってー、一頭飼いで、どうやってー?」
「外に出さないからワクチンしませんでしたって、靴の裏からでも感染するって説明したのに、外の猫触ってウィルス持ち込んだら、当たり前だろうが!」
「人と同じ物ー、食べさせてましたって、人と猫とで必要な栄養が同じって思ってるのー?」
「塩分与えて、腎臓壊して、不良なのは、お前の頭だろうが!」
「家から通えない獣医学部なんて、認めるわけないでしょう?」
「それはー、認めなよー!」
「子離れしろ!」
 違う部品が混ざってたけど?
 え?
 アニキも酔ってるの?
 猫にストレス与えないようにしている人たちのストレスも、解消してあげないといけないなあ、と思った。
 でも、猫が一匹でも多く、幸せになればいいな。
「猫の幸せに、乾杯」
 
 僕は、屍累々の中、ちょっとだけグラスを上げた。
 
「一人だけ何ー、冷静な顔してるー?」
「名誉連合長、呑みが足りないぞ!」
「娘が、娘が遠くに・・・」
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