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第9章 代替えとしての役割
10 田口
しおりを挟む「これで終わりだと思うなよ」
——え?
澤井は保住の腰を抱え上げると、強引に寝室へと引き込んだ。
「澤井さん!」
「まだ時間はたくさんある。おれを楽しませろ——保住。誘ったお前が悪い」
抗議の声をあげようとするがそれは叶わない。澤井の指が保住の口から入り込んできたからだ。
「んん」
「いやらしい顔を見せろ。こっちは初めてだろう? 慣らしてやるから安心しろ」
うつ伏せに躰ごと押さえ込まれたかと思うと、彼の指は口から離れ、そのまま腰から下へと入り込んだ。
「——ッ! ご、拷問ですよ。こんなのは」
「ほほう。お前にとっては嫌がらせ以外のなにものでもなかろう。愉快。これからもこうしてやろうか」
「嫌です……ッ!」
「昔からそうだ。お前のような跳ねっ返りの暴れ馬を押さえて、痛めつけるのは愉快だな。もういい。面倒だ。こっちで慣れろ」
腰だけを引き寄せられたかと思うと、熱い猛っている澤井のものが保住の中に分け入ろうとしている。
堅く熱いものが当たって、目の前ががチカチカとした。
「澤井さん——!」
「今更やめるわけないだろう? 誘ったのはお前だ」
メリメリと肉を引き裂くような痛みに、頭をガツンと殴られた気がする。
目眩がした。
「——ッッ!」
声にならない叫びとはこのことだ。
「キツくて噛みちぎられそうだな」
彼は余裕のない声色だ。保住の細い腰を両手で抱え込んだかと思うと、中の感触を確かめるかのように、ゆっくりと中へと押し入ってきた。
その度に、保住は声にならない吐息を漏らす。
「まだ苦しいのか?」
「はっ、あ……苦しい。キツい。出て行ってください……っ」
「無理だな。じゃあ、さっさと中に出させろ」
「な、中って」
「大丈夫だ。ちゃんと掻き出してやるから」
「そ、そんなこと——ひっ!」
右足を持ち上げられたかと思うと、澤井は更に深く押し入った。
粘膜が擦れる感触に背筋がビリビリとしていた。まるで何かを探るかのごとく、小さく抜き差しを繰り返す様に嬌声が止まらない。そのうち、雷ででも打たれたかのごとく、躰の奥が疼く感触に目の前がチカチカとなった。
「見つけたぞ。保住」
澤井は味の悪い笑みを見せながら、執拗にそこの場所を先の硬い部分で突き下ろした。
——なんだこれは!?
生まれて初めての感覚だ。女性とのセックスでは味わったことのないくらいの快感に、ふと理性がショートした。
「あっ、あ、あん」
「可愛い声で鳴くものだ」
とは言いつつ、澤井も余裕がない。保住の足を抱えながら、腰を激しく打ち付けてくる。短く途切れてしまう甘い声は、まるで女性みたいで羞恥心を煽った。まさか、自分が男に犯されるなんて、思っても見なかった事態だ。
「自分のは自分でしろ」
澤井に誘われるように持たされたものを上下に動かす。
——こんなことって、めちゃくちゃだ。田口。おれは……。
「田口……」
涙が溢れた。躰がぶつかり合う音や、粘膜が擦れて卑猥に響く水音に支配されて、自分が口にする言葉が聞こえない。そのうち、覆い被さるように口付けをされて、それも叶わなくなる。
舌と舌が絡まり合い、保住は澤井から与えられて絶頂を迎える中、田口の名を口にしていることに気がついていなかった。
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